英雄の息子と麻帆良の子   作:お~い紅茶

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バカレンジャー好きなキャラは古菲です


図書館島には危険がいっぱい!?

 

 

 

 

ネギ・スプリングフィールドは見習い魔法使い。

父と同じような“立派な魔法使い”を目指して日本の麻帆良学園女子中等部で先生の修行をするはずでしたが………

 

 

 

 

「最終課題~~~?」

「しかも、それが今度の学期末テストで万年クラス平均ビリの2-Aの最下位脱出ですか!?」

 

「うむ、要約ご苦労」

 

 

年度末を間近に控え残すイベントも期末テストのみとなった麻帆良学園。

先生を始めてからしばらく経ち、生徒ともうちとけてきたある日、

ネギとサイは学園長室に呼ばれた。

 

そこで話された内容はネギとサイに新学期も続けて先生を頼むに当たって、

課題を課するというものだった。

 

 

 

「しかし、なぜ課題なんか出すんです? もう僕達は麻帆良学園の教師として任命されたはずですよね?」

一通り話を聞いたサイが当然の疑問を口にする。

 

「たしかにそうなんじゃが、一部の一般の先生達から子供に任せるのはやはり心配だと言われての。」

「なるほど……そこで、ネギと僕の実力を示すための課題というわけですね」

「おう、そうじゃ! 話が早くて助かるのう。それで、どうじゃ?」

 

学園長はネギに一応の確認をとる。

ネギもしばらく考えた後、

「はい、担任としても最下位って言うのは良くないと思うのでこの課題頑張ります!」

「そうか……ではよろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

学園長室を後にしホームルームに向かうネギとサイ。

話題は自然と課題をどうやってこなすかになる。

 

「でも、うちのクラスって学年最下位だったんだ」

「そうだね、何人かは学年でも上の方にいるんだけど、それ以外の人……特にアスナ姉さん達は重症かも」

「ああ~」

 

2-Aでも特に成績の悪い五人はいつしかバカレンジャーと呼ばれるようになった。

 

「ハッ!」

 

ネギが何かに気づく。

 

「何? いい案でも浮かんだ?」

「確か三日間だけとても頭が良くなる禁断の魔法があったんだ」

「おぉー」

パチパチッーと拍手するサイ。

 

「けれど副作用で1ヶ月程パーになるけど仕方ない! ラス・テル――」

「いや! それダメだよネギ!」

「うーん……それじゃどうしたら?」

 

「とりあえず、クラスのみんなに期末頑張ろう! って言ってなるべく生徒の疑問点を解決していくのがいいんじゃない?」

「たしかに魔法ですぐ解決するのも良くないよね」

「よし、まずはホームルームで勉強会をしてみんなの実力をじっくり見よう!」

 

 

と、あくまで真面目に先生として課題をこなそうとする二人に対し最大の懸案事項であるバカレンジャーは全く逆の発想をすることになるのを二人はまだ知らないのである。

 

 

 

 

 

ネギ達がテストに向けて大勉強会を開催したホームルームの後、バカレンジャーの五人は一カ所に集合していた。

 

「またテストが近づいて来たアル~」

机に突っ伏しため息をする古菲に楓が話しかける。

 

「くーふぇ殿、そのように嫌そうにしてもテストはくるでござるよ。」

「そう言ってる楓さんも嫌そうな顔してるです。」

怪しげなジュースを飲みながら言う夕映。

 

「あいや、バレたでござるか? 拙者もまだまだでござるな。ニンニン」

「でもー、一番嫌そうなのは………」

そう言うとまき絵の視線の先にはもう休み時間だというのに鉛筆をくわえて英語と格闘する明日菜がいる。

 

「ええっと……ここがこうで、主語がこれだから……動詞が……あれ? これなんて意味だっけ……………あ~!! もうだめ!」

「今回もアスナはダメそうアル」

 

といつも通りの五人に木乃香が慌てた様子で寄ってくる。

 

 

 

「みんな――大変や――」

「ん? 何、どうしたの木乃香?」

「実は、ウワサなんやけどな……次の期末で最下位やったクラスは解散させられてまうらしいんや~」

「ええっ! ホントに!?」

 

「なるほど……、だから、ネギ先生達はホームルームの時間を使ってまでテスト勉強をさせたですね……」

 

夕映が悟った顔をして話す。

 

