カケル「なぁ。俺らって今何処にいるんだ?」
ハル「分かんない……けどこっちで当たってるんじゃない?」
僕らは10分程霧の中を歩いていた。
霧が濃すぎるせいで先が全く見えないから、僕達は互いのカバンの紐とかを掴みながら歩いていた。
歩いていると霧のせいか、肌がジメジメとした感じがする。自然と雨の中を歩いているような気がする。
アユミ「うーん……。中々着かないね……。」
ハル「そうだね……。でも、だんだん光る速度が速くなってきてるから、あと少しなんじゃない?」
最初は心臓の鼓動のようなリズムで光っていた光も、アラームのような速さで光っていた。
カケル「でも、何がMAXなのか分からなくないか?」
ハル「……というと?」
カケル「ほら、最大の速さがどれぐらいか分かんないじゃい?だから、今が中間なのかすら分からないんじゃね?ってこと。」
アユミ「確かに………まだ着かない可能性もあるかもしれないね。」
ハル「………でも、今結構光る速度速くない?」
カケル「……そうだな。」
アユミ「光って速く光りすぎると、連続で光っているように見えるんだよ。だから、最大はただ光っているように見えるんじゃないかな。」
カケル「ほへー……。じゃあ、後少しなんじゃね?」
ハル「うーん……まぁ、気楽に行こう!」
カケル「……よくこんな状況で、そんなに気楽で行けるな……。肝が据わりすぎだろ。まぁ、今はその石を信じて行くしかねーか……。」
………………………………………。
カケル「…………にしても、周りの音が全く聞こえないな。」
アユミ「確かにね……。この世界に私達しか居ないように感じるよ……。まるで別世界に来たかのようだ……。」
アユミがそう言うのも納得できる。学校を出た時にはまだ聞こえていた、車の音や他の人の声も今は聞こえなくなり、代わりに僕達の足音しか聞こえなかった。
カケル「………?なぁ、さっきもここ通ったくないか?」
アユミ「そうかな?私はそう感じないけど……。」
ハル「僕もここ通ったと思う……。」
さっきから、同じ道を繰り返し通ってる気がする……。
何かさっきも同じような標識を見た気がするしね。
多分、どの道を進んでも同じ感じがする。まるで、霧の中の迷宮に迷い込んでしまったかのようだ。
…………これって僕達帰れるの?急に不安になってきた……。大丈夫だと信じたいね……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから、また数分が経過した。
手に持っていた石はさっきよりも速くなって、見ているだけで目が痛くなってくる。心なしか、石が少しだけ暖かくなってきた気がする。
なんか、『あともう少しだよ!!!』って言ってるみたいだ。
カケル「なぁ………なんか聞こえないか?」
アユミ「………?本当だね。これは………羽音?」
ハル「え?虫?僕虫苦手だよ?」
カケル「あー……そうだったな。ハルは虫が大の苦手だったな……。」
アユミ「そうだったんだね……。でも、もしかしたら光りが導きたかったものってこの羽音じゃないかい?」
ハル「確かに!でも、虫だとしたら僕無理だよ?」
アユミ「克服……してみたらどうだい?」
カケル「この機会に虫を克服するのもいいかもしれないぞ!」
ハル「やだよ!!僕は虫がこの世で一番嫌いなんだから!嫌いなものを克服することはできないよ………」
カケル「そう言わずにさ……。」
ハル「これで凄くでかい蛾とかだったらどうするの?」
アユミ「流石に違うんじゃないかな……羽音が重々しいし、規則的に聞こえるしね。」
カケル「もしかしたら、同じ道を通ってるように感じるのって、あの羽音が原因なんじゃないか?」
ハル「……ってことは、このループが続く限りは蛾と共存しないとってこと!?」
カケル「1回蛾の線から外れようぜ。」
僕らがそう言い合っている時だった。
手に持っていた石が断続的に光るんじゃなくて、完全に線となって光り輝いた。石はカイロのように熱くなってきていた。どうやら、音の正体が近づいてきたみたい……。
神さま仏さま…………虫であらないで!!!!!
