旅人の見た幻想郷   作:千思万考

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旅人、ひとまずの平穏に身をゆだねる

 「そう言えば、犬走って天狗が田澤さんに稽古をつけて欲しいそうです。それも明日。全く、いきなり失礼な奴ですよね」

 

 「ん? 射命丸、君は彼女と知り合いだったのか」

 

 「知り合いですって? むしろ私は知り合いたく無かったわ、白狼天狗は無駄に威張り散らす……

  っと、あやや。すいません、お見苦しい姿を。天狗仲間とは言っても相性の合わない者は居るものでして」

 

 「……うん、君の敬語が崩れるんだから相当なんだろうな」

 

 

 吸血鬼異変が終息してから数週間にも及んだ事後処理が終了し、幻想郷に普段の平穏と喧騒が戻ってきた頃。

取材を受けてから会話する機会が増えた射命丸と人里近くの道端で世間話をしていると、彼女は唐突な話題を振ってきた。『べリアル』との決戦前にも一度手合わせをした白狼天狗の少女が、再戦を申し込んでいると言うのだ。

どうも犬走との関係はあまり宜しくないようだが、それでも律儀に伝えてくるのは射命丸の意外に生真面目な面ゆえか。

 

 

 「ふむ、明日か…… 取り敢えず、山に登れば良いのだろうか」

 

 「田澤さんなら哨戒役も追い返したりしないでしょうし、それで問題は無いと思いますよ」

 

 「なら、そうさせてもらおうかな。彼女にこの事を伝えておいてもらえると……いや、何でもない」

 

 

 犬走に俺が申し出を受け入れた事を伝えてもらおうと思ったが、あまり相性が良くないようなので止めておく事にする。

用件を伝える程度なら俺だけでも十分だし、射命丸に犬走への連絡を無理に頼む必要は無いのだ。

 

 

 「おっと、そろそろ時間ですね。すいません、これから取材の予定が入っていますので失礼させて頂きます」

 

 「む、そう言えば随分と話し込んでいたな。悪い、長時間拘束してしまった」

 

 「いえいえ、田澤さんとこうしてお話するのは中々面白いですからね。

  いつも回りがハチャメチャなので、最初から最後まで真面目な話をする相手は結構貴重ですし」

 

 

 色々と予定が詰まっているらしい射命丸を慌ただしく見送った俺は、犬走に手合わせを受ける旨を伝えるべく『扉』を開く。

このまま転移して直接口頭で返事をしても良いのだが、明日の予定を取り付ける為に会いに行くと言うのも何となく二度手間のような気がする。

結局俺は手紙を用意、それで間接的に返事を伝える事にする。一応返信用の便箋も同封した物を簡易な術式で鳥形の式神に変化させ、犬走の元に飛ばす。細かい場所の指定などが返ってくれば、全て向こうの要求を呑むつもりである。

 

 さて、手持ち無沙汰だ。最近何だかんだと常に動き回っていたので、やる事が無くなると暇を持て余してしまう。

久し振りに気を抜きながら人里の様子を見て、ここ数週間顔を見せていなかった上白沢に挨拶でもしていくか。そう考えて人里に歩いていくと、何やら妙に戦々恐々とした雰囲気が漂っている。

 

 

 「妖怪が暴れているなどと言う事は無いだろうが……」

 

 

 見過ごせる訳も無いので足早に雰囲気の中心地へ向かう。しかし近付いてみると、雰囲気の割りに大騒ぎになっている訳でもないようだ。

状況がよく理解出来ないので、近くに居た青年達に事情を聞いてみる。

 

 

 「なあ、君達。聞きたいんだが、人里の雰囲気が妙に張り詰めているのは一体どう言う事なんだ?」

 

 「ん、何だあんた、見ない顔だな……って、仙人様!?」

 

 「あ、ああ。人里に不機嫌な妖怪が来ていまして。今の所特に悪さをする様子は無いんですが、居るだけで心底恐ろしいので……」

 

 

 成程、恐ろしい妖怪が来ているのは確かだが実害は出ていないと。さて、どうしたものか。

はっきり言って人に危害を加えないなら急いで対応する必要も無い訳だが、ここまで来て放置するのも気が引ける。とりあえず会うだけ会ってみるか、それから対応を決めても遅くはないだろう。

 

 

 「事情は分かった。その妖怪の所へ案内してくれ、俺が話を聞いてみよう」

 

 「仙人様が協力してくれるなら俺達も助かります。このまま夜になっても居座るんじゃないかと困っていたんですよ」

 

 「新しいルールに沿う必要が有るとかの理由で、俺達も迂闊に動けずに居たんで」

 

 

