叛逆の悪魔   作:あめんぼユカイ

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5-2: Showdown in the Train

剥き出しになった天井から、凄まじい風切り音が車内に吹き込む。

 サムライソードは壁を蹴り、姿勢を低く保ったまま、列車の揺れを吸収するように床を滑った。

 

「……舐めるなよ。……さっきまでの俺とは違う!」

 

 サムライソードの姿が掻き消える。

 超高速の抜刀術。一瞬で数十回の斬撃がダンテの全身へ、あらゆる角度から放たれた。それはもはや肉眼では捉えきれない「死の網」だ。

 だが、ダンテは一歩も動かない。

 リベリオンを右手に、左手を軽く構える独特の構え――『ロイヤルガード』。

 キン! キィン! キン!

 激しい金属音が車内に連鎖する。

 ダンテはサムライソードの神速の刃が触れる「刹那」にだけ、左手に魔力を集中させ、最小限の動きですべてを弾き返していた。一撃ごとに、ダンテの周囲で紅い火花が爆ぜ、衝撃波が車内の座席をなぎ倒す。

 

「……。悪くない。……だが、リズムが一定すぎて欠伸が出るぜ」

 

 最後の一撃。サムライソードが全力で放った横一閃。

 ダンテはその刃をあえて掌で「受け」、溜め込んだ衝撃を自らの魔力へと一気に変換(リリース)した。

 

「……お返しだ。とっておきの一撃をやるよ」

 

 爆発的な魔力を乗せたダンテの拳が、サムライソードの腹部にめり込んだ。

 轟音と共に、サムライソードの巨体が隣の車両へと突き飛ばされ、連結部の鋼鉄の扉を紙屑のように歪ませて消えていく。

 

「……。ふぅ。……さて、掃除の時間だな」

 

 ダンテが周囲を見渡せば、銃を構えた黒スーツの集団が、狼狽えながら引き金に指をかけていた。

 その時、列車の屋根がさらに大きく弾け飛んだ。

 

「ギヒャハハハハ! ド派手にやってるのう、ダンテ!」

「おいダンテ! 俺の獲物残しとけよ!!」

 降ってきたのは、血のハンマーを振り回すパワーと、エンジン音を唸らせるチェンソーマン――デンジだ。

 

「……ハッ。……二人まとめてお出ましとは。……賑やかなパーティーになりそうだな、ガキども」

 

 ダンテがリベリオンを回し、挑発するように不敵に笑う。

 だが、その直後、列車の窓ガラスが外側から一斉に割れた。

 

「……。手こずっているみたいね。……『蛇、吐き出し』」

 

 列車の外側、並走するように出現した巨大な蛇の悪魔。

 その口から、死霊のような姿に変えられた公安のデビルハンターたちが、異形の「武器」として吐き出された。

 

「……。死人を使い潰すか。……地獄の沙汰も金次第ってか? ……気に食わねえな、お姉さん」

 

 ダンテの瞳から、余裕の笑みが消える。

 リベリオンを構え直し、本格的な戦闘スタイルへ移行しようとしたその時――。

 

 ――グチャリ、と。

 何百キロも離れた京都の神社から、マキマが「不可視の指」を突き立てた。

 ダンテの周囲にいた黒スーツの男たちが、突如として捻り潰されたトマトのように、肉の塊へと変わっていく。

 

「……。ハッ。……こいつは驚いた」

 

 ダンテはリベリオンを背負うことなく、その凄惨な光景を冷めた瞳で見つめた。

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