カイテンウルフ ~ナンバーワンとかどうでも良いから帰りたい~   作:クレナイハルハ

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帰宅願望ナンバーワン

リサイクルショップ、そこでは様々な商品が売買される。

家具や子供用のおもちゃ、服や家電。

工具品やお酒、金品に至る様々な商品が売られ買われる場所。

そんな場所には平日、祝日関係なしに様々な人々が訪れ売り買いを行っている。

そんなお店のおもちゃコーナー、そのショーケースには様々な限定品やネットでの販売限定のおもちゃが存在する。

 

「すっげぇ!KAITEN FX Mk.0!?なんでここに飾られてんだ!?」

 

「今は年末セールだし、プレバンの買うなら今かな」

 

「すげぇ、これって当時品か!?よく残ってたな……」

 

「おとうさんあれかってー!」

 

「クリスマスはもう別のを買ったじゃないか、また今度な」

 

「えー……」

 

そんな様々な人が入り乱れる特撮作品のおもちゃコーナーで、パッと見特徴がないコートを着た青年はコーナーの端に置かれたその箱に目を奪われていた。

それはスーパー戦隊シリーズとよばれる特撮作品のおもちゃ、ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーに登場する変身アイテム兼武器"テガソード"だった。

だが、それはただの()()()()()ではない。

ネットでのみ販売された、本来ゴジュウジャーが使うソレとは違いユニバース戦士とよばれる人物達がこれまで放送されたスーパー戦隊レッドへと変身するための変身アイテム。

その名も『DXテガソードUNI.ver』。

金色ではなく、銀を基調にした配色……テレビで見た、あの“ユニバース戦士”が使っていたものだ。

青年はたまに特撮を見ることがあり、たまたま見たこのナンバーワン戦隊ゴジュウジャーのユニバース戦士が強く印象に残っていた。

なんと言っても今作の変身は歴代のものとは少し違い、テガソードを持ち拍手をすることで変身となる。

動画サイトで見ていたそれを、大人になった自分もやりたいと、遊びたいと思ってしまったのだ。

そして今月の食費や自由に使えるお金、年末セールを加味してようやくその箱を手に取った。

 

【さぁ……願いを言え】

 

青年の身体がピクリと震え、少し焦った様子で周囲を見渡し()()()()()()()()()()ことに安堵する。

 

「ふぅ……電池が入ったままなのか」

 

電池を買う分のお金が浮いたことに頬を緩ませながら、コートを着た青年は『DXテガソードUNI.ver』の箱を抱え、近くの小売りにされたアイテムを見てその手に取っていく。

 

「この値段なら……他のと会わせても」

 

そう呟きながら、青年がいくつか手に取ったのは金色の指輪の形状をした変身アイテム『センタイリング』だ。

ユニバース戦士への変身の他、様々な能力を使用可能なソレの中から好きなものを選んだ青年はよしと呟きながら指輪の入った袋をテガソードの箱の上に乗せる。

 

【ナンバーワン……ナンバーワンだ!!】

 

蓋にセンタイリングが乗せられた振動からか、又もや動画サイトで見たテガソードのセリフが心なしか先程大音量で流れた。

青年は又もやピクリと身体を震わせながら周りをみるが誰も此方を見ていないことに安堵し短く息を吐く。

良かった、誰も気にしてないみたい。

それにしても、電池が入っていて電源が入ったまま販売なんて珍しいな。

普段なら電池が入ってないか、入っていても抜かれてそうなもんだけど。

そう思いながら青年は会計へと商品を持っていく、歩いている振動には反応しないのかテガソードの音声は流れない。

あれ、さっきのリングの反応からして反応して音声が鳴りそうだけどたまたまかな?

 

「…こちらの商品は説明書が不足し、箱もかなり傷付いています。そして電池も入っていませんが、大丈夫ですか?」

 

「え?あ、大丈夫です」

 

説明書と箱のダメージは予想できてたけど、電池も入っていない?

じゃあ、さっき聞こえたテガソードの音声は……もしかして近くでテガソードの商品紹介の動画でも流れていたのだろうか?