 何と、微妙な所に弊害が……いや、普通の人間は妖怪に敵わない事を考えると、下手なちょっかいを出させないと言う点で成功しているのか。

直接的な戦闘を封じているとは言え、人間側から下手に手を出すと妖怪の方でも過剰防衛に出るだろう。……それにしても、仙人様と呼ばれるのは慣れないな。射命丸の取材で適当に答えたのは俺なので、自業自得なのだが。

自分で言った事でも有るし、この際ある程度は『仙人』か『魔法使い』と呼ばれる事は許容しよう。どうせ人間と言っても信じてくれないだろうし。

 

 

 「あそこの、茶屋で団子を食べてる妖怪です。……見てるだけで震え上がりそうでしょう?」

 

 「団子を食べている妖怪……」

 

 

 青年達に案内されたのは、茶屋と言うには些か趣が違う気がする店だった。どちらかと言うと洋風のオープンカフェといった風情で、基本的に純日本風の建物が並ぶ人里では異彩を放っている。

そして、そこに居た不機嫌な妖怪とは……

 

 

 「何だ、風見じゃないか」

 

 「あれ、知っている妖怪なんですか?」

 

 「うむ」

 

 

 青年達に様子を見ているよう伝え、殺気すら漂わせながらティーカップを傾ける風見に近付く。わざわざ人里に来ていると言う事は何か用事が有るのだろうが……何故そこまで不機嫌なのか。

 

 

 「おーい、風見。どうしたんだ、ここで会うとは思わなかったぞ」

 

 「……あら、本当に奇遇ね。私も会えるとは思っていなかったわ」

 

 「相席しても構わないか?」

 

 「ご自由に」

 

 

 直接話しかけると雰囲気がある程度和らいだので、もう少し会話を続けてみる事にする。

風見が座っているのに俺が立ったままと言うのも変なので、許可をとってから俺も風見の向かいの椅子に腰掛ける。

 

 

 「……人里も随分と洒落た店を作ったな。あ、俺にも此方の女性と同じ物を」

 

 

 風見の近くで笑顔を顔に張り付け、硬直していた店員に助け船を出す。

俺のオーダーを受けた店員は一瞬ほっとした表情を見せた後、かしこまりましたと言って店の奥へ引っ込んでいった。

 

 

 「前に、食事は必要じゃないとか聞いた事が有った気がしたんだけど?」

 

 「別に要らないって訳でもない。生きるのに必要ないと言うだけで、嗜好品としてなら楽しむ」

 

 「飲食が嗜好品ね……仮にも人間を名乗っているとは思えないわ」

 

 「そこに突っ込むのは勘弁してくれよ」

 

 

 風見と言葉を交わしながら、さりげなく周囲の状況を確認してみる。

理由は分からないが俺と会話している間は一応殺気が消えているので、大体こんな物で人里の皆も納得してくれるのではないか。

 

 

 「……うん?」

 

 「どうかしたのかしら?」

 

 「いや、何でもないが……」

 

 

 怯えや恐れの感情はだいぶ薄れているようだが、代わりに俺達へ好奇の視線が集まっている。

妖怪と仙人が親しげに話し始めたのだから不思議がるのは分かるが、それにしてもこんな視線を向けられる理由は思いつかない。

と言うか、ここまで不躾に見られているんだから幽香も気付いている筈なんだが。敢えて無視しているのか?

 

 

 「と、済まない」

 

 

 店員が紅茶と和菓子を持ってきたので、一旦思考を止めて紅茶に口を付ける。飛びぬけて美味い訳では無いが、満足出来る味だ。

それにしても紅茶に和菓子を合わせるセンスとは……いや、文化が混然一体とした感じはいかにも幻想郷らしいと言えるか。味も、そこまで酷い組み合わせでは無いし。

 

 

 「あちこち探して、本まで読んでようやく知ったけど。貴方って、固有の拠点が無いのね」

 

 「ん、まあな。魔力を使い過ぎなければ睡眠する必要がない。とは言っても時間が有るなら横になるくらいはしているが……

  どうしても個人的なスペースが必要になったら『扉』を開いてこの空間の中に俺自身が籠れば良い訳だし、実際そうしている」

 

 「そうされると貴方に用事が有る時会えなくて困るのよ。3日前から貴方の家を探していたけど、どこにも見当たらないし。

  人里に新しく出来たって言う茶屋に気晴らしで来たら偶然会えて、今回は良かったけど。次もこう上手くいくとは限らないわ」

 

 

 ……ん? 俺に用事が有ったと言うのも気になるが、もしかして周囲に殺気を振りまいていたのは間接的に俺が原因か?

