英雄の息子と麻帆良の子   作:お~い紅茶

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ネギとサイ~麻帆良での一日~ 後編 

 

 

 

 

前回のあらすじ

サイのアドバイスで明日菜にホレ薬を飲ませて恋の応援をしようとしたネギ。

しかし、逆に明日菜に飲まされてしまい、薬の効果でネギへと迫る2-A女子から逃げていたが―――

 

 

「はぁ…はぁ……ここまでくれば………」

 

 

「あっ! ネギ先生はっけ~ん!」

 

 

「わ―――ん」

逃げても逃げても追ってくる生徒達にネギが諦めかけると、前方に以前、階段から落ちるのを助けた宮崎のどかがいた。

 

「宮崎さん、危ない!」

「ど……どうしたんですか?」

「それが斯く斯く然々あって、クラスのみんなにおわれてて…」

 

後ろから絶えず追っ手がいるので二人は走りながら情報をやりとりする。

ネギのピンチを察したのどかは少し思案して、

「……それならこっちですー」

とネギの手を引き連れてきたのは中等部の図書室だった。

 

 

 

のどかが図書室の扉に鍵をかけてようやくネギは一息つける。

 

「ふぃー……ありがとうございます」

「いえ……ここにいればしばらくは大丈夫かと……」

 

 

 

 

 

 

一方、ネギ救出に向かう明日菜とサイはネギの足取りを掴めずにいた。

 

「もうっ! どこにいったのよあのネギ坊主!」

「アスナ姉さん! さっきそこでネギ君とのどかさんが一緒に走ってるのを見たって人がいたよ!」

「えっ、本屋ちゃんが!! 」

「うん、どうも図書室の方に向かったみたい」

「早く(本屋ちゃんを)救出しないと大変なことに!? ………急ぐわよサイ!」

「わかった! ………でも姉さん足速すぎ」

気づいたときには明日菜はサイの視界から消えていた。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

わたし、宮崎のどかはいまネギ先生と二人っきりで図書室にいます……。

 

「大きな図書室ですねー」

 

「は、はい……この学園って歴史が長いから、蔵書数もすごくて……で、でも大学部の図書館島はこの何千倍もすごくて」

 

「詳しいんですね、宮崎さん」

 

「(う……得意になってしゃべり過ぎちゃったかも――でも、ネギ先生嫌な顔ひとつしないで聞いてくれた……ふふふ、ちょっとうれしいかも――…)」

 

ネギの顔をじっと見ているのどかの心はさらに高鳴る。

 

「(ネギせんせい……やさしいなぁ……わたしの話しちゃんと聞いてくれるし……それになんだか……今日はとってもかっこよくみえます――)」

 

いつの間にかのどかはネギに近寄り熱っぽい視線を送っている。

 

「……どうかしました? 」

 

「(ほんとどうかしてる…… ネギせんせいに助けてもらったあの日から、ネギせんせいの顔をみると……ドキドキする。 なんだかぼぉーっとしてきちゃいました――もっと近づきたい……もっとわたしを見てほしい)」

 

完全に薬がまわったのどかはネギに詰め寄る。

 

「た、たすけて~!」

 

ネギものどかの異常を察知したのか慌てて逃げ出す。

 

「あっ……まって…」

のどかも追いかける。

 

 

しかし、ネギが積まれていた本につまづき、倒れ込む。

のどかもネギを避けようとバランスを崩しネギの上に覆い被さる。

 

 

「ネギ…せんせ――…」

「あの、ど、どいてください~」

 

けれど、のどかは体をどかすどころか、さらに密着させ顔と顔を近づける。

 

「(あぁ……ネギせんせがこんなに近くに……)」

 

「―――――!!」

 

もはやネギの声は聞こえない。

 

「(ネギせんせいをもっと知りたい……わたしの事をもっと知ってほしい……)」

 

のどかは、目にかかるほど長い前髪をわけネギに素顔を見せる。

 

「―――! ――――――!」

 

「(ネギせんせい……ネギせんせ――――もうがまんできません)」

 

