今日の目覚めはなかなかに奇妙だった。見えたのは天井ではなくランサーの体。起こしているつもりなのか、好奇心の的になったのか、私の体を担いでいた。
「……ランサー…?」
特に私の声には答えず、談話室の扉を開けた。私は窓際の椅子に座らされ、彼の様子を見ていた。
昨日のフレーバーティーの箱から一つのティーパックを取り出し、私のところに戻ってくる。
「湯を沸かす道具はどこにある」
「ケトルならキッチンにあります。持ってきますよ。」
談話室を出てキッチンに向かう最中、教授に出くわした。
「おはようございます、教授。紅茶か珈琲、どちらか飲まれますか?」
お父様の服を着た教授はいつものように挨拶する。
「あぁ、おはよう。私は紅茶をいただくとしよう。」
会釈をしてまたキッチンに向かって歩いていく。シンさんも紅茶でいいだろうか。でも起こすのも申し訳ないし…。
キッチンへの扉を開け、棚から紅茶が入った葉が入った瓶を置き、二つのティーケトルに水を入れる。昔ながらのコンロに火をつけ、お湯が沸くのを待ちながら、少し外を眺める。
「…今日は寒いですね…。最近は少し暖かかったのに…。」
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廊下を渡り、談話室への扉を開ける。
「…おはよう、ランサー。」
腕を組んだまま目線をこちらに向け、また本を読み始めた。
「何の本を読んでいるんだ。」
「えーあいと言う存在についての本だ。」
外で風が吹く音が嫌に響いた。話題が進展することもなく、少し気まずい空気が流れる。
「……おはよう。」
ガチャリと戸が開き、少し顔色の悪いシンとそのサーヴァントが入ってきた。
「低血圧か。」
「…あぁ。」
「そうか、私も昔は低血圧でな…。彼女が今紅茶を入れてくれている。食後に飲むといいぞ。」
シンは気怠げに椅子に座りながら頷いた。
「…彼女に任せきりでは悪いな。少し行ってくる。」
部屋にはサーヴァントに囲まれた男が残った。
「シン、何か必要な物はあるか?僕が取ってこよう。」
アーチャーに気を使わせてしまったようだ。特に必要な物はないのだが、断るのも可哀想だ。
「あー…そうだな、少し外の空気を吸ってくるから、あいつらに伝えておいてくれないか。」
大きく頷き、アーチャーは廊下を走っていった。シンはアサシンを連れて外に向かう。ランサーは横目でその様子を見ながらページをめくる。
「…まるで操り人形だな。」
つまらなそうに本を閉じ、本棚に戻した。椅子に座ると、再びあの箱を目の前に置き、指の腹で表面の絵を撫で、ふっと息を吐く。
成分表を見たり、箱を開けては閉じたりを繰り返しているうちに、三人の足音がこちらに近づいてきた。
「お待たせしました。ランサーのは…これです。楽しみそうでしたからね。」
他のカップより少し豪華な装飾と白いケトル。箱を取ろうとしたエイヴィの手から少し遠ざける。
「入れ方は分かる。」
「そうですか。」
特に文句は言わず、他の食器を並べ始める。5人分のカップと黒のケトル。ベーコンエッグの乗ったトーストの皿をカートから机へ。アーチャーがまた廊下を走って行き、外の男たちを呼びに行く。
やがて全員が揃い、静かな朝餐が始まった。熱い紅茶をすする音、食欲をそそる肉の香り。
苺味と称した紅茶の水面見つめ、一口、ゆっくり喉に通す。味を確かめるように目を瞑り、満足そうに目を開く。
その中でただ一人、顔を青ざめさせ、死人のような顔をした男だけが、見慣れた景色だった。