俺と会話したら雰囲気が和らいだのも、そう考えれば納得出来る。うわ、自覚が無かったとは言え人里の皆には悪い事をしたな。

 

 

 「あ、後で対応策を考えておく。ところで、用事って何だ?」

 

 「……何が有っても今日中にその手紙を読みなさい、分かったわね」

 

 

 居心地の悪さを覚えながらも風見に質問をすると、微妙に顔を赤くしながら封筒を放り投げて来た。

普通に口頭で伝えられると思っていた俺は突然の展開に内心首を傾げつつ、ティーカップを持っていない方の手で封筒を掴む。たったそれだけの動作の内に、風見はさっさと身支度を整え何処かへと飛んで行ってしまった。

 

 

 「怒らせた、訳では無いか。もしそうだとしたら、風見はあんなリアクションをしないだろう」

 

 

 だからと言って他に理由は思いつかないが。強いて予想を挙げるならば、手紙でなければ伝えにくい用事だった、とか。

どちらにせよ、これ以上考えていても仕方がない。当初の目的も有る意味果たしたので、そろそろ上白沢の家に向かうか。どうやら金を払っていないらしい風見の分も俺が払い、未だに続く里の人達からの視線を振り切るように俺は歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うん? 子供達の声が……ああ、寺子屋で授業の時間と言う事か。それは想定していなかったな」

 

 

 上白沢の家まで行くと、賑やかな声が聞こえてくる。所々漏れてくる言葉の内容から判断するに、どうやら授業中なのだろう。かなり盛り上がっているようだ。

うーん、授業している中に入って行く訳にもいかない。今日の所は出直すべきか、特に明確な目的が有って来た訳では無いので今すぐに会う理由も無い。

 

 

 「おや、そこに居るのは田澤殿ではないか。人里に来ていると言う事は、もう忙しくは無いのでしょうか?」

 

 「上白沢? あれ、俺はてっきり君が授業をしているのだと思っていたんだが」

 

 

 考えながら今日は帰ろうとしていた所、後ろから声をかけられる。振り向くと、そこには何かの袋を抱えた上白沢が立っていた。上白沢は寺子屋の中に居るものだとばかり思っていた俺は少し驚いて、続けて彼女に問う。

 

 

 「何やら寺子屋が賑やかだが、誰か居るのか? 子供達だけで盛り上がっているようには感じられないんだが」

 

 「この時間は妹紅に教師役をお願いしてあるのです。私は空いた時間を利用して皆の為に菓子を買う事にしている。

  私が授業をするよりも妹紅に任せる方が喜ぶし、こういった所で気を利かせておかなければ親御さん達に申し訳が立たないですから」

 

 

 そう言って茶化したように笑う上白沢は、少し悲しそうに見える。そして彼女の思考回路も、ある程度は見当が付いた。

真面目な性格が影響してつい授業が硬い物となり、子供受けが悪く、真面目な性格故それを深刻に受け止める、と言った所か。子供が勉強を嫌がるのは何処の時代何処の世界においても共通だと思うし、全ての責任が上白沢に有るとは思えないが。

 

 

 「普通に勉強させるよりも大切な事を上白沢はやっているだろう。俺は少ししか見ていないが、あの子供達は活き活きしていた。

  それは上白沢が皆に慕われ、互いに良い関係を築いているからの筈。子供が道を違えないよう導く、それが教師の本分だ。まだ自分勝手で、我が侭な子供達に対しての道徳的教育。それが出来ているなら教師として不足な部分なんか無い」

 

 

 思わず上からの目線で長々と話してしまったが、俺が思うのは大体こんな所だ。

はっきり言って授業自体は教師にとって二の次だと思う。教師に限らず大人は子供に対してそれさえ教える事が出来れば良い。知的向上心の高い子供は自分から興味のある事を調べたいと思う物だし、その時改めて知識を与えてやれば良いのだ。

……まあこれは理想論であって、社会構造的にはそれだけだと結構な不都合が出る。幻想郷ではともかく、外の世界では声高に主張出来ない事だ。学歴・情報化社会でそんな事言ってたら世間に置いて行かれてしまうだろう。

 

 

 「そう来ましたか。あまり考えた事は無かったな、私にとってそれはやって当たり前の事です。

  その先が出来なければ教師失格だと思っていましたが……少しだけ、気が楽になった。力を入れ過ぎず、心持ちを変えて取り組んでみよう」

 

 「そうして自然体で居ればいつか結果は出てくるさ、一人で悩み過ぎないようにな。

  そもそも子供は基本的に遊び好きなんだ、いきなり真剣な態度を期待するのは良くない。今更君に言う事ではないが」

 

 「頭では理解しているのですが、皆の白けた雰囲気が漂う中ひたすら授業を続けるのは中々辛い。

  賑やかな声や質問の絶えない妹紅の授業を見ていると、とても居た堪れない気持ちになるものです」

 

