(とあるアイデアを形にしました)
ねぇ、ゲロゲロ女って知ってるー?
人のいない公園にあらわれるまっ黒な服の女な人で、
まっ黒なゲロを吐いて人間を連れ去っちゃうんだよー!
──2000年代、とある都市伝説より。
1999年、1月。
「よぉお元ぇん気かぁい?げへへへへ」
「オメー、そう遠くない内に妖怪扱いされんゾ」
実態は更に酷い。
「オメー、一度自分のキモさ見返してミロ、『キモ過ギ!マイナス200点‼︎』ってなんゾ」
「げへへ、マジぃ〜?マイナス1000点目指そうかなあ〜ぁ?」
「キモ!マイナス1億点‼︎」
ハーフ故に多くの場所で目立つ龍木が普通に見えるくらいグチャグチャだ。
調子、表情、仕草が絶妙に
“調律”が上手ければ俗世間の者から大層モテそうなだけにより見ていられないものに仕上がってしまっているが、見目他人目の事など当の本人は一顧だにしない。
心根すら顕著に歪んで、直す気も無いのでより酷い。
「んでぇえ?また『アンゴルモア』かぃい?」
「ソーだナ。全く、コンナ奴ニ助けラレルなんテ世も末ダヨ」
「あひゃひやびゃぴゃ!全くどぅあねぇ‼︎」
そんな彼女が生きて行けるのは、彼女が呪術界の頂点。
“特級”だからだ。
人の負の感情から生じる“呪力”という力が有る。
これが溜まり、折り重なる事で人に害を成す“呪霊”という存在が生まれる。
呪霊は呪力でしか干渉できず、呪力を扱える人間である“呪術師”だけが呪霊を祓える、
……が、1999年という時代は呪術師達の手に、余りつつある。
『ノストラダムスの大予言』と呼ばれる予言が有る。
後世の事件や出来事を言い当てているとされる予言であるが、その中に『1999年、恐怖の大王に世界が滅ぼされる』という内容だとされるものが有る。
……予言が真実か戯言かはまだ分からないが、世間に広く知られ、不安を煽っているのは事実だ。
……そして、渦巻く不安という負の感情は1999年になった瞬間、『恐怖の大王』という種々様々な正体を考察される存在を元にし、何体もの強力な呪霊となって顕現した。
呪術界はこれを『特級仮想終末群体:アンゴルモア』と仮称した。
……だが『アンゴルモア』は強力過ぎた。
『世界を滅ぼす』というイメージから生まれたが故に、呪術界に於ける頂点・“特級”の中でも極めて強力。
『種々様々に語られるが故に力が分散した』事と、『1999年を過ぎても世界が存続すれば大幅に弱体化するであろう』事くらいしか救いが無く、1999年が終わるまで結界などで封印を試み、不可能であれば被害を見過ごすしかなかった。
“特級呪術師”が居なければ。
「宇宙人かねえぇ〜」
「UFOもダナ」
『◎◎◎◎◎◎』
青森県某所。
結界内部に侵入した特級呪術師“達”は、『恐怖の大王の正体は宇宙人である』とする説を元にしたらしき円盤型や葉巻型の構造体を生やし謎の言語を口ずさむ銀色の巨人の『アンゴルモア』と対峙していた。
「アタシジゃ相性が悪イナ、『宇宙人ッテのはアタシラよりスゲー技術持ってんダロ』ッテのが通説ダカラナ」
「あひゃ、下位互換ん〜」
「殺サレたいカ?」
『◎◎◎……』
呑気に話しているが、既に攻撃は受けている。
怪光線、とでも言うべき様々な色にリング・雷・波動などの形状を取った光が間断無く照射されるが、『相性が悪い』と認識している向が展開した結界を突破できていない。
さにあらん、術師は同じ等級の呪霊には勝てるものと見なされる。
特級術師は特級呪霊に勝利できると見なされるのだから。
相性の悪さ程度、跳ね返す。
「まぁあ興味深そうだしぃ、行くねぇえ〜」
「……気の毒ダナ、オ前」
『◎◎?』
真生もまた。
「宇宙人でもぉお〜、殴れば死ぬぅ!でしょぉお‼︎」
『◎◎◎⁉︎』
『アンゴルモア』が殴り飛ばされる。
「あひゃあ‼︎そんなんで地球の重力に耐えられますかぁ〜⁈」
『◎◎、◎◎◎……‼︎』
