種付け奴隷剣闘士として売られた僕が貞操逆転世界で地位を得るには 作:恋狸
僕は自分で言うのもなんだけど、性癖についてはかなり詳しいという自負がある。
これは別にエロいことが気になるからという思春期男子特有のミーハー的思考というわけではなく、単純に学術的興味があった。
あ、今コイツ思いっ切り嘘ついたって思ったでしょ。
……まあ嘘なんだけど。
冗談ははさておき僕の持論を話そうか。
──人の数だけ性癖は存在する。
どんな人間でも性的興奮を感じる嗜好はある。
その大小に差はあれど、薄ぼんやりとでも「こんな感じの人、事が好き」という好き嫌いは存在する。
だからこそ僕は──
本気で本気でそう思ったのだ。
☆☆☆
「まさかそんなバカげた考えが今となって実を結ぶことになるとはね。僕もびっくりだよ本当に」
知識と振る舞いを学んだとて、世界で一番エロい男になることなんて不可能である、と齢17歳にして現実を知った僕は、まさか転移した異世界でその考えを再び持ち出すことになるとは思ってもいなかった。
残念ながら僕が世界で一番エロい男になれないと断じた理由は、単純に「需要」というどうしようもなく、それはもう世界が悪いよねと他責するしかない残酷な真実だった。
──だがしかし、男が極端に少なく、男に飢えている女性がいるこの貞操逆転世界においてはそうとも限らない。
「──これは僕が世界で一番エロい男になるチャンスだ。というかならなきゃヌルシアムで勝ち残ることなんて無理だ」
これは僕の独断と偏見による考えなのだけれど、所謂僕が勝手に呼んでいるネームド女剣闘士──つまりは異名に見合った実力で頭角を現している女剣闘士たちは、いずれも……そうだね、"異常性癖"と言っても差し支えない性癖を持ちえていると推測している。
ま、メスリスさんが良い例だよね。
金玉破壊というドSと断じるべきか非常に悩ましい特異な性癖もそうだし、まさかそこから
つまりは、この先もヌルシアムで戦っていくには前も言ったように全ての性癖に対応していく必要性があると僕は改めて感じた。
「性癖王に……僕はなる……!!!」
……願わくば……うんこを食うのだけは勘弁願えますように……。
スカだけは……!!
スカだけはあかんのや……!!
そんな儚い希望を抱きつつ。
僕はこの世界で生き残るケツ意をした。
☆☆☆
「……ミスティック・セレスティア?」
「はい。ハイバラ様の次の対戦相手の名です。あの……此度も情報収集のために出向かれるかと思いますが、あまり期待しないほうが良いかと」
「それはまたどうして」
半ば僕の専属メイドと化しているウサギ耳メイドさんが僕の部屋に来るなり、次の対戦相手の情報を伝えてきた。
有力な選手の名前くらいは耳に入れている僕でも聞いたことのない名前だ。
だからこそ情報収集は急務……と部屋を出て行こうとした僕に、メイドさんは遠慮がちにそんなことを言った。
「彼女はヌルシアムの中でも人気最底辺の選手です。分かっていることは
「娼妓を……しない、ときましたか」
──娼妓。
女剣闘士が試合に勝利した時に行う、R18以上性交渉未満(勃たないから)のイベントであり、ヌルシアムの観客が一番求めているモノでもある。
謂わば女剣闘士側としても、試合に勝利した特権のような行為でもあるため、男に飢えているこの世界の女性からしたらご褒美以外のなにものでもない。
だからこそ、娼妓を行わない女剣闘士というのはある意味特殊of特殊な剣闘士と言える。
……うーむ、本当に男に興味が無いのか、はたまた何かしらの理由があるのか……。
……ネームド女剣闘士しか試合に当たらないと予測したけれど、もしかして当てが外れたかな?
いやいやでも、単純に強いということは、オーナーが僕を本気で勝たせないようにしている……とも捉えることができる。
「娼妓をしないなら負けてもいいか……とはならないんだよね。……だって、負けたらカニバの餌食になることが確定してるわけだし……」
くそ! オーナーの性癖が厄介すぎる!!
逃げ道を用意してくれてないというか、戦略的撤退が一切できない仕様になってる!!!
ぐぬぬ、ただでさえこの世界じゃ男はスペランカーをやらされてるみたいな感じなのに……ゲームオーバーになるだけじゃなく、ゲームオーバーになった後に更に悲劇が待ち構えているというのも何ともイヤらしい。
「どのみちわざと負けるつもりなんて毛頭ないけどさ……」
試合で当たった女剣闘士に全員向き合う。
じゃなきゃ勝ち目が無いのもそうだけれど、お互いに真剣にやっている以上は、僕だって目を逸らさずにしっかり向き合わなくちゃいけないんだ。
情報が無い?
だったら引き出すまで。
「それでもヒントはゼロじゃないはずなので」
「……分かりました。いってらっしゃい」
ウサギ耳メイドさんはずっとブツブツ呟いていた僕を不審げに思うこともなく、部屋を出た僕を送り出す言葉をかけてくれた。
一回謎に蹴り飛ばされた以外は本当に良い人だなこの人。アレはなんだったんだろう。気の迷いとかかな。知らんけど。
──そして僕は再び女剣闘士が住む区画に向かった。
申し訳ありません。
多分カクヨムコンテストは間に合わないかもしれないです……。
リアルがかなり忙しくてヤバいです。
何がヤバいって、具体的に単位がヤバいです……。