 「だったら妹紅の授業と自分の授業を比べてみて、何処がどう違うのかを確かめてみるんだ。

  足りない物を自分なりに足していって、その都度改良していく。子供達から君に出された宿題だと思え」

 

 「ふふっ、宿題とは。田澤殿も口が回りますね、焦らずにしっかりと解いていく事にします。……世話をかけましたね、寺子屋で休んでいきませんか?」

 

 「いや、遠慮しておくよ。俺が居ると子供の気が休まらんだろうし、君も俺に時間をかける訳にはいかないだろう。

  俺の出しゃばった弁えない言動も話半分に受け流してもらっていい、『年寄りと釘頭は引っ込むがよし』と言うしな」

 

 「『年寄りの言うことと牛の鞦は外れない』とも言う。それに、田澤殿は十分に若い」

 

 「見た目は、だけどなあ」

 

 

 『俺』の実年齢と比べたら、誰もが若いとかいうレベルではなくなる。数百や数千年なんて誤差にもならないくらいだし。

 

 

 「それじゃあな、上白沢。そろそろ戻る事にするよ」

 

 「後少しも待てば妹紅の授業は終わります、久し振りに顔を見せていっても良いのでは?

  ……それと、前々から気になっていたのですが。戻ると言っても、一体何処へ帰るつもりなのでしょうか」

 

 「あまり頻繁に、それも寺子屋の子供達の近くで会うのは色々問題が有りそうだ。またいつか会いに行く事にするよ。

  そして戻る場所と言うのは予め幾つか目を付けておいたポイントだ、その日の気分で場所を変えて野営をする。……阿求ちゃんにも似たような事を聞かれたし、そろそろ考え直すべきだろうか」

 

 「……漂白の旅人と言うと聞こえは良いが、必要に迫られている訳でも無いのだし家を持った方が良いと思うのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと遊覧飛行を楽しみながら、紅魔館近くの小高い丘までやってきた。ここが今日の野営地だ。ある程度周囲を確認した後、『扉』を開いてテントを設営する。

 

 

 「……ここまでテント泊に執着するのも確かにアレだな。やはり俺は本質的に旅人のようだ」

 

 

 もし固有の拠点、家を持ったとしても自然豊かな場所にしたい物だ。

俺にとって長距離移動は何の苦にもならないし、人里離れた場所に建てても弊害は無い。……俺に会いたいって人には迷惑か、今日の風見とか。

 

 

 「別に今すぐ建てる訳でもなし、そこは追々考えていこうか……ん、式神が戻って来たな」

 

 

 眼下に広がる霧の湖を眺めながら独り言を呟いていると、犬走からの返信が来た。早速読み、内容を確認する。

場所は前回手合せをした広場、時間は正午ほど、怖いので妹紅は連れてこないで欲しいとの事。特に不都合は無いな。

さて、風見から渡された手紙も読まなければならない。果たしてどんな内容なのか。

 

 

 「4日後私の花畑に来なさい。異論は認めない、か。まあ良かろう、ここらで異変の時の感謝も込めて……」

 

 

 そこで、大変な事に気付く。風見の手紙で指定されている日付だが、彼女はこれを渡す前『3日前から探していた』と言った。

3日前から数えた4日後となれば当然明日な訳で、更には異論は認めないとまで書かれている。あ、あれ? 不味くないか、コレ。

 

 

 「いや、文面通りに受け取るのが正しいのかもしれん。何も深読みする必要は……

  しかし『何が有っても今日中に読め』と言っていたのが、明日読んでも遅いって意味にも取れる……」

 

 

 どうする、今から確認に行くか? いや、口で言えば良い所をわざわざ手紙で伝えてくる気合いの入れようだ。

下手に雰囲気を壊すような真似をしたらどんな事になるか分かった物じゃない。かと言って見なかったフリは最悪な対応だろう。今度こそ人里が大変な事になってしまうだろうし、俺の信用が消える。

 

 

 「犬走も相当喜んでくれてるみたいだし、今更やっぱり明日は無理とか言えないぞ。俺の方から受けると言っておいて……」

 

 

 ま、まさかのダブルブッキングとは。明日は一体どうすれば良いのだ、下手な行動は取れないぞ。気楽な気分はすっかり消え去り、テントの中で一人焦り始める俺。

必死に各種行動予定の調整を開始する事数時間、午前中に風見との花見を終わらせ、午後は犬走と手合わせをする。これがシンプルにして最善な方法だろうと結論付けた。

下手に誤魔化しを掛けても各々違う方向に厄介そうな二人なのだ、そもそも俺が原因である以上約束を違える訳にはいかん。

 

 

 「とは言っても、実際の日程はキツイ物になるだろうな…… 風見が普通に一日花見するつもりなら最初から躓くし」

 