「ウチ、今のクラス好きやからバラバラになるんいややわ――」

「ま、まずいよ――はっきり言ってクラスの平均下げて足引っ張ってるの私達五人だし……」

 

まき絵が泣きそうになる。

 

「それは否定できないでござるなぁ」

「今から、死ぬ気で勉強してもとても間に合わないアル」

 

バカレンジャーに諦めムードが漂う。

そこに夕映が一石を投じる。

 

「――ここは、やはりアレを見つけるしかないかもです」

 

 

「何かいい方法があるの!?」

明日菜が思わず席を立ち上がる。

 

「みなさん、図書館島は知ってますよね?」

「一応ね………」

 

 

 

図書館島――

麻帆良トンデモスポットとして世界樹と並ぶ超巨大図書館。

中等部の西にある湖にせり出す形であるその島に学園創立とともに建設された図書館は世界に類を見ない蔵書数を誇っている。

しかしその反面、蔵書の増加に伴う無計画な増改築によってその全貌はもはや誰にもわからなくなってしまっているのである。

 

 

 

「実は図書館島の深部に、読めば頭が良くなる「魔法の本」があるらしいのです」

 

「ほんとーでごさるか…?」

「さすがに魔法は存在しないよねー」

「それに、アスナはそーゆーの信じないんやろー」

 

一行は話をただの都市伝説程度にしか考えていなかった……

それもそのはず、読むだけで頭がよくなる本などあるはずがないと思っているから……

 

 

ただ一人、神楽坂明日菜を除いては―――

 

 

「いや…待って……(ネギやサイみたいに魔法を使う奴らがいるんだから「魔法の本」があってもおかしくないわ)」

 

 

「―――行こう!! 図書館島へ!」

 

こうして、バカレンジャーによる「魔法の本」サルベージ作戦が決定された。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

学期末テストまで後3日の夜―――

 

 

 

図書館島秘密の裏口―――

 

 

 

 

「ここが図書館島ねー入るのは初めてね」

 

そう言うのはバカレッド、神楽坂明日菜。

 

 

「わ~なんかこわいよ――」

 

怖がるバカピンク、佐々木まき絵。

 

 

「マキエはこわがりアルねー」

 

「あいあい」

 

余裕を見せるのはイエロー、ブルーの古菲と長瀬楓だ。

 

 

「任せるです!図書館島探検のプロが三人ついてるから安心してほしいです!」

 

プロ1、バカブラックにして今回のリーダー綾瀬夕映が自信満々に笑う。

 

 

「そうやでー ウチらベテランに任せときー」

 

プロ2、2-A図書館探検部より選抜された近衛木乃香。

 

 

そして、

「なんで図書館島なんですか?」

 

事情を知らないプロ3、図書館島で図書整理すら行う近衛サイ。

 

 

「みなさん、寝なくていいんですか~」

寝間着姿で無理やり明日菜に連れてこられたネギ。

 

 

 

 

 

以上八人が今回のサルベージ作戦に参加する者達だ。

 

 

 

「では、のどか、パルは連絡係よろしくです」

「おっけ――任せて!」

「みなさん――き、気をつけてください」

 

 

二人を地上に残し、バカレンジャー+αは地下への旅に出発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――図書館島地下3F

 

 

そこは一面本棚で埋まっていた。

 

複雑に階段が入り組み、そこかしこに見上げなければならないほどの本棚が鎮座している。さらには、自生している樹木やどこからか流れ落ちる滝まであるため、さながらRPGのダンジョンに迷い込んだような錯覚に陥る。

 

 

ここで、事情をいっさい知らされず、明日菜に引っ張ってこられたネギとサイに説明がある。

 

「読むだけで頭が良くなる『魔法の本』か………」

「そんな物がこの図書館に……」

 

サイもネギも半信半疑の状態だ。

 

しかし、ネギは魔法というワードに反応する。

「……アスナさん、いいんですか? 魔法だなんて……危険かもですよ!」

 

「今回は緊急事態(テスト前)だしカタイこと言わないでさ……それに危なくなったらアンタ達の魔法で助けてくれるでしょ?」

 

お願いと頭を下げる明日菜を前にし、ネギとサイは顔を見合わせる。

 

「あ、あのアスナ姉さん……僕達、実は―――」

「――魔法、封印してるんです」

「えっ! どうしてよ!?」

 

「それは……」

 

 

 

どうしてネギとサイは魔法を封印してしまったのか?