最近のリサイクルショップだと、色々な動画がモニターに映されている事があるし昔から特撮おもちゃコーナーでは様々な特撮作品の主題歌が流されていたりするし、きっと俺が勘違いしてたのかもしれない。

そう思いながら追加で選んだセンタイリング共に会計が完了して袋が店員さんから手渡される。

袋を受け取った、そのときだ。

 

【さぁ、願いを……言え!】

 

先程同様にテガソードの音声が大音量ですぐ近くで流れ、思わず受け取った袋を持ち早歩きで出口へ向かう。

羞恥心からか顔が真っ赤になりながら店を出る。

あまりの恥ずかしさに溜め息を漏らしながら、青年は怨めしそうな顔でリサイクルショップに振り向く。

 

【ナンバーワン……ナンバーワンだ!!】

 

「電池、やっぱり着いてんじゃねぇか」

 

電池代が減ったのは喜ばしいが、その代償がこの公開処刑か。

 

「釣り合わない」

 

そう呟きながら青年は、その足で家へと向かう。

幸い、青年の帰り道でテガソードの音声が鳴り響く事はなかった。

夜、様々な趣味の品々で彩られた青年の借りているマンションの部屋。

青年はテガソードUNI.verの変身遊びや変形、別に購入したセンタイリングの音声を一通り確認し楽しんでいた。

一人暮らしでカーテンも閉めた為に、他の誰にも見られず『DXテガソードUNI.ver』での変身を操作だけでなくテレビのように身体全体でポーズを決めたり、オリジナルの変身ポーズを決めたりと全力で、子供のように楽しんだ。

だが、後から来る羞恥心からか身体を動かしたからか、顔を赤くした青年は『DXテガソードUNI.ver』とセンタイリングを、パソコンやゲーム機の置かれたデスクの中央へ置いた。

 

「さて……何処に飾ろうか」

 

そんなことを考えながらスマホで明日の予定やゲームのログイン等を済ませた青年は携帯をベッドに付属するコンセントに繋がれた充電器へと接続する。

 

「そろそろ寝るか、飾る場所は明日にでも作ろう」

 

そう呟きながらあくびを漏らしながらベッドに入り部屋の電気を消す。

電気を消し眠気に身を任せ眠気に身を委ねようとしてふと、青年は思った。

もし願いが叶うなら、自分ならば何を願うのだろう?

使いきれない程の金、毎日食べきれない程のうまい飯。ありきたりだが、どれもが一番とはいえない、ピンとはこない願いだ。

 

ふと、脳内に友人達の姿が浮かび上がった。

 

幼い頃、同じ時を過ごし同じ飯を食い同じ趣味を楽しんでいる彼らは皆、秀でていた。

 

一人は持ち前のゲームスキルを活かし、ゲームの大会で大きな結果を出し今はゲーム配信等で稼ぐプロゲーマー。

 

一人は努力家で磨き上げたダンススキルで世界中のダンス大会で活躍するプロダンサー。

 

一人は天性の感からオリジナル料理を作り、レシピ本も販売し多くの人に人気な料理研究科。

 

皆が皆、まるで物語の主人公のようだ。

それに比べ俺は………なんにもない。

才能も、これと決めて努力してきた事もない。

 

 

「おれ、も…アイツらみたいな」

 

早々に寝息を漏らす青年の横、デスクの上に置かれた『DXテガソードUNI.ver』が変形した姿テガソードロボUNI.verの目が静かに見詰めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妙な肌寒さに目を覚ますと、冷たいコンクリートの感触が背中にあった。

 

「寒っ……え、は?」

 

家とは違いすぎる飛び込んできた景色は、俺の考えるという時間を一気に吹き飛ばす。

目の前の見上げた先には、知らない……光の輪のような物が見える夜空。

暗いが、遠い先に見えるネオンの光。

壁にある落書き、路地裏という言葉が会うであろう場所に、俺はいた。

 

「いや、ここどこだよ」

 

身体を起こそうと地面に手を着こうとして、自分の手がいつもより短い……いや小さいように見えた。

そしてなぜか俺の右手には、見覚えのある銀色の剣『DXテガソードUNI.ver』が握られていた。

 

「は?」

 

そう、握られていたのだ。

寝る前、昨日に試したときには『DXテガソードUNI.ver』は小さく指を1、2本程を持ち手の外にはみ出せさせないと握れなかった筈なのだ。

なのに俺の手は、テガソードを握るのにちょうど良い感じになっている。

そしてそんなテガソードの刃……青く透明でぶつかっても痛くなさそうな柔らかい材質のプラスチックだったそこは、透明どころか鋭利で鏡のように光っている。

テガソードが握られている手を少し動かすと、テガソードの刃に映ったのは知らない顔だった。

いや――正確には、昔の記憶の中にある、自分の顔に酷く似ている。

明らかに、幼い。

寝る前に見ていた、自分の顔よりもずっと。

高校生……いや、小学生や中学生くらいに近い。

 

「……は?」

 

漏れた声を聞いて、俺は固まった。

落ち着いた、聞き慣れたいつも通りの自分の声だ。見た目と噛み合っていない。

昔から中性的な低い声とは言われてたが……。

 