 

 風見が午前だけで満足してくれるかは微妙な所だ。

その場に立たないと実際の所は分からないが、状況を見て雰囲気を山の散策に持っていく事も視野に入れよう。正直に事情を話して直接頼み込むのも一つの手か。

 

 

 「出来る限りは風見を午前中に満足させる方向で行こう。まずやるべきは、会話の想定か……」

 

 

 風見の性格や予測される花見の状況を仮定し、頭を目一杯に動かして行動の推移を想定。

想定される出来事においての最善な反応を模索、脳内に明日の花見時のマニュアルを書き上げていく。十数分程で一通りの擬似的な未来予知を終え、対策を完了させる。

 

 

 「……犬走の方が長引くのは別に支障も無いし、そっちはあまり綿密に計画を立てる必要が無いな」

 

 

 とりあえず大まかに流れを想定していく程度で十分だろう。

時間を有効に使う為明日は結構早い時間帯から幽香に顔を見せるつもりだし、後は時間が来るまで調整を続けていよう。やり過ぎて困る事ではないし、そもそも他に差し迫った事が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝日が登り妖怪の徘徊する暗闇が徐々に薄れていく時間帯、つまり早朝。俺は早々と出立の準備を整え終えていた。

はっきり言って人間を訪ねに行くなら非常識極まりない時間帯だが、風見は妖怪。人間の昼夜と言う概念はある程度まで度外視出来る。

人間が太陽の出ている時間を行動するように、妖怪達は月の満ち欠けを基準に行動する。物凄く乱暴に単純計算すれば、これは人間の一日を1ヶ月に引き延ばしたようなものだ。満月の時期が日中、新月の時期が夜中と言った所だろうか。

 

 既にテントその他は収納済み。朝日に向かって何となく願掛けをしてから飛び立つ。

妹紅と共に巡った事で既に幻想郷の大体の立地は把握しているし、何より風見の拠点には鮮烈な印象が残っている。場所を忘れる筈もない。

上空へ移動し向日葵の群生地を見付け、そこを目的地として飛行する。近付いた所で低空から向日葵畑を確認していき、前回は訪れていない風見の家らしき建物に到着する。

 

 

 「風見、田澤だ」

 

 

 今一度軽く服装を確認し、適度に引き締めた表情で風見の家の呼び鈴を鳴らす。曲がりなりにも男性が女性の家に行く訳だし、身嗜みや見た目をだらしなくしてはマナー違反だろう。

 

 暫く玄関の前で待っていると、家の中の気配が扉の前まで移動してくる。

 

 

 「思ったより早かったわね。日が出てすぐの頃合いだけど…… 期待してくれたのかしら?」

 

 「その思わせ振りな表情は何だ……まあ、君との花見については楽しみにしているさ。

  最近外の世界から自然は消えていく一方でな、ここまで壮観な花畑を見れる機会なんて無かったのだ」

 

 「私の向日葵達を褒めてくれるのは嬉しいけど、まだまだ他の場所にも見事な花は咲いているのよ。

  今日は色々見せてあげるから、その目に美しさを焼き付けると良いわ。貴方なら私のお気に入りを汚さないでしょうし」

 

 

 風見は俺の返答に気分を良くしたのか、軽い笑顔を見せてくれた。……うん、やっぱりこのくらいの笑顔が似合っているな。

 

 

 「でも少し待っていて頂戴。流石にもう少し遅く来る物だと思っていて準備が終わっていないの。

  紅茶くらいなら出す余裕が有るし、入りなさい。せっかく来てくれたのに外で待たせるのも悪いし」

 

 「ではご厚意に預からせてもらうよ、風見」

 

 

 靴を脱ぎ風見宅に足を踏み入れる。意外にも見える範囲に花は飾られていないが、何かしらの主義でも有るのだろうか。

案内されてリビングに入り指示された通りに椅子へ腰掛けると、風見が紅茶と茶菓子を用意してくれた。何やら昨日の事を思い出させるセットである。

 

 

 「これでも食べて待っていて。一応、店の物より気持ちは入っている筈よ」

 

 「それは有り難い」

 

 

 そのまま風見は部屋を出ていき、リビングには俺一人となった。紅茶と茶菓子は早めに頂いておこう。

カップを持ち上げ口を付ける……と、ティーパックを使っている訳ではないんだな。まあ、ティーパックに限らず加工食品の分類に入るような物は幻想郷において珍しいのだろう。

しかし個人宅の紅茶で茶葉を使っていると、かなりの本格志向に思えてくる。本当に微妙な所でも文化に差異が有るものだ。……おっと、変な感慨に浸っていないで飲もう。

 

 

 「ふむ。この匂い……アッサム辺りか?」

 