それは数時間前までさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

ホームルーム終了後、テスト対策の作戦会議をするために学園の広場にネギとサイの二人はやってきた。

 

 

「それで具体的にどうしたらいいんだろう?」

 

ネギがサイに単刀直入にきく。

 

「さっきの自習をみる限り、問題はやっぱりあの五人だろうね……もうこの際魔法でも使うしか確実な方法はないと思う」

 

むしろそれしかないといった顔をするサイ。

しかし、ネギは提案した側だったが正直なところでは魔法は使いたくないと考えていた。

 

「魔法を使えば、多分僕達は課題をクリアできるだろうけど……それって頑張ってるアスナさん達の努力を無視する事になるんじゃ?」

 

「そうかもしれないけど、万が一ダメだったらネギはどうするの?」

「もしダメでも、クラスのみんなが頑張った結果ならそれは僕の力不足なんだ……だから、安易に魔法に頼ろうとする前にまだいっぱいできることがあるはずなんだ」

 

ネギはこの時だけは、魔法使いではなく2-Aの担任として頑張りたいと言った。

目を瞑りサイも少し考えてから、

 

「そうだね、僕が甘かったよネギ……一教師として生身で生徒とともにこの課題を乗り越えよう!」

「ありがとう、サイ。 ―――それでどうせなら魔法を封印して正々堂々先生として頑張るのはどうかな?」

「いいね! やろうやろう!! 魔法が使える状態だとまた甘えそうだしね。」

 

 

 

 

「―――という訳で………」

「今はサイも僕もただの人なんです」

「………」

当てが完全に外れた明日菜はぐうの音も出ない。

 

 

 

「みんな――そろそろ出発するで――」

そうこうするうちに木乃香から集合の合図がかかる。

 

「とりあえず、もうここまできたら引き下がれないわ!」

明日菜は強引に作戦の続行を決定する。

 

 

その時ネギは全く別の事を考えていた。

 

 

「(読むだけで頭の良くなる『魔法の本』……そんな都合のいい物が日本の図書館にあるのかな――?)」

 

 

 

「では、出発です!」

夕映のかけ声で様々な不安をはらんだサルベージ作戦が開始された。

 

 

 

 

作戦が始まり一時間、既にこの図書館島探検の過酷さが如実に現れてきた。

 

 

まず、基本の通り道は本棚の上であり、柵も手すりも当然無いので落ちたら一巻の終わり。

さらには、貴重書の盗難を防ぐ役割をするトラップの数々が容赦なく一行を襲う。

 

すんでのところで古菲や楓が助けに入るものの、どこに危険が潜んでるかわからない中を進むのはそれだけで精神をすり減らす。

 

図書館探検部のメンバーや体力と運動神経のある中学生組はまだいい。

 

問題はサイとネギだが、サイはべつにこれが初めての図書館島でもなければ、普段魔法の力で身体能力を向上させずともそれなりに動くことができるので心配ない。

 

しかし、ネギはもちろん図書館島初めてであるし、魔法が使えないとまともに動くことができない。

 

 

つまりは完全にお荷物と化していた。

 

 

 

 

「ここで休憩にするです」

リーダーから休みの指示が飛ぶ。

 

少し開けた場所にでた一行は持ってきたお弁当を広げしばしの休息の時間を過ごす。

 

 

そこで明日菜が疲れた様子のネギに飲み物を渡す。

 

「アンタ、魔法が使えないとほんとに動けないじゃない」

「す、すみません……途中何度も助けて貰って…」

「べつにいいわよ、私が無理やり連れてきたんだし。」

 

怒られると思っていたネギは明日菜の予想外のセリフに心に思った言葉がつい口をついて出てしまう。

 

 

「何だか今日はアスナさん優しいですね」

「ハァ! へ、へんなこというな!」

ネギの屈託のない一言に動揺してしまう明日菜。

 

 

気分を換えようとサンドイッチを食べはじめた明日菜にネギが再び声をかける。

「……アスナさん、アスナさん」

「ん? 何よ」

「さっきから感じていたんですけどこの図書館変ですよ……」

「え? どういうこと?」

「うまく説明できないんですけど…僕とは別の――魔法の力を感じます」

「魔法の力!? つまり、魔法の本があるってこと?」

「いや、本かどうかは……」

 

 

「何さっきから二人でひそひそ話してるの――?」

まき絵が笑いながら近寄ってくる。

 