 

最後の距離を詰めるようにのどかは顔を近づけ――――

 

 

 

 

「ネギ坊主―――!!」

ドカンと音がし、鍵がかかっていたはずの扉がネギ達の真上をすっ飛んでいく。

 

 

「あ、アスナさ~ん」

間一髪のネギがのどかのしたから這い出る。

 

「大丈夫!? 本屋ちゃん…じゃなくて宮崎さん!!」

 

明日菜は倒れているのどかを抱きかかえる。

どうやら、薬の効果が切れて気絶しているだけらしい。

 

「はぁ…、ネギ君大丈夫……?」

 

遅れてサイが図書室に到着する。

 

「サイ君! 無事だったんだ!」

「まあなんとかね……」

こうして、主に明日菜の活躍によりこのホレ薬事件の被害者?は0人で事なきを得た。

 

その後、薬の効果が切れているのを確認しようやく帰宅の途に着く明日菜達。

 

「も~結局今日もバタバタな一日だったじゃない!」

「すいません……ご迷惑ばかり……」

「ほんとにそうよ!!」

 

「でも何で助けに来てくれたんですか?」

「だから、別にアンタを、じゃなくて本屋ちゃんを助けたのよ」

「…あ、そうですよね」

 

ハハハ、とかわいた笑いをするネギに、

 

「もっとしっかりしなさいよ! 先生でしょ!!」

と言いながらバシッと背中を叩く。

 

 

 

というやり取りを離れて見ていたサイは

「(一応僕の作戦も成功……?)」

と確信できないでいた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

麻帆良学生寮中等部――

 

 

サイとネギが居候する643号室。

 

昼間の騒動で、つかれた顔をする明日菜は夕食後の時間を机に座ってぼんやりと過ごしていた。

部屋には、仲良さげに夕食の後片付けをする木乃香とサイ。

それに明日の授業の準備をしているネギの姿がある。

 

 

みな思い思いの時間を過ごしていると来客が訪れる。

 

 

 

「こんばんは~ネギ先生、サイ先生に質問に来ましたー」

と、大きな声でまず入って来たのは出席番号14番 早乙女ハルナ、そして出席番号4番 綾瀬夕映に連れられるように出席番号27番宮崎のどかが入って来る。

 

 

「そっか、そっかどうぞ上がりー」

 

と木乃香が三人にスリッパを出してやる。

 

 

「宮崎さん……こんばんは」

「どうもー」

昼間の事は全く覚えていないとはいえ、どこか気恥ずかしく感じるネギ。

 

 

「ちょっと勝手に……」

明日菜が断るまもなく三人はズカズカ上がり質問会が始まる。

 

 

「早く質問するです、のどか!」

「うん……ネギ先生、ここなんですけど……」

 

「みんなー何飲むー?」

「このかー! 私ジンジャーエールで!」

 

「夕映さんも、数学の質問ですか?」

「い、いえ…サイ先生、私はのどかの付き添いなだけです…。」

 

 

騒がしくなる部屋に居場所がなくなる明日菜をよそにさらに来客が……

 

 

「ちょっとアスナさん! どういうことですか!? サイ先生だけでは飽きたらず、ネギ先生とまで同居しているだなんて初耳ですわっ!」

どこで仕入れた情報か、委員長こと出席番号29番 雪広あやかが押し掛けて来たのだ。

 

「あーいいんちょ。ちょーど今勉強会が始まったとこや~」

木乃香が教えてあげる。

 

「えっ!? ネギ先生とサイ先生と一緒に勉強会!?」

 

「それは私もご一緒いたしますわ。 委員長として!」

そして当初の目的を忘れたあやかも加わりさらに騒がしくなる室内。

 

 

「いいですか、宮崎さん? ここはこう訳して……」

 

「そこのチョコとってー!」

 

「いいじゃないですか、せっかく来たんですし教えますよ」

「いや…サイ先生笑顔が怖いです」

「でしたら、私が質問してもよろしいでしょうか?」

 

 

 