 

 紅茶に造詣が深い訳では無いので、完全に当てずっぽうだが。美味い、それで十分だな。

昨日の店では風見への対応に集中していた為にあまり味を覚えていないが、それを考慮してもこれは美味い部類。不味いと予想していた訳では無いが、良い意味で想定外だ。

 

 

 「茶菓子も紅茶に合うし、凄いなあ。個人経営の店でも開けるんじゃないか」

 

 「それは褒めすぎ、いくらなんでも本職には敵わないわよ」

 

 「む、準備は終わったのか」

 

 

 独り言のつもりだった言葉に返答が来て、内心恥ずかしくなりつつ顔を向けると……

 

 

 「ええ、本当はもう少し時間をかけたかったけど。来ているのに待たせるのも悪いから、ある程度妥協したの。……どこが変わったか、分かるかしら?」

 

 「髪がふんわり気味になった事、香水を使った事……悪いが、後は分からん」

 

 「それで合ってるわ、上出来よ。……でも、要素を並べると本当に少ないわね。今更だけどもっと本腰入れた化粧が必要かも」

 

 「君は素材が良いんだ、必要以上に手を加えなくても。俺としては素でも問題無いと思うんだが」

 

 「私が気にするの。……まあ、そう思ってくれてる事については礼を言うわ。さ、そろそろ行きましょ」

 

 

 促され、失礼でない程度に飲食のペースを速める。数分も経たない内に片付け、二人で家を出る。

 

 

 「まずは此処の向日葵達からよ。とは言っても来る時にじっくり見ていってくれたみたいだけど」

 

 「ん、確かにその通りだが。何故分か……ああ、向日葵に聞いたのか」

 

 「そう言う事。でもこの子達の映えるポイントは見付けてないみたいね。着いて来なさい」

 

 

 風見に先導され、家の前の広大な向日葵畑を突っ切って進んでいく。

俺達が近付くと勝手に向日葵が避けるのだが、これは風見が操作しているのかそれとも向日葵自身が動いているのか。地味に気になる。

 

 

 「ほら、此処の岩に座って見回してみて。風に揺られる向日葵がまるで金色の絨毯のようでしょう?」

 

 「おお……」

 

 

 花については目が肥えているであろう風見が一押しするだけあって、それは感動さえ覚える光景だった。

派手ではあるが決して嫌味は無い金色。さながら高級な毛織物のような質感。所々に見える緑色も品の良いアクセントになる。これだけでも風見の誘いを受けた甲斐があると言うもの。

 

 

 「ふふっ、気に入ってくれたみたいね」

 

 「当然さ、この向日葵畑にケチを付ける奴が居たら俺はそいつの美意識を疑う」

 

 「まだ次も有るわ、今からそんなに驚いていたら身が持たないわよ?」

 

 「実に楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これでこの季節の花は全部巡ったわね。次はどうしようかしら」

 

 「風見、俺は妖怪の山に行こうと思っているんだが……」

 

 

 その後も幻想郷各地を巡り、様々な花の名所を風見と共に眺めた。

一つ一つが人を惹き付けるに足ると言うのに、それを連続して複数も見る事になり俺は非常に感動した。その為か風見との会話で予定に無い事を口走ったりもしてしまったが、大体は昨日立てた計画通りに進んでいる。

 

 

 「うーん、そうね…… このまま家に戻ってまたお茶にでもしようかと思ってたけど、その方が面白そうだわ」

 

 「……そうか」

 

 

 ……しかし、このパターンはあまり歓迎すべき物ではない。風見が此処で離れてくれるのが理想だったんだが。

まあ予めこの展開にも行動は定めてある。この状況が回避出来ないなら角を立てないように振る舞うのみだ。

 

 今度は目的地を妖怪の山とし、風見と共に飛行して向かう。

今から同行を断るのは無理が有りすぎるし、風見の機嫌が良くなっている現状なら頼みも幾分やり易い。そんな小賢しい事を考えながら山へ接近すると、どこからともなく帯刀した白狼天狗の少女が現れ俺達を呼び止める。

 

 

 「待て! この山は部外者の立ち入りは禁じられている、これ以上の接近は許さん!」

 

 「吹き飛ばしましょう、田澤」

 

 「ま、待て待て。幾らなんでも喧嘩腰に過ぎるぞ。……俺は田澤昴、白狼天狗の犬走から何か聞いていないか?」

 

 「犬走から? 確かにあいつは強い人間がどうとか言って何やら騒いでいたが……お前がそれか」

 

 

 高圧的に命令してきた天狗に対し躊躇なく攻撃しようとする風見を止め、犬走と自分の名前を出してみる。

すると少し考える素振りを見せた後で納得がいった風な表情になり、俺の体を無遠慮にじろじろ確認する少女。

 

 

 「噂で聞いていた姿とも合致している。一応警戒は解いてやろう、だが犬走に確認させるまでは私が監視するぞ」

 

 「それくらいは構わない。後、此方の女性についてだが……」

 

 

 条件付きとは言え山に入る許可を貰ったので、次に風見への対応を聞いてみる。

風見に視線を向けた少女は、最初こそ見下したような顔だったが……みるみる顔を青くさせ縮こまってしまう。

 

 

 「あ、えと…… 先の争乱で大変な尽力をなさってくれた風見幽香、さん?