『てかさ、お前声が良いんだからバ美肉して配信やろうぜ?』

 

『それな、お前なら推せるわ……リアルの彼女とか、裏切られそうで怖いもん』

 

『ふざけるなよお前ら……』

 

『いっそのことコスプレしてみねぇ?中性的だし絶対に人気だぞ』

 

『断る!!』

 

ふと、年末や夏に集まったときにアイツから言われた言葉を思いだし、怒りが沸いてくる。

 

だが、そうじゃない。

 

震える左手で、テガソードに映っている俺の頭のソレに触れる。

 

「ちょっと待て」

 

ソレ、頭に生えている獣耳に触れるが獣耳らしき場所に触れた指の感覚が感じられ身体が震えそれと同時に獣耳が横へと垂れる。

首元に違和感を感じてそのまま頭に置いていた手を下ろすと、そこには冷たい金属の感触があった。

 

「……は?」

 

黒い首輪、しかもそこから伸びた銀色の鎖は、途中で無残に千切れており胸の前辺りまで延びている。

刃に映る自分の姿を、思わずじっと見つめる。

着たこともない灰色のシャツに前が空いた黒いフード付きの服。

あちこちが擦り切れて所々が破れ袖は少し長く、手首が隠れかけていた。

下は、ボロボロのダメージジーンズで膝の辺りは完全に破れていて、夜の冷気がそのまま肌に刺さる。

取りあえずフードを被り、体育座りをして改めて自分の姿を見下ろす。

 

「……なんだよ、これ。てか、なんで鎖? 厨二か……くっそ、外れねぇし」

 

首輪に添えていた両手を下ろし、俯く。

服のサイズは合っている。

だが、俺の趣味じゃない…こんなの着るのは似合わないし恥ずかしい。

何よりこの頭はなんだ、それにこの身体はなんなんだ?

そんなことを考えていた時だ。

 

――パァンッ!!

 

乾いた破裂音が、路地裏に響いた。

 

「っ!?」

 

反射的に肩が跳ねる。

聞いたことがある、正確には見たことはないが近いものを聞いたことがある。

だが今響いているソレは映画やゲームの中の、軽い演出音じゃない。音の質が、知っているそれとは全く違う。

空気を裂く、硬く鋭い音。

頭が理解するより早く、身体が動いていた。

連続で聞こえる、様々な種類の銃声に両腕で頭を抱え、思わずその場にしゃがみ込む。

 

「ちょ、待て待て待て待て!」

 

心臓がいつもより早く鼓動する。

冗談じゃない。

今聞こえて来ているこれは、本物だ。

壁の向こうから、怒号と爆音が混じって聞こえる。

ふと頭を守ろうとしている左手、特に指に違和感があり、指を見れば人差し指に黒と銀色の狼のようなデザインの指輪、『テガソードレッドUNI.ver』が嵌められていた。

そして気が付かなかったがDXテガソードUNI.verを持った右手の人差し指にも『ゴジュウウルフUNI.ver』が嵌められている。

昔、テレビを見ながら何度も考えた。

テロリストが現れて、怪物が現れて、手にした特撮アイテムが本物になって俺が、主人公になる妄想……でも、現実は違う。

正直な話こんなものを持っていたところでなんの役にも立たない。

 

【リングを使え!それが、我らの契約だ!!】

 

振動を感じてか、テガソードから聞こえてくる音声に何故か慌てていた感情が落ち着いていく。

 

「これは、夢じゃないのか?」

 

先程まで触れていた首輪の冷たさに固さ、聞こえている銃声は全てがリアルで感じたことが無いものばかりだ。

そんなことを考えていると少し奥にある路地裏の出口、そこから銃声が聞こえているのが気付いた。

聴力が広く、前より良くなったことの理由に気付かない不利をしつつそこへ行こうとして自分を改めて見下ろし、留まる。

 

「な、何かこの服を隠す何か……」

 

近くを見回しても、特に隠せそうな布は……。

目に入ったのは、路地裏の壁に引っかかっていた、半分裂けた布切れ。

どうやら、組織の横断幕だったらしい。

 

「……これ、着ていいやつか?」

 

文字の意味は分からないが、背に回すと外套代わりにはなった。

服は隠せた、首輪と頭はフードを被れば大丈夫かな。

 

「よし、取りあえず少なくともこれなら厨二とは思われないはず」

 

そんなことを考えながら、路地裏の出口から外を見る。

そこには頭には寿司のネタのような被り物をした赤、緑、黄、黒、ピンク色の服を来た何処かスーパー戦隊の要素を感じる五人と、頭にウサギの耳を付け特殊部隊のような服装をしている少女が対峙している様子だった。

良く見れば、和装の少女の後ろには白い制服を着た優しそうな男性の姿が見える。

それだけなら良かったのだが、和装の少女はその手に銃剣のついた銃を持っていて、男性はタブレット端末を持っている。

そして地面に膝を着いている五人の服には土や汚れが着いており、その手に様々な銃を持っていた。

そう、()を持っていた。

 

「な、何がどうして」

 

周りの爆発跡や聞こえた銃声的に間違いなく本物だと思う、なら目の前の彼女達は本物の銃で?

