Fