怪人赤マントの殺人   作:卯月絢華

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第4話

 私は友人が少ない方だけど、一応「知り合い」と呼べる友人はちゃんといる。知り合いたちは私に優しく接してくれていて、「頭が良い」という理由でテストを教えてもらうことも度々あった。当然、知り合いたちは高校や大学への進学を機に散り散りになってしまったが、1人だけ今でも奇跡的にコンスタントに連絡を取っている知り合いがいる。確か、名前は――忘れた。でも、その知り合いは度々仕事の愚痴をスマホに寄越してくる。確か、「にじいろハウス」とかいう学童保育で働いてたことは確かだ。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 天堂亮介は、「にじいろハウス」というポートアイランドの学童保育にいた。両親共働きが当たり前の昨今において、学童保育という存在は自分の子供にとって重要なインフラとなっている。ましてや、「にじいろハウス」はポートアイランドという狭い人工島の中でも無人モノレールの駅の近くにあるという立地条件の良さから利用者が多いらしい。

 

 入口で、天堂亮介はインターホン越しに話す。

 

「――兵庫県警捜査一課の天堂亮介という者です。あの、ここが『にじいろハウス』で間違いないでしょうか?」

 

「はい。確かに、ここは『にじいろハウス』ですが……刑事さんが、こんなところに何の用があるんでしょうか? もしかして、ウチで面倒を見ている生徒が何らかの事件に巻き込まれたんでしょうか? そんなこと、あってはならないと思いますが」

 

 スタッフと思しき人物がそう言うので、天堂亮介は率直に答えた。

 

「その通りです。あなたの言う通り、この学童保育に通っている子供が相次いで殺害されているんです。被害者は、山本玲央と高城阿澄、笹貫海馬、そして……坂下杏の4人です。周辺での聞き込み調査の結果、4人の被害者はいずれもこの『にじいろハウス』という学童保育に通っていることが判明しました」

 

「確かに、あなたが言う4人はウチの学童保育に通っていましたが……まさか、事件に巻き込まれているとは考えてもいませんでした」

 

「しかし、4人の子供たちの命が奪われているんですよ? それって、学童保育側に責任があるんじゃないんでしょうか?」

 

 天堂亮介は、怒りに震えながら話す。その怒りに、スタッフは気圧(けお)された。

 

「仕方ないですね。一応、園長と残りのスタッフたちを呼びますので……刑事さんは応接室で少しお待ちください」

 

 園長がそう言ったところで、天堂亮介は応接室に通された。そして、応接室には4人のスタッフと思しき人物が入ってきた。

 

「私が『にじいろハウス』の園長、藍沢真耶(あいざわまや)です。そして、ウチで働いている4人のスタッフです。スタッフは基本的にウチの方針で女性を採用しています。男性スタッフだと、預かっている児童に対して性加害トラブルを起こしかねませんからね」

 

 偉そうに言う園長だなと、天堂亮介は心の中で思った。しかし、藍沢真耶が犯人だとは考えにくい。ならば、犯人は4人のスタッフの中にいるのだろうか。

 

 それから、4人のスタッフはそれぞれ自己紹介をした。

 

「私は、松島美鶴(まつしまみつる)と言います」

 

「私は、飯田桃子(いいだももこ)と言います」

 

「私は、木下奈々子(きのしたななこ)と申します」

 

「私は、小野寺涼子(おのでらりょうこ)という者です」

 

 4人とも怪しいところは見当たらないと、天堂亮介は自己紹介を聞きながら思った。とはいえ、彼女たちが容疑者候補であることに変わりはないので、天堂亮介は自己紹介に際してメモを取っていた。

 

 そして、天堂亮介は彼女たちに質問をぶつける。

 

「早速ですが、あなたたちに質問があります。1人目の被害者である山本玲央さんが殺害されたのは、10月中旬の火曜日でした。この時はただ単に変質者による犯行だと疑っていましたが、2人目の被害者である高城阿澄さんが殺害されたのは10月31日、ハロウィンの日でした。この時点で、我々兵庫県警ではハロウィンシーズンに東京で発生した凶悪事件である『京王線ジョーカー事件』と照らし合わせて、より凶悪な人物による犯行だと断定しました。――ああ、話がそれてしまった。それで、10月31日のあなたたちの行動を知りたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 天堂亮介の質問に、4人の容疑者は答えていった。

 

 まず、答えていったのは松島美鶴だった。

 

「えーっと、10月31日ですか……。その日の私は、学童保育で行うハロウィンパーティーの準備をしていました。お菓子を用意したり、仮装の準備をしたり、催しの準備をしたり……仮に、高城さんが殺害された時間が午後4時前後だとしても、私に彼女を殺害できるはずがありません」

 

 次に、答えていったのは飯田桃子だった。

 

「私は、近くのスーパーでハロウィンパーティーのお菓子の買い出しに行っていました。確かにこの園にはいませんでしたが、その過程で誰かを殺すなんて、あり得ませんよ」

 

 次に、答えていったのは木下奈々子だった。

 

「私ですか? 私は……仮装の準備をしていましたね。確か、『国民的鬼退治の漫画』に登場する『鬼にされた少女』のコスプレをしようと思っていました。まあ、今年公開された映画にその少女は出てこなかったんですけどね」

 

 最後に答えていったのは、小野寺涼子だった。

 

「私? 私は……催しの準備をしていましたね。手品ですよ、手品。あの、ナイフで人を刺しても死なないとかいうヤツですよ。――ああ、私に疑いの目を向けるのは当然ですよね。だって、事件で使われた凶器はナイフって言っていましたから」

 

 4人の証言を聞いて、天堂亮介は「4人とも不在証明(アリバイ)がある」と思った。ただ、気になるのは手元に凶器と思しきナイフを持っていた小野寺涼子である。確かに、手品用のナイフなら模造刀になるので人を殺害するには向いていないが……。

 

 そんなことを思いながら、天堂亮介は小野寺涼子に質問した。

 

「小野寺さん、少しよろしいでしょうか?」

 

「ええ、はい。どんな質問でもぶつけてください。――それで、何を聞きたいんでしょうか?」

「手品用のナイフについてです。ナイフって、どんな感じのモノでしょうか?」

 

「ナイフって言われても、実際にモノを刺したり切ったりするようなモノじゃなくて……模造刀ですが。見せましょうか?」

 

「ああ、頼むよ」

 

 そう言って、小野寺涼子は手品で使用したナイフを持ってきた。

 

「一応、ナイフはこんな感じです。模造刀なので、誰かを刺し殺すのには向いていません」

 

 小野寺涼子がそう言ったところで、天堂亮介はナイフの刃を触った。

 

「確かに、これはプラスチック製の模造刀ですね。見てくれは本物に見せかけていますが、僕が触る限りただのおもちゃでしかありません。――ありがとうございました」

 

 そう言って、天堂亮介はナイフを小野寺涼子の元に戻した。

 

「だから、言ったじゃないですか。私は犯人じゃありませんって」

 

 そこは彼女の言う通りだろうと、天堂亮介は心の中で思っていた。その上で、次は飯田桃子に質問を投げかけた。

 

「次に、飯田さんに質問ですが……『にじいろハウス』からスーパーまでの距離って、どれぐらいなんでしょうか?」

 

「距離ですか……。だいたい、ここから歩いて2,3分って感じですね。もちろん、領収書も取ってあります」

 

 そう言って、飯田桃子は事務室から領収書を取ってきた。確かに、領収書には「令和×年10月31日」という日付とともに「にじいろハウス様」と書かれていた。但し書きは「お菓子代」だった。

 

 飯田桃子は話を続けた。

 

「確かに、私はあの時間に『にじいろハウス』から離れていましたが、そんな短時間で誰かを殺せる訳がありません。もしかして、刑事さんは私に疑いの目を向けているんでしょうか?」

 

「いえ、そんなことはありません。ただ、あの時間に『にじいろハウス』にいなかったのがあなただけでしたので、念のために質問をしただけです」

 

「そうですか……」

 

 飯田桃子は機嫌の悪そうな顔でそう言った。――やはり、彼女が事件の犯人だろうか? 天堂亮介がそんなことを思っていると、何かに気づいたのか、松島美鶴が話す。

 

「ああ、そういえば……あの時、高城さんは『急用が出来た』と言って早退しましたね。一体、何の目的があって早退したんでしょうか……」

 

 松島美鶴の話に、天堂亮介が答えていく。

 

「多分、体調不良とかじゃないんでしょうか? それで早退したなら、矛盾はないですが……」

 

「いえ、その日の高城さんは体調不良という素振りはありませんでしたね。恐らく、何らかのトラブルに巻き込まれたとかそんな感じだと考えていましたが……」

 

 トラブル。その単語が出てきたことによって、天堂亮介の中で閃きが生じた。

 

「松島さんが言う『トラブル』って、中学校でのトラブルでしょうか? それとも、この学童保育でのトラブルでしょうか?」

 

「いえ、それは分かりません……。ただ、早退する時の彼女は少し焦燥した顔を見せていたことは覚えています」

 

「焦燥した顔ですか……。実は、家庭環境が良くなくて、借金取りに追われていたとかそんな感じなんでしょうか?」

 

「借金取りかどうかは分かりませんが、確かに彼女は『誰かに命を狙われている』と言って怯えていました」

 

 誰かに命を狙われている。――怪人赤マントか。ならば、犯人は「にじいろハウス」の中にいないのか? そんなことを考えているうちに、天堂亮介は自分で自分が分からなくなった。

