螺旋の唄 (裏)   作:Ahoo

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すいませんサブタイトルつけるの忘れてました


18. 売られる喧嘩と買う阿呆

見回り中だったゴースト姐さんにどーにかなりませんかねぇ奥さんと世間話の末に一応要望を上げに行ってもらった所、特別許可が下りて三戦だけなら子供達と親善試合していい事になりました。 やったね! (ポフレという名の)愛が伝わったんだね! 

 

オッケー出るまで土下座する気まんまんだったけどね?

 

 

「あ、貴方僕とのランデブーに興味はございませんか」 そこゆくゴースさんにチョコポフレを差し出してみる。

:自分男なんで: 拒否された。

「性別なんて吹っ飛ばすのが愛だと思います」

:違うと思います:

ヌオーさんと別れて見かけるゴース&ゴースト全員に求愛した結果、収穫はゼロでした。 ハーレムへの道のりは遠い、そういう訳ですねおっかさん! おでがんばる! とりあえずべちゃべちゃ歩きながら進む。

 

:君すごい語彙力あるねー:

さっきの口説き文句を散々笑った後、そんな事を言うゴースト姐さん。 そんな彼女に僕は一冊の手帳をみせつけた。

:なんだいそれ:

「僕の人生をかけて集め続けた、口説き文句の詰まった手帳」 凄いドヤ顔をしている自覚はある。

:お馬鹿だねー君: けらけら。 お馬鹿? ご褒美です。 ありがとうございます。 そんな事を言いあいながら歩くも歩く。 正確な場所を知られると困るので迂回に迂回を重ねているとの事だ。 つまりデートの時間がそれだけ長くなるって事である。 心の中で高らかに笑いつつ紳士的に対応していると、近くの草むらが微かに揺れた。 野生かトレーナーが近づいてきているのだ。

 

:受けるのかい?:

「ういっす。 タッチーおいで!」

 

ボールが弧を描き良い感じの足場に落ちた。 コントロールは上手くなってきているようで何より。 音が大きくなり、姿を表したのは、なんともここにそぐわない二足歩行の、ローブを着ているような緑基調の鳥ポケモン。 二本の真っ赤な鶏冠?後ろ髪?がチャームポイントなネイティオだ。

 

「お前ここ生息地ちゃうやん」 もっと左っかわの遺跡とかある街の近くが分布なはずだ。 イーブイやマスクドマッチョマンと一緒。 なんだい最近生息地を離れるのがブームなのかい? しかしそのよくわからない鳥は僕のツッコミに答えず静かに瞬きを繰り返す。 と、両手を広げ、ふらりと片足に体重を移動した。

刹那響く鈍い音。 ネイティオが右にふっとばされ、タッチーが長い体をしなやかに伸ばしていた。 突っ込んできて、尻尾で弾き飛ばされたようだ。 しかしそこまでダメージは受けていないようで、普通に起き上がる。 何故か僕を見据えたまま。 

 

なぜ僕を見るのだろう。 しかし大きな目だな、と思った。 黒くて深くて、とても気になる大きな目。 覗きこんだら何か見えるだろうか。 そもそも何かあるのだろうか? 何もないかもしれない、どこに続くともしれない穴かもしれない。 とても気になる。 見てみたい。 黒々ととてもとても深くて、自分の目が離せない。 見続けるごとに暗い色が深くなっていっているみたいだ。 このまま見ていたら何か見えるだろうか。 あれ、何かが中で回っているようなないような……紫色の、昏い光の玉? その周りに若干明るめの玉が2つ見える。 それがふいに右に水平移動したので目で追う。 スライドするのと同時に下方向へ軌道修正する光の玉は、いきなりフッと消え去った。 

 

そしてジョカの顔のどアップ。 ビクってなりました。

 

:馬鹿:

「は?」 開口一番に罵られたんだけど。 マジわけわかんない。

:そう簡単に催眠術かかってんじゃねぇ:

「…………ファッ」

マジか。 マジだ。 ヤバい恥ずかしい。 トレーナーなのにかかるとか死にたい。 あまりの事にしゃがみ込んで顔を覆う。 ちらっと見あげれば呆れた顔の、いつの間にかボールから出ていたジョカ。

「ジョ、ジョカぁー」

半泣きで助けを求めると、海よりも深い溜息をつかれた。 後ろではタッチーの威嚇声が聞こえる。 ゴーストさんはどこにいったのか姿が見えない。

:後で特訓しような?:

「あい」 鼻を啜る。 今はとりあえず、敵の相手だ。

ネイティオを極力見ないようにして向き直る。 何やら眉間に皺が寄っていそうな雰囲気だ。 いきなりトレーナーに攻撃してくるとかマジで野生かお前。

 

「タッチー、でんこうせっか」

長い体をぐぐっと縮め、力をためて飛んだ。 一瞬の内に距離を詰めて引っ掻いて、すぐさま離れて再び直立する。 やっぱりうちの最速のスピードにはついてこれないようで、急所は守ったもののダメージは受けてくれた。

立ち直った緑色の鳥がお返しとばかりに両手を広げる。 周りの石が大量に浮き上がり、透明な波紋とともにタッチーに向かって飛んでくる。 ねんりきの応用だろうか。 範囲攻撃なのでさすがにいくつかは食らってしまったけども、体のバネを活かして大きい物は全部避ける。 その様子はさながら踊っているようだ。 さすがジョカを幾度か振り切っただけの事はある。 それじゃあ次はプラターヌ博士が覚えさせてくれてたあの技を使おうか。

 