なら、なんで五人のカラフルな奴らへ血を流していない?

そんなことを考えていた時だ

 

【リングを使え……それが、我らの契約だ!】

 

今までも比べにならない、まるで大型スピーカーから流されたような大音量に思わず頭に着いた耳を両手で押さえる。

 

「なんだこれ、こんな大音量のはずじゃっ……あ」

 

そう呟きながら慌ててテガソードのスピーカーが着いた場所を押さえようとしたがその場にいた全員が此方を見ていた。

ウサギ耳?のような物を着けている子達と、背後にいる大人と目があった。

ど、どうしよう?すごく気まずい……それに、もしあの銃で撃たれたら俺は……。

恐怖で身体が震える、少女や大人達は困った様子で小声で話している中、何かを話さないとと考えていたときだ。

 

【ナンバーワン!ナンバーワンだ!!それが、我らの契約。指輪を使え!()()()()()!】

 

テガソードから流れた言葉に、思考が止まる。

黒影ロウハ?誰だそれ、それにこんなセリフはテガソードに登録されてないはず!?

そもそも電源をオフにすれば!

右手のテガソードUNI.verの裏を見る、そこには電源のオンオフボタンはおろか、スピーカー用の穴すら存在していなかった。

 

【指輪を使え!それが、我らの契約だ!】

 

聞こえてくる音はテガソードではなく、俺の左手から聞こえていた。

左手を見れば何故かテガソードへセットしたのように目元が露に鳴った『テガソードレッドUNI.ver』が此方を見ていた。

 

そんな訳……これはオモチャの筈だ。

 

どうして良いか、どう動くべきか思考していたときだ。俺の首がガクンと俯き、俺の意思とは別に動き出した。

俺の右手の指に納められた指輪、『ゴジュウウルフUNI.ver』を指から外した。そして右手のテガソードをその場にいる人達へ見せ付けるように構えた。

 

「………エンゲージ」

 

そして俺の口が勝手に動き、『ゴジュウウルフUNI.ver』をテガソードへとセットする。

 

【CLAP YOUR HANDS!】

 

その音と共にテガソードから流れる音声が、その場に大音量で響き渡る。

テガソードを持つ手を左側に向けて、テガソードから流れる音声のリズムに会わせて顔の横でテガソードを持つ手と反対の手で二回叩く。そして二回ステップを踏みつつ同じように右側へ向けて一回叩く。

勝手にゴジュウジャーの変身ポーズが進められていく。羞恥心で溢れているはずなのに、俺の身体は止まらずテガソードを持つ手で円を描き腰の横で一回、最後にターンをしながら頭上へ掲げたテガソードを持つ手を左手で叩く。

瞬間、まるで喜びの声をあげる歓声のような声と共に俺が纏っていた外套が風に吹き飛ばされると同時に黒と銀、灰色のスーツに代わり頭には狼のようなデザインのマスクが装着される。

 

【GOZYU WOLF!】

 

次の瞬間、俺は身体を剃らしながら吠えた。

空気が震え世界に自分の存在を証明させるような大声の遠吠え。

遠吠えが終わった瞬間、身体が自分の意思で動くようになっていた俺はテガソードを持つ手に左手の握りこぶしをぶつけながら言った。

 

「ゴジュウウルフ……ぁ」

 

瞬間、先程まで……正確には寝る前まで行っていた変身遊びの癖が抜けず流れで言ってしまい身体が固まった。

まずい、どうしようこの空気……。

目の前に急に現れて、変身して遠吠えする……発揮を言って異常者でしかないぞこれ。

やった……完全にやった……終わった。

沈黙、誰も何も言わない。

 

その時だった。

 

「……?」

 

遠くの屋根の向こう、少し離れた場所で微かな気配が動いた数秒後。

 

「あおぉ――……」

 

何処からか、応えるように遠吠えが返ってきた。

 

低く、静かで、抑揚の少ない遠吠え。

 

「…………は?」

 

予想外の反応に困惑していると、少し先の屋根から誰かが飛び下りてきた。

白い髪、無表情、ライフルを抱えた俺の頭に着いた耳と同じような耳を着けた少女だった。

 