 

 頭を抱える天堂亮介に対して、木下奈々子が話す。

 

「そういえば、山本くんから『怪人赤マント』という変質者の噂は聞いていましたね。彼の話によると、『その怪人の質問に答えた人間は攫われて命を落とす』とかそんな感じだったような……」

 

「やはり、『怪人赤マント』の噂はこの園でも広まっていたんですか。正直言って、あなたたちを犯人にしたくないんですが……。分かりました、僕は一旦署に戻ります」

 

 そう言って、天堂亮介は「にじいろハウス」を後にした。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 天堂亮介が兵庫県警本部に戻ると、捜査一課のデスクには白城警部以外の人物がいなかった。

 

「白城警部、宮代刑事はどこにいるんでしょうか?」

 

「宮代君なら、取調室にいるはずだ。何でも、廣瀬さんに対して事情聴取がしたいと言っていたよ」

 

「そうですか。――分かりました」

 

 宮代仁美が戻ってくるのを待てない。そう思った天堂亮介は、彼女が事情聴取を行っている取調室へと向かった。

 

 

「――それで、廣瀬さんの知り合いに『にじいろハウス』で働いているスタッフがいるというのは本当でしょうか?」

 

「――はい、本当です。名前は……結婚して変わっていますが、旧姓が『草野桃子』だったことは確かです」

 

 ――草野桃子? あれ、桃子って……。そう思った天堂亮介は、取調室の中に入るなり言葉を荒げた。

 

「ちょっと待ってくれ。今、『草野桃子』って言わなかったか?」

 

 それでも、宮代仁美は冷静である。

 

「はい、確かに廣瀬さんが『草野桃子』って言いましたが……亮ちゃん、言葉を荒げちゃってどうしたの?」

 

「ああ、『怪人赤マント』の正体が分かったんだ」

 

「怪人赤マントの正体が分かった? それ、本当なんですか?」

 

「本当だ。――廣瀬さん、もう一回あなたの知り合いの名前を言ってくれないか?」

 

 天堂亮介にそう言われて、廣瀬彩香は困惑しつつも名前を彼に伝えた。

 

「えっと……草野桃子さんです。ただ、彼女って数年前に結婚しているので、名字が変わっているんですけど……結婚した後の名字までは分からないですね」

 

「そうですか。――多分だけど、彼女は結婚して『飯田桃子』という名前に変わっているはずだ」

 

「ということは、私が追ってた『怪人赤マント』の正体って……」

 

「――恐らく、飯田桃子で間違いないだろう」

 

「そ、そんな……」

 

 廣瀬彩香はショックのあまり、口を両手で覆ってしまった。自分の知り合いが犯罪に手を染めてしまったから当然だろうか。

 

「廣瀬さん、大丈夫ですか?」

 

「いや、大丈夫じゃないかもしれません。――少し、部屋から出ても良いでしょうか?」

 

「分かりました。取調室から出た場所に休憩室があるので、そこで少し休んだ方が良いと思います」

 

 宮代仁美にそう言われて、廣瀬彩香は取調室から出て行った。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「――それにしても、彼女……ショックを受けてましたね」

 

 宮代仁美は、悲しそうな顔で天堂亮介に話す。

 

 しかし、天堂亮介は「残酷な現実」を彼女に突きつける。

 

「そうは言いますが、飯田桃子が一連の事件の犯人だということは事実です。この事実は、今更変えようがない」

 

「でも、亮ちゃんが廣瀬さんを泣かしたのは事実なんですよ! 犯人の名前を告げるにしても、もうちょっと空気を読んでくださいよ!」

 

「いや、刑事はそんな甘ったるい態度じゃ務まらない。それは仁美さんが一番知っているはずじゃないですか?」

 

「そ、それはそうですけど……私、ちょっと外に出ます。廣瀬さんのこと、気になりますし」

 

 そう言って、宮代仁美は取調室から出て行った。――取調室には、天堂亮介だけが残された。

 

「クソッ!」

 

 天堂亮介は、荒ぶる気持ちをさらけ出すように壁を殴った。取調室には、鈍い音が鳴り響いた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「――廣瀬さん、まだ泣いているんですか?」

 

 宮代刑事は、私にそうやって声をかけてきた。今更「怪人赤マント」の正体が桃子ちゃんだと言われても、私は現実を受け入れることが出来なかった。

 

 そんなことを思いつつ、私は話す。

 

「見て分からないんですか? 私、まだ泣いているんですけど」

 

「そうですよね。友人が一連の事件の犯人だとして、それを受け入れられるはずがありませんよね。その気持ち、私ですら察するモノがありますよ」

 

