螺旋の唄 (裏)   作:Ahoo

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10. 悪戯心の代償

「もうちょっとこう、ねぇ」

:泣かすつったろうが:

「あそこまでするとか言ってなかったじゃん」

:指示出したのお前だろ:

 

言い争いしながら放置されたヒノちゃんを近くのスタッフさんに預けて観客エリアに下がる。 皆の模擬戦が終わったら面倒くさい閉会式からのライセンス譲渡およびポケモン図鑑を無償で貰える事になっているので、それまで邪魔にならない所に引っ込んでいるためだ。 わりと椅子はあるものの、スッカスカである。 居るとしたら暇な爺さんか親御さんか青田買いするつもりのスカウトか。 地味に複数の方向からジョカへの熱い視線を感じる。 誰がやるか。 うちの子じゃ。

 

「ゆーてさじ加減は任せたじゃないの、それで僕のせいとか無いわ。 ないわーさいてーだわーっちょ痛いやめて」

 

棒読みで詰っていると脇腹をつねってきた。 最低。 無視ついでに他の皆の実技を見ていると、誰かが目の端にかかる程度の所に座った。 父さんかな、と思ったらサングラスをかけたどこか見覚えのある人だった。 地味に前髪が後退している厳ついオールバック。 この服の流れを見るに、多分鍛えてて筋肉質だろう。 なよっとした体の父さんはと見渡すと、左の方のドアの影でこそこそしている。 来ればいいのに。

 

:なに見てんだ?: 目ざとくジョカが気づく。

「あー、ほらあっちのドアのとこで隠れきれてない人見える?」

:あの挙動不審なやつか? 知り合い?:

「あれね、僕の父さん」

:え?: 興味なさそうだったジョカがこっちを向く。

「いやマジで」

:えっ:

「マジマジ超マジ」 信じていない顔で、グラサンと黒スーツと帽子を被った父さんに軽く視線を流したジョカ。 隠してるからわかりにくいけど、瓜二つなんだぞと言ってやる。

:……なんでこっちこないんだ?:

「昔叩きだされてから一回も面と向かって会ってないし、忘れられてるとか思ってんじゃね?」

:ヘタレだなー:

「ヘタレじゃなきゃ一夜の過ちとかしないわなー」

:たしかになー:

 

グダグダと暇をつぶす。 そういやあのおじさまはだれかの親なんだろうか。 偉そうだからあのデブのかとも思ったけれど、そんなの許すほど甘く見えないしブサイクでもない。 とはいっても似てる子が居る訳でもない。 ただの暇な観光客か。 いいよねミアレシティ。 

 

:どうすんだ?:

「んーどうしよう。 閉会式見たらこっそり逃げそうだし、今のうちに回りこんでとびげりでもしようかな」

:接触すんのか:

「逃げられたら夕飯奢らせられんでしょ」

:うん、お前らしいわ:

「せやろ? 場所の目星ももうつけてあるんやで」 渾身のドヤ顔を魅せつけるもドン引きするジョカ。 こんな可愛い系を前にひどい。 「家に来てる回数と時期からして把握してるのはわかっていたからね、リサーチは十分です。 財布事情を考えるに、せめて二ツ星まで持ってければ良しかな。 僕の交渉技術が火を噴くぜ?」

:準備良いなぁお前:

「これが僕の、僕達の戦場だ」

:意味がわからんわ: ジョカに溜息をつかれました。

 

 

 

 

閉会式も終り、斜めに差し込む夕日の中皆が思い思いの夜を過ごそうと動き出す。 そんな時、僕はといえば万が一のために持ってきたクラッカーを一つ片手に父さんの後をつけていた。 どうせちょっと離れたら煙草のために止まるのだろうし、その時に耳元で鳴らしてやろう。 黒い笑みが顔に載る。 しきりにジョカが後ろを気にしているが、何も見えないのでスルー。 

 

思った通り、僕が通る可能性のある広場ではなく、路地裏で吸い始めた父さん。 呆れた目で見てくるジョカを尻目に僕はまるでペルシアンのように優雅にかつ静かに忍び寄り、紐を引いた……と思った瞬間。 オニスズメがどこからともなく奇襲してきた。 悲鳴をあげてしまったものの、とっさにクラッカーで驚かせて距離を取る。 父さんが驚いて振り向いたと同時にジョカが鳥に飛びかかって引き落とした。 ジョカが拳を腹に振り落とそうとするもオニスズメは風を作り吹き飛ばす。 ならばとかげうちを打つも転がって回避する頭の良い鳥。 その勢いで地上を走り、つばさでうってくる。 僕の顔を手がかりにして回り込み、軽そうな鳥の体をつかむジョカ。 そして始まるキャットファイト。 バツ悪く隣の父さんを見あげる僕。 僕を見ながら固まっている父さん。

 

ごろごろと幾度か転がった後、隙を見てオニスズメは空高く飛び上がる。 そしてそのまま僕の方に急降下してきた。

 

いきなりのことに反応できず、僕はそれを見ている事しかできなかった。 父さんが間一髪で引き寄せてくれなければ、路地裏のシミが一つ増えていただろう。 そしてオニスズメ種は母さんにより世界から消えていた可能性が高い。 足が震えて上手く立てず、父さんの意外と広い胸にしがみついた。 

 

 

ジョカが怒って吠えた。 威嚇とばかりに翼を広げて嘲る鳥。 また戦闘が始まるのか、その直前に耳を打つ低い振動音と唐突に現れた黄色いでかい蜂。 スピアー、むし・どくポケモン。 早い。 説明不要。

 

 

見覚えのある傷を負ったそのスピアーは、二人の合間に意外と優しく降り立った。

 




ゴース
全国No. 092
まずガス状って所がポイント高いですね。 周りの地味なオーラで体を保っているんでしょうか、イラストではわかりませんが現実なら地味に境界が曖昧なんでしょう。
だからこその目の浮き方です。 普通のポケモンなら体よりでかい目とかありえません。 
口元のちょっとした二本の牙はやっぱりチャームポイントですよね。 真っ赤なお口がちらっと覗くのが良い感じ。 あの見た目なのに公式で性格が天使とかもうギャップ萌えという言葉では表せません。 公式はわかってる。
あと打たれ弱いのも可愛い。 いたずらっ子で、でも怒られたら泣いちゃうみたいな。 でも性懲りもなくまたいたずらしちゃうみたいな。

そういえば毒の性質はどこにあるんでしょうか。 やっぱりオーラをすったら毒で倒れるんでしょうか? ちょっとぐらい耐えれるならダメージ覚悟でくんくんするってものありかもです。
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