転生探索者が体験する様々なシナリオをボンゴレ10代目ファミリーを巻き込んで攻略する話。

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気分転換作品です。
多分続かないやつですね。
クトゥルフ神話TRPG面白そうなんですけどね、敷居が高そうでちょっと手が出ない。


転生探索者が巻き込むボンゴレ10代目ファミリーのSAN値直葬紀行

 気づいた時、自分は自宅から全く別の場所に居た。

 宇宙の中心にある領域。

 下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と呪われたフルートのかぼそき単調な音色の只中、それを聞いて揺蕩うのは盲目白痴たる万物の王。

 この世の全ては彼が見ている夢の中の話に過ぎない、という話もあながち間違いではない。それだけの力を持っているし、もし本格的に目覚めればこの宇宙は物理的に滅びる事になるだろう。

 そんな魔王を背に立っているのは王冠を被った小さな女の子だった。

 何故こんな場所に女の子が居るのか、という思ってしまう。が、すぐにそれが間違いである事を思い知らされる。この少女は背後にある盲目白痴たる魔王のアバター、あるいは分霊と言っても差し支えない存在。

 即ち、彼女は未だ夢を見続けている魔王の意思の代弁者でもあるということだ。

 

「――――まあまあ、そんなに畏まらなくても良いよ。ここに在る私はきみと話す為にあるのだから」

 

 魔王たる少女は警戒、そんなものをしても無意味だとは思うが、恐怖に震える自分に優しく語り掛ける。

 何故、自分にそんな優しく接するのかわからない。

 彼女は原初の混沌、人間の命等吹けば飛ぶような大災害に等しい存在だ。

 仮にこの世界が彼女の夢では無かったとしても、目覚めるだけで世界を滅ぼす力を持った神が自分に対してそんなに優しくする理由が無いのだ。

 

「別に不思議な事じゃないよ。私はきみの物語を見ていたいと思っているのだからね」

「物語…………」

「所詮異世界転生ってやつだ。好きだろう?」

 

 勿論、大好きだ。

 ただそれを自分が味わうことになるのは別の話だが。

 

「なぁに、安心したまえ。きみの来世はこれを参考にさせてもらおう」

 

 そう言って取り出したのは見覚えのある紙を見せびらかす。

 

「そ、それは自分が作ったキャラシ…………!」

 

 振り直しが許されてる身内卓で作成した、酔って作った自重無しおふざけまくりのAPP18*1の金髪ハーフ美少女高スペックPCのキャラシート。

 結局身内で一回しか使っていない悪ふざけ用の黒歴史を何故彼女が持っているのか――――等という疑問は今この場では思い浮かばなかった。

 と、いうかこのままだと自分は転生するのか。

 多分クトゥルフ神話TRPGな世界に。

 すっげぇ嫌だ。

 

「実際にダイスを振るわけではないがね、きみの運命は色々と愉快な事になりそうだ」

 

 しかも魔王様公認でダイスの女神*2が大暴れした時くらいの運命が待っているらしい。

 

「きみの描く物語でどうか私を楽しませてくれ」

 

 にっこりと純粋無垢に笑む彼女に恐怖を覚える。

 多分、彼女は一切悪意を持っていない。だからこそ邪神なのだ。

 

「さあ、行きましょうか」

 

 そして何時の間にか背後にいたアホ毛の生えた銀髪の碧眼美少女が自分を扉に連れて行こうとした。

 間違いない。彼女は這い寄る混沌、それもここに居るのは最も日本人が知っている姿だ。

 ただ中身に関してはあまり期待出来ない。

 

「あそこが貴女が転生する世界に繋がっている扉です。さあ、人間達が考えた沢山のシナリオが貴女を待っていますよ」

 

 這い寄る混沌が告げた扉の真上には四つの色で構成された円、所詮現代アート先輩とよばれるものが、そして扉の両隣には某野獣先輩の石像が鎮座していた。

 

「いやだぁあああああああああああああ!!」

 

 あの扉の先は間違いなく地獄だ。地獄を超えた地獄としか言いようのない世界になる。

 何が悲しくて淫夢とクトゥルフ神話TRPGのコラボレーション、クロスオーバーな世界に行かなくちゃいけないんだよ。

 現実なら兎も角淫夢ワールドの住人なら神話生物だって掘りかねないぞ。

 そんな光景を直視したら間違いなくこっちのSAN値が直葬するわ。

 

「大丈夫ですって。先に行った人達だって元気でやってますよ」

「ちなみにその先人達ってどうなりました?」

「大丈夫、彼等も馴染んでますから」

 

 いや、馴染んじゃダメなんだよ。

 馴染んじゃったらこっちの正気が消えうせちゃうんだから。

 でもこのままだとどう足掻いても淫夢クロスクトゥルフな世界に転生してしまう。

 そう思った時、自分の手の中に一冊の本がある事に気付く。

 そういえばここに来る前、本を読んでいたんだった。

 

「ええい! ままよ!!」

 

 この状況を回避する為に唯一出来る事、手に持っていた本を現代アート先輩目掛けて思いっきり投擲した。

 何故そんな事をしたのか理由は分からない。だけど僕の直感がこの状況を変えるにはこれしか無いと叫んでいた。

 そしてその予測は大当たりだったようで現代アート先輩に本が当たった瞬間、両隣の野獣先輩の像が消え失せる。

 変わりに扉全体の色が変化し、現代アート先輩の代わりに自分が投げた本が収まった。

 