 そう言いながら、宮代刑事は自販機のボタンを押した。ガコンという鈍い音がして、自販機から缶コーヒーが落ちてきた。そして、彼女は缶コーヒーを私に手渡してきた。熱々の缶コーヒーは、私の冷めた心を温めてくれるようだった。

 

「良いんですか? こんな私に缶コーヒーを手渡して」

 

 私は宮代刑事にそう言ったけど、彼女はあくまでも善意で手渡したらしい。

 

「良いんですよ。缶コーヒーぐらい、経費の中に入りませんし。それで廣瀬さんに元気を与えられるなら、私は本望ですよ」

 

 私は、缶コーヒーのタブを開けて一口飲んだ。そして、宮代刑事に話す。

 

「ところで、宮代さんはどうして刑事になったんでしょうか? 私、それが気になるんですよ」

 

「刑事になった理由? うーん……難しいなぁ。でも、私って昔からおジャ魔女やプリキュアよりも仮面ライダーの方が好きだったんですよ。女の子なのに。だから、その時点で『将来は刑事』っていう漠然な目標があったのかな。ちなみに、私の世代で仮面ライダーといえば『龍騎』とか『ファイズ』になりますね。もう、古い分類に入っちゃいますけど」

 

「なるほど。宮代さんって、私よりちょっと下の世代なんですね。私の世代で『仮面ライダー』といえば、もっぱら『クウガ』や『アギト』のことを指してましたし」

 

「ほへぇ……」

 

 後で聞いた話だと、宮代仁美という人物は28歳らしい。私から見て5歳下か。っていうか、こんな私が33年間生きているほうが異常だと思うけど。

 

 それから、宮代刑事は逆に私が小説家になった理由を聞いてきた。

 

「逆に質問しますけど、廣瀬さんはどうして小説家になられたんですか?」

 

「えっと……私、学生時代に京極夏彦の小説を読んで『小説家になりたい』って思ったんですよ。私の学生時代って、ちょうど講談社ノベルス全盛期でしたし。それで、大学でもミステリ研究会に入ってましたし、メフィスト賞も数え切れないぐらい応募していたんですよ」

 

「それで、たまたま講談社の目に留まって……商業デビューしたと」

 

「はい。ただ、メフィスト賞経由じゃなかったんですけどね」

 

「えっ? 廣瀬さんって、メフィスト賞がデビュー作じゃないんですね」

 

「はい。一応講談社では『変人集団』って言われている文芸第三出版部に所属してるんですけど、別にメフィスト賞がきっかけでメジャーデビューした訳じゃないんです。たまたま担当者……森下博継って言うんですけど、彼の目に私の原稿が留まったらしくて、『メフィスト賞じゃなければデビューしても良い』って言ってくれたんです」

 

「なるほど、そうだったんですね。――私、なんだか小説家としての廣瀬さんを応援したくなりましたよ」

 

 宮代刑事はそう言うけど、私はそんな(うつわ)の人間じゃない。私は、思わず弱音を吐いた。

 

「そうですか。――勝手にしてください」

 

「またまた、そんなこと言っちゃって……廣瀬さんって、意外と弱気なんですね」

 

 ああ、見透かされている。

 

「そうですよ。私、こう見えて結構弱気なんですから。強気な宮代さんが羨ましいですよ」

 

「えーっ? 私、強気じゃないんですけど……」

 

 そんな他愛もない話をしているうちに、天堂刑事も休憩室へ来た。

 

「宮代刑事、少しは廣瀬さんを慰めることができましたか?」

 

「はい。さっきまで互いに『どうしてこの仕事に就いたか』を話していたところです」

 

「そうですか。――それなら良かった。僕は、廣瀬さんのことを心配していたからね」

 

「天堂さんが、私のことを心配していた?」

 

「僕だって、『事件の目撃者』として廣瀬さんのことは気に掛けてましたからね。当然ですよ」

 

「そうでしたか。――私、宮代さんと話しているうちに親友として彼女と打ち解けたんです。だから、私のことは別に心配しなくても良いですよ?」

 

「そ、そうですか……」

 

 私は、宮代仁美という存在と話しているうちに、彼女のことを受け入れるようになっていた。どうやら、私は昔から「ヒトミさん」に縁があるようだ。……多分。

 

 

 それから、私に対する事情聴取は再開した。もちろん、事情聴取には宮代刑事だけじゃなくて、天堂刑事も加わった上で行われた。

 

「――それで、桃子ちゃんが『怪人赤マント』の正体だということは本当でしょうか?」

 

「はい。まだ彼女に対して逮捕状は出していませんが、この事情聴取が終わり次第出そうと思っています。――友人が逮捕されることに対する覚悟って、出来ているんでしょうか?」

 

 天堂刑事の質問に対して、私は率直に答えた。

 

「もちろんです。彼女が『怪人赤マント』の正体だとして、それを受け入れる覚悟は出来ています」

 