ブチィ―――

 

 

「人の部屋で宴会すんな―――!!」

業を煮やした明日菜が来客をつまみ出す。

 

 

 

来客もとい騒音の種を追い出した後、

 

「――ったく、あたしは明日も朝早いから迷惑なのよ!」

「ハハ……でもクラスの皆さんも同じ建物にいるんですね」

 

「仕方ないな~ほな片付けるわー」

「手伝いますよ木乃香姉さん」

 

木乃香とサイが出したコップや座布団を片づけている間に、明日菜が寮の見取り図を見せながらネギの質問に答える。

 

「まぁね、ウチは一応全寮制だからね。それに、同じ学年は同じフロアにだいたい住んでるしね。」

「へーほんとだ。……展望台まであるんだ! すごいなぁ~」

 

ネギが言うと、

「じゃあ今度案内しようか?」

サイがネギの隣に座りながら提案する。しかし、そこで異変に気付く。

 

「スンスン、何かネギ君臭わない?」

 

その言葉に明日菜も反応する。

「……ん? 確かに何か汗臭いわよアンタ。お風呂ちゃんと入ってるの?」

「そ、それが……こっちに着いてからいろいろ忙しくて……ほ、ほら授業の準備もありますし!」

さっきまでやっていた授業の準備で作ったプリントをみせるネギ。

 

「じゃあ今、大浴場行ってきなさいよ!」

「え……僕、お風呂嫌いなんです……」

「文句言わない! さっさと来なさい、私が洗ってやるから!」

明日菜は駄々をこねるネギを無理やり連れて行ってしまう。

「僕も入ろっと、ネギ君も心配だし」

ネギの身を案じ、サイもついて行くのであった。

 

 

 

 

 

IN大浴場『涼風』

 

 

「ほら…目つむって」

「あう、自分で髪ぐらい洗いますよー」

「そういって自分じゃ絶対洗わないつもりでしょ!」

 

ゴシゴシとネギの頭を洗う明日菜。(ちなみに、明日菜はスクール水着です)

 

「アスナ姉さん、あんまり強いとネギ君がかわいそうだよ」

 

サイはネギ達の隣に腰掛け体を洗っている。

 

「いいのよこれくらい! まったく……明日も新聞配達あるんだから早く終わらせるの!」

「新聞配達って今朝やってた仕事ですか?」

「そうよ、今日は誰かさんが来て邪魔してくれたけどね!」

「ははは……、でも何で中学生なのにあんな大変そうな仕事してるんですか?」

 

「うん 私、両親いないから……学費を自分で稼いでるのよ」

「え? 今なんて……」

思わず聞き返すネギ。

 

「だから、親がいないんだってば。 まぁ正確には私“も”だけどね」

「それって……?」

 

ネギの疑問にサイが答える。

「うん、ネギ君が思ってるように、僕も両親がいないんだ……」

「サイ君…………」

 

「でさ、私は小さい頃から、サイなんかはもう赤ん坊の頃から木乃香のおじいちゃん――つまり学園長にお世話になってたんだけど……」

 

「いつまでも迷惑はかけっぱなしじゃいられないから、姉さんは働いて、僕は学園の手伝いをしてるって訳なんだ」

 

明日菜とサイが自分達のプライベートな事を言葉にする。

 

 

「ほら流すわよ」

明日菜はネギのシャンプーをお湯をかけておとす。

 

「まあ、私達に両親がいなくても別にアンタが気にすることは―――ん?」

 

気にするなと言おうとした明日菜はネギがふるえているのに気づく。

サイもそれに気づき、俯いているネギの顔を覗き込む。

「ネギ君? どうした――のッ!?」

 

そこには何故か号泣するネギが。

 

「なっなに泣いてんのよ!」

これには明日菜も驚く。

 

 

「だって、二人がそんなに苦労してるだなんて知らなくて……それなのに、僕はアスナさんのこと、なんて分からず屋で暴力的で無法者なんだろうって思ってて……」

「ネギ君……」

「あれ? 私怒っていいわけ?」

 

「アスナさん達が頑張ってるのに、僕は先生として何もできないし……それどころかアスナさんには迷惑かけて……」

 

「そんなことないよ! ネギ君は十分頑張ってるよ!」

サイが自信をなくすネギを励ます。

そこに、明日菜が割って入る。

 

「てゆーか、そもそも、どうして私の事そんなに気にするの?」

「それは……ぼ、僕はアスナさんの担任で、それに“立派な魔法使い”は困ってる人を助けるのが仕事ですし」

 

「そ、私にはあんたの方がわからないわ。どうしてそこまでそのマギ……」

「マギステル・マギだよ、姉さん」

「そう! そのマギなんちゃらにこだわるの? 人助けしたいならサイみたいにボランティアでも何でもすればいいじゃない!」

この明日菜の質問にはサイも確かにと頷く。

 

 

「……それは」

 

しばらくの間を置いてネギは語り始める。

 

 

「僕には憧れている人がいるんです。」

「憧れの人?」

サイが聞く。

 

「うん、でもその人はもう死んだんだって世間の人は言います。でも……」

 

そう言ってネギは自分の手を胸にあてる。

「でもっ、僕にはあの人が死んだとはどうしても思えない! あの人は千の魔法を使いこなす『サウザンド・マスター』で、世界を旅しながらたくさんの不幸な人達を救

ってるんです!」

 

明日菜もサイも真剣にネギの話しを聞く。

 

 

「だから僕はあの人のような立派な魔法使いになりたいんです! そうすればこの広い世界のどこかであの人と会えるかも知れないから!」

ネギは一段と真剣な顔をそしてどこか夢見る少年の顔で最後の言葉を紡いだ。

 

 

そんなネギの話を聞いて明日菜は思った。

もしかしたら、誤解していたのは自分だったかもしれないと。

 

最初は、所詮は少しばかり頭の良い子供が明確な目標もなく、ただ何となく将来のために修行しにきただけなのだと思っていた。

 

だから、そんな子供に付き合わされるのが我慢できなかった。

だから、強く反発もした。

 

 

でも、実際は違った……。

この10歳程度の子供には確かな目標があったのだ。

その上でクラス担任として全力で自分に向き合い、頼りにして貰おうと頑張っていたのだ。

 

その小さな体に計り知れない意志の強さと覚悟を背負っていたのだ。

 

 

「(なによ……あたしが悪者みたいじゃない)」

 

 

 

 

近衛サイは思った。

 

ネギ・スプリングフィールドという少年もまた自分と同じ境遇なのだと。

 

 

サイも魔法に通じているのなら聞いたことがある。

 

『サウザンド・マスター』、ナギ・スプリングフィールドの名を。

 

初めてネギと会った時にもしかしたら……と思っていたことが確信に変わる。

 

ネギもまた生きているかもわからない父の背中を目指して生きているのだと。

自分が自分を捨てた家族に会いたいと、言葉に出すことはなくとも、心の中では強く思っているのと同じように。

 

 

だからこそ、とサイは決意する。

 

ネギの夢、父に出会うという夢を手伝い叶えてあげることを。

 

それが叶ったならば、きっと自分の家族を探しに行くことができるだろう。

 

今はまだ行けない。

 

麻帆良で受けた恩もまだ全然返しきれてないし、自分自身も自分を麻帆良に捨てた両親に会いに行く勇気がない。

 

でも、これから、麻帆良でネギと共に先生として働き、ネギの夢を手伝うことができたなら…………

 

 

 

「(よし、決めた!)」

 

 

 

 

 

 

「アスナさん? サイ君?」

うんともすんとも言わない二人を気にかけるネギ。

 

先に口を開いたのは明日菜だった。

 

 

 

「あんたが、その…マギーなんちゃらになるためには今の先生の仕事をちゃんとしなきゃいけないんでしょ?」

 

頭をかきながら恥ずかしそうに言う。

 

「はい、そ、そうですけど……」

「なら、協力してあげる……だから、頑張んなさいよ!」

「アスナさん……」

 

