あの世界でも有数の変人の集まるこの街で常識人(笑)なレグルスさんが黙っていられるはずもなく………
作者自身によるpixivからの転載となります。ご了承ください
このすばの時系列は原作7巻終わり、アニメ3期直後くらいを想定しております。従ってそのあたりを知っている前提です。
ご留意ください。
「ん?どこだ、ここは?」
目の前に賑わいのある露店が立ち並んでいる。
「コラーー!ダスト!待ちなさいよ!!!」
「へへへ!やなこった!!」
「「ウグッ!」」
金髪の青年にぶつかられたレグルスはそれはもう見事に顔面から地面に倒れた。
「痛ってぇ……おい、アンタ、大丈夫か?」
「…あのさぁ、人にそっちからぶつかって来ておいて大丈夫かどうかだけとかおかしいんじゃないかなぁ?普通は手当てを申し出るとかそういうところに案内して終わるまで面倒をみるとか、そこまでするべきだよね?それをしないっていうことは僕という人間を軽視してるってことだ。僕という人間の軽視、これは僕に対する権利の侵害だ…!それだけはどんなに無欲な僕でも絶対に許せないことなんだよ!」
「お、おう…なんかよくわかんないけどそんだけしゃべれるなら大丈夫そうだな。じゃ!!」
「あのさぁ!君は僕の話をちっとも理解してないのかなぁ?それとも理解する脳も無いバカ?僕は優しいから君が取るべきだった具体的な行動も例示してあげたよね?それを聞いてなおそういう態度を取るってことは君は僕を聞くに足りないような奴だって思ってる訳だ。それってすごく失礼なことだと思うんだよね。同じ人間同士なんだから争いなんて醜い行いが嫌いな僕はなるだけ良い関係でいたいと思ってるんだよ。そんな僕の気持ちを君は一方的に無碍にして、一体どういう権利があって僕にそんなことしているのかなぁ!」
「ほんっとにごめんなさい!ほら!ダストも謝って!」
ぶつかってきた無礼千万の青年の横に1人の可憐な少女が現れ、謝罪を促す。
「そうそう。それで良いんだよ。君は素晴らしい子だね。ちなみに……君は処女かな?」
「え?キモ………」
「人が気分が良くなっていたのにどうして君は人を不快にさせるようなことを言うかなぁ?そんなこと言う女は妻にいらないよ。さっさと消えろ。」
「なんで私勝手に振られてんの?」
「そんなことよりリーン!処女の件を早く!!」
金髪の青年に無言の鉄拳が落とされる。尻尾の生えたリーンと呼ばれた女は男をズルズルと引きずって何処かに行った。
(どうやらここでは僕の権能は働かないらしい。福音書も無いしどうしようか。)
レグルスは特に目的の無いまま歩く。人の流れのまま進むと多くの人が集まっていた。
(ここは……)
中は酒場としても利用されているようで程々に賑わっている。レグルスはクエストの貼り紙に目を通す。
(ソードマスター?ルーンナイト?古臭い剣聖みたいなものか?そんな奴に素人同然の奴が剣術指南を仰ぐなんて強欲そのものだろ)
クエストから目を離したレグルスは1人の美人に目を止めた。
「こんにちは、僕は魔女教大罪司教強欲担当、レグルス・コルニアスさ。」
「そうですか。本日はどのようなご要件で?」
「あのさぁ!人が名乗ったんだからそっちも名乗るべきなんじゃないかな!僕は初めての人と話す時は自分から名乗るようにしてるんだよ。こういうのが苦手な人もいるって僕は知っているからね。なのに君は僕の気遣いを無碍にした。これは僕を軽視した行いだ。僕という存在を貶める、そんな行いだ。これって僕に対する権利の侵害だよね!」
「私はギルドの受付をしているルナと申します。本日はどういったご要件で?」
「そうだ。それで良いんだよ。言葉を交わすことはとても大事なことだ。君は今一つ成長したんだ。僕のおかげでね。感謝の一つくらいあってしかるべきだと思うんだけど?」
「は、はぁ……あ、ありがとうございます?」
「要件だったね?君は処女かな?」
「へっ?」
頬を淡く紅潮させ、金髪の美女は身をよじる。
「どうなんだい?」
「処女…ですけど……」
「当然だね。なら、君を僕の妻にする」