「分かりました。――事情聴取は以上です。廣瀬さん、お疲れ様でした」

 

「宮代さん、色々付き合わせてごめんなさいね。でも、あなたがいてくれなかったら『怪人赤マント』の正体なんて分からなかったし、事件なんて解決してなかったと思うわ」

 

「こちらこそ、色々付き合わせてしまってごめんなさい。あなたのおかげで『飯田桃子』という『怪人赤マント』の尻尾は掴めた訳ですし」

 

「そうですよね。――それじゃあ、私はこれで」

 

 そう言って、私は取調室を後にした。後ろでは、宮代刑事と天堂刑事が見送っていた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「それにしても、彼女……『怪人赤マント』が『飯田桃子』だと伝えてから、元気がなさそうでしたね」

 

 天堂亮介は、捜査一課のデスクに戻った上で宮代仁美にそう言った。

 

「それはそうだと思います。だって、廣瀬さんにしてみれば知り合いが犯人だったってことになりますからね。仮に、亮ちゃんの知り合いが事件の犯人だとしたら、亮ちゃんはどういう反応を示すんでしょうか?」

 

「仁美さん、難しい質問をしてきますね。――でも、僕なら心を鬼にしてその犯人を逮捕しますね。だって、それが刑事の仕事じゃないですか」

 

 ――亮ちゃんの言っていることは正論かもしれない。宮代仁美はそう思った。

 

「確かに、亮ちゃんの言う通りかも……。私だって、友人が犯人だとして……その友人に対して手錠をかける勇気って、ないかもしれない」

 

「その通り。刑事は心を鬼にしなければ成り立たない仕事だと僕は思っていますからね。――ところで、廣瀬さんが言っていたこと、ちゃんと調書にまとめていますか?」

 

「もちろんですよ。事情聴取で聞いたこと、ちゃんと調書としてまとめてありますから」

 

 そう言って、宮代仁美はノートパソコンを開いた。確かに、そこには彼女が廣瀬彩香に対して事情聴取を行った結果が表示されていた。

 

「まあ、私は『廣瀬彩香』という遺体の目撃者がいてくれて良かったと思いますけどね。結果的に一連の事件の犯人も分かりましたし」

 

 そんな話をしているうちに、終業のチャイムが鳴った。いくら刑事といえども、公務員であることに変わりはないのでチャイムが鳴ったら帰らなければいけない。

 

「それじゃ、私はこれで失礼します。亮ちゃんも、早く帰った方がいいですよ?」

 

「そうですね。僕も、別の事件の調書を作成したら帰ろうと思います。――まあ、30分程度の残業ですけど……」

 

「知ってます? 公務員って、残業代出ないんですよ?」

 

「そ、それぐらい知ってますよ。でも、この調書を作らないと……」

 

「仕方ないですね。私は先に帰りますよっ」

 

 そう言って、宮代仁美は捜査一課のデスクから踵を返した。そして、デスクには天堂亮介だけが残された。

 

「はぁ……。やっぱり、僕には女心なんて分かるわけがない」

 

 そうやって独り言を呟きながら、彼は別件事件の調書をまとめていた。

 

「それにしても、最近の事件は凶悪化しているなぁ。まあ、世の中全体がギスギスしているから仕方ないと思っているけど」

 

 天堂亮介は、愚痴という名の独り言をぶちまける。当然だけど、デスクには彼以外に誰もいない。

 

 別件事件の調書は、「怪人赤マント」にまつわるモノではなく、「遺体から人の皮を剥ぎ取って、服飾品として加工する」という事件だった。天堂亮介は、この事件の調書をまとめながら「そんな『羊たちの沈黙』みたいな話は映画の中だけにしてほしい」と心の中で思っていた。

「――あれ? そういえば……『皮剥ぎ事件』における犯人って、まだ捕まっていなかったな。というか、僕が捕まえようとして……あとちょっとのところで逃げられたんだった。正直言って、大ポカだ」

 

 ため息を吐きながら、天堂亮介は「皮剥ぎ事件」の調書に記された犯人の名前を見る。犯人は「瀬川鳴海」という男性で、中性的な見た目をしている。故に、写真だけだと女性に見間違えそうだった。

 

「それにしても、瀬川鳴海って……見れば見るほど、怖いな。顔から狂気がほとばしっている」

 

 天堂亮介は、瀬川鳴海の写真を見てそう呟いた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 結局、兵庫県警には一日中いたな。まあ、私が途中で宮代刑事に向かって泣き出したのが悪いんだけど。そんなことを思いながらアパートに戻った時点で、私はぐったりと倒れ込み、そのまま意識を失った。

 

 

 ここはどこ? 夢? 少なくとも、ここがアパートじゃないことだけは明らかだった。

 

 そして、私の目の前には銀髪の人物がいる。銀髪の人物は、ナイフを握っている。

 