 

次にサイがネギの手を取りながら言う。

 

「僕も副担任として精一杯サポートするよ! それにネギ君の夢をよかったら手伝わせてくれないかな?」

とサイがいま考えた事を話す。

 

「でも、サイ君に迷惑かけちゃうし…それに……」

 

悩むネギにサイが提案する。

 

「それじゃ、友達になろうよ!」

「友達?」

「そう! 友達になれば問題ないよ! だって、ネギ君が僕に迷惑をかけるのと同じくらい僕もネギ君に迷惑かけるんだから!」

 

友達ってそういうもんでしょ、と笑うサイ。

 

それでも決めあぐねるネギはチラッと明日菜を見る。

 

「いいんじゃない? サイ、同年代の友達ほとんどいないし」

「姉さん!」

「ふふっ」

 

思わず吹き出してしまったネギは、ようやく決意する。

 

「それじゃあよろしくお願いします。アスナさん、サイ君」

 

「まあ、任せなさい!」

握りこぶしをつくり自信満々に笑うアスナ。

 

「こちらこそ、ネギ!!」

呼び方を変え、肩をくむサイ。

 

「ありがと! サイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあネギ、背中流してあげる」

「えっ!? サイ……それはいいかも」

「いいわねサイ! そのまま押さえてなさい!」

「そんな~助けて~」

 

 

仲良くなってよかった!?

ちょっぴり後悔するネギでした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

夜、明日菜も木乃香も寝静まった後、学生寮の屋上にネギとサイは上がって来た。

 

「サイ、急に魔法を教えてってどういうこと?」

 

そう、二人は魔法のレッスンのために屋上に上がってきたのだ。

この時間なら夜も遅いので、魔法がばれる心配もない。

 

 

「うん、僕は学園長に魔法を教えてもらったんだけど、物体操作とか占いだとか基礎魔法しか教わってなくて……それで、近くにいいお手本がいる訳だし、これを逃す手はないってね!」

 

「でも急じゃない? そんなに慌てなくても……」

「ううん、ネギのお父さん、『サウザンド・マスター』を目指す道中はやっぱり危険が伴うと僕は思う。だから手伝うって決めた以上、その時になって足手まといにならないためにも一日も早く使える魔法を増やしたいんだ!」

 

サイの熱い思いにネギも応える。

「わかったよサイ! じゃとりあえず、【魔法の射手】からね」

ネギから呪文を教えてもらい、早速空めがけて放とうとするサイ。

 

「テ・トレス・テ・テラ・トゥルーツリー 光の精霊7柱 集い来りて 敵を射て 【魔法の射手  連弾光の7矢】 」

呪文を唱え終わると同時に夜空に七つの筋が通る。

 

「すごい! いきなり7つなんて! これならすぐに僕に追いつけるよ!」

「ホント!? よ~しこれから毎日少しずつ教えてね?」

 

ハイタッチをして喜ぶ二人。

 

 

 

 

 

 

そのはるか遠方の時計塔の一番上、遠くに花火のように上がる【魔法の射手】を眺める者がこれまた二人。

 

闇夜に紛れながらも月の光を反射する金髪が妖しく光る少女と、中等部の制服に身を包みまるで人形のように無表情の者。

 

金髪の少女が言った。

 

「フッ、魔力の放出を感じて出てきてみれば……仲良く初級魔法の練習会か? アハハハッッ!」

「マスター、油断は禁物かと……仮にもあの『サウザンド・マスター』の息子とその仲間ですので侮っては……」

「うるさいっ! わかっている。ふん、本来ならすぐにでも行動に移したいところだが、まだ時期でない……帰るぞ!」

「はい、マスター」

 

 

「(精々力をつけることだ……簡単に目的が達成できては面白くないからな………)」

 

 

その夜、空飛ぶ大きなコウモリとジェット噴射で飛ぶ中学生を見た者はいなかったという。

 




次は図書館島かな・・・
戦闘はもうちょい先か・・・
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