宇宙世紀105年。
特権階級を乗せた住環シャトル【ハウンゼン356便】に偶然乗り合わせた連邦軍大佐【ケネス・スレッグ】は、鮮やかにテロリストを鎮圧せしめた青年ハサウェイと出会う。そして……。

大丈夫。捻れ骨子の作品だよ。(ニチャァ)

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キルケーの魔女公開前に上げなきゃ(義務感)


閃光じゃねぇンだわ

 

 

 

 

 

 宇宙世紀105年。

 シャアの反乱と呼ばれる戦いから12年が過ぎた。

 

 いくつかの事件や戦いが起こったが、表向き平穏を保っているように見せかけている地球連邦政府は、多くを隠ぺい、または欺瞞でごまかし、腐敗していく。

 そんな中、反地球連邦を掲げる組織【マフティー・ナビーユ・エリン】が誕生し、地球連邦政府要人の閣僚や官僚を狙って粛清――という名のテロを行うことで、地球連邦政府の要職の世襲と血縁による体制を揺さぶろうと活動を続けていた。

 

 4月19日。特権階級を乗せた住環シャトル【ハウンゼン356便】がマフティーを名乗るテロリストたちにハイジャックされた。

 それに偶然乗り合わせた連邦軍大佐、【ケネス・スレッグ】と、()()()()()()()の活躍によって、テロリストたちは一掃される。

 鮮やかな手腕でテロリストの隙を突き、鎮圧せしめた青年は、()()()()()()()()()こう名乗る。

 

「地球連邦軍公安局、特殊執行部実働ユニット所属、【ハサウェイ・ノア・ヤシマ】大尉であります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はは、お前さんが【巻き込まれる男】ハサウェイか。噂は聞いているよ」

 

 遠慮なくバンバンと背中をたたくケネスの態度に顔をしかめつつ、ハサウェイは応えた。

 

「面はゆい話です。間が悪いだけでして」

「ご謙遜を。あれだけ巻き込まれてきて、生き残ったのは伊達じゃあるまい」

 

 上機嫌なケネスに苦笑しつつ、思考を巡らすハサウェイ。

 

(結局この辺は()()通りか。俺を取り巻く環境は大分変っているはずなんだが)

 

 そんな彼らの横を、一人の女性が通りすがる。

 儚げにも思える透明感としなやかなしたたかさを兼ね備えたようなその女性は、ハウンゼンの中で話題の中心となり、ケネスとも親しくしていた女性だ。彼女の言葉でテロリストに隙ができたといってもいい。

 そんな隠れた功労者ともいえる彼女は、くすりと笑って「お先に」と言い残し、脱出用のスライダーで滑り降りていく

 

(【ギギ・アンダルシア】。史実の俺は()()に重ねていたようだが……やはり違うな。強かさがある)

 

 ()()()()()()()()()人物のことを思い出し、別の意味で顔をしかめるハサウェイだったが、それは今考えることじゃないと気持ちを改め、スライダーに飛び乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご協力を感謝いたしますよ大尉」

 

 事件後、ハサウェイは連邦捜査局から尋問を受けた。

 それに一通り答えた後、捜査員は「ところで」と話を続ける。

 

「大尉はなぜハウンゼンに? 軍の定期便の方がスマートに地球へ降りられたでしょうに」

 

 ハウンゼンなどの特権階級用のシャトルは、その性質上(身分的に)厳しい搭乗資格を要する。それを得る手間を考えれば、軍の伝手を使った方が早いのは確かだ。

 しかし今回の場合、そうもいかない事情があった。

 

「職務上の機密、というやつです。我々は軍内部の内偵や抜き打ち監察などを行うこともありますので」

 

 濁して伝える。事実今回の()()()任務だ。あまり軍の中で話を広めたくないという上層部の思惑もあった。もっともハイジャックの件で、その思惑はおじゃんとなったが。

 

