冥界で俺はパパっと状況を説明した。
星王竜が蘇ったこと。
そして星王竜がルシアって名前の持ち主の魂を回収するために全生命を殺して魂を回収してルシアという存在を取り戻そうとしていることを端的かつ簡潔に報告した。
「ヴェルダナーヴァが生き返ったことは喜ばしいことなのにぃ!」
ラミリスが頭を抱えながら暴れ回っている。
その様子を横目にギィが聞いてくる。
「それをどうやって知った?」
と…
なのでリムルが共有していると考え、正直に話した。
「加護に死んだら生き返るものがある。たぶん、それでルシアって人を生き返らせようとしたんじゃないかな?本来は生き返る場所は選べるんだけど、今回は方法は分からないけれど、干渉されたみたいで、ヴェルダナーヴァに呼び出される形になった」
「なるほど…どんな場所だった?」
「2つの棺があって、ヴェルダナーヴァがその一つに入ってたよ」
「となると、天星宮にいるのか…」
「そもそもルシアって誰よ?」
リムルが突然の疑問を問いかけた。
それに対してギィとラミリスは
「ヴェルダナーヴァの嫁だ」
「ミリムのお母さんなのよさ!」
と同時に言い放った。
そこにヴェルグリンドが追加で
「ルドラの実の妹よ。もちろん、一番初めの体のね?」
と言い、更にヴェルザードは
「初代賢者とも呼ばれているわね」
と付け加えた。
なんて情報過多な人だ…
「取り敢えず、その人を生き返らせようとして生命滅ぼそうとしてるってことでOK?」
「そうなるのぅ?」
「ちなみに、ヴェルダナーヴァが生き返ってたこと知ってる人いた?」
俺がそう聞くと、全員が首を振った。
しかし、ヴェルザードからは嘘の風がした。
「ヴェルザード、嘘は駄目だよ、嘘は」
「…嘘発見器かよ」
「俺がルベリオスの外交をしてもいいんだよ?リムル、テンペストから徹底的に搾取するよ?」
「…冗談だよ!冗談だとも!」
「おやおや?嘘は駄目って言ったばかりじゃないか。リムル?取り敢えず、ルベリオスにテンペストの服の流通量を増やしてもらおうか」
「あー、もう!今はそれよりもヴェルザードの方が優先だろ!?」
お前から喧嘩売ってきたのに…
ヴェルザードに向き直り、目で催促する。
「…気づいていたわ。でも、今の兄は心核に傷を負っていて、前までの兄じゃないわ…」
「心に?まあ、そりゃそうだろうな。だが生命を滅ぼそうとするのは見逃せない」
「心核か…なら、俺にヴェルダナーヴァは任せてくれないか?」
「…何するつもりなんだ?」
「ヴェルダナーヴァは心核を癒せば解決するんだろ?ミカエルとユウキたちは任せるぞ?」
心核治癒とか俺しか持ってないだろうし、俺は死んでも生き返れるからな。
保険でギィには後で見せておこう。
ヴェルダナーヴァは俺が自死しても復活して、復活場所を自由に変えれることを知っているが、干渉できても復活地点の変更くらいだろうし…
じゃないと、俺が自死した時に不死鳥の加護を無効化してるだろう。
「問題は、どうやってヴェルダナーヴァの元へ行くか…」
「ヴェルザードが送ってやれ、ダグリュール、お前の支配領域に入るが良いよな?」
「仕方がない…受け入れよう」
「じゃあ、よろしくヴェルザード」
「ええ…」
明らかに諦めたような顔をしてるヴェルザード。
他にある問題としては…
「なあ?そもそも心に傷を負う原因って、確かジャヒルって奴が原因なんだよな?なんでヴェルダナーヴァはそいつのことを狙わないんだ?」
「多分だが、敵討ちよりルシアの蘇生を優先してんじゃないか?」
蘇生か…
いや、それより確実な方法があるな。
「そもそも傷を負う原因を潰しにいけばいいんじゃねぇの?」
「「「は?」」」
「タイムスリップして、ルシアさんとヴェルダナーヴァが死なないようにする」
「おいおい!それってお前、時間跳躍できるってことじゃ…」
「ついさっき、できるようになったぞ」
そう…時の加護の力は止まった時間ないでも動けること、そして、寿命を使った年数分だけタイムスリップできる能力。
そして、俺は不老長寿の加護でノーコストで時間跳躍が可能。神!!