「「は?」」
背後で大量の立ち上がる音が響く。が、当のレグルスの意識はそんなところには向いていない。
「今日君と出会ったのは運命だ。なら君はその運命に従うべきなんだよ。わかるかい?」
「…当然とはどういうことですか?私が婚期を逃した行き遅れだって言いたいんですか?」
「ふむ、君は勘違いをしているね。これは説明の足りなかった僕の落ち度だ。すまないね。処女は女性である上の最低条件だ。それを聞いたまでさ」
レグルスの発言で背後から更に音が上がる。
「おい、白髪の兄ちゃん。俺たちのルナさんに随分な態度じゃねぇか。」
「なにかな、今僕は君みたいなのに構ってる暇無いんだけど。大体、君は何の権利があって僕に口出ししているのかな。何の権利も無いよね?つまり君は越権行為で僕の権利を侵害した訳だ。過剰な権利を主張する強欲な奴だ。少しは僕を見習うことだね」
レグルスに詰め寄せた人たちの眉間にシワが寄る。
「ルナさん。コイツどうします?」
「やっちゃっていいですよ。後でアクアさんを呼んでおいてくださいね?」
「了解した、ルナさん。じゃ………ぐちゃぐちゃうるせぇーー!!!」
「ぎゃーーー!!!」
「あら?目が覚めたのね?」
レグルスの目に美しい青髪をたなびかせる絶世の美女が飛び込んでくる。
「これはこれは!君が僕を助けてくれたのかい?それはお礼をしないといけないね。ありがとう」
「………それだけ?シュワシュワの1杯くらい奢ってくれないと割に合わないんですけど。」
「……あのさぁ…こっちが下手に出ていれば調子に乗ってつけあがってさぁ?常識ってもんが欠けているんじゃないかなぁ!普通はどういたしまして、とか言って収めるところだよね!」
「なんでもいいから私にシュワシュワ奢りなさいよ!はっ!シュワシュワも買えない貧乏人だったのね…。あっ!ならアクシズ教に入信しない?!なんと今なら入信するだけで1万エリス!」
青髪の女は何処からともなく入信するための紙を叩きつける。
「あのさぁ!黙って聞いていれば勝手に人を貧乏人扱いしてさぁ!やっぱり君は常識っていうものが欠落しているよね!後、僕は魔女教大罪司教強欲担当のレグルス・コルニアスだ!一応そういうのはお断りだ!」
「プークスクス〜!魔女教とか聞いたことも無いんですけど〜!!そんなちっぽけな宗教じゃなくてこの有名なアクシズ教に改宗しなさいな!」
「アクア!帰ってくるのが遅いと思って来てみれば!手当たり次第に勧誘するのをやめろ!」
青髪の女を羽交い締めにしているのは長い金髪に鎧を着込んだ美女である。
「助けてくれてありがとう。礼を言うよ」
「いや、こちらこそすまない。謝罪しよう」
「うん。君は素晴らしい子だね。こうして人間関係というのは構築されていくんだよ。聞いてるか?そこの青髪」
「はぁ〜〜??青髪ですって〜〜?!!!私女神なんですけど!!!もっと私を敬って!崇めて!!」
「自分からそういう行為を求めるなんて強欲な女だ。君とは関わりたくない。さっさと消えてくれないかな」
「アンタがさっきからダクネスのことイヤらしい目で見てるの黙っておいてあげようと思ってたのに!!!」
「アアア、アクア?!それはどういう!」
「黙って聞いていれば適当なことを、とんだホラ吹き女じゃないか。とまぁ、そんなことはどうでも良いんだ。ダクネス?というのかい?君は処女かな?」
「!?!?!?」
「急なことで驚かせてしまったかな?そうならすまなかったね」
「ダクネスは処女よ?バツイチだけど」
「アクア!?!?!」
「君みたいな美女を手放すなんて強欲な人だったんだろうね。でも、もう大丈夫だ。君は僕の妻になるのだから」
「断る」
「はぁ?」
「断ると言っている。私は貴様の妻にはならん」
「あのさぁ!人が気を利かせて君の後ろめたい過去を水に流そうと言っているのにそんなこともわからないのかな?あと、これは運命だ。君に拒否権なんて無いんだよ」
「黙れ。私はもう自分の身を売るような真似はしない」
「はぁ〜…わからない人だn」
ドーーーン!!!!