  貴女は、はい。失礼の無いように扱うよう上からも言われてますので……」

 

 「失礼の無いように、と言うなら田澤への監視も外してほしいのだけどね?」

 

 「す、すみません! ですがこれは規則ですので…… あ、後、私が居ないと犬走の所へ案内出来ませんよ!」

 

 「ほら、この子もこう言っている事だし俺は気にしていないからさ」

 

 「私はただお願いしていただけなんだけど…… 田澤がそう言うなら私が気にするのも変な話ね」

 

 

 どうやら狭い範囲にしか名の通っていない俺と違い、風見は文句なしの有名人だったようである。どんな方面で名が広まっているかも、おおよそ見当のつく反応だが。

他者を威圧する笑顔で『お願い』する風見を宥め、急に大人しくなった少女の案内で山を進んでいく。

 

 

 「……それにしても、射命丸の新聞に写真付きで載ったからもう少し顔が広まっていると思っていたんだが」

 

 「射命丸様の新聞に? へえ、今度からあの人の新聞も読んでみようかな……皆は面白くないって言うけど」

 

 

 山の妖怪達を見ている内に個人的な疑問が浮かんできたので呟いてみると、予想していなかった反応をする少女。この反応から察するに、射命丸の新聞ってあまり人気が無いんじゃ……意外だ、独自の考察とか有って興味深いのに。

それともその考察自体が興味を引かれないという事なのだろうか。有り得るな、天狗はゴシップ好きと言うし。俺から見たら射命丸の新聞も相当主観的だが、最初から最後までそれで突っ走らないと新聞と見なされないとか。……何か不憫だな。

 

 

 「少なくとも田澤も私と同じ程度には活躍していたでしょうに、妖怪は良くても人間の名は広めたくないのかしらね」

 

 「……別に、名を広めたくてやった事でもないけどな」

 

 

 そんな会話をしながら飛んでいると、辿り着いたのは見覚えのある広場。……案内してくれた少女は、役目を終えたと判断したのか一目散に離れていった。余程風見が怖かったらしい。

 

 

 「あ、田澤さん! お待ちしておりました、どうぞ此方へ!」

 

 「やあ、久しぶりだな。そっちは準備万端のようだし、早速始めるかい?」

 

 

 黙々と剣を振るったり盾を構えたりの訓練をしていた犬走が俺に気付き、手を止めて挨拶してきた。

そのまま俺も挨拶を返し、犬走の様子を見てみる。適度に体は温まっているようだし疲労も見えない。ならばと早速開始を提案してみる。

 

 

 「はい、お願いします! 今回こそは一太刀入れて見せますよ!」

 

 「その意気だ」

 

 

 相対した状態で互いに距離を取り、大きく間隔を空ける。使用する武器は、前回と同じく魔力剣の二刀流で良いだろう。

 

 

 「その二刀……何としてでも突破しますよ」

 

 「やってみせろ、犬走」

 

 「ええ、行きますっ!」

 

 

 突然体勢を低くし地を這うような軌道で接近、その勢いを殺す事なく肉厚の片手剣を振るう犬走。

俺の視界から一瞬消えた事と高速接近が合わさり、まるで瞬間移動のような挙動から放たれる斬撃は凄まじい。二刀を使って何とか受け流し、その勢いを逆に利用して後方へ突き飛ばす。

 

 

 「わっ、とと。今までで一番自信がある攻撃だったんですが……」

 

 「今のは普通に誇って良いと思うぞ。尤も、まだまだ成長の余地はある筈だが」

 

 

 一撃の鋭さという点では美鈴にも迫る物があると思う。とは言っても迎撃への対処など、総合的にはまだ甘い。

内心そのような評価を下しつつ犬走の次の行動を注視していると、今度はどっしり構えて動かなくなった。これはカウンター狙いか、犬走の眼の良さと反射神経ならば確かに無謀ではない選択肢である。

 

 

 「さて、これをどう防ぐ?」

 

 

 先程とは立場が変わり、俺が攻撃を仕掛ける側となる。突進しつつ体を傾け、時間差で二刀を叩き付ける。

犬走は片手剣の刀身を滑らせるように俺の初撃を受け流し、続く二撃目は盾を使い俺の予想していなかった行動で迎撃してきた。

 