問題としては…
「正確な年月が分からないから教えて?」
「あー…大雑把だが…一万年くらい前か?」
「ワタシが魔王になったのが数千年前だから…それくらいじゃないか?」
「いや、二万年近く前じゃなかったか?」
「15000年くらいね!間違いないのよさ!」
ふーむ…
なんで時間の感覚がおかしいやつしか当時のことを知らないんだよ…
ラミリスはシンプルに信用できないし…
「確実に生きてた時は?」
「俺様がコッチに召喚された数万年前には確実にいるが…お前の存在を知らないってことは、俺たちに隠れてヴェルダナーヴァに会ったしたってことだろうし…」
「なあ?そもそも何で一気にいくつもりなんだ?ちょびちょびいけば良いんじゃないのか?」
「「「あ…」」」
そもそも時間跳躍できること自体、異常なんだからそんな直ぐに思いつくほうがおかしいと思うんだけど…
まあ、今回はリムルの案を採用するか。
「じゃあ、俺は節目節目の出来事を確認しつつ時間跳躍する。そしたら大体の時系列が分かるだろうしな。それでも失敗したら、ヴェルザードに天星宮に連れて行ってもらって無理やり治す。これでいいか?」
「ああ、歴史改変なんて本来はダメなんだが…緊急事態につき、調停者ギィの名において許可する」
「アタシも許可するのよさ!それにルシアちゃんが生きられるなら?アタシも?嬉しいし?」
「うむ!ワタシの母が生き返るなら、それはいいことなのだろう?大歓迎なのだ!」
「それじゃあ、大雑把に大戦とか魔王誕生とかの出来事を教えてくれ」
それから、俺は節目の出来事を覚えて時間跳躍することになった。
「じゃあ、行ってくる」
「おう!絶っっ対に成功させろよ!」
「はいはい」
時の加護を使うと、一瞬だけ疲労感があるが直ぐに消えて水に落ちた。
______________________
「何処だ、ここ…」
辺りを見渡すと、どうやらここは海らしい。
近くの海底に国、おそらくカイエン国があるのが万能感知で分かる。
そして、いきなり現れた俺という存在に水竜が出てきた。
だが、警戒しつつも精霊竜だからか怖がることなく近づいてきた。
「ここはカイエン国の近くであってる?」
「キュー」
頷かれたので更に話しかける。
「陸に行きたいんだけど、連れて行ってくれない?」
そう言うと、食われた。
正確には、水の体なので連れて行くために運びやすいよう体内に匿われたのだろう。
しばらく水竜の中で海底を見ていると少しずつ水底が近づいているのが分かった。
どうやら、もうすぐ大陸に着くのだろう。
水竜の体をかき分けて頭だけ外に出るとかなり速い速度で進んでいるのか水が顔に当たり少し後ろに倒れそうになる。
20秒ほどで止まったので体も外に出すと水竜に頬擦りされ、尻尾を振られた。
「ありがとう、水竜。またな」
まだ、ユラじゃないのだろう。
だから、水竜と呼びながら撫でてお礼に魔素を与えた。
陸地に上がると、まずは火の精霊に服を乾かしてもらった。
「カイエンのあった場所から陸地に来たってことは…サリオンの下辺りか?」
走って森を進み森から出ると、大量の天使が西方諸国に居た。
ということは、500×α年前か…
ここからだと…ドワルゴンに行けば500〜1000年前かどうかがわかるな。
ドワルゴンがなければ、それより前の1500年前か把握するために街を見に行こう。
そうしたらロイ・ヴァレンタインのことを聞けば影武者として魔王に就任した後か前かは把握できる。
それより前だと被害などで判断するしかない事象ばかりなので特定は早くなりそうだ。
取り敢えず、今はドワルゴンのある場所へ行くとしよう。
転移したらギィみたいな奴らにバレそうだし普通に走っていく。
2時間くらい走り、ドワルゴンのある洞窟に着いたが…国は影も形も無い。
つまり、ここは1000年以上前ということになる。
次に西方諸国の一国に入り、西方聖教会の支部に行く。
支部までの道は酒場の人に聞いた
「すみません、少し時間いいですか?」
「お?どうしました?」
「バレンタインについて聞きたくて」
「…あの、魔王ロイ・ヴァレンタインのことか…?」
「(なるほど…1500年前ってところか)ええ、自分は吸血鬼狩りと悪魔狩りを生業としている者でして、最近西方諸国で吸血鬼が現れたかどうかを聞きに来ました。ヴァレンタインについて聞きたいのは、こちらの地域ではどれほど具体的にロイ・ヴァレンタインの危険度や情報が伝わっているか把握するためでしてね」
「…なるほど。こちらに届いているロイ・ヴァレンタインの情報は、女子供の血肉を好んで喰らい、日の下でも活動できる体を持つと伝わっております。またロイ・ヴァレンタインとそれに付き従う吸血鬼数名が天使の掃討を行っている姿が目撃されております。最近は吸血鬼や悪魔は西方では目にしませんね。天使の襲撃があるからか表に情報が出てこないだけかもしれませんが…お役に立てず申し訳ございません」
「なるほど、では自分の持つロイの情報をお教えしますので、役立てようとは考えずに守るためだけにお使いください。並みの兵士やそれなりに力を持つ吸血鬼ハンターなどでは一瞬にして細切れにされるでしょうから」
「ご忠告、感謝いたします。」
「血を圧縮して放つ技が吸血鬼にあるのはご存知、と仮定して進めさせていただきます。ロイの放つブラッド・レイは特質級の武器は簡単に両断し、伝説級の武器にすら傷をつけうる威力です。基本的に横向きか斜めに傾いて飛んでくる斬撃と思ってください。そして、血を操り槍のようにして突き刺すまで追わせる、と言った技まで会得しています。なので、挑まずに人を守ることのみに注視して立ち回ることをお勧めします」
「それほどの情報…まさか戦って…?ありがとうございます!情報の提供、感謝いたします!」
「いえ、こちらも助かりました。では」
「はい。貴方の旅路に幸多からんことを…」
「そちらこそ、お元気で」
まあ、ここでは特にすることもないから時間跳躍だな。
だいたい同じくらいの寿命を削ることで1500年くらい遡れることがわかっただけで十分だろう。
もちろん、それを過信するのはダメなので時間跳躍する度に確認はする。
目指せ、大体数万年前!