NARUTOの世界地図を描きました。
【挿絵表示】
1 石隠れの里
2 匠の国
3 雨隠れの里
4 草隠れの里
5 谷隠れの里(川の国)
6 滝隠れの里
7 空区
8 音隠れの里(田の国)
9 湯の国
10 霜隠れの里(霜の国)
11 林の国(般若衆)
12 波の国
13 渦の国(渦隠れの里)
14 茶の国
海の国 水の国周辺の諸島
今回の話に関係ありますのでご覧下さい。
設定の方にも載せております。
俺が中忍になっても基本的には同じ班員で任務にあたっていた。ただ今まではCかDランク任務のみだったが、状況次第でBランクに変化するような任務も受けるようになった。
また、シビ先生が抜けた際には俺が隊長となりスリーマンセルで任務に当たることも増えてきている。
任務は相変わらず探査能力を生かしたものが中心だが、ここ最近各国の国境付近での小競り合いが増加しており、にわかに騒がしくなってきている様に感じる。
さらには霧隠れのアカデミー卒業試験で、他の忍を皆殺しにした忍びがいるとの情報が入ってきている。これは桃地再不斬が戦闘に出てくる可能性が出て来たということと、血霧の里と呼ばれ始めたことからマダラが戦争の種を仕掛けるという前兆でもある。
先日は二班合同による国境警備にあたっていたのだが、帰還する直前に林の国の般若衆との偶発的な戦闘が発生した。
そこで俺は電磁砲があるため勘違いしていた事を思い知らされた。確かに電磁砲は並みの忍では避けられないが全ての仲間を守れるわけではないのだ。
敵の半数を一人で討ち取ることには成功したが、仲間の一人が相手の自爆に巻き込まれ殉職してしまったのだ。今回の任務で初めて組んだ人物だったが、守れなかったことに気落ちしてしまう。
歴史の流れを知っていたとしても、こういった細かい戦闘では役に立たない。もっと、もっと守れる力が欲しい、そう切に思った。
「応援ありがとォー!!」
任務完了の報告をして暗い気持ちで家に帰る途中、能天気な声が聞こえきた。みんな戦争が近づいているのを感じてか、里全体に重い空気が漂っているというのに、それを打ち破るような明るさだ。
「パパ、あれは応援ではないよ……」
発信源はガイとおそらく父親であろう人物のようだ。ガイも大変な任務だったのか腕に包帯が巻かれている。
ってか間違いなく父親だろうな、あの濃さは。ガイの将来より劇濃でしょ。眉毛剃れよ、もみあげまでホルモン来てるぞ。あと全身タイツもやめろ。
「よう、ガイ。何してんだ?あと怪我どうしたんだよ」
しまった。気になってつい声をかけてしまった。
「ん?ヨフネじゃないか。今からパパと修業に行こうとしたんだけど……。怪我は、まあちょっとあってな。そっちは任務帰りか?」
「まあね。あ、初めましてうたたねヨフネです」
やはり父親か、遺伝子まで濃いな。ああ、この人は確か万年下忍って言われてたな。多分さっきも他の忍から何か言われたのだろう。お、ちょっと待てよ。確か八門遁甲使えたよな?この縁はチャンス?!
