外来人。幻想郷で、大工をする。――妖怪たちの褻(け)の日の話―― 作:ゴケット
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」「新クトゥルフ神話TRPG」
馬骨の崩れた残骸を横目に、本棚へ向かった。
部屋の隅に置かれた古い本棚。
その中から分厚いハードカバーを一冊抜き取る。
ぱらぱらと中身を確認する。
そのまま本を胸へ当てる。
「その本、そんなに気になるのか?」
小瓶の中から魔理沙が声を掛けてきた。
「外の世界の本なら後で読んでみたいけどな」
「そうじゃない」
玄万は本の表紙を軽く叩いた。
「今回はベッドが盾になったが……」
崩れた馬骨へ視線を向ける。
「もう少し防具が欲しい」
「ああ、それなら」
まましろが荷物の中を漁った。
取り出したのはダクトテープだった。
「なんでも直せるダクトテープでござる」
「お前ホントに日本人か、アメリカ人みたいなこと言ってからに」
「どちらも外来人でござるよ」
数分後。
本は布で包まれ、
さらにダクトテープで固定されていた。
即席の胸当て。
小鈴はその様子を見ながら複雑な顔になる。
「うぅ……」
「本来の使い方じゃない気がします……」
本好きとしては少々複雑だった。
しかし。
先ほど馬骨に扉を蹴り破られかけた直後である。
反対もしづらい。
一方。
まましろは拳銃を膝の上へ置いていた。
シリンダーを覗き、
そして新しい弾を押し込んでいく。
その手元を見ていた魔理沙が首を傾げた。
「それ、鉛玉じゃないな」
「おや」
まましろが顔を上げる。
「分かるでござるか」
「薬か?」
魔理沙は目を細めると、
さらに観察して納得したように頷く。
「攻撃術式の触媒に使うやつか」
そして鼻を鳴らした。
「……霖之助だな」
まましろが肩をすくめる。
「正解。
単発小星弾だそうでござる」
「やっぱりか」
魔理沙は呆れ半分、
納得半分といった顔になった。
「相変わらず妙な物ばっかり作ってやがるな」
「低価格で外来人には大変ありがたい品でござる」
弾を込め終えたまましろは、次は雷管を装填していく。
その頃には玄万も胸当ての位置を調整し終えていた。
腕を動かしてみる。
問題ない。
「胸はこれでいいとして……」
少し考える。
「盾も欲しいな」
そういうと、小鈴はなにか思い出したのか、声を漏らした。
「浴槽の蓋……」
そういえば浴室に大きな木製の蓋があった。
「あれ使えそうだったな」
頷きながら言うと、まましろが立ち上がる。
そして部屋の女性陣へ視線を向けた。
「では、拙者が」
小鈴に行かせるのは気が引ける。魔理沙は論外。
こちらも異論はなかった。
まましろが浴室から木製の蓋を運び出してきた。
厚みのある木板で、即席の盾としては十分そうだった。
準備を終えた。
崩れた馬骨を跨ぎ、一階へ。
そして、さらに……
地下へ、
まず周囲を見回した。
怪しげな古美術商の地下室。
そう聞いて想像していたものとは少し違った。
工具。
木材。
金属容器。
バケツ。
作業台。
「……思ったより普通ですね」
後に続いてきた小鈴が呟く。
たしかに、
少なくとも美術品が並んではいなかった。
「でも、わざわざ地下室を貸していたんですよね」
日記の内容を思い出す。
『コービットさんの荷物を置くために』
その言葉と同時に。
視線は自然と壁へ向いた。
地下室は煉瓦造りだった。
だが。
一か所だけ。
そこだけ木だった。
「……あからさまだな」
魔理沙が呟く。
レンガの地下室に、
木の壁だけが不自然に存在していた。
面白かった、つまらなかった、正直な気持ちでもちろん大丈夫です。
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