螺旋の唄 (裏)   作:Ahoo

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今日がどうにも不運続きだったので、ちょうどモチベが回復してきていた小説を再開とあいなりました
なんで膝に乗せてやってただけなのに噛んでくるよ同居人の猫……

次回更新は来週がめどです


11. 受難の予感

影の中から悠々と歩いてきたのは、講習中に見たあのオジ様でした。

 

サングラスを外し、帽子をとったその下には、記憶より更に前髪が後退した、父さんの上司さんがいらっしゃった。 彼はちょいとオニスズメを小脇に抱えてスピアーを褒める。 有難き幸せ、とその子は両手の針を軽く打ち鳴らして喜びを示した。 見上げているジョカを反対の腕で抱え上げると、僕達の方まで来て渡す。 そのまま僕の頭をなでて、大きくなったなと彼は笑った。

 

 

 

 

 

金欠とか知らんので。 父さんにたかる一人と一匹、ジョカと僕。 家族水入らずの方が良いだろうとかっこ良く去っていったあの人から少しだけお小遣い貰ってたのは知っているんだ。 さすがに育ち盛り二人で二つ星は可愛そうだと思い直し、一つ星とプレゼントで手を打ってやった。 ええ、父さんは僕の成長ぶりに嬉し涙を流していましたとも! 

 

貰ったのは電話機能もついてる腕時計みたいな高機能機器。 後で母さんに電話するんだ。 定期連絡がぐっと楽になって嬉しい限りです。

 

食べてる最中に、この地域では、ジョカみたいなゴーストタイプがこういう外を歩いているのは珍しいと聞いた。 夜でも彼らはこの近くの森やら、廃墟やらに閉じこもって出てこないんだそう。 つまりはハーレム。 行くしかない。 スーパーボール買い込むか……お小遣い足りるかな。

 

食べた後は近くのカフェまでいってお茶しながら、お互いのことを話した。 僕の方は、母さんはどんな具合かやら可愛い妹の一年24枚+イベント事の成長アルバムやら。 科学の進歩ってすごいね、大量の写真がタブレット一つで持ち歩けるんだから。 父さんの方はどんな事をしていたなど、そんな所だ。 仕事に関してはちゃんとやってるっぽくて安心だ。 ……可愛い妹の養育費の心配はいらなさそうだ。

 

「中身残念なのに優秀ってタチわるいよねー」

:お前は中身も頭も残念だけどな:

「外に出ようか、な」

:返り討ちだ馬鹿野郎:

 

そんなじゃれあいを何故か微笑みながら眺めていた父さんは、ふと立ち上がって向かいかわの僕の頭を撫でた。

 

「元気そうで安心したよケイ。 ……お前ももう、いっぱしの大人か」

なんだか少しむず痒くて気持ち悪い。 父さんのくせに大人ぶるとか。

 

「なに、いきなり」

 

ぼふっと音を立てて父さんがまた座る。 「いやな、お前も旅に出る年齢になったんだってこう、理解がな」 困ったような笑い顔は小さい頃に良く見ていたそのままだった。 「すまなかったなぁ、側に居てやれなくて」

 

「そうだよ、なんで……」 ぐっとジョカを抱きしめる腕に力が入る。 何故浮気なんてしたのか。 追い出されてからここまでずっと母さんだけにアプローチするなら、どうして他の女の人に気を向けたのか? それともあれはただの演技か。

 

「言い訳はしない、あれは完全に僕の責任だ。 いくら旧知の仲だと言っても、妻が居る時点で異性とふたりきりになるべきじゃなかった。 本性を見抜けなかった僕が馬鹿だった」 ふっと父さんの顔が真顔になった。「ケイ、多分、おそらく、ほぼ大丈夫だと思うけども、気をつけなさい。 お前は僕によく似てる。 子供に手を出すほどじゃあないとは思うけど、今でも連絡取ろうとしてきてて……その内容が、うん、ちょっと、ね」

 

「父さん、ちょっといいかな」

「なんだい?」 

「話がすごい嫌な方向に行ってる気がするんだけど」

「……気のせいじゃなくてごめんな」 父さんは手で顔を覆った。 まるで見せるそれがないかのように。

「だよねちくしょう」僕もそれに習って軽く伏せた。 何故十一歳の身空でそんな事考えなきゃならないんだ。 そもそも児童虐待じゃないのか成人前に手を出したら。 いや異常者は気にしないのか。

 

「とりあえず、優しい顔した金髪の、えー……胸が爆烈級の、女性に近づかれたら即逃げなさい。 彼女の名前はサナン、外面が異様に良いから何かしら周りから言われるかもだけど気にしなくていい。 母さんみたいに、君を信じてくれる人は絶対に側に居るから」

「……母さんもその人に騙されてるの?」

「いや、母さんみたいな人には近づかないよ。 騙すも何もないからね。」

 

息を吐いて背もたれに寄りかかった父さんは、そのままおそらく本題であろう方に話を持って行った。

 

「それよりな、母さんが最近許す気になってきてくれたみたいで電話をくれてな。 食事に誘ってくれたんだ。 10日ほど休み貰ってるし、ついてきてくれると嬉しいんだけど」

「いきなり戻るとか恥ずかしいんだけど……」

「ほらちゃんとライセンスもらえたって報告もしなきゃだろ? 絶対ごちそう作りたがるだろ母さん。 ダブルで親孝行だと思ってさ、それに一人だけ男ってのもちょっとあれだけど手料理は食いたいし」

「父さん、ちょっと言っていいかな」

「ん、なんだい?」

 

「ダサい」父さんは撃沈した。

 




次回、父ちゃんの修羅場予告
しかし夫婦喧嘩

変更部分:「携帯電話機能」の所を「電話機能」に
「そば」を「側」に (作者が蕎麦と勘違いしそうになったので)
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