「では皆さん、これよりポケットモンスター所持ライセンス発行前講習を始めます。 ライセンスは午前の最後に行われる筆記テストの合格と、午後に行われる実技で一定以上の実力を見せる事で発行されます。 もちろん、両方に合格しないとまた二週間待つ事になりますので注意してくださいね」
と綺麗なお姉さんに言われて始まった一日講習。 以外にもジョイさんではない。 その胸は平坦であった。
ビクビクしてる子達が大体だけれども、二人ほど堂々とジョカばりの自信を見せている子が居る。 僕は予習もしていたので思った通り復習だけで良く、ついでという事で自由時間に一人で困っている子達を集めてTheぼっち会を開催した。 友達と一緒に来てるとかそういうリア充はいりません。
この子達を見ていると、フェアリータイプの項目で思考が止まった時を思い出す。 というかタイプ相性とかほぼ全て忘れていたから、金銀の知識なんてあってないようなものだった。 唯一役立ったと言えば一部の名前と姿が一致する事だけ。 一般人のメモリー容量なんてこんなものだという確たる証拠だろう。
教える行為というのは、それそのものが暗記を足すそうな。 だから僕は、僕自身が教えるのではなく、各自の苦手分野をお互いに教え合い知識を補完しあう方式をとった。 そのおかげか、僕が飛び込んだグループは全員筆記試験を合格。 僕は間違って覚えてた部分をギリで治し、上位に食い込んだ。 やっぱり上には上がいる。 とりま残るは昼食後の実技だけとなった。 Theぼっち会は解散し、実技では全力で競い合おう!と誓い別れと相成った。
ポケセン内の食堂で野菜と肉と炭水化物を皿に盛り、ゴーストタイプ用ポケフーズを別皿に盛る。 子供なら入る時に六人のポケモンが居ても一律200円、ただし一定以上の大きさのポケモンが居るなら各+1kg×200円などの例外が幾つか、だけ払えば好きなだけ食べれるとってもお財布に優しい食堂だ。 もちろん持ち出しもOK、お弁当も言えば作ってくれる。 大人は皿一枚1000円からとわりとお高めだし、弁当サービスも何もないけど、懐かしさに食べに来る人達は結構居る。 それに税金でも運営費が賄われているから、値上がりする恐怖が無い。 なんという(子供にとっての)楽園か。
ちょっとだけジョカにレタスと照り焼きチキンをわけながら、ゆっくり噛んで食べる。 母さんのよりは味は落ちるけど、悪くはない。 ……後ろで騒いでいる甘えん坊のように、食べれないという事はない。 よし、食べ終わったらあっちに見える、多分シトロンさんにあやかっているであろうご当地スイーツの柑橘系パフェを取ってこよう。 そう言うとジョカも喜んだ。 甘いもの大好き系男子同盟、結成の瞬間である。
味はもちろん美味しかった。 甘い生クリームはきっちりとホイップされているし、それを上に乗っている水々しい蜜柑とキウイとイチゴが甘酸っぱく中和している。 もちろんパフェには欠かせない何故かぶっ刺さっているチョコのストローらしきものも、ダークよりで苦味を持ってリフレッシュしてくれる。
上の段を攻略するとそこには甘さ控えめのふんわりベルガモット風味のバニラケーキの層。 その下には薄いオレンジジャムの層とスライス金柑。 それらで更に下にあった生クリームを攻略すると、ほろ苦いモカカフェ風味のケーキが現れる。 それに乗せられているのはこれまた苦めのグレープフルーツジャムと酸っぱい薄切りレモン。
最後にはなんでか一個だけお餅があった。 ジョカはいらないと言うので僕が貰った。 モチモチでベニッシモ。 最後にはミルクだけ入れたアイスコーヒーのさらっとした苦味で気分を引き締めなおす。 実技は勝たなくても良いとはいえ、真摯に臨まなければ落とされるのは変わりがない。
遠目に見た、おっさん三人グループのうちの一人が父さんのようなシルエットだったのは気のせいなんだろう。 うん。
さて、実技だ。
