螺旋の唄 (裏)   作:Ahoo

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次話から話進みます
やっと地元を離れました


12. 最後の旅立ちと新しい仲間

母さんが笑ってる。 父さんは冷や汗を流しつつ笑っている。 妹のイライザは不思議そうに父さんを眺め、リリは不服そうに父さんを横目で見、リデンさんは呆れたような顔で飯を食い、僕とジョカは肩身狭く気配を消していた。

 

修羅場である。

 

大人の話なので、そういう話し合いはこの後にするのだろう。 とりあえず今は、上辺だけは和やかな雰囲気が漂っていた。 空気が最悪だけれども、血は流れてないのでまだマシです。 おめでとう、おめでとうとこの空気の中言われて、戻ってくると思ってたのよと折りたたみ式最新自転車を貰う。

 

「ありがとう母さん」

「どういたしまして。 男の子が欲しいのなんてわかんなかったから、お父さんに聞いたんだけどね」

 

えっ、と父さんを見る。 照れたような顔をして顔を背けられた。 それ以前にそういう相談ができる程連絡とってたんですか貴方達。 なのに会ってなかったんですか。 しかし声には出さない。 大人って本当に訳がわからない。

 

「父さんありがとう」

「移動方法は大切だからな。 何があっても早く動ければ大体なんとかなる。 例え他のトレーナーに見つかっても、気づかないふりして振りきれば良いからな」 実体験ですか父さん。 というかこの電話機能付きのをくれたのもまさか?

 

ありがたく頂いて、皆でケーキを食べて、僕は妹の手をとって宵に入りかけた外へと出る。 イライザはすかさずジョカを抱きかかえた。 お兄ちゃんはちょっと悲しいです。 気温はまだまだ暑いレベルだが、太陽が沈みきった今はわりと過ごしやすい。 後ろから聞こえた情けない悲鳴は聞かなかったことにした。

 

特に行く場所もないので海辺に向かう。 いつもはこんな時間に外に出してもらえないイライザは、両方に掴んだ僕と途中で下りたジョカの手を振り回しながらはしゃぐ。 砂浜から遠くに見える、動く光の玉はイカ漁船だと教えてやった。 いつも食べてるイカはああやって釣ってるのである。 

手を離して走り回らせてやる。 しばらくすると疲れたのか、僕達の方に来た。

 

「お兄ちゃん、おしろつくろ!」 かわいい。 とりあえずその辺に転がっていたバケツを拾って水を汲んで、満潮が来る所より内側に誘導する。 せっせこせっせこ三人で作って、そこそこの物ができた頃にはとっぷりと日がくれていた。 これぐらい待てば良いだろうと仄暗い道を帰ったら、疲れた顔の父さんと元気いっぱいの母さんに出迎えられた。 一応和解はしたらしい。

 

 

 

 

新しい朝が来た。 これまた重めのご飯の後、しばらく帰ってこないよとイライザに告げると大泣きされた。 何故か僕ではなくジョカにしがみつく愛しの妹を断腸の思いで父さんに明け渡し、今もなお引きとめようとする母さんを振り切り、僕とジョカは家を出た。

 

:お前んちってホント変だな:

「気にしてるからやめようね」 君の顔が嬉しそうなのは見えてるんですよ。

 

とりあえずということで、向かったのは八番道路の上部。 ショウヨウシティの方が近いし、そっちの方にもジムはあるけども、ミアレシティにまずは行きたい。 憧れの都会っ子になりたい。 そして14番道路でハーレム状態になりたい。 とりあえずジョカ以外の仲間が欲しい所なので、空ボールはこっそり買い込んできた。 ざくざく草をかき分けて進み、ちょいちょいと飛び出てくる顔なじみ達に別れを言う。 そんな最中にふと、顔に影がかかった。

 

「あ、」

:やあ: ここらには一人しかいないふうせんポケモン、フワンテが忍者のように現れた。 僕の気持ち悪いと評判の求愛をばっさりと断ったものの、友達にはなってくれた優しい子である。 世間一般でもただ高い所で揺蕩っているだけと認識されている、そこそこ有名な個体だ。 たまに捕まえようとしている人達が居るものの、そもそも降りてこないしどんな鳥系でも攻撃一つ当てられないというので実は強いんじゃないかと噂されている。

「いい天気だね」

:そうだね。 どこかに行くと聞いたのだけど本当かい?: ふわ、と首をかしげられた。 かわいい。

「うん、ちょっと旅をするんだ」

:そうかい、さみしくなるね。 たまには顔を見せに来てくれよ:

「もちろん。 ところで主はどこに居るか知らない?」

:彼女なら【じつなぎのどうけつ】近くに居るよ:

「ありがとう、またね」

:またね、気をつけて:

「はーい」 ジョカと彼が一瞬だけ見つめ合った。 その真ん中に立って良いですか?

