懐中時計を見る。午後一時。
「どこか食べに行くか?そろそろ飯時だと思うが。」
一階の出入口を開きながらエイヴィは考えた。
「そうですね…ここらですと…。」
「アトラスはどうだ?」
シンが口を挟む。
「確かこの近くにあったな。私は賛成だが、どうだ?」
「大丈夫ですよ。私もあそこの料理は好きですし。提供早いですからね。」
「…味じゃないんだな。流石お嬢様だ。」
呆れたようにエインガルは言う。
「案外そうでもない。エイヴィは食うぞ、だいぶ。見た目に騙されない方が良い。」
「…いつ何時でも頭使ってるんです。悪いですか。」
後ろから見える耳が赤い。声もいつもより張りがなくて、なんと言うか…。
(案外、可愛いところあるんだな。)
一瞬そう思って、かき消した。
(何考えてんだ…。)
「割り勘だからな…いや、シン。君の分は私が払おう。随分と連れ回してしまったからな。」
エインガルの言葉に少し怯む。
「あ、いや…。大丈夫だ。財布は持ってきてるし、電子マネーも入ってる。それに、俺が勝手に付いてきてるだけだ。」
「…そうか、分かった。」
少し沈黙が走る。エイヴィは口を開かないし、エインガルは顔を逸らした。少し気まずい。
(迷惑なのか、俺は。)
不安になる。エインガルもエイヴィも何だか凄い魔法を使っていて、なのに俺が出来るのは刃物を振るうくらい。
「…どうも、人付き合いが悪くてな。私は。良く話すのもエイヴィくらいだ。昔は違ったのだが…。気分を害してしまったのなら謝ろう。」
少し顔をこちらに向けた。目ではなく、もう少し下を見ている。何だか子供みたいだ。
「いや、大丈夫だ。気にしないでくれ。」
本当にそうなのかもしれない。ならこちらも、信じなければ関係は生まれない。
(俺の方が子供みたいじゃないか。こんなことで不安になって。)
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図書館から徒歩数分。曲がり角を曲がったところに見えるのが目的地、
自動ドアをくぐり、タブレットに人数を記入する。
「どうします?ランサーとアーチャー…君?は着替えさせてますが。」
「…あぁ、そうか。遠慮するってさ。出来れば何品か持ち帰りで。気になってるらしい。」
「分かりました。それじゃあ五人で…。」
ボタンを押すと席番号が表示される。17番。窓際のテーブルだ。ちょうど日陰側で、車通りも少ない。
「私はやっぱりステーキとマッシュポテトですね、あとフランスパンとシチューと…。」
本当によく食べる。エインガルが言ってた通りだ。
「ミードは…。」
アーチャーがエインガルの袖を掴みながら見上げた。
「ダメだ。君の年齢じゃ飲めないし、私達が捕まってしまう。」
「蜜酒か。今は無いな。」
背もたれに深くもたれ、腕を組んでいるランサーが呟いた。その横でエイヴィはニマニマしている。何がそんなに面白いのか分からない。
「私はアイリッシュシチューとパンだな。ギネスビールは…やめておこう。」
「俺は…そうだな、和食が良い。あおさの味噌汁と、鮭のおにぎりと…あとは…。」
「あ、皆さんドリンクバー頼みます?」
全員頷いた。ファミレスの醍醐味だ。
「僕は…えっと…。肉とか鮭とか…ナッツが良いのですが…。」
「これはどうだ?きっと君が知っている味だ。」
本物の親子みたいだ。少し憧れる。
「ランサーはどうします?」
「ユールシンカと芋、あとは葡萄酒を。」
「…粉ふきいもとワインですね。」
エイヴィは終始ニマニマ笑っていた。エインガルは何も言及しないし、いつもの事なのか…?
注文を済ませ、飲み物を取りに行く。エインガルは…ジンジャーエールに蜂蜜を入れている。ミードの代わりなのかもしれない。面倒見が良い。
席に戻った頃には、料理が数品運ばれていた。流石アトラスだ。