Fate/Unfinished   作:サルンパス

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続きです。


第五章 後の宴 前編

呆気にとられていた一行だったが、一人が声をあげる。

「教授!体が…!」

人の身体であったらとっくに亡き者になっていただろう。痛くは無いものの、体がぎしりと軋み、ひび割れるような感覚に眉をひそめる。少女は教授の体に手を触れ、魔術で応急処置をする。

「…一時的に進行を遅らせているだけです。しっかり処置しないと、体が崩れてしまいます。」

少女は教授の体を支え、歩き始める。青年も反対側から肩を貸す。

 

ランサーは獲物を逃がしたこと、そしてあの男に助けられたことを不満げにしながら、彼が去っていった方向を見つめる。

気が付くとあの男は姿を消していた。

「…チッ」

 

アーチャーはマスターの状態を心配し、その脆い体を支えられぬ事を悔しがった。

 

────────────────────────

教授を少女の家まで送り、青年はエントランスで立ち止まった。

「さっきの戦闘で武器がダメになった。一度山に戻る。」

 

そう言って扉を開けようとするが、また足を止める。少し沈黙してから、静かに、しかしハッキリと言葉を紡いだ。

「…令呪を持って命ずる。ランサーとアーチャー、そしてそのマスターを守れ。…これが、俺の答えだ。」

手の甲の印が輝き、応えるように霊体化していたサーヴァントが姿を現す。

 

「承知。我が剣、主の命にて存分に振るわせてもらおう。」

髪を一本に束ねた、群青の剣士。古風、そして背中に携えた刀は、本で見た刀より長く、まるでシーツすら干せそうに見える。

「その、刀は…」

 

剣士は興味深げに少女の顔を覗く。

「ほう…珍しきかな。刀を知るうら若き乙女がいるとは。今世は良い主に恵まれたものよ。」

 

青年は剣士を尻目に見て、扉を開く。

「直ぐに戻る。」

そう言って霧のように消えていった。

 

しんとしたエントランスを離れ、教授を客間のベッドに寝かせる。

「錬金術は然程得意では無いのですが…」

 

「悪いな。構成要素を伝えれば出来るか?」

 

「もちろんです。ただ、有り合わせにはなりますが。」

 

教授はそれでも構わない、と要素をメモさせる。メラミン、エチレン、ナイロン、シリカ、etc…

 

それを含む物質をかき集め、教授の前に置く。スポンジだったり、ジャケットだったり…。

「ああ、それで足りる。後でその分の料金は転送しよう。」

 

素材さえ分かれば後は出来る。不得意言えど一通り学んだのだ。

素材と教授の体に触れ、私の体を通して変換する。

 

残ったのは要素が崩れて形を保てなくなった素材達と、新品同様の教授の体。ただし服は穴だらけでみすぼらしくなっている。教授の真剣な顔と合わなくて、思わず笑ってしまう。

「ふ、ふふ…んんっ……すみません。お洋服、用意しますね。」

部屋から出ると先程の剣士が立っている。その左の廊下を渡り、三つ目の部屋。お父様が使っていた部屋にそのまま残された衣服(ゴミ)。この家を出る時、片付けてから行って欲しいと言ったけれど、まさかこんな風に役に立つとは。

 

教授の元に持っていくと、露骨に嫌そうな顔をする。

「…それ、君のお父上の物だろう。着ないぞ。」

 

「これしかないですから…。」

 

しぶしぶと言った様子で着始める。フリルシャツに鮮やかな青のベストと膝下パンツ。靴は揃っていないのか、元のサドルシューズでみっともない。オマケに服が一回り大きく、肩幅も何も合っていない。

「……」

無言で彼女を見つめる。目を逸らしたいのはこっちなんだが。

 

「…ま、まぁ…その服、一応礼装ですから…。あ、私は着れないのでそのままどうぞお使いください。」

 

「タダでも要らん。」

 

部屋の外からこっそりこちらを見ていたサーヴァントは、思わず笑い声を漏らす。教授がしばらく笑いものになった後、チャイムの音が鳴る。エントランスに向かう私を、サーヴァントと教授は追う。教授は服を指で弄ったり、少し胸を張ってみたり、何とかして着こなそうとしていた。




絵が無いと分かりにくいですよね。そんな絵は上手じゃないので出すかは分かりません。
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