 

いい景色を眺めつつそこそこ歩くと、じつなぎのどうけつ前に付く。 フワンテの言うとおり、地域の主であるバネブー姉御がそこに居た。 今日も元気に跳ねていらっしゃる。

 

:あら: ぴょん。 :ケイちゃん: ぴょん。 :じゃないのぉ: ぴょーん。 三飛びで僕達の前に着地した。 :そうね、貴方ももう十歳ねぇ。 寂しくなるわねぇ:

 

「会えて嬉しいです。 ご機嫌いかがですか姉御」

:いつもどおり絶好調よぅ。 あーあケイちゃん居なくなったらどうやってポフレゲットすれば良いのかしらぁ: びょーんびょーんとゆっくり左右に揺れて嫌だ嫌だを表現する彼女は今日も美しい。 そしていつものとおり普通の個体より全体的にでかく身体の艶が眩しい。 彼女のように、地域の主はそこに住んでいる他の子達よりなにかしら抜きん出ている。 ただし特別な箇所は彼女のように見てわかるものだったり、逆に内面の何かだったりと様々だ。

 

「たまに帰ってきますって。 その時は全身全霊で最高のものをごちそうしますよ」

:約束よぅ?:

「はい、約束です。 それd」

:そうだケイちゃん:

「あ、はい?」

:ちょっと事情があって連れてって欲しい子が居るんだけど、どうかしらぁ:

「え、良いんですか? ジム戦行きたいんでスーパーボールをとりあえず25個ほど持ってきてたんでありがたいです」 

:お前そんなに買ったの: ジョカが口を挟んできた。 備えあれば憂いなしって知らないのかね明智くん。

:それは今のレベルじゃ少し持ちすぎねぇ、せめてモンスターの方にするべきだったわね。 まあ腐るものでもないし良いでしょう。 それよりこの子でジム戦はちょっと無理そうなんだけどごめんねぇ。 でも爬虫類も毒タイプも好きでしょ貴方ぁ?:

「ハブネーク好きです」

:よねぇ。 じゃあこの子お願いできるかしらぁ。 ほら、おいでー:

 

振り返った姉御の後ろ、ビクビクしながら草の陰から出てきたのはすごく小さな個体だった。 僕の腕に二回も巻きつけるかどうかレベル。 舐めたい。 チロチロと不安そうに舌を覗かせながら僕達を見ている。

 

「かわいいですね、どうしたんですかこの子」

:生まれたばかりなんだけどねぇ、ちょーっと小さすぎてねぇ。 私の保護もげんk:

「引き取りましょう」 出来る限りのイケメン顔と声で答える。

:貴方のそういうとこ、好きよぉ:

「ありがとうございます」 その小さな子に猫にするように近づいて、持ってた特性夏ポフレをあげる。 ふんふんと確かめていたが、やがて食べてくれた。 

「君、うちの子になれば今のがたまに食べられるよ? どうする?」 僕はキメ顔でそう言った。

 

悩んだあげく、彼女は小さな声で:いく:と言った。 僕はボールを取り出し、契約は成った。

 

 

 

 

「ねぇフロイライン、君に名前とかあるのかい?」 唐突に名前の事を思い出したので聞いてみる。 ひっついてくる皆を退け、どうしても無理な子達にはジョカをけしかけ。 どうけつを難なく通りぬけて手前の草むらに差し掛かった。 野生の場合はほぼないが、さてどうだろう。 捕まえた後にボールから即座に出して、僕の部位の中で一番暖かい頭に乗せてやっている彼女は、か弱いながらもさっきよりは強い声で答えた。

 

:ない: ですよね。 

「じゃあつけようか。 どうしようねジョカ?」

:候補を言え、ダメ出ししてやる:

酷いわ酷いわ。 「んー……どうしよう。 蛇系に似合う名前のストックなんてそんなにないし……

……あ、はねださんとかどうだろう」

:なんでまたそんな、関係のない:

「蛇ってなんか羽って感じしない?」

:しないわ:

「ええー」 とか言ってると、上からそれがいいと言葉が降って来た。

:わたし、はねだがいい:

「あらかわいい」:まあかわいいな: 二人して彼女を褒める。

「んじゃはねださんで」

:はいはい:

 

そういう事になった。 そして今日はどうやら、初めての野営になりそうだ。 やっぱりちょっと怖いしバトルシャトーの近くで寝よう。

 




「なんかぁ
むかしぃ
バイクにぃ電飾つけてあそんでてぇ
そんでみんなやってるからぁ
車とかもあるしぃ
船でやってみたらぁ
イカあつまってきたんすよねぇ」
のコピペがかなり好きです

あとは「もぅマジ無理」系の雨ときゅうり系統が死ぬほど好きです
畑に実るくらげとか空から降るきゅうりとかないわとしか
酢の物とか浅漬けとか家庭的ですねとしか

あと母さんは胸の大きさの部分に一番怒ってました
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