魔法の話を聞かれるわけにはいかないので話を中断するネギと明日菜。

最後にネギが明日菜に呟く。

「何だか嫌な予感がします。気をつけてください」

「気をつけんのはアンタでしょ」

 

 

 

 

一方、経験者である夕映、木乃香、サイは夕映が部室から拝借したという地図を取り囲んで、この後のルートの確認をしていた。

 

「いいペースで来てるです。このペースで行けば後一時間ぐらいで目的地まで着けるでしょう。」

 

夕映がルートを指でなぞりながら話す。

それを見ていたサイと木乃香がクスクス笑う。

 

「どうしたです? 何かおかしなことでも有ったですか?」

「ふふふ、夕映さん、けっこう燃えてますよね?」

「うんうん、ウチもサイ君と同じこと思うてた――」

 

「……わかります?」

「それはもちろん! だって僕が授業してるときに一番前にいる夕映さんよりも今の夕映さんの方がずっといきいきしてますもん!」

 

そういいながら、教室の夕映さん、と題して物まねをするサイ。

 

「あははっ! サイ君めっちゃにとるわー」

「むぅ! そんなぶっちょう面じゃないです! 訂正するですよ!」

「ふふっ、ごめんなさい――でも、本当に今の夕映さんいきいきしてますよ。教室でつまらなさそうにしてる夕映さんよりずっと魅力的です」

 

夕映の向かってはにかみながら言うサイ。

 

「あ、あう――――……」

サイの言葉に夕映は顔を赤くする。

「あれ、 夕映さんどうかしたんですか? 疲れちゃいましたか?」

「な、何でもないですよ」

慌ててそっぽを向いてしまう夕映。

 

 

「木乃香姉さん……夕映さんはどうしたんでしょう?」

「サイ君も罪やな~」

「え?」

そんなに物まねが似てなかったのかなと、的外れな事を考えるサイであった。

 

 

 

 

そしてまた、一時間ほど道無き道を進み、ついに目的地にたどり着く。

 

 

「とうとう着きましたね。 ここが魔法の本の安置室です」

 

 

そこは、全面石の壁で覆われた広い部屋であり、なかでも目を引くのは両側に立ち並ぶ石柱と部屋の中心で向かい合う二体の石像だった。

 

 

「す、すすごすぎる――」

「ラスボスの間アルー!」

「これが、図書館内部にあるとは……信じがたいでござる」

 

部屋が放つ圧倒的インパクトに皆、興奮する。

そして、ネギがあることに気づいた。

 

「皆さん、部屋の中央に本が! ―――しかも、すごい! 本物の魔法書『メルキセデクの魔法書』ですよ! あれなら本当に頭がよくなってもおかしくありません!」

 

それを聞いてまずまき絵と古菲が走り出す。

 

「やった――! これでビリ脱出――!」

「一番のりアルー!」

 

その声につられて他の人達も本に向かって走り出す。

しかし、はたとサイは気づく。

 

「まずいよネギ! あれが本物なら絶対罠があるはずだよ」

サイが近くにいたネギに訴える。

「たしかに……皆さーん、一旦待ってくださ~い」

 

「どうしたのよ?」

明日菜がネギの声を聞き、皆を止めてネギの方を振り返る。

 

本が安置される台座に登る階段の下で一カ所に全員が集まる。

それを待ってたかのように部屋にしわがれた声が響く。

 

 

『フォフォフォ…この本を奪いに来たのはお主らか……』

 

「なにこれ~~」

元気だったさっきとはうってかわって不気味な声に怯えて隣の楓に抱きつくまき絵。

 

「でもなんか聞いたことある声やなー」

木乃香が率直に言うと、

 

 

『ギクッ………』

 

 

「いま何か驚いてませんでした?」

「たしかに……僕もよく聞いている声のような?」

サイの疑問をかき消すように謎の声の語気が強まる。

 

 

『この本を奪おうとする不届き者には罰を与えねばなるまい』

その言葉が終わると同時に台座の上の石像が武器を振り上げ、こちらに迫って来た。

 

 

「わわわ、待ってください~」

ネギは慌てて杖を取り出すも、魔法が使えない事を思い出す。

 

逃げる事もできずにその場に固まる一同に謎の声は無慈悲に告げる。

 

『問答無用!!』

 

二体の石像が振り下ろした石槌はネギ達のいた石床を打ち抜き、ネギ達は暗い穴の底に落ちていった。




後編につづく
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