「ん……呼んだ?」

 

「呼んでねぇ!!」

 

即座に否定する俺の叫びは、夜風にあっさりと流された。

目の前の彼女?は首を傾げる。

 

「でも……狼の声がした。仲間の声のような」

 

「仲間じゃない!!」

 

「……そう」

 

突如として現れた彼女はそう言うと、ウサギ耳を着けた少女達の背後にいる男性に気付くと、男性の元へと走っていく。

そもそも屋根からジャンプしておりて大丈夫ってどうなってるんだよ!?そもそも普通に銃を持ってるのはどう言うことだよ!?

頭のなかで疑問符が大量に浮かぶなか、頭に寿司のネタを着けている中でマグロを身に付けている奴?が呟いた。

 

「……追加戦士だ」

 

「なんだ今の変身!?ミレニアム製か!?カッケー!」

 

「あの技術力ならあり得るな……無口系のクール枠だろ」

 

「ねぇレッド、追加戦士枠なんていつの間に雇ったの?」

 

「玩具も姿も全部が、プレミアム限定っぽい!」

 

ざわつく声。

振り向けば、見覚えのない戦隊スーツ姿の連中が、こちらを指差していた。

そしてウサギ耳?のような物を着けている少女達もまた困惑しておりしきりに背後の男性を振り返り確認していた。

 

「……オオカミ、ですか?先生、新たな敵勢力と思われる存在が現れました。指示を……?先生?」

 

「"アロナ!今の録画してある!?カイテンジャー、五人組だからまさかと予想はしてたけど本当に追加戦士枠が来るなんて!!"」

 

そして男性もまた、五人組の追加戦士の登場(誤解)に子供のように目を輝かせていた。

 

「ち、違う!俺は追加戦士なんかじゃ!」

 

「分かってる」

 

誤解を解こうとした瞬間、気が付けば近くまで着ていたマグロを頭に着けている奴がそう言いながら肩にポン!と手を乗せてきた。

 

「まだ、明かせないんだよな。今は詮索する時じゃない!共に奴らと戦おう!カイテンウルフ!」

 

「絶対に分かってねぇだろ!誰がカイテンウルフだ!俺は戦う気も一緒に戦うつもりもねぇよ!変身したのだって手違いだわ!」

 

「そんなこと言っちゃって!数話後にはデレてくれて一緒に戦ってくれるんだろ?分かってる、分かってるぜカイテンウルフ!」

 

そう言いながら肩を組んでくるマグロの奴の肩から即座に抜け出す。

 

「何がカイテンウルフだ!もしかしてそれはあれか?回転寿司がイメージか!?魚要素ぜろだろ!狼だぞ完全に別作品だろうが!」

 

「"追加戦士なら問題ない!!"」

 

その時、特徴的な白いスーツを着た男性が力強く即答した。

 

「……は?」

 

「シャーレの先生の言う通りだ。追加戦士ってのはな、既存のモチーフと被らない方がいいんだ」

 

「そうそう、別作品感ある方が“格”が出る」

 

「むしろ急に狼が来る方が“追加戦士っぽい”」

 

「玩具も色味も明らかにプレミアム限定枠だしな」

 

「世界観?追加戦士は最初から壊しに来る存在だろ」

 

「くっ……」

 

男の声にうむうむと頷く寿司が乗せられた奴らに反論しようとして、言葉が出なかった。

 

いや……確かに……特撮的には…。

 

「だから、問題ない!」

 

「いや、納得できるかぁぁぁ!!」

 

そう叫ぶ俺は無視するように、回りが動いて行く。

 

「先生、カイテンジャーの制圧ならびにカイテンウルフの制圧で宜しいですか?」

 

「"特撮の追加戦士はだいたい初めて登場したら無双するくらい強い!みんな、気を付けていくよ!"」

 

「ん、私も手伝う」

 

……ああ、ダメだ。

 

これ、完全に俺の話、聞いてもらえないやつだ。

 

こうして俺は、訳も分からないまま“追加戦士”としてカイテンジャーとかいうコイツらと共に目の前の少女達を相手に戦うこととなってしまった。

 





黒影ロウハ
突如としてキヴォトスへ現れた少女。
とある存在によって送り込まれ、
帰還のため“あるもの”を集めているらしい。


ご愛読ありがとうございます

明けましておめでとうございます。
ゴジュウジャーの小説を増やしたいと言う思いと、『テガソードUNI.ver』の小説を見かけなかったこと、カイテンジャーの追加戦士が出たら面白そうという考えから書きました。

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