僕と当たったのは偉そうで良い服を着たとっても恰幅のいい子、暫定的にバネブー原型と呼ぶことにしよう、だ。 甘やかされたのがまるわかりな、性格最悪の馬鹿で迷惑かけられてない一般人は居ない。 授業の時もさんっざん騒いでた上、僕や他の余裕そうな子にわかりやすく教えろと命令して回った挙句担当講師さんに説教をくらうも父さんは凄いんだぞーとかクビにしてやるーとか煩いガキだった。 だから嘘を親切丁寧に教えてやった故恨まれてるだろう。 それで良く合格したなと褒めてやろう。
「手加減してあげてね」
:前向きに検討する事を善処しよう:
「しないって事だよねそれ」
:ちょっと泣かすだけだし:
「大人げないよ」
:お前も嫌がらせされてただろ: ぺたりと頬を撫でられた。
「そんな愛より常識を」
:常識ないのはお前だろ:
「おうそれどういういm「なーにそんな気味の悪い人形とごちゃごちゃやってんだよ、てかその気持ち悪いのほんとにポケモンなのかぁ? ま、いいけどさ。 おまえかわいー顔してるし、今ならさっきの事は許してやって、そうだな、舎弟にしてやってもいーぜ?」
デブが僕達のじゃれあいを遮って鳴いた。 ジョカにそのセリフはダメだ、こいつは自分のおもちゃが自分以外に傅くのを酷く怒る。 ほらもう、無言で向き直ったじゃん……ジョカに横目で見られて溜息を付きながら立ち上がった。 黄色いしっぽがぴこぴこ可愛いのがギャップで良し。
バネブー原型がヒノヤコマ♀のヒノとやらを繰り出す。 なにやら厳選個体でーとか得意気に言っている。 廃人かあいつ。
「ヒノ! こうそくいどう!」
「ジョカ、はたきおとす」
積みタイプか、そのレベルでこのジョカ相手じゃ相性が悪いな。 とりあえずなんかもってそうなのでお得意のビンタで落としてもらう。 こうそくいどうが終わってドヤ顔で見上げた所にドアップで映るジョカのすごく楽しそうな顔。 自分は味わいたくない。 ほらーヒノちゃん涙目なってるしー。 怯み効果無いのに怯ませるとかチートだわ。
相手がびっくりしてる隙に奪ったアイテムを投げ捨てるジョカ。 あれきあいのタスキじゃんか、持っててよかったはたきおとす。
「ヒノ! ねっぷう!」 それはそれは優雅な動きでジョカが避ける。 「こうそくいどう!」 相手♀だからってセクハラしたぞ。 「っつ~~~メロメロ!」 秘蔵したかったのか悩んでいたが、指示を出したメロメロ。 さくっと避けてくれたけど、当たってたらどんな凄惨な場面が展開されたか考えたくもない。 子供は避難させなくちゃならないとこだった。 「あーもう、ニトロチャージ! 仕留めなきゃあそこに戻すからな!」
その言葉を聞いて、怯えたように一度震えたヒノちゃんは、ニトロチャージを開始する。 どれくらい力をためているのか、綺麗な羽毛も少し焦げてきている。 ジョカは無言でその様子を見つめていた。 準備が終わったのか、テレポートでもしたようなスピードで突っ込んでくるヒノちゃん。 あれじゃあ当たったとしても自分にもダメージ来るだろうに。 でも僕はヒノちゃんが攻撃を開始する頃にはもうこっそり指示を飛ばしていた。
「ジョカ! だまうちかげうちサイシス、カウンターで」
左から順に、だましうち、かげうち、サイコキネシスである。 長い技名とか縮めるに限る。 僕の声を聞いた彼はまず、ヒノちゃんの特攻を待ってからだましうちのために跳んで避けた。 完全に上側を陣取ってから、即座に脳筋らしい綺麗な左ストレートをおみまいする。 ヒノちゃんはジョカを上に載せたまま、少し地面を削りながら沈んだ。 止まった時にはもう、ヒノちゃんは気絶していたけれど、そんなので止まるジョカじゃない。 止まったらそれはジョカじゃない。
気絶に気づいていないふりをして、ヒノちゃんをかげうちの影で掴んでバネブー原型くんにおもいっきり投げつけた。 しかしそこはさすがジョカさん、当たるギリギリの所でサイコキネシスでピタリと止める。 ヒノちゃんは地面に力なくぽたりと落下した。 さすがは森の病院最恐のいじめっ子。 超えちゃいけないラインはわきまえている。
しかしそれでも怖かったのか、バネブー原型はへたり込んで漏らしてしまい、知らない男講師さんに奥に連れて行かれた。 あーこれ僕が怒られるパターンだな?
風邪&テスト→食欲なしで寝るしかできない風邪→ちょっと治る→仕事で残業(残業代あり)→風邪悪化(今ここ)
ぱふぇたべたい