それと同時に、声も聞こえてきた。
???「誰かそこにいるんですか……?」
アユミ「人かい……?……あぁ、居るよ!君は誰だい?」
ハル「……霧が晴れてきた?」
霧が少し晴れると、辺りがはっきりとしてくる。少し遠くまでは見通せそうだ。
僕が視線を声の主に向けると、そこには背中に蝶のような半透明な羽を付けた、緑色の髪の少女がいた。
カケル「ハル。良かったな、虫じゃないぞ。」
ハル「良かった……!生き延びた!」
???「えーっと……?」
アユミ「すまないね。さっきまで大きい蛾が居るとかで騒いでいたんだよ……まずは、自己紹介でもしようか。私はアユミだ。」
ハル「僕はハルっていうよ!」
カケル「俺はカケルだ。よろしくな!」
???「私は、大妖精って言います!皆からは大ちゃんって呼ばれてます。よろしくお願いします!」
アユミ「なるほど……。大ちゃんか……。」
カケル「アユミが『ちゃん』だと……!?」
アユミ「そんなに驚く事かい?」
ハル「アユミって全員に君付けじゃないの?」
アユミ「逆に聞くけど、大ちゃんと大君。どっちがマシだと思う?」
ハル「大妖精君だね。」
アユミ「第3の選択肢を出してこないでおくれ?」
カケル「でも、アユミは大妖精君の方がしっくりくるな。」
アユミ「そうかい………なら、大妖精君?君は…………妖精なのかい?」
大妖精「………!よく分かりましたね……。」
アユミ「後ろに羽のようなものが付いてるからね!」
大妖精「それだけで分かるものなんですか?……それにしてもよく驚きませんね……。普通は驚くものだと思うんですが……。」
アユミ「驚かないね!!」
絶対嘘だ………。僕には分かる。アユミの観察したい欲がMAXになってる事に。
だってアユミって幻想的なものが好きなんだもん。チルノの時もそうだったし、大ちゃんで興奮しないはずが無いのだ。
ハル「なんか慣れちゃったんだよね。それで、大ちゃんはどうしてここに居るの?」
大妖精「……数週間前に急に友達が2人居なくなっちゃって……。探していたらここに着いていました……。」
カケル「名前と外見ってどんな感じなんだ?外見が分かったら、もしかしたら分かるかも!」
大妖精「名前は……青い髪の子がチルノちゃんで、もう1人が金髪のルーミアちゃんです。」
カケル「…………。」
アユミ「…………。」
なんかアユミとカケルがこっちを見てきた。え?もしかしなくてもチルノとルーミアの友達だね?大妖精も迷い込んじゃったのかな……。そうしたらまた居候が……?
いや!まだ決まったわけじゃない!もしかしたら迎えが来た……?
ハル「えーっとね?大ちゃん?」
大妖精「?ハルさん、どうしました?」
ハル「チルノとルーミアの友達?」
大妖精「そうですけど……。その感じだと、チルノちゃん達を知ってるんですか!?」
ハル「うん……知ってるというか、今その2人は僕の家にいるよ!」
大妖精「……!!そうなんですね……。良かった……。2人とも、もう居なくなっちゃったのかと……。」
ハル「あともう1つ聞きたいんだけど、大ちゃんって幻想郷に戻れる?」
大妖精「………え?ここは幻想郷じゃないんですか?」
アユミ「ここは日本と言って、大妖精君がいた所とは違う世界なんだよ。」
大妖精「え………。じゃあ帰り方分からないです……。普通は別世界に行くことが出来ないので……。」
カケル「じゃあ、ハルの家に行けばいいんじゃね?」
大妖精「え!……良いんですか?」
ハル「…………………………うん。良いよ!」
アユミ「結構考えたね……。」
カケル「じゃあハルの家に行くか?」
ハル「そうしよう!」
大妖精「ハルさん………色々とありがとうございます!あと、これからよろしくお願いします!」
ハル「うん!もちろんだよ!葵!じゃなかった……大ちゃん!」
アユミ「…………………?ハルく……。」
カケル「アユミ?」
アユミ「………?どうしたんだい?」
カケル「~~~~~~~~~」
アユミ「~~~~~~~~~」
カケル「~~~~~~~~~」
アユミ「~~~~~~~~~」
なんか2人が小声で話してる………何を話してるのかまでは分からないけど、どうかしたのかな?
ハル「2人とも?どうしたの?」
カケル「いや!何でもない!ハル?急でごめんだけど、俺たち急用できたからもう帰るわ!」
アユミ「あ、あぁ!急にすまないね!」
ハル「………?急用なら仕方ないけど、何かあったの?」
カケル「ま、まぁね………。」
アユミ「カケル君が学校に忘れ物したみたいだからさ!」
カケル「え?うん。課題忘れてきちゃったわ!」
ハル「僕もついて行こうか?」
アユミ「いや、ハル君は早く大妖精君をチルノ君達に合わせてあげて!異世界の話は明日に聞くとするよ。」
ハル「……うん。分かった!」
なんか二人の様子が変だった気もするけど……。
気にするだけ野暮かな?
そして、僕は大ちゃんを連れて家へと向かった。
新しい妖精が増えた………。この子は礼儀が正しそうだし、家を荒らさないと信じたい!でも、アユミ曰く妖精はイタズラ好きらしいし……。
もしかして、祈るしかないってこと!?