紫煙少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

8 / 8
話し合い

 そうして臨時休校となった日。

 雄英の教師陣が全員集められ会議が行われている。

 ……会議は襲撃時の主犯へと移る。

 USJ襲撃時の死柄木弔と呼ばれた青年及び黒霧と呼ばれた(ヴィラン)の素性についての会議。

 ヒーローには出来ないが警察に出来ることは多々ある。

 具体的には捜査権に始まり強制捜査や囮捜査、聞き込みや職務質問……会員制BARや金融機関などの極めて秘匿性の高い場所への捜査や聞き込みなどが挙げられる。

 あとはヒーローでは逐一許可が必要な前科者のリストや犯罪者リストなどを自由に閲覧する権限や個人情報として秘匿されるべき情報を立ち所に知れるのも警察の強みである。

 何よりも……警察の精鋭が100人も集まればそれは即ち世界一の探偵組織となり得る。

 

 塚内直正は各教員へ配布した物と同じ物を手に説明を開始する。

 

「死柄木という名前……『触れたものを粉々にする個性』……そして似顔絵写真から20代〜30代の個性登録者を片っ端から当たって見ましたが該当無しです……ワープゲートとされていた『黒霧』と呼ばれていた者も同様ですね……無戸籍です……偽造屋による偽造身分証で活動している可能性も捨てきれませんが…………個性届けも出されていません……携帯会社や各種公的機関の記録やクレジットカードなどの使用履歴……公共料金や税金の支払い履歴も一切無し……この2人とも……公的には存在した証明が一切出来ない透明人間です」

 

 そう語る塚内。

 それを踏まえて会議室に集められた雄英教師陣の内の1人……。

 スナイプが溜息混じりに語る。

 

「何も掴めないのは不味いな……早くしねぇとその主犯の透明人間にまたゴタゴタを起こされちまう」

 

 スナイプが語った『主犯』……その呟きにオールマイトはやや違和感を覚えて反芻し呟く。

 

「……主犯か、思いついても普通は行動や実行には思わない大胆な襲撃……通信の妨害やその他隔絶させるあらゆる用意は周到に為されていた……にも拘らず突然それっぽい暴論を捲し立てたり自身の個性を一切明かさない代わりに……脳無と呼ばれた(ヴィラン)の個性は『自慢げ』に語っていた、そして自分の思い通りに行かないと露骨に気分を害していた……」

 

 それらと……“尤もらしい暴論”と“自分の所有物の自慢”を行い全てが自分通りになると思っている単純思考と襲撃決行も相まって見えてくる人物像は……。

 

「万能感が抜けきってない子供の精神性……子供のまま大人になったと言うべきか……」

 

 それは……この個性溢るる超人社会ではままあること。

 個性という凄まじい能力は時に人を万能感で満たす、特に若い少年少女ならば尚更のこと……一斉個性カウンセリングなどでそれらをカウンセリングする事もあるが受けてないのならそのまま『強大な力を持った子供』として進み大人になる。

 問題は……。

 

 そこで塚内が口を開く。

 

「問題は先日のUSJ襲撃時に逮捕し検挙した(ヴィラン)の数……79名……その大半が路地裏に居るようなチンピラや小物でしたが……問題はそういう人間達が『子供大人』に賛同して追従した事……ヒーロー飽和社会で抑圧されてきた悪意達はそういう無邪気な邪悪に惹かれるのかもしれません……ま、ヒーローのお陰で我々も捜査に専念ができる……捜査網の拡大と人員の増員をしてこの件に当たります」

 

 そうして……会議は終了した。

 


 

 そして臨時休校も明け翌日。

 

 相澤は朝のSHRで発表を行う。

 

「雄英体育祭があります」

 

 その言葉に沸き立つクラス。

 雄英体育祭といえば一大イベントである。

 ついでに言えば山如の稼業でも存分に稼がせて貰っているビッグイベントである。

 具体的には毎年開催されるイベントの1つで、雄英体育祭優勝者当てと銘打ったイベントを開催し勝者投票券を発行。

 単勝、複勝、応援券、枠連、勝者連、(クラス)単、ワイド、3連複、3連単、WIN5の形式に分けて対応し1枚100円から買える。

 なお公営賭博と同様に20歳以上からとなっている。

 他にも雄英体育祭に便乗した賭け事は多種多様な物がありどれもこれもかなりの収益を誇っている。

 しかし同時に懸念点もある。

 (ヴィラン)の襲撃を受けたのにも拘らず体育祭開催など色々と大丈夫なのだろうかという当然の疑問。

 それに答えるのは担任である相澤。

 

