英雄の息子と麻帆良の子   作:お~い紅茶

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はじめまして、ド素人です。なのでかる~く読んでやってください。


プロローグ ~ふたりの前日譚~

  

――卒業証書授与

 

イギリス、ウェールズのメルディアナ魔法学校での卒業式。そこで今年の卒業生五人の名が順によばれる。

そして――――

 

「ネギ・スプリングフィールド君」

「はいっ」

 

赤い髪を後ろで小さく束ね、鼻の頭に小さいメガネをちょこんと乗せた少年が前に出る。

まだ十歳の彼に、長い髭をたくわえた白髪の老人であるメルディアナ魔法学校長が卒業証書を手渡す。

 

「学校での勉学をよくぞ頑張ってきた。しかし、これからの修行が本番じゃ。気を抜くでないぞ」

「ありがとうございます」と、ネギは礼儀正しい一礼とともに証書を受け取る。

校長が最後に激励の言葉を送る。

 

「さて、晴れてこのメルディアナ魔法学校を卒業する君達にはこれからそれぞれ違った地に赴き、そこで立派な魔法使いになるための修行を行ってもらう。各々の修行場所は卒業証書に出てくるので各自確認するようにしてほしい。修行は過酷じゃが、努力を怠らず精進するのじゃ」

 

 

「「「「「 はい!!!!! 」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

卒業式終了後、学園の廊下をネギがあるいていると、

 

「ねぇ、ネギの修行場所はどこなの?」と、ネギと同じく卒業生でありネギの幼なじみでもあるアーニャが問いかけてきた。

 

 

「ちょっと待って。もうすぐ出てくるよ」

 

卒業証書を開き、そこに修行先が浮かぶのを待つ間にアーニャが自分の事を話し始める。

 

「ちなみに、あたしはロンドンで占い師よ。まぁ、ネギと違ってぇ、しっかりしているあたしにかかればぁ、ほんの数ヶ月でロンドン一番の占い師になれ――」

「あっ! 出てきたよ!」

 

自分の話を遮られたアーニャはぷくーっと頬をふくらましながら、ネギの卒業証書をのぞく。

そこにはこう書いてあった。

 

 

『A teacher in Japan  Negi Springfield 』

 

 

 

「「日本で先生~~!!?」

二人して驚きの声を上げる。

そこに、式を終えた学園長と付き添って歩くネギの姉のネカネが通りかかる。

彼らを目の端に捉えたアーニャが素早い動きで学園長に詰め寄る。

 

「学園長、ネギの修行が日本で先生をやるってどういうことなのよ! ただでさえ、マヌケなネギに先生なんてできないわよ」

「う~~、アーニャ、いくら何でもその言い方はひどいよ」

幼なじみの容赦ない言葉に肩を落とすネギ。

 

「本当ですの、学園長?」

隣にいたネカネも不安そうな顔でたずねる。

 

そんな二人の心配を余所に学園長はネギに向かって言う。

「ネギよ、お主は‘立派な魔法使い’になりたいのではなかったかのう?」

 

学園長の問いにネギは「はい」と力強く答える。

 

「ならば、その修行は絶対じゃ。魔法使い皆が通る道だからの。なに、心配せずとも修行先の学園の学園長と儂は知り合いじゃ。ネギのことはよく言っておくから安心せい」

 

学園長の言葉にネカネは胸を撫で下ろし、アーニャは口先をとんがらせながらも納得したようだ。

 

「まあ、せいぜい頑張ることね。ちゃんと連絡よこしなさいよ!」

「ネギ、お姉ちゃんはイギリスからあなたの事をいつも応援してるわ」

 

「アーニャ……、お姉ちゃん……」

二人の激励の言葉にネギの内にやる気がふつふつと湧いてくる。

 

「ではネギよ、よい先生になるのじゃぞ」

 

 

「はいっ!!」

その返事は今日一番の返事だった。

 

 

 

ウェールズの片田舎、山間の豊かな自然に抱かれるように立つメルディアナ魔法学校。そのネギが学んだ母校に春がきた。

吹き抜けになっている廊下にも暖かい風が吹く。ネギの頬を撫で、髪を揺らす風は、ネギが歩みだす魔法使いの道の門出を祝福しているようだった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

関東随一、いや日本随一と言っても過言ではない超大規模学園都市が埼玉県に存在している。名を、麻帆良学園都市。

その学園都市内には、数十の小学校から大学までの教育機関が存在し、生徒や教員達が快適に過ごせるようありとあらゆる店や運動施設、電車やバスといった交通機関も備わっており、さながら一つの巨大な街のようになっている。

 

 

そんなトンデモ学園都市のなかでも更にトンデモない場所が二カ所ある。

一つは、図書館島。

その名の通り、島一つがそっくりそのまま図書館になっている。

 

そして、もう一つが麻帆良学園のシンボルともいえる巨大な樹「神木・蟠桃(しんぼく・ばんとう)」、通称【世界樹】である。

ほぼ学園の中央にそびえ立つ世界樹は、その大きさ故に学園のどこにいても見つけることができるというから、その巨大さは推して知るべしである。

 

 

そんな世界樹の根元、四方に設けられた広場の内の一つに箒を持って掃除する少年がいた。

 

名を近衛サイといい、黒系の深緑色をした髪に、薄い緑色の眼をした可愛いらしい雰囲気の少年で、世界樹の近くにいる所為か余計小さく見える体は、まだ10歳程度のものだった。

