螺旋の唄 (裏)   作:Ahoo

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20. ミアレジム@初めてさんコース (1)

ポケセンに帰って来た。 夕飯を食べて部屋に戻り、速攻でシャワーを浴びる。 そしてベッドに寝転がりつつ何処かで聞いた歌を鼻で歌いながら、一日の成果をおさらいした。 はねださんが覚えたいばるは使い所を悩むが、混乱はでかい。 あんまり練度が高いとトレーナーの声だけ聞くってのもできるから、お互い弱い今のうちだけだけども、だからこそ強い。 

できれば大好きなどくどくを覚えさせたい所なんだけども、自分じゃ覚えないしわざマシンなんて今は買えないしなぁ。 でもゆくゆくは、どくどくしーの巻きつくしーの、または巻きついてからポイズンファング連打とかガチでヤりにいってるような戦法覚えさせーのしたいですね。 どくびしとかも覚えさせたい所です、が、まあよかろ。

悪い笑顔で考えていると、背中に暖かくて柔らかくて重い物が乗っかってきた。 

「タッチー?」

:ブラシしてー: 脇に頭を擦り付けながらねだって来た。 

「しょーがないやっちゃなー」 語尾が上がっていたのは認めよう。 横のバッグからそれらをとりだして、丁寧にさすさすと上から下までやってやる。 耳から付け根、後頭部、首、脇に背中、それから尻尾。 それが終わるとひっくり返してまた上から、艷やかな腹を通って足の先まで。 終わった時には汗をかいていたが、タッチーは幸せそうだし満足だ。

:わたしも: とか細い声も脇の下からお願いしてきた。 ぬるま湯に濡らして絞ったタオルで短くも長い体を拭いてやった。 ついでに牙も磨いてやる。 これで終わったな、と思ったのも束の間、肩にぽんっと置かれた真っ黒な手。 振り返るともう一方の手の親指で己を指す、キメ顔の呪いの人形が立っていた。

「洗濯k」

:却下:

はねださんに使ったタオルをもういっかい洗ってきました。 わりと砂埃とかついててびっくり。 そういやお風呂入らないもんね。 手入れ大事。

 

次の日から、森以外の所で特訓開始した。 はねださんをLv10以上にしたい。 というか予約時に説明されたんだけど、全員Lv10以上がはじめてさんコース@ミアレジムの前提条件だった。 クリアしてももちろんバッジは貰えないけど粗品とスタンプは貰えるし、体験版自体は全てのジムにあるので、リーグに挑戦する気がないならそれを回るのが良いよと風呂で一緒になったお兄さんから聞いた。 ありがとう知らないお兄さん。

4~5日も経っただろうか。 はねださんがちょっとした光に包まれた。 ようやく規定レベルに達したという訳だ。 喜びながらすりついてくる小さな体を撫でつつ、皆で技構成を会議する。 アイアンテールは保持。 まきつくも保持。 いばるも保持。 したでなめるはかみつくに変更安定。 あとは今覚えそうなポイズンテールをどうするかだけである。

そう思ったが、:まきつく忘れさせたほうが良いだろ: とジョカがいきなり前提をひっくり返した。

「でも継続ダメージは欲しいだろ」

:毒のほうが刺さるだろ、まきつくだとHP依存だしずっと効果が続くわけじゃない:

「そりゃそうだけどさぁ、ダメ高いし逃げられないし、毒だと治す事もできるだろ」

:不確定でも攻撃されない隙を作った方が今は良いんじゃないかな。 一撃食らっても相手に毒と混乱入れるほうが有用じゃない? : タッチーが言う。 

「それやるなら壁役にどくどくがしたいんだよ……う~ん、うたうさえあれば」

そこでイケメンな僕は新しい道を思いついた。

「忘れさせなきゃいいんだ」

:何言ってんだお前: ジョカの容赦ないツッコミが入った。

「まあ聞けよ。 ほら、あの緑の鳥。」 身を乗り出して声を控えめにする。 :ネィティオ:「そうねぃ…ね…てぃ…ネィティオ。 あいつとやった時さ、レンジャーさん達から聞いたろ? 4つ以上技持ってるやつも居るって」

:言ってたな: ジョカが同意した。

「つまり、だ。 はねださんにも可能って事だろ?」

:気持ちはわかるが、はねだの年齢じゃ無理だぞ。 今はやめとけ:

「えー」 無情に僕の作戦は叩き潰された。 「…あれ? 今は?」 

:ああ、たまに手練にいんだよそういうのが。 珍しいがいないって程じゃない:

「なんだ。 でもできない事はないんだね。 じゃあやってみるか、ね?」

:うん!:

:今は選ばなきゃいけないけどな:

 

多数決でまきつくoutポイズンテールinになりました。 

 

 

そして予約時点から9日目、運命の日。 朝十一時三十分前。

 

天候は小雨。 こういうときってカンカン照りじゃないのかな普通。 主人公じゃないからか。 納得。 それでも気合を入れるため、お気に入りの白シャツとダークグレーのクロップドパンツ、そしてモスグリーンの薄い上着のセットを着ることにした。 傘を差しつつタワーに向かうと特にイベントなくたどり着くも、前のチャレンジャーが長引いてるから予約の時間より遅れるとのこと。 しょうがないね。 ベンチで時間を潰すことにした。

「というわけだから、ちょっと遊んできていいよ。 遠くにはいかないでね」

良い返事が帰ってきた。 意外とコミュ強のタッチーは速攻知らん人のメェークルと遊び始め、はねださんは温かいのか近くの地面埋込み型ランプの上で丸くなった。 ジョカとはいうと、何をしてるのかフラフラ歩いているだけ。 なんか飲み物でも買ってくるべきだったかなぁ。 そもそも予約時間にもまだなってないしね。 あくびがでた。

「やぁーん」 

尻の下に真似された。

「マネネですか、君は」

足の間から覗くと、いつの間にかベンチの下にヤドンがいた。 体がピンク色で、トボけた顔の可愛いヤツ。

「やーん」 低めの声、男の子かな。

「やーん」 お返しに真似してやる。 「そんな所で何してるの? 上においでよ」

「くぅー」 のっそのっそと這い出て、ベンチに登ろうとするも手をかけた時点で止まる。 そしてじっと見られた。

「……大丈夫?」

「やぁん……」 せめて意味のある言葉を喋って欲しい。 とりあえず手伝ってやった。

「やーん」 嬉しそうだ。 擦り寄ってきたので撫でてやる。 めちゃかわ。 手慰みにその仄かに温かい肌をさすさすしていると、ジョカが戻ってきて膝に座った。 

「どしたん」

:散歩飽きた: さよですか。

「おぉうー」 ヤドンが鳴いたのでそっちを見る。 ついでに撫でてやると、幸せそうな顔をしやがるのでもっと撫でてやった。 

ふとヤドンがジョカの方を見た。 ジョカもヤドンを見ているらしい。 そのままお互いじーっと眺めあっている……これは恋か! そうかとうとうジョカも……

:ケイ、何を考えている?: チラッと見られた。

「ん、見つめ合ってるから一目惚れしたのかなって」

:お前いいかげんお花畑から戻ってこい:

「やだ!」 ここに住むんだ僕は!

:おい:

そこにのんびりとした声が割り込んできた。

:僕は性別は気にしないかなぁ: このヤドン、喋るとイケボである。

:そういうことじゃねぇんだよ……だからヤドン系は嫌いなんだ!:

バタバタと両足を思いっきり振っている。 両手も少しパタパタ。 思いがけなくジョカの弱点を知ってしまった、どう活かそう。 悪巧みをしていたら、走る音が後ろから聞こえてきた。 耳を少し動かしたヤドンさんが嬉しそうにベンチの背もたれを使って立つ。 トレーナー居たのか。 

「あ、よ、かったぁ」

年は同じくらいだろうか。 明るい茶色の髪の女の子が息を切らせていた。 さらさらの髪は顎のあたりで切られていて、ハーフアップにしている。 服はシンプルに薄紅色と白色の可愛らしいワンピースだ。 この子とおそろいにしているのだろうか。

「迷子になってたの?」

「はい、見つけてくださってありがとうございます。 いつも勝手に一人でどっかいっちゃって」

「くぉーぅ」 ただの鳴き声だけど、てへぺろしてる感がパない。

「メッでしょ! もう! ほら戻って!」 彼女がボールをとりだすと、 ヤドンが赤い光に包まれ消えた。 姿勢を正して彼女はとても礼儀正しく笑った。 「本当にありがとうございました。 私はミルドレッドと申します」 良い子だ。 可愛い。 友達になりたいね。

「僕はケイだよ。 年近いよね? 敬語なくていいよ」

「え、いえ、あの」

「だめ?」 必殺子犬フェイス。 

「だめ、じゃ、ないで…ない、よ」  さっきのより崩れていたけど、年相応の笑顔が見れた。 満足です。

座って話そうよ、と言おうとしたら、更に後ろから彼女を呼ぶ男の声がした。 笑顔が戻っちゃって悲しいです。

「はぁい、今行きます! ……では、…ありがとうケイ、じゃあね」

「またねミリー」

エレガントなターンを見せつつ彼女は行った。

「可愛かったねジョカー」

:おまえなぁ:

「だって笑顔が見たくって」

またまた大きなため息をつかれた。

「ごめーん」

:俺だけ見とけばそれでいいのに:

「ジョカも好きよ?」 真ん中の角を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

前のチャレンジャーは惨敗したようです。 顔がそう言っていた。 クイズ間違えまくりの戦闘しまくりだったのかな? 道具の準備は万端ではなかったようで。 彼が出ていって10分後、僕達が呼ばれた。 皆をボールに戻し、意気揚々とエレベーターに乗って上へ上へとすすむ。 暗くなってエレベーターが止まったと思ったら、光と音の渦が襲ってきた。 

「よーこそー! スタンプラリーinミアレジムへ! 司会はこのあたし、ジムリーダーの妹ユリーカでございます!」 可愛い金髪の幼女がテンション高くアナウンスしてくれた。 「ルールは簡単! あたしがクイズを出します! あなたは正解と思う番号のエレベーターに行ってください! ただし正式なチャレンジとは違い、乗る前のトレーナーバトルはありません! そのまま正解したら上の階に、間違ったらバトルの後にもう一回! たったそれだけ! それじゃあいくよ、このポケモンはだーれだ?!」

至極わかりやすい説明をありがとうございます。 映し出されたのは特徴的なネズミっぽいフォルム、雷のような尻尾に細長い耳。

「1. ビリリダマ 2. ニョロボン 3. ピカチュウ このポケモンはなーに!?」

3です。 ここでわざと間違えて経験値を積むという事もできる…がそんなめんどくさいことはイヤです。 なので普通に3に向かう。

「ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー!」 ポーズを決めて、ウィンクを送る。 ピンポンパンポンとチャイムが鳴った。

「だーいせーいかーい! では上にどうぞー!」

 

エレベーターは普通に大人しい内装でクラシックが流れていた。

 

「早くも2回目だー! チャレンジャーケイくん、どうぞ画面をごらんになってくださーい!」

ピカチュウのような細長い耳、ジョカのような真ん中の角、でも三角形の腕も足もない凸凹したフォルム。下は硬そうで、上はふわふわしてそうだ。 境目に綿のマフラーのようなものが見えなくもない。

「1. バネブー 2. メレシー 3. ヤヤコマ さあどれだ?」

肉壁と名高いメレシー、2番めです。 防御固められるとマジでかっちんこっちんで攻撃が通らないったらありゃしない。

 

ウィーンとエレベーターが上に向かう。

 

「さあ早くも三階だ! ここを過ぎればあと一階! そんな今回の問題はこれだ!」

 

短く軽快な音楽が鳴る。 間違えようのないポン・デ・リングのような頭、そこから下に伸びる木の幹を支える猿のような頭、同じく体。 誰が間違えるというのだろう。

 

「このポケモンはなーに?! 1. ヤナップ 2. バオップ 3. ヒヤップ」

 

そ う い や 三 匹 居 た わ

 

思考が停止した。 あれーなんだっけ。 確かだいたい同じのが三匹居たような気がする。 ヒヤップは青いんだっけ? バオップって緑だっけ。 ヤナップってなんやねん。 せめて第二世代でお願いしたかった! 木っぽいからバオップ…? でもそんな単純か? なんか…なんか違う気がする……

 

:覚えてないの?: タッチーが問いてくる。

「バオップ…だっけ…?」 こそこそ聞いてみる。 これはチートではない、ミリオネアでいう電話だ。 救済措置だ。

:違うよー。 バオップは上が木みたいになってるよ:

あれ木じゃないの。 違うの。

「ヒヤップ?」

:タッチー、黙っとけ。 自分でやらせろ:

おおっとここでNGでました。 ちくしょー正論ですねぇ!

 

「ううううううううう」 ええいヒヤップで行く! どうせ二択だ! ジョカを過労死させたらぁ!

 

 

 

 

エレベーターはとても快適でした。

 




通常ミアレジムはクイズに正解しようが間違えようがエレベーター乗る前にトレーナー戦が入るのですが、お試し戦(正式名称:スタンプラリー)なので免除されてます。 間違えた場合にのみトレーナー戦が一回だけ入ります。 つまり全問正解さえすれば手加減ありのシトロン戦だけですみますが、間違えまくってもそのフロアの最初だけ戦えばいいです。 また、お試し戦ということで勝っても負けてもトレーナー達やリーダー達の査定に響きません。 少しぐらい遊んだって小言は来ません。 なので休憩時間がちょっと余計に貰える的な扱いとなっています。
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