「あー、良いんですか? こんな事をしちゃって…………探索者は貴女一人しか居なくなりますよ?」

「少なくとも淫夢ワールドに転生するよりはマシ」

 

 それに探索者が味方とは限らない。

 残念な事に狂信者だったりボマーだったりガチホモレイパーだったりルーニーだったりラスボスになったり、そんな一癖も二癖もある連中が多い筈だ。

 何故そんな事が分かるのか? 私自身も間違いなくやらかすと断言出来るからだ。

 そしてダイスの女神は普通の探索者よりもそんなイかれてる狂人に力を貸す。良くも悪くもそういった連中の方が面白い事になるからだ。

 

「漫画の世界もそう大差無いと思うんですけどね。それよりも貴方様は良いんですか?」

「構わない。ここのところマンネリ感もあったのは事実だし、それにこういった事も面白いかもしれないからな」

 

 溜め息を吐く這い寄る混沌は最後に僕を見て一言呟く。

 

「一応言っておきますが貴女を待っているのは数多の人間が作り上げたシナリオ。それは変わりませんからね」

 

 その言葉を最後に自分は背を押され、扉の中に入ってしまい意識を失った。

 

   +++

 

――――と、いうのを思い出したのがついさっきの出来事。

 

 どうやら自分はあの時ぶん投げた漫画の世界『家庭教師ヒットマンREBORN!』の世界に転生を果たした。

 何故、この世界がそうなのだと分かるのかと聞かれればあの邪神ズがそうだと断言したからだ。と、いうわけではなく幼稚園で沢田綱吉という子どもと出会って前世の記憶を取り戻したからだ。

 はい、原作主人公ですね。

 てかよくよく考えると淫夢ワールドも嫌だけどリボーン世界もそれなりにモブに厳しいから彼に関わると酷い目にあいそうだ。彼の周囲に入り込めれば命だけは助かりそうだけど、それはそれとして酷い目にあうのが確定している。

 未来編なんか非戦闘員も命の危機に晒される場面もあり、彼の関係者ということだけで始末されるなんて事もある。

 なら関わらない方が吉である――――と、いうわけにもいかないのだ。

 何故なら今生の身体は自分が前世で作ったキャラシが元になっているのである。

 その時に作った設定で『優れた容姿を持ちながらもその内面は反比例するかの如く下水煮込み、あるいは他者の不幸は密の味を地でいくカス。他者の不幸を見る為なら自分の命すら惜しくない』という性格にしてしまった。

 結果、前世で培った常識を以てしても制御できない程の衝動を持ってしまった。

 戦いを望まない性格なのに血で血を洗う陰惨な戦いの舞台に引きずり出される心優しい少年、それを間近で見ないなんていうのは凄く勿体ない。遠くから騒動を眺めているだけではダメだ、可能な限り晴れ姿を間近で見ていたい。

 原作知識というこの世界の未来の知っているが故に沢田綱吉というこの世界の主人公に対する好感度は本人が望むそれとはかなり異なるものの異常に高かった。

 加えて邪神ズの影響で自分は数多の人間が作り上げたシナリオが待っているという。

 その言葉だけでこの先何が待ち受けているのかも理解した。それならばこの世界の主人公も巻き込んでしまえば良い。

 なぁに、日常編や原作前のちょっとした平穏が失われる程度だ。

 そう思った転生者は主人公に対し話しかけた。

 

「初めまして、よろしくね」

 

 これが転生者である少女とこの世界の本来の主人公との出会い。

 この出会いを切っ掛けに沢田綱吉の運命は、彼を含めた全員の運命は大きく捻じ曲がる事となる。

 

   +++

 

「これは…………なんだ?」

 

 リボーンから見た沢田綱吉は前の教え子であるディーノよりもダメダメな生徒だとしか思えなかった。

 事前情報だけでも分かるのは学校での授業態度も悪く、交友関係も上手くいっていないとのことだ。それでも友達が居ないわけではない、が数少ない友人が全員女なのは別の意味で心配である。

 後継者には困らないかもしれないがお家騒動になるのだけは勘弁だ。

 そう思いながら生徒となった沢田綱吉に案内され、彼の自室の中に入る。

 そこで見たものは何処にでもあるような普通の中学生男子の部屋だった――――ただ一点、本棚に並べてある本を除いては。

 本棚に並べてあるものは上の方は漫画本等年頃の子どもが持っていてもおかしくないものだ。

 しかし一番下にある本は明らかにおかしかった。

 どれもこれもが日本語以外の言語で書かれているであろう、年代を感じさせる代物だった。

 そしてその中にある一つの本は、人の皮で装丁されたものだったのだ。

 

「何で人の皮で装丁された本なんかを――――」

「それが人の皮で作られたって分かるんだね」

 

 ゴリっと音を立ててリボーンの後頭部に何かが突き付けられる。

 自身に突き付けられたそれをリボーンは知っていた。知っていたからこそ何故持っているという疑問が出てきてしまった。

 ただ一つ分かるのは、

 

「大丈夫、撃ちはしないよ。でもお前が何処から来た奴なのかは吐いてもらう」

 

 新しい自分の生徒がダメツナで片付けられるような人物ではなかったと言うことだ。

*1
クトゥルフ神話TRPGにおける人間の容姿の限界値、これ以上は人外

*2
クソビッチの事である




このツナは転生者のせいでリボーンが来る前に「沼男」「異界」は最低でも乗り越えています。
そのおかげでSAN値が減少してます。

誰か続き書いてくれないかなー?(チラッ

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