「――あなた、誰なの?」

 

「私? 私は……瀬川鳴海よ。名前と見た目で男と間違えられるけど、私は生物学上でれっきとした女性よ? その証拠に、胸も膨らんでるし」

 

 確かに、低い声で「瀬川鳴海」と名乗った女性の胸には、わずかに膨らみがあった。なんなら、いわゆる「まな板」である私よりも膨らんでいるかもしれない。

 

 瀬川鳴海は話す。

 

「私、昔から人間の肌が好きなのよね。なんて言うんだろう、肌フェチ? まあ、そんな感じね。それで、今日はあなたの肌を剥ぎ取るためにここに連れてきたの」

 

 ――えっ? 今、なんて言った?

 

「ちょっと、どういうことなの?」

 

「だから、私はあなたの肌を剥ぎ取りに来たのよ。あなたは……華奢な体格に、白い肌。まさに私好みの肌よ」

 

「じゃあ、私……死ぬの?」

 

「肌を剥ぎ取られるということは、死ぬのよ。そして、あなたの肌は服飾品として加工されて、パリコレに出されるのよ!」

 

「くっ……」

 

 私、死ぬんだ。それも、こんな変態に肌を剥ぎ取られて殺される。いくらなんでも、そんな死に方は嫌だ。

 

 私は、思わず瀬川鳴海に刃向かった。

 

「私、死にたくないんだけど!」

 

「ふざけるのも大概にしてちょうだい。私はあなたの肌が気に入ったのよ」

 

 そう言って、瀬川鳴海は私の頬をまさぐるように触った。――気持ち悪い。

 

「最後に、私に言い残すことはない?」

 

 言い残すモノなんて、あるかよ。

 

「言い残すことはないわ。っていうか、あなたに殺されること自体が不服だわ」

 

「あら、そう……じゃあ、死んでもらうかしら?」

 

 瀬川鳴海がそう言った瞬間、私の胸に――冷たい感覚を覚えた。胸からは、血がどくどくと流れている。

 

「ちょ、ちょっと……何するのよ!」

 

「あら、心臓を刺したつもりなのに、まだ死んでないの?」

 

 ――私、死んだのか。確かに、心臓の鼓動が遅くなるのを感じる。

 

「心臓を突き刺したら、次は皮を剥がないとね」

 

 そう言って、瀬川鳴海は私の腕にナイフを入れた。――痛い! これが「皮を剥ぎ取られる感覚」なのか。ヒリヒリする。

 

「――痛い。痛い。痛い痛い痛い!」

 

 私は口をバクバクさせてそう言ったつもりだけど、もはや、しゃべるための気力も残されていなかった。

 

「あら、餌をほしがる金魚のように口をパクパクさせて何が言いたいのかしら? まあ、私には関係のない話だけど」

 

 意識が遠のく。視界がぼやける。心臓の鼓動が、どんどん遅くなる。死ぬときの感覚って、こんな感じなのかな……。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「――そうか! 『怪人赤マント』の正体は、瀬川鳴海だったのか! どうして、僕はそのことに気づけなかったんだ!」

 

 独りしかいない捜査一課のデスクで、天堂亮介は大声を上げた。当然、彼以外に誰もいないから大きな独り言でしかない。

 

「瀬川鳴海は、学校から下校中の子供を狙って攫った。でも、子供の肌は柔らかすぎて剥ぎ取るには向いていない。だからこそ、彼は子供たちをナイフで刺した後、そのまま放置したんだ。――クソッ」

 

 言葉を荒げるような独り言を発して、天堂亮介は兵庫県警のパトカーに乗り込んだ。

 

「間に合ってくれ」

 

 そう祈りながら、天堂亮介はパトカーのハンドルを握り、発進させた。

 

 そして、パトカーはポートアイランドの埠頭付近へ向かった。天堂亮介は、ここで瀬川鳴海を捕まえようとして、逃げられている。

 

「――今度こそ、逃すものか!」

 

 自分にそう言い聞かせて、天堂亮介はその魂を奮い立たせた。そして、瀬川鳴海のねぐら――埠頭の廃コンテナ――の中に潜入しようとした時だった。――誰かが倒れている。

 

 天堂亮介は、倒れている人間に近寄ろうとした。しかし、近寄ろうとしたところで、天堂亮介の鼻を血なまぐさい臭いがかすめる。

 

「ま、まさか……」

 

 天堂亮介が倒れている人間を見た瞬間、それを「人間だったモノ」と認識するのに数秒かかった。――「人間だったモノ」には、背中にナイフが突き刺さっていた。そして、よく見るとそれはさっきまで天堂亮介が聞き込み調査を行っていた飯田桃子の遺体だった。

 

「お、遅かった……」

 

 天堂亮介は、「飯田桃子だったモノ」を目の当たりにして、膝から崩れ落ちた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「――はあっ……はあっ……」

 

 私は息を荒げながら夢の世界からその意識を覚醒させた。どうやら、悪い夢を見ていたらしい。その証拠に、乳房の間に触れると強くて速い心臓の鼓動を感じるし、どくどくという脈打つ音が耳を通して聞こえていた。

 

 それにしても、あの夢……何だったんだ? それに、「瀬川鳴海」なんて人物、私の記憶にないんだけど。どこで知ったんだ?