「近づいて【なきごえ】!」

ネイティオが首を傾げたようだ。 普通なら近づく必要ないもんね。 そりゃおかしく思うよね。 警戒はしたもののそこまで脅威ではなさそうと思ったのか、また片足に重心を移動させた。 しかしこいつはひこう・エスパーだからとっしんもたいあたりも覚えないはず。 じゃあこの速さはなんだ? 先制攻撃といえばでんこうせっかだけど、覚えるっけ。

鈍い音が鳴る。 相手の近接攻撃が入ったのだ。 結構重かったのか、軽くよろける。 しかしそこはこの攻撃の間合いな上、残り体力も十分にある。 タッチーはあまり怯まず長い体を最大限に使い、手でも敵の体を掴んで耳(があるであろう部分)に口を近づけた。

「よっしゃぶちかませぇ!」 ネイティオがは?って顔になったがもう遅い。 うちのパーティ特性を知らなかったお前が悪い。 残り体力値なんてもの、うちやってないんすよね。

 

思い切り息を吸っていたタッチーがその可愛らしい口を開く。 そして大音量の【なきごえ】が森中に響き渡った。 ハイパーボイスが炸裂したのだ。【なきごえ】という名の。

だってハイパーボイスとか毎回言うには長いじゃない? しかも嘘じゃないじゃない? 一応鳴き声じゃない。 なにも もんだいは ない。

 

「トゥー…トゥー…」 ネイティオが白目をむいて気絶した。 そりゃそうか。 誰だってそうなる。 僕だってそうなる。

 

:かったあああああ!: タッチーが両手を上げて飛んできた。

「いよっしゃあああああ!」

二人で勝利を喜びあう。 いやあもふもふは良いですな。

:何をこそこそと話しているかと思えば……: ジョカが何か言っているがキニシナーイ。 お前も似たようなもんじゃんね。

 

 

 

思う存分もふもふしてるとゴースト姐さんが暗めな赤色のユニフォームを着た大人、レンジャーさんを二人引きずって戻ってきた。 一見ひ弱そうだけどがっしり引き締まった金髪細マッチョと黒色の長い髪を後ろで纏めた髪長マッチョの二人組である。 二人共にけっこうイケメンだ。

 

「あれ、こりゃあ救助はいらなかったかな?」 細マッチョが嬉しそうに言う。

「はい?」

「最近おかしなポケモンが増えていてね、」 髪長マッチョが説明し始めた。 「何の関係もないトレーナーやポケモン達が襲われる事案が増えているんだ。 この森はそういうのはあんまり入ってこないんだけど、ついこの間は所属不明の集団が奥の方で何やらやらかしたらしくてね。 変な事があったら近くにいる僕達みたいなレンジャーや大人のトレーナーに協力要請が来るのさ」

「あーそういう事ですか」 姐さんが心配そうに僕の頭を両手で触ってきた。 一瞬だけお触りしていいのかなとも思ったけども、ほっこり感が先に立つ。 「うちの子は強いですからね、なんとか勝てましたよ」

「そうみたいだね」 細マッチョが未だ倒れ伏しているネイティオを見ながら言う。 「決め手はさっきのハイパーボイス、かな?」

「あ、わかりますか。 ええ、このオオタチがゼロ距離で撃ちました」 腕の中のタッチーが全力の可愛い顔でみゃっと鳴いた。 くそ可愛いなおい。 腹をわしわししてやる!

「うわーくらいたくないなそれ」

「あははは」

「はっはっは」

 

皆で笑いあっていると髪長マッチョがふっとネイティオが転がっているであろう方を向き、速攻で腰のベルトに手を伸ばした。 思わずそれに倣うと、いつの間にか二本の足で立っている緑の鳥。 その顔には強い苛立ちが浮かんでいる。 そしてもちろんその細められた視線の先に居るのは僕。 あっこれ目ぇつけられたやつやん。

ふんっとばかりに横に向き直った鳥は、両手を広げるともう一度僕を横目で見てから掻き消えた。 テレポートか。

「ありゃ……」細マッチョが言う。「話し込みすぎちゃったかな?」

「ぽいっすねー……倒れた所で終わったと思っちゃいました。 すいませんトドメ刺しておくべきでしたね」

「いやいや、旅に出たての子ならよくやる事さ。 普通はね、戦えなくなったら見えないほど小さくなるものなんだ。 ただ、今見た通り、気絶とか変則的な終わり方だとそうとも限らないから確認方法は持っといたほうが良いかな。 特に君のような戦い方の子はね」 髪長マッチョさんがいいアドバイスをくれた。 そういや小さくなるんだった、忘れてた。 いつもどちらかが動けなくなる手前で終わってたからなぁ、弛んでるな自分。

 

「それは知りませんでした、ありがとうございます」

「うん、頑張ってね。 ちなみに僕はいつもオレンの実を投げてるよ。 ほぼ全員、起きてるなら食いつくからね」

「あ、それ良いですね」

「使う? ならいくつか分けるよ」

「え、マジすか良いんですか」

「良いよ、はい」 60個くれた。 

「多くないですかね」

「家で栽培してるからめっちゃ取れるんだよね」

 

断る理由はないので貰うついでに拝んでおく。 神様や。

話が終わるのを待っていたのか、細マッチョが入ってきた。 「ところで君、あのネイティオ、どこかおかしな所はなかった? 最後のあれは別として」

 

「うーん」 思いつく所はけっこうある。 それらを全部列挙してみた。 どうせ10歳の子供なんだしちょっとぐらい支離滅裂でも適当に処理してくれるだろう。

 




必要とあらば沼の部分でも土下座する勢いでした。 意味ないんですけどね。

激おこネイティオの顔は、眉間に皺がめっちゃ寄ってるのをご想像ください。
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