(とはいえそれだけでもないんだけどね)

 

 いくら任務とはいえ、大尉風情が特権階級用シャトルの搭乗資格を得ることは容易いことではない。そこには軍以外にある()()()()()()()()()による介入があった。

 

「それは()()()()()()()()()()()とか?」

「ご想像にお任せしますよ。もっとも我々としてはそちらの邪魔をする気はありませんが」

 

 捜査員の質問に対してどうとも取れる答え方。実際全く無関係ではないが、直接かかわることとも言い難い。

 この後もしばらく質疑応答が続く。そのすべてをのらりくらりとハサウェイは乗り切っていった。

 

「お時間を取らせて申し訳ない。こちらも仕事でして」

「お気になさらず。お互い様ですよ」

 

 これ以上情報を引き出せないと悟ったか、捜査員はハサウェイを開放することにしたようだ。こうなるだろうと思っていたハサウェイ自身は、それほど思うところもない。

 監視もかねて高級ホテルへ宿泊するよう促されたハサウェイは、捜査員へと尋ねる。

 

「人と会う約束があるのですが、外出しても?」

「こちらの目の届く範囲でしたらご自由に」

 

 監視していると隠そうともしない。まあそうだろうなと苦笑するハサウェイ。

 

(盗み聞きしてくれれば、色々勘ぐるだろうさ。せいぜい踊ってくれ)

 

 内心ほくそ笑んで、ハサウェイは席を立つ。

 彼はこのすぐ後に、ギギとひと悶着あって閉口することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連邦軍キンバレー基地。

 不正だらけであった前任者を解任させ司令官の席に収まったケネスは、ハサウェイに関する資料に目を通していた。

 

「特殊執行部実働ユニット、【ヘルハウンド】のエースか。……獲物は俺たち、かな?」

 

 近年になって新設された組織。連邦軍の内部粛清組織とも対テロ抹殺部隊とも呼ばれ、陰口をたたかれている執行機関。軍内外区別なく、不穏な勢力に対処するために創設されたとされているが、その後ろ盾には軍以外の勢力も関与しており、何者かの私兵、あるいはティターンズのような組織の後釜と考えるものが多かった。

 艦隊とMSも所有し、しかも多くがガンダムタイプという贅沢極まりない組織。その存在価値に疑問を呈する人間を実績で黙らせ、立場を確たるものにしつつある。その中核ともいえる人間が己とともに地上に降りてきた。何かあるのではと勘繰りもする。

 

「普通に考えれば、マフティー関連だと考えられますが」

 

 副官の言葉に、ケネスは苦笑を浮かべる。

 

「ヘルハウンドの存在がお題目通りであればな。彼らは後ろ暗い噂も多い。用心はしてしかるべきさ」

 

 ヘルハウンドはいくつかのテロリストや反地球連邦勢力とのつながりを疑われている。ジオン公国の遺児である【ミネバ・ラオ・ザビ】や【袖付き】と称されたネオジオン系列組織から発展した政治結社【ニュージオニズム】などの旧ジオン系列勢力。【ビスト財団】やアナハイムエレクトロニクスの反地球連邦系派閥。幾人かの連邦政府要人など、噂だけなら枚挙にいとまがない。

 

「その中でもとびきりの要注意人物。英雄の息子、巻き込まれる男。【ラプラス事変】、【不死鳥狩り】、【ムーンクライシス動乱】。表ざたになっている騒動だけでもこれだけ関わったうえで生き延びた、たたき上げのサバイバーかつトラブルを呼ぶ男(トラブルブリンガー)だ。本人が望まなくとも、我々と事を構える事態になるかもしれん。注視はしておくべきだろう」

 

 敵対することを想定した物言い。しかしケネスは、内心別の方面でものを考えていた。

 

(事の正邪はともかく、あいつとつるむのは面白そうだ)

 