「少年よ青春しているか?俺はマイト・ダイ!いつもガイから話は聞いているぞ天才君」
「天才何かではありませんよ。今回の任務では仲間が一人やられてしまいました。みんなを守るためにもっと強くならなきゃいけないんです!でも俺、チャクラ量が少ないしもっと強くなれるのか不安で」
ヨヨヨと、泣く振りをする。
「うォォ!ヨフネ君!その気持ちは痛いほどよく分かる。だが君の青春は始まったばかりだ!青春に後ろ向きはない。俺のように!」
ダイさんは俺の話を聞いて滂沱のごとく涙を流していた。ガイは確実にこの人の子だよ。しかし、ここまでストレートに信じられると罪悪感が生まれそうだ。こんなにまっすぐな人なんてそうはいないからな。
「短所が分かれば長所が光る!君は今から光り出しているのだ!その齢でもう自分の長所に気付けたのだからな!」
確かにチャクラ量が多ければ電磁砲だって考えなかったかもしれない。その他の部分でそのマイナスを上回れば良いか。
「短所も長所になる!くどいとは丁寧なこと!五月蝿いとは賑やかなこと!頑固とは一途なこと!わがままな人は……猫みたいな人!」
「おい、少しの感動を返せ!なんだよ特に最後のやつ!猫みたいな人って長所なのか?!」
いかん、思わずツッコんでしまった。
「いやーまあ、ようは考え方次第ってことだ!そうだ君も一緒に修業に来るかい?」
「パパ、ヨフネはもう中忍だよ。パパよりも強いんだよ?」
「ガイ、中忍だから強いってわけでもないさ。ダイさん是非よろしくお願いします」
よし、結果的に上手くいった。俺は心の中でガッツポーズをする。ダイさんは普段強がっていても、人から頼られるのが嬉しいのだろう、ウキウキしながら森へと案内された。
「下忍の俺が日々修業し、二十年かけてやっと会得した唯一の技だ!つまりはこの技は唯一お前達に教えられる技だ。まずは見せてみよう。禁術・八門遁甲!」
ダイさんが言った瞬間、空間ごと潰されそうになる圧力がかかったような気がした。いくつまで開いているのか分からないが、これほど強力な術は見たことがない。
「ここからは少し長くなるがよく聞けよ?今のは体内の経絡系上の中でも特にチャクラ穴の密集した所にある門を開いたのだ。門は頭部から順に開門、休門、生門、傷門、杜門、景門、驚門、死門と八つある。これらは普段チャクラの流量を制御し、身体を保護しているが、門を意図的に解き放つことで強制的に身体能力を高めることを可能とする!しかし本来身体を守るための制限を外すということは、その効果に比例して身体に負担がある。また開門段階が上がるにつれてその反動も大きくなる。そして、死門まで開いた術者は必ず死ぬ」
分かっていたことだが、思わず息を飲んでしまう。
「よって開門を伴う技は全て禁術として扱われている。また術者の資質を問う難度の高い能力でもあり、使用者は極めて少ない。今この里で使えるのは俺だけだ!」
やはりそう簡単には会得出来そうにもないか。
「修業を始める前に一つ言っておく。お前達がこの技をマスターしてもだ、使用するには一つの厳しい条件をつける!それが自分ルールだ!」
ガイの自分ルールはここから来てるのか。
「それはな……自分の大切なものを死んでも守り抜くと決めた時だ!」
その言葉に込められた意志が心に届き、何となく直感してしまった。多分、俺にマスターするのは無理だと。
潜在能力の解放という技の性格上、その質は術者に大きく左右される。体術以外の全てを捨て、ただひたすらに一つのことを突き詰めるこの親子と俺とでは、覚悟や意識といった部分で差がある気がしたのだ。
八門遁甲は火事場の馬鹿力のように発動させるには条件や覚悟を自分に課すことによって、窮地に立たせる必要があるのかもしれない。そして、そのルールや覚悟の重さがきっと普通の忍よりも強いのだと思う。
でも、やる前から諦めることもないか。あくまで八門全てマスター出来るかどうかの話だし。
「では、まず修業だが、自分の体内にある門を感じることが必要だ。体内でしっかりとチャクラを練るんだ!その時にこう、なんとなく……ポカポカする部分を感じない?」
おい、いきなりアバウトになったな。でも身体強化の要領で頭に集中することで、一つはハッキリと感じることが出来た。
「はい、頭の部分はなんとなく感じることができます」
「えっ!もう?僕はまださっぱりです」
「俺は婆様との修業で似たようなことさせられてたからな。二年くらいかかったけど」
アカデミーに入学した頃から毎日やらされていたのだ、そう簡単に追いつかれてたまるか。