「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が盤石だと世間に示す……って考えらしい、一応警備は例年の10倍に強化するそうだ……そして何よりも雄英の体育祭は最大のチャンスだ、(ヴィラン)ごときの襲撃で中止していい催しじゃねぇ……ウチの体育祭は日本のビッグイベントの1つ……プロヒーローもスカウト目的で観にくるからな? 当然名のあるヒーロー事務所に入った方が得る経験値も話題性も高くなる……時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだが年に一回合計3回だけの僅かなチャンス、チャート上位ヒーロー目指すなら絶対外せないイベントだ……心して挑めよ? じゃ……授業開始」

 

 授業が進んでいき、お昼休みとなる。

 心操と一緒に食堂にて食事をしているとB組の物間さんが心操へと話しかけてきた。

 

「やぁ心操君……駒草さん、此処良いかな?」

 

 冷たい蕎麦を啜りながら頷く山如。

 聴けば心操と入試で一緒のフィールドだったらしい。

 その時に助けたり助けられたりして、それからとちょこちょこと話す機会があり友人同士になったとか。

 心操は物間と楽しげに語り倒している。

 同性同士でしか話せない雑談もあるのは山如も理解している故に口を挟むことは無い。

 しかし入れない会話というのはどうにもむず痒い物がある。

 蕎麦を啜りながら体育祭の事を考えるが……この後相談しに行くか、相澤先生に。

 暫くするとお話も終わったのか物間は食べ終えた食器を片付けて席を立ちつつ山如に謝ってきた。

 

「すまないね……彼氏を借りてしまって……」

 

「はははっ、良いんですよ……異性である私とは話せない雑談もあるでしょう? 気にしてませんよ」

 

 笑顔でそう語る山如。

 そうしているうちに昼休みが終わり放課後。

 帰りがけに相澤先生に確認事項を済ませつつ山如は心操と雑談をしながらゆっくりと帰路へと着く2人であった。

 


 

 そうして、2週間という長い様で短い期間があっという間に過ぎ去り、遂に雄英体育祭の当日を迎えた。




赤色評価が続いておりとても嬉しいです
高評価点を入れてくださってる皆さまに深い感謝を

面白いと思いましたらぜひ下記から9や10を投げてください
皆様方の9や10といった評価点が多ければ多い程励みになります

評価付与 お気に入り登録 感想
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ここだけ命の答えに辿り着いた少年に脳を焼かれたゲヘナ生がいる世界線(作者:伝説の超三毛猫)(原作:ブルーアーカイブ)

タイトルの通りです。▼思いついてしまったので、ここで供養します。▼続きは私より詳しい方にお任せしたいと思います。▼〜あらすじ〜▼その少女は、影時間を駆け抜けた。▼先輩たちの背を見て、仲間達と日常を憩い、機械の少女と人を語らい………そして、ある少年と、絆を紡いだ。▼しかし。彼の旅の終わりを見届けた少女は……悲しみを共有することも、仲間たちの心の中を知ることも許…


総合評価:1939/評価:7.79/短編:15話/更新日時:2026年07月28日(火) 22:06 小説情報

セミナーの仕事は忙しすぎる(作者:あさなが)(原作:ブルーアーカイブ)

▼原作に名前の出てこない、いわゆる「モブ生徒」に生まれ変わった元男が、ミレニアムスクールで原作改変の危機と戦うお話です。▼


総合評価:2474/評価:8.09/連載:8話/更新日時:2026年05月18日(月) 12:00 小説情報

血しぶきハンター(作者:みこみこみー)(原作:HUNTER×HUNTER)

幾万もの悪夢の夜を繰り返したその果てに、月の魔物を屠り上位者と成った狩人は、流星街で目覚める。


総合評価:4960/評価:7.99/連載:11話/更新日時:2026年04月23日(木) 15:00 小説情報

紙芝居をしただけなのに(作者:何処にでもある)(原作:Fate/)

 昔々、蛮族の集団で悠々自適に過ごす為の芸が巡り巡って無辜の怪物になった男がおったそうな。▼ その者腕っこきはからっきし、童話を紙芝居で読むのだけは上手く、ペラ回し一本で英霊に立ち向かわざる得なくなって途方に暮れたそうな。▼ この者の本名を亀男、英霊としての名前をカルメン。▼ 無辜の怪物で周囲から理想のタイプの女に見える、しがない一般サーヴァントである。


総合評価:5970/評価:7.87/完結:27話/更新日時:2026年07月01日(水) 23:00 小説情報

傲慢の魔女『フラン』(作者:オド・ラグナの対義語)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

私は『傲慢の魔女』、フランダース・スカーレット。495歳まであと90年くらいの約400歳児。フランドールほどの狂気はないけど、頑張るよ。──これはよくある転生をした一人の少女の物語。   ※思ったより続けれたので短編から連載に変更しました▼


総合評価:3455/評価:8.21/連載:35話/更新日時:2026年07月29日(水) 18:49 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>