 どうしたらあの青年を味方に引き入れることができるか。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()。面白いことになってきたじゃないかと、ケネスは弾む心を押し隠していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホテルを出たハサウェイは、不法住民を取り締まり地球外へ退去させる……という名目の下横暴にふるまう警察組織、通称【マンハンター】の手を潜り抜けるようにタクシーへ乗り込み、目的地へと向かっていた。

 

「いつもあんな感じなのかい?」

「そうでさ。あいつら稼ぐ端からかっぱいでいきやがる」

 

 タクシーの運転手と雑談を交わす。マンハンターの無法ぶり、最近の景気、マフティーの動向など、話題は様々だ。

 

「思うに暇なんだねぇ、あの人たち」

「なるほど、そりゃ言えてるな。こちとらテロなんかやってる余裕もないってのに」

「まったくでさ。明日のことも分らないのに、1000年先のことなんか考えられますかってんだ」

 

 などと言葉を交わしているうちに、タクシーは目的地に着いた。

 ハサウェイは、かなり多めにチップをはずむ。

 

「おおこりゃ、いいのかい兄ちゃん」

「なに、面白い話を聞かせてもらった礼さ。マンハンターに取られる前に、一杯引っかけなよ」

「ありがてえ。そうさせてもらうよ」

 

 茶目っ気を見せてウィンクして見せるハサウェイに、タクシーの運転手は歯抜けを見せつつ満面の笑みを浮かべた。

 去るタクシーを見送って、踵を返すハサウェイ。行く先は、市街地のはずれにあるカフェだ。

 オープンテラスの席に、約束した人物は座している。

 

「お待たせしました」

「時間には間に合っておりますよ、()

「その呼び方はご勘弁を。どうにも慣れません」

 

 目立たない、凡庸に見える私服の男性。しかしその姿勢、物腰は然りとした教育を受けたように見受けられた。

 

「慣れていただきませんと、()()()()()()()()()()としての立場もございます」

「大分頼った自覚はありますが、身上を潰すタイプの人間ですよ俺は」

「ご謙遜を。……まあそれは置いておきましょう。早速ですが、ご依頼のものです。ご確認を」

 

 男から受け取ったメモリーチップを己のタブレットに差し込み、ハサウェイは内容を確認した。

 

「……思った通り、でしたか」

「ご指摘の通り、()()()()()()()()()()()()()()。休学あるいは自主退学している人間が多くみられます。ですがこれが、そのままマフティーに流れているとは言い難いかと」

「全員ではないでしょう。本当に使える人間は()()()()()()()に引っ張られていますよ」

 

 1()()()()()()()()()()()()()。マフティーの背後にいるものはそういった人材を多く集めていると、ハサウェイは踏んでいた。いや、彼らだけではない。目端の利く勢力はそういった人材を求めるだろう。変わりつつある時代。それに対応するために。

 

「マフティーは餌であり贄。目を引くために()()()()()()()。これまでのジオニズム(ジオンの亡霊)に成り代わる反連邦のイデオロギー。そういったものを生み出すための土壌とするつもりなんでしょう」

「ニュージオニズムのような?」

「あれはむしろ()()()()()()()()()()()()()という考えでしょう。首魁たる【フル・フロンタル】という人は吹っ切れているようですからね。いずれにせよ人材を欲していることに違いはない」

 

 なぜか和解して別方向に吹っ切れた人物のことを思い出し、ハサウェイは苦笑する。史実に関わるとろくなことになってないよなあと、遠い目になるが今更だ。

 背後にいる気配がわずかに動きを見せる。ちゃんと話を聞いているようだと安堵。連邦捜査局にもキンバレーにも、()()()()()()()伝えてもらわねばならないのだから。

 

「この情報はキンバレー部隊にも伝えます。どう生かすかは彼ら次第でしょうが」

「ご自分の手柄にはなさらないので?」

「ただでさえ目立っていますんでね。それにしばらく世話になりそうだ。花を持たせて機嫌を取ろうということですよ」

 

