叩きつけられたサムライソードが、壁を砕きながら路上へと転がり出る。
ダンテはアイボリーを指先でくるりと回すと、そのまま砕けたガラスの破片を踏みしめて外へ歩み出た。
「……ぐっ、ふざけやがって……!」
サムライソードがアスファルトを蹴り、再び加速する。
今度は単なる突進ではない。左右の刀を交差させ、ダンテの死角を突くような変則的な連撃。だが、ダンテはリベリオンを背負い直すこともなく、片手で振り回すだけでそのすべてを弾き飛ばした。
「左、右、そして……そこだ」
ダンテはリベリオンを盾のように垂直に立て、正面からの突きを受け止める。
そのまま、剣を握っていない左手で、漆黒の銃**『エボニー』**を引き抜いた。
「お似合いのダンスホールまで、エスコートしてやるよ」
至近距離。エボニーの銃口がサムライソードの腹部に押し当てられる。
放たれた魔弾が爆発的な衝撃を生み、サムライソードの体を強引に宙へ跳ね上げた。ダンテは流れるような動作でもう一挺の『アイボリー』も抜き放つ。
空中に縫い止められた標的へ、黒と白の連律が叩き込まれる。
――ドォォン! ドォォン! ドォォン!
一発ごとにアスファルトが弾け、サムライソードの肉体が悲鳴を上げる。
「おっと、着地にはまだ早いぜ」
ダンテは二挺の銃をホルスターに滑り込ませると同時に、右手にリベリオンを呼び戻す。
鋭い踏み込み。リベリオンの先端に紅い魔力が集束し、空間そのものを突き破るような一撃が放たれた。
サムライソードは咄嗟に腕の刀を交差させて防御したが、その衝撃は防ぎきれない。
彼はそのまま何十メートルも後方の路面を転がり、信号機をなぎ倒してようやく停止した。
「……はぁ、はぁ……。貴様……本当に、人間か……?」
サムライソードがよろめきながら立ち上がる。
その背後、路地裏の影から、数人の黒スーツの男たちが銃を構えて現れた。そして、その中央には、長い髪を揺らしながら冷淡な瞳を向ける女――沢渡アカネが立っていた。
「……驚いた。……マキマが警戒するだけのことはあるわね。……でも、これならどう?」
沢渡が自身の爪を噛み切り、鮮血を散らす。
「『蛇、丸呑み』」
ダンテの足元の影が急激に広がり、天を突くような巨大な蛇の頭部が、地面からせり上がるように出現した。
巨大な顎が、ダンテをその身代わりごと飲み込まんと、音を立てて開かれる。
だが、ダンテは逃げるどころか、不敵な笑みを浮かべてその巨大な口を見上げた。
「……。悪趣味なペットだな。……だが、俺の機嫌を損ねるには十分だ」
ダンテはリベリオンを逆手に持ち替え、全身から爆発的な紅い魔力を放つ。
彼の手の中で、リベリオンの鍔にある髑髏が、まるで歓喜に吠えるようにその口を開いた。