 

 

「ふー、なんだか今日はごみが多いなぁ」

箒の動きをいったん止めて、サイは広場全体を見渡す。(広場も世界樹を取り囲んでいるのでそれなりの広さがある)

 

このままでは日が暮れてしまいお姉さんのように優しくしてくれる彼女達を心配させると思い、

 

「仕方ない、【あれ】を使おう」

 

箒をいったん地面に置き、ポケットから先っぽに三日月がくっついた短い棒を取り出す。

そして、人目を気にするように周りを一、二度見渡し誰もいないことを確認する。

目を瞑り、息を整え、取り出したおもちゃの杖のようなものを顔の前で振る。

 

「テ・トレス・テ・テラ・トゥルーツリー  【“風”よ】 」

 

サイがそう唱えると、どこからか風が広場に吹き抜け、ごみを巻き込み広場の中央で渦を作る。

広場のごみが全部集まったのを確認すると、サイは杖を振るのをやめる。すると、風もやみごみだけが残る。

 

「よしっ」

そう言って箒とちりとりを持ち直し、ごみを取りに行こうとしたその時――

 

 

「こんな所で魔法を使うのは感心せんのぉ」

 

 

「ひゃうっ」

サイの後ろ、広場へ上がる階段を登ってきた人物が言った言葉にサイが変な声を上げる。

 

サイが振り返ると、妖怪のぬらりひょんのような特徴的な頭をした老人、近衛近右衛門、つまりは、麻帆良学園の学園長その人だった。

 

「が、学園長ぅ~~」

「サイよ、お主には魔法の才がある。そして、その力を人助けに使いたいというお主の意志を見込んで魔法を教えた。しかし、あくまでも魔法の存在は普通の人間には秘密じゃ。……よもや忘れたわけではあるまい?」

 近右衛門はたしなめるようにサイに言う。

 

「すみません……」

 

サイは自分の行動が軽率だったかもと反省する。

 

しゅんとしたサイを見た近右衛門は、

「じゃが、今回は誰も見とらんし、心配せんでもよい」

と半ばいい加減ともとれるフォローをする。(細かいことを気にしないのが彼の長所なのである)

 

「そうですか。ならよかったです」

安心したサイは顔をほころばせ安心ついでに学園長に質問する。

 

「そういえば、僕に何か用事ですか?」 

「いやいや、特に急いでしてほしいことは無いんじゃが、一つ伝えておくことがあっての」

「伝えたいことですか? もしかして、異動ですか?」

「そうじゃ。よくわかったの」

「今年に入ってもう4回も異動しているんですから、さすがに察しがつきます」

「ぬぬっ、そうだったかのぉ? 何せこのように麻帆良はひろいからの。人手がほしいところは幾らでもある。仕方ないことと思って頼まれてくれんか?」

 

 

 

近衛サイは現在、近右衛門の好意で近衛家の養子として扱われている。何かとよくしてくれている近衛家に恩返しするためと個人的理由から近右衛門が学園長を務める麻帆良学園で人助けという名の便利屋をしている。

 

ちなみに、彼が今年に入ってこなした依頼は、

1.『学園内で大人気の点心屋『超包子』のウェイター』

2.『麻帆良学園の全学生寮の設備点検』

3.『図書館島の図書整理』

そして今まさにしていた、4.『世界樹周辺の清掃』  である。

どれも激務であり10歳には難しく思えるが、サイは生まれながらに物覚えが凄まじくよい。勉強なら中学レベルをゆうに超えている。さらに、人の為に努力を惜しまない性格のためか、たいていのことは実践を経て会得していくので何とかなってしまうのである。

 

 

そんな、ある意味お人好しな彼は、つい今回もうけてしまう。

「いいですけど、次は何の仕事ですか?」

「その前に確認するが、サイは勉強できたかの?特に数学なんかはどうじゃ?」

「数学ですか?うーんと、高校数学は怪しいですけど、中学レベルだったら多分できますよ。でも、その質問関係あるんですか?」

「おー、そうかそうか。中学レベルで十分じゃよ。では、明日の朝、タカミチ君が迎えにいくからの。いつもの ここにいるんじゃろ?」

「あ、はい。ここにいると思います。あの、僕の質問はどうなったんですか?」

「それでは、さらばじゃ」

 

そう言って近右衛門は踵を返し広場を去っていってしまう。

 

「ちょっ、ちょっと待って下さいよ~。」

いまいち話の流れが理解できていないサイは近右衛門を追いかけようとする。

しかし――

 

 

――――ビュオッ

 

 

突然、強い風が広場へ吹く。薄ら寒い風ながらも、確かに春の匂いを運ぶ風がサイの周りを凪ぐ。サイはあまりの強さに思わず目を閉じてしまう。

 

「うわ、凄い風だ。…………ってもう学園長いないし。」

 

いつのまにいなくなったのか? これでは本当の妖怪顔負けの神出鬼没っぷりだな、などと考え、とりあえず掃除を終わらせなければ、と広場へ向き直るとさっき集めたごみが宙を舞っていた。

 

「ああああっ、さっきの風で全部とばされてりゅ~。」

 

ショックのあまり噛んでしまったが、もうどうしようもない。これって安易に魔法つかった

罰ですか、…………グスン。

 

「はあぁ、またやり直しかぁ。」とため息をつきながら、再び箒で掃き始めるサイであった。

 

 

 

 

 




ゆっくり更新していきます。
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