真生の体躯からはかけ離れた大重量の殴打が巨躯を軋ませ、折れ曲がらせる。
『◎◎◎◎◎……!』
「およぉお?」
が、真生が宙に浮かび、地に叩き伏せられた事で猛攻は終わらせられる。
まるで重量が過多で動けなくなったかのように。
「なるほどなぁ〜あ、重力操作かぁ。回復手段もあるみたいだね〜ぇえ」
『◎◎◎……!』
見れば『アンゴルモア』は黄緑色の光を浴びて回復している。
『宇宙人のすげー技術』でこうなったのだと理解した。
「ま、もいっか」
『⁈』
だがもう飽きた真生はあっさり立ち上がった。
……彼女が持つ“術式”は影に物を収納できるが、しまった物の重量は自ら引き受けなければならない。
……それを真生は肉体と呪力による身体能力の強化を鍛える為に利用した。
今や小島程の重量が影に収まる真生を重力の強さで止めるのは至難だ。
『◎◎◎‼︎「あー、“領域”ももう展開してんでしょおぉ〜?もういいよ」……◎◎⁉︎』
焦る『アンゴルモア』は呪術の秘奥、自らの世界を展開する“領域展開”を“強める”、……高度な技術でぱっと見では分からない程薄く展開して攻撃補助に使っていた領域の出力を強めたが、真生に効いていない。
領域内部は必中必殺、対策が無ければまず死ぬ。
死なない理由があるとすれは対策が有るからであり……、
「ああ〜ぁ、『外』に出すのは久しぶりだねぇ〜?──『領域“外”展開』、【
最も単純な対策は、自らも領域を展開する事だ。
その裡の“闇”が細胞の隙間から溢れ出す。
「じゃっ、よろしくねぇ〜?」
……千院真生は異端者かつ、異常者だ。
呪術界御三家の一角たる名家、禪院家に相伝たる式神術・“十種ノ影法術”を持って生まれながら『千院の方がかっけくね?』というだけで出奔・改名し、ある時からずっと常識上ありえない『常時連続しての領域展開』を発動している。
「まこちゃん♡」
『ア″……ァ……』
……あまつさえ、史上初めて調伏された既に反則級に強力である式神を領域で改造する暴挙に及んだ。
ガコン、……くるくるくるくる、と。
人型である以外原型から大きく歪んだ中で唯一残る、調和の方陣が回り出す。
1999年12月31日。
特級呪霊群『アンゴルモア』は全群が討伐された。
しかし、その内最多となる『地球外』『暴君』『怪物』『地獄』『悪魔』の五体を討伐した特級術師・千院真生は失踪。
捜索されるもその行方は知れず時は経ち……。
「本当に居るたぁーね、宇宙人」
2086年。
歴史の影から“特級”が現れる。
闇は
……「十種の影、筋トレに使えね?」と思い、マッドサイエンティストかと思ったらゴリラ廻戦最強だけどやっぱりマッドサイエンティスト気味な女が爆誕した。
真生
特級。
トップオブゴリラ。
史上最大重量を持つ術師。
体内を影に満ちていると解釈して→負荷を全身隅々に及ばせ→個々の細胞のストレスを呪力として汲み上げ→それによって細密な呪力の感覚を掴んで→六眼から一段劣るくらいの呪力効率を身につけ、体内に満ちる底無しの影を脳に刻まれた術式と同義であると定義する事で→地球上の生物スケールでは本来ありえない『領域行使で全て焼き切れない大きさの術式の保持』をしているのと同じになり、常時領域展開で式神改造できるようになった奴。
間違えたら脳や内臓が潰れて死ぬ。
普段の体重は領域の要件変更の応用で誤魔化してる。
なんか破綻があったらゴメン。
【暗獣巣世】
真生の領域展開。
真生の体内の影と一体化しており、外敵に行使する場合は体外に展開される。
……で、その体外展開を度々吐瀉物を吐くように行なっており、それが後に『ゲロゲロ女』と呼ばれる都市伝説のモデルとなった。
影の内部で式神の編纂と培養を行なう他、影そのもので干渉する事もできる。
ちなみに作中出した魔虚羅は現在一品物で、影で圧殺する事で調伏した。
向
特級。
世が平和なら弱体化する可能性がある。