 

 そんなことを考えながら、私はシャワーを浴びることにした。悪い夢を見て汗をびっしょりかいたから仕方ないだろう。

 

 シャワーを浴び終わって、私は悪い夢を忘れるべく小説の原稿を書き始めた。しかし、強烈な悪い夢というモノはそう簡単に忘れることができない。私は、ダイナブックの画面の前で考え事をしてはその意識を飛ばしかけていた。――マズいな。

 

 私が原稿に悩んでいると、スマホが短く鳴った。一体、誰なんだよ。

 

 ――彩香、少しいいか。「怪人赤マント」について大変なことになった。

 

 ――俺、前に「人間の肌を剥ぎ取って服飾品に加工する」とかいう変態の事件をお前に話したことを覚えているか?

 

 ――それに関して、兵庫県警では「瀬川鳴海」という男性を指名手配したが、結局すんでの所で逃げられてしまったことは記憶に新しいな。

 

 ――それで、さっき……残念なことに「瀬川鳴海」によって新たな犠牲者が生まれた。

 

 ――犠牲者の名前は、飯田桃子だ。

 

 そこまでメッセージを読んで、私は……言葉を失った。まさか、桃子ちゃんが犯人の毒牙にかかるなんて思ってもいなかったからだ。

 

 それでも、私はメッセージの続きを読んでいく。

 

 ――それで、俺は仮説として「怪人赤マント=瀬川鳴海」という説を打ち立てた。この説は、まだ警察にも話していない。

 

 ――俺は探偵じゃないが、お前の命が危機に晒されている可能性を察してこうして事件を追うことにした。ただ、それだけだ。世の中には「一石二鳥」という便利な言葉があるぐらいだしな。

 

 どうやら、メッセージは善太郎くんからのものだったらしい。――そうか、「瀬川鳴海」は善太郎くんから教えてもらった事件の犯人だったのか。

 

 そうなると、私にできることといえば――やっぱり、天堂刑事に会うことだ。

 

 私は、芦屋から新快速に乗り込み、急いで三宮へと向かった。

 

 そして、三宮とポートアイランドを結ぶ無人モノレールに乗り込み、ポートアイランドへと向かった。善太郎くんの話によれば、飯田桃子の遺体が見つかった場所は埠頭の廃コンテナ群らし

い。

 

 

 確かに、埠頭の廃コンテナ群には穴が開いていて、そこにはさっき夢で見た光景と同じ光景が広がっていた。――ただ、そこに規制線が張られていることを除けば。

 

「廣瀬さん、どうしてここに?」

 

 天堂刑事がそう言うので、私は「訳あって飯田桃子が殺害された場所に向かった」と言った。当然、天堂刑事は「一般人が来るところじゃない」と言って私を門前払いにしようとした時だった。ライムグリーンのバイクが、『アキラ』のワンシーンのように横切って停まった。っていうか、このシーンでバイクを運転しているのは「アキラ」ではなく「金田正太郎(かねだしょうたろう)」という人物である。

 

 そして、フルフェイスのヘルメットを被った男性がバイクから降りて、男性はそのヘルメットを脱いだ。

 

「――彩香、俺が来たからには安心しろ」

 

 どうやら、善太郎くんが来たらしい。

 

「善くん、来たのね。もしかして、『怪人赤マント』の事件に関して分かったことでもあるの?」

 

「ああ、どうだろうか。ただ、『怪人赤マント』は分からなくても、『瀬川鳴海』に関しては分かった」

 

「それ、ホントなの?」

 

「本当だ。俺を信じろ」

 

 善太郎くんがそう言うぐらいなら、ここは彼の言葉を信じるべきだろうか。私がそう思っている端から、彼はある言葉を発した。

 

「その前に……まずは、お前の友人とやらを呼んでくれ。名前、『沢城達也』って言ってたな」

 

「達也くんが、どうしたのよ?」

 

「彼、『怪人赤マント』について追っていたな」

 

「確かに、達也くんは『怪人赤マント』について追ってて、動画投稿サイトに考察も載せてるけど……何で彼が関係あるのよ?」

 

「見るべき動画は、202×年11月2日に投稿された動画だ」

 

 そう言って、善太郎くんは自分のスマホで件の動画を再生し始めた。

 