 

 「……っ、力任せで来たな」

 

 「やあああぁぁぁぁ!」

 

 

 犬走は盾を構えて体当たり、俺の振るった魔力剣を力任せに弾く。そのまま俺の腕ごと押し返す形で踏み込み、俺の懐へ潜り込んでくる。

いくら犬走が妖怪であるとは言え、身体能力を強化している俺が一方的に押し負ける事は本来ならば無いのだが……流石に全力の体当たりを片手で押し返すのには無理が有るようだ。

 

 何とか距離を取ろうとする俺へ追いすがり、犬走は何度も片手剣で斬撃を仕掛ける。

長身の俺と小柄な犬走、密着しそうな距離かつ得物もコンパクトとなればどちらが有利かは言うまでもない。間合いのせいで俺は満足に魔力剣を振るえず、体捌きで犬走の高速連撃を回避し続ける事を余儀無くされる。

 

 

 「ちぃ、恨むなよっ!」

 

 「っ!?」

 

 

 これ以上の回避は俺が不利になるだけと判断し、反撃に作戦を切り替える。

二刀を体の前でX字を作るように交差させ、犬走の連撃を受け止めた一瞬の隙に全体重をかけて突進。丁度、先の犬走の迎撃をそのままやり返す形だ。

 

 

 「わわっ」

 

 「受け取れっ!」

 

 

 追加で注ぎ込んだ魔力による、更なる身体能力強化までかけた俺の体当り。体格差も有って後方に大きく弾き飛ばされた犬走に、右手の魔力剣を投擲する。

直接手に持って振るわれる際とは比べ物にならない威力だが、仮にも武器による攻撃である。防がない訳にもいかず、犬走は苦渋の表情を浮かべ盾で防御。

その合間に上空へと飛び上がっていた俺は、落下の勢いも込めて残った魔力剣による大上段からの袈裟斬りをかける。魔力剣の投擲に気を取られていた犬走は、一息つく余裕もなく続けて防御。不安定な体勢で二度も攻撃を受けた為に、完全にバランスを崩して決定的な隙を晒してしまう。

俺はその隙を見逃さず、すぐさま首筋に魔力剣を突き付け告げる。

 

 

 「ここまで、だな」

 

 「……参りました。相変わらず、凄いですね」

 

 

 犬走が負けを認めたので、魔力剣を消失させて戦闘を終わりとする。中々荒削りだが、犬走は光る物を持っている。

今回の勝負の決め手となった体格差による筋力の問題も、妖怪と言う種族の事情も考慮すれば技術で幾らでも補えるレベルだろう。事実、間合いの内側に踏み込みさえすれば小柄な方が有利なのだし。

 

 ……そんな事を考えていると、先程から無言だった風見が口を開いた。

 

 

 「やけに展開が急だと思ったけど、そう言う事。さっきの天狗も気になる事を喋っていたし、最初から約束があったという訳ね?」

 

 「あ、あー。これはだな……」

 

 

 当然と言えば当然だが、風見には事情を悟られてしまったらしい。もはや誤魔化す訳にもいかないので、素直に頭を下げて謝ろうとすると。

 

 

 「別に怒ってる訳じゃないわ。貴方の予定を確認しなかった私にも責任は有るし、今のも丁度良い余興にはなった。

  まあ、次も気が向いたら貴方を誘うから。その時はしっかり計画を立てて、私の気が済むまで付き合ってもらう。悪いと思っているなら、当然そこで清算してくれるわよね?」

 

 「……お手柔らかに頼む」

 

 

 思ったほど悪い展開にはならなかった物の、何だか余計深みに嵌まった気もする。身から出た錆なので、俺が何かを言える立場でも無いが。

 

 

 「と、言う訳で。犬、今度は私が借りるわよ」

 

 「え、私もまだ田澤さんと手合わせがしたいんですが…… 後、犬じゃないんですけど……」

 

 「十分楽しんだでしょ、それに何回やっても結果は変わらないわ」

 

 「今すぐには田澤さんに敵わない事は私自身がよく分かってます! でも、過程が大事なんです!」

 

 「一人で骨でも振ってなさい」

 

 「……うぅ、田澤さんが連れてくる女性は怖い人妖ばっかりです」

 

 

 この二人は結局こうなるのか。とは言え、風見も犬走も一応は満足してくれたみたいだし。終わり良ければ、と前向きに考える事にしよう。

しかし、二度と今回のような事が起こらないようにしなければ。今は上手く乗りきったからと言って、次も上手く行くとは限らないのだ。もう一回こんな綱渡りをする気にはなれないし……

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