窓も机も揺れ動き、轟音が街一帯を支配した。
「ななな、なんだ?!これは?!?!」
「あら、知らない顔だとは思っていたけど、やっぱりアクセルの人じゃないのね?」
「この音を出した奴は何処にいる?!」
「めぐみんのことね?あっちのほうに行けば会えるんじゃないかしら」
レグルスはギルドを飛び出して言われた方角に歩いて行った。
大きな門が見えてきた辺りで何故かおんぶされている大きな三角帽子とローブに身を包んだ美少女とおんぶしている男が歩いてこちらに来ている。
「思えばこうして2人で爆裂魔法を打ちに行くのも久し振りですね」
「そうだなぁ〜。この辺りは忙しかったし、こういうことをする気分にもなれなかったしな」
「また、よろしくお願いしますよ?」
「分かったよ…。(魔力量が上がるまでの我慢だ俺!)」
「さっきの音を出したのは君かい?」
「さっきの?あぁ、爆裂魔法か?そいつを撃ったのはこのロリっ娘だ」
「だぁ〜れがロリっ娘ですか!!!」
「あのさぁ!あんな音出すとか非常識極まりないと思うんだけど!そこんとこどう考えてんの?!これって僕が平穏な生活を送る権利の侵害にあたるよね!僕は穏やかに日々を過ごしたいだけなのにさぁ、君みたいなのがそれを壊していいのかなぁ?ダメだよね!君にはそんな権利は無いんだよ!」
「ほほう。私の1日1爆裂をやめろと、そう言いたい訳ですね?しか〜し!それは無理です!紅魔族は1日に1回爆裂魔法を撃たないと死ぬんです!」
「君、頭おかしいんじゃないのか?自分の都合で人様の権利を侵害するとか常識のある人の行動とは思えないね!」
「ぬぁにをぉーー!!!」
「色々言っているところ悪いけど他の人は特に文句を言ってこないぞ?」
「そうですそうです!こちらはわざわざ遠くに行って爆裂しているのです!あなたに文句を言われる筋合いはありません!」
「文句を言われる筋合いはない?それって僕が発言する権利への侵害行為だよね!僕には発言する権利があって君には聞く権利があるはずだ。権利を捨てるなんてバカな真似はしないだろう?」
「それを言うなら俺たちにはお前の言う文句を無視する権利があるはずだ!俺はその権利を主張する!俺たちはお前の発言する権利を侵害していない!」
「僕の発言を無視するっていうのは僕という存在を蔑ろにしている行為だ!人にそういう扱いをするのはどうかと思うね!常識ってものが無いのかなぁ!」
「おい、カズマ!こいつを焚き付けるんじゃない!」
「ダクネスか。いや、久し振りにレスバしたら意外と楽しくて……」
「れすば?は分からんがさっさと帰るぞ!」
「さっきから僕という存在を軽視するのをやめてくれないかなぁ?僕は君たちと対等な立場で話し合いがしたいと思っているのに、君たちが上に立とうとするから僕も仕方なく強く出ないといけなくなっているって分かってる?大体、文句を言われたらまず謝罪するのが道理ってもんじゃないのかな!その後、やってしまった理由を述べるんだ。やった過去は変えられないからね。これからどうするのかまで案を出して許可を求めるのが筋道ってもんじゃないの?それもせずにのうのうと言い訳から始めちゃってさぁ、その段階にいないって分かれよ。」
気付けばレグルスの前から人は居なくなっていた。
本当は野菜にボッコボコにされるレグルスさんを書きたかったんですが、良いシナリオが浮かばなかったので断念しました。シナリオが浮かんだら書きたいなぁ