玄関扉を開き、外に出る。全員が出てから、ランサーは廊下の壁を見ながら扉を閉めた。向かうは少し古めかしい縦長の建物。カウンターから人型ロボットが入り口を見ている。
エイヴィ・グレイリーヴは受付に立ち、ロボットに話しかける。
「
ロボットは彼女の目を見てからカチリと何かを押した。
「ようこそ、生体番号EN-LN-66-315-789-72」
「人間二人、セミ・オートマタが一人、それと使い魔が三騎。」
「認証を行います。」
ロボットがエイヴィの後ろに視線を向ける。
「認証中…。認証、完了。
すぐ近く、床だと思われていた白いタイルがギィと音を立てて開く。中は階段になっており、果てしなく続いている。
────────────────────────
何段降りただろうか、ようやく見えた先には地上と変わらない景色が見える。差があるとしたら、周り全てに魔力が満ちていること。
「まずはどこから行きましょうか…。何か必要な物があるのなら、立ち寄って行きましょうか。」
「それなら図書館に行くのはどうだ。いつ死ぬかも分からんしな。」
確かにいつ消えてもおかしくない。聖杯戦争、勝つ者がいれば負ける者もいる。それが自分ではないとは言いきれない。
「確かにな。せっかくなら行っておきたい。俺も少し調べたいことがある。」
顔色の悪さは変わらないが、瞳には光が戻っていた。
「そうですね。今なら私も居ますし、大体の物は見れるでしょう。」
「大体の物、ってなんだ。図書館なんだから、無料で全部読めるんじゃないのか?」
エイヴィは少し目を背ける。
「あー…そう、ですね。ここでは話しにくいことです。また後で、図書館で話しましょう。」
マスターの後ろを追いながら景色を眺めた。石造りの建物、ショーウィンドウには魔術が埋め込まれた本や石が堂々と飾られている。
────────────────────────
長い鉄の塔のような建物の扉が開かれる。今度は魔力が限りなくゼロに近く、マスターの近くで存在していることですらギリギリだ。
「ちゃんと近くにいてくださいね。ここは魔力が薄くなるように設計されていますので。」
仕方なくぴったり後ろを歩く。エレベーターの扉が開き、中で一息つく。
「…それで、シンさん。調べたい物、と言うのは?」
やっと良くなってきた表情が少し硬くなる。
「…ハサン・サッバーハとその暗殺教団について、だ。」
シンの声を聞いて、エイヴィもまた表情が硬くなる。
「なぜそれを…?その情報は非公開に設定されているはずです。」
「…祖父が、少し関係ある血筋なんだ。」
「…そうですか…。わかりました。知っていると言うのなら、秘匿にする必要性がありませんから。」
一階へ向かうはずだったエレベーターは地下一階へ向かった。
「代々、グレイリーヴは非公開になってきた文献を保管、継承してきました。一般の方にはすでに忘れられてきた物ばかり。皆さんの知らない真実も沢山遺されています。この機会に是非。」
エインガルは絶句した。
「待て、一体何時からだ?!情報の非公開化は何億年も昔のことだろう!」
叫びにも似た声に驚くこともなく、静かに答えた。
「はい。グレイリーヴの歴史は今から約五十二億年前から始まります。」
「五十、二億…。」
「義務教育科目の変更と共に立ち上がったのがセイヴ・H・グレイリーヴ。とんだ歴史狂いだったとか…。」
「君の前世と言われてもおかしくないな。」
「誉め言葉として受けとっておきますね。」
ガタンと音を立て、エレベーターが目的地に止まった。