 言いながら席を立つ。

 

「無茶を聞いてくださり、ありがとうございます。ご党首様にはよろしくと」

「下手な礼より、()()()()()()と呼ばれた方が、喜ばれると思いますが」

「恐れ多いことです。そのうち顔を出すとお伝えください」

 

 まだ引き留めたそうな男にかまわず、ハサウェイはその場を後にする。その脳裏では、思考が駆け巡っていた。

 

(状況は大分変っているはずだが、流れは似たような形で移行している。今までと同じようなものだが、さて今回もそうなのか)

 

 ひょんなことから自身の運命を含めた歴史の流れを知ってしまった青年は、生き抜くために足掻かんとしていた。

 

(最低でも、心を病んで自滅まがいの死に方ってのは勘弁なんでな。せいぜい足掻かせてもらうさ)

 

 その目は己の破滅に向かうものではない、強き意思が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回予告?

 

 

 ホテルに戻ったハサウェイは、マフティーの襲撃に巻き込まれる。

 

 

「怖いの。何かが、何か怖いのが迫っている気がして」

(これがこの子の勘みたいなものか。俺のような()()()()()()にも感覚としてわかる)

 

 

「ちょ、重いよ!?」

「鍛えてるさ! 黙ってないと舌を噛むよ!」

 

 

「大佐ぁ!」

「おっと。……王子様役を奪っちまって悪いな、ハサウェイ?」

「柄じゃないですよ。せいぜいが盗人ですんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんやかんやあって、ハサウェイはキンバレー基地――【キルケー部隊】に身を寄せることになる。

 そこでまみえる、新たなガンダム。

 

 

「ホテルに泊まっていた要人が、全員暗殺された?」

「見事にやられたよ。……何か気づいたことは?」

「逃げるのに懸命で、それどころじゃありませんでした」

「……ま、そういうことにしておくさ」

(疑われてるなあ。……実際()()()()のは確かだけど)

 

 

「これが新型ですか。こりゃまた……でかいな」

「【ペーネロペー】。ガンダムタイプのMSに【ミノフスキーフライト】ユニットをおっかぶせた代物さ。……どうだい、乗ってみるか?」

「勘弁してください。試作機にはいい思い出がない」(こいつも【クスィー】も、たぶん()()のデータ取りのためのものだ。俺のデータをくれてやりたくはないしな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再びの襲撃。それは予想を超えて。

 

 

「やられた! 連中の狙いは()()()()()()だ!」

(クスィーが出てこない? まだ受領されていないのか、それとも)

 

 

「ペーネロペーのシグナルロスト! げ、撃墜された模様!」

「拠点もガンダムもおとりだったと。くそ、こうも出し抜かれるとは」

「完全に読まれている。……まさか、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてついに、MSに乗り込むこととなるハサウェイ。

 

 

「これがお前さんのガンダムか」

「ZⅢ、なんて呼ばれてますけどね。実際は中古品の現地改修機ですよ」

「なるほど、見たところ【リガズィ】の改修機か?」

「ええ。正式コードはRe・GZ・EX。【リガズィクス】といいます」

 

 

 かつてアムロ・レイが駆っていた機体の改修機。それは物語をどのように導くのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く予定とかねぇンだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい明けましておめでとうございますすみません。(五体投地)

種と連載差し置いてこんなモンが年明け1発目です。なんか思いついちゃったんだよぅ。
そんなわけでハサウェイ性格改変物というか魔改造物です。うちのショップじゃこれが標準仕様なんだよ。逆行なのか未来予知なのか、ご想像にお任せと言うことで。
もうなんか色々やらかしてそうな雰囲気がバリバリ漂っていますが、当然ながら捻れ骨子は何も考えていません。そして一発ネタですので続きません。誰か書いてくれませんかね続き。

そう言ったわけで皆様本年もよろしくお願いいたします。

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