「さすがコハル先生。だが焦るなガイ!こう気合いをゴォーっといれるんだ!熱い青春を感じるだろう!」
「そんな説明でわかるか!」
「なるほど!一、二、三……八つ。これかな?」
「お前も分かるんかい!しかも全部感じてるし。俺は一個しか分かんねーよ!」
この人達との修業は精神疲労が凄そうだ。それに、やはり八門遁甲には適性というものがあるのかもしれない。
「八つ全てを感じることが出来たら、その全てのエネルギーを一つに集めて、ドバッとすれば解放すれば出来るぞ。ガイは集めてみろ!ヨフネ君は全部を同時に感じられるようになるところからだな」
「……はい」
「そう、落ち込むな!一朝一夕で出来るものでもない。日々修業だ!ハッハッハー」
その日は解散となったが、少しでも時間が合えばガイやダイさんと一緒に修業を繰り返した。こういっては何だがダイさんが下忍で助かった。時間の融通が効くのだ、俺よりも。
ガイとは今までよりも仲良くなった。父親を馬鹿にしない中忍というのが嬉しかったのか、俺に勝っているのが嬉しいのかはわからないが。
半年が経った頃にはガイは生門を解放出来ていた。それに対し、俺が感じることができるのは未だ頭部にある開門と休門だけで、八門を同時に感じることすらできていなかった。
新たな目標も見つかり修業だけをしたいのだが、中々そうはいかない。感知タイプと医療が出来るメンバーがいるうちの班はかなり扱いやすいのか、あちこちに飛ばされる。
今は同盟国の波の国に来ていた。実は波の国から少し離れたいくつかの無人島で霧の忍の目撃情報が入ったのだ。最近、霧隠れの忍との間では領土を巡って小競り合いが起きているため、すぐに俺たちが派遣された。
敵からすれば木の葉への前線基地ともなり得る場所のため、俺たちを含めた四小隊、つまり一個中隊が送られた。波の国の外海側に到着した俺たちはまずは手分けをして、最も近い四つの無人島を偵察することになった。
俺たちの班は一番南の無人島へ近づき、周辺に敵がいないことを確認して崖の下の部分に上陸する。そこから俺はコン平をシビ先生は蟲を放ち、トンボは印を結んで感知に専念している。
シズネは周囲に敵のトラップがないか探索している。シズネは暗器やトラップに高い適性があり、それらの見破に磨きをかけてきていた。
「飛竹、何かチャクラの反応はあるか?」
「すみません、僕の方は何も分かりません」
「ヨフネお前はどうだ?」
「まだコン平からの連絡はないですね、シビ先生はどうです?」
「蟲たちが相手の足跡は発見したようだが、敵自体は発見できていない。こうなると敵は移動した可能性が高いな。何故ならば俺たち三人の目を掻い潜るなど不可能だからだ」
確かに、それぞれ違う方法で感知する俺たちのどれにも引っかからないということは、敵はいないと見ていいだろう。
「一旦、詳しく探索しますか?」
「そうだな……シズネ、敵のトラップは?」
「うーん、どうやらなさそうですね」
「よし、では足跡があった位置まで行ってみよう」
しかしシビ先生が見つけた足跡まで行ってみたものの足跡以外にはなく、トラップの痕跡も見られなかった。しかし俺は何かが引っかかる、こういう違和感の正体が理由が分からない時は、だいたい良いことがない。
「先生、どうしますか?」
「一旦後退して他の小隊と情報交換するぞ」
先生も違和感には気付いたのだろうがその正体までは分からぬまま、一旦波の国の港まで戻った。他の小隊も戻って来ていたので、情報を共有してみると漸くその違和感に気付くことができた。先生も気付いたのだろう、全員に話し始めた。
「今回、どの班も足跡は見つけることが出来たが、その他の痕跡や姿は確認出来ていない。これは陽動ではないかと俺は思う」
「それはどうゆうことでしょう?」
「今思えば、そもそも敵の目撃情報からしておかしい。何故、敵が霧隠れと断定されていたのか。林の般若衆や雲隠れの可能性だってあるはずだ」
「なるほど」
「……確かに」
どうやらみんな不信に思い始めたようだ。
「さらには敵の痕跡だ。足跡は残っているのに、偵察などをするために必要な拠点の痕跡は一切なし。これには恣意的なものを感じる」
「なるほど、これら全ては我々を足止めするための物とシビ先生は言いたいんですね?」
「そうだ。痕跡や目撃情報があった以上、無視はできない。そう思わせることが目的のなのかもしれない」
「となると、敵の目的は木の葉の戦力の分散と時間稼ぎ。そうする理由は……」
「そうだ、敵は茶の国に攻め入るつもりだ」