「――俺は、『怪人赤マント』に関連してある事件を紐付けた。それは兵庫県警史上最悪の失態である『瀬川鳴海が起こした事件』だ。彼は『人間から皮を剥ぎ取り、それを服飾品として加工する』という非人道的な犯行を重ねていた。そして、警察に追い詰められたところで……彼は逃走。未だに、その足取りは掴めていないのが現状である」

 

 ああ、達也くんは最初から気づいてたんだな。気づいてないの、私だけじゃん。なんで気づけなかったんだ。自分が情けなくなる。そんなことを思いつつ、私は達也くんのスマホにメッセージを送った。

 

 ――達也くん、急いでポートアイランドの埠頭に来て欲しいの。理由は後で話すから。

 

 既読は付いた。そして、「了解ポーズを取ったキャラのスタンプ」が送られてきた。これは、脈アリと考えて良さそうだ。

 

 

 数分後。青い日産GTRが埠頭の前で止まり、中から男性の姿が現れた。

 

「達也くん、来たのね」

 

「ああ、お前が言うから来ただけの話だ。――それで、そこの大柄な男性が『神船善太郎』なのか」

 

「そ、そうだけど……」

 

 歯切れの悪い話の中で、善太郎くんが話す。

 

「ああ、俺が神船善太郎だ。お前が、沢城達也だな?」

 

「そうだけど……どうして俺の名前を知っているんだ?」

 

「――俺、お前の動画チャンネル登録してるんだ」

 

「そ、そうなの……? 善くん、達也くんの動画チャンネル登録してたんだ……」

 

 私は思わず善太郎くんに対してマヌケな顔をしてしまった。

 

「ああ、している。流石に尼崎に住んでいるのは予想外だったけどな」

 

「『予想外だった』って、それこそ……お前はどこに住んでいるんだ?」

 

「俺? 俺は……六アイだ。悪いか」

 

「六アイか。それなら、近いな」

 

 何か、この2人……初対面なのに意気投合してるんだけど。私はしばらくその様子を見守るしかなかった。

 

「――それじゃあ、お前も『瀬川鳴海=怪人赤マント』だと気づいていたんだな」

 

「その通りだ。事件を追っていく過程で、俺は兵庫県警がやらかした過去の事件と紐付けて考えるようになった。それが『瀬川鳴海の事件』だったんだ」

 

「なるほどなぁ……。善太郎、今度俺の動画チャンネルにゲストとして出てくれないか? チャンネル登録者数もちょっと横ばい傾向だし」

 

「ああ、良いぜ? 俺、そういうの嫌いじゃないし」

 

 2人の会話に対して流石にしびれを切らしたのか、天堂刑事が咳払いをした。

 

「――コホン。それじゃあ、君たちが追っていた『怪人赤マント』って『瀬川鳴海』のことだったんですね」

 

 天堂亮介の話に、善太郎くんが答えていく。

 

「ああ、その通りだ。お前が取り逃がした『瀬川鳴海』という変態が、『怪人赤マント』だったんだ。つまり、怪人赤マントはまだこのポートアイランドの中に潜んでいる」

 

「潜んでいるって言っても、どこに……?」

 

「答えは簡単だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「それ、本当なんですか?」

 

「本当だ。――お前、さっきまで『にじいろハウス』で聞き込み調査をしていたんだろ? どうして気づかなかったんだ」

 

「気づくも何も、『にじいろハウス』のスタッフは女性しかいないはずじゃ……」

 

 ああ、そういうことか。――私は話す。

 

「これ、私の考えなんですけど……多分、瀬川鳴海さんは性別と身分を同時に偽っているんじゃないかって考えているんです」

 

「身分はまだしも、性別なんて偽れるモノなんでしょうか?」

 

「私、さっき……瀬川鳴海に襲われる夢を見たんです。そこで見た彼女は、明らかに女性でした。つまり、見た目だけで身分を男性と偽り生きているんだと思います」

 

「なるほど。――そういえば、『にじいろハウス』の中に1人、気になるスタッフがいましたね」

 

「そのスタッフ、誰なんですか?」

 

「木下奈々子ですよ。彼女、10月31日の事件発生時は『コスプレの準備をしていた』と言っていましたが、コスプレなんてそんな簡単に準備できるものなんでしょうか? ましてや、『国民的鬼退治の漫画』に登場する『鬼にされた少女』のコスプレって、結構難しくないですか?」

 

 善太郎くんは、天堂刑事の発言に対して……閃いた。

 

「――ああ、それだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それは本当か!?」

 

「本当だ。――とにかく、『にじいろハウス』に向かうぞ」

 

 

 そう言って、私たちは「にじいろハウス」へと向かうことにした。多分、「瀬川鳴海」という「怪人赤マント」は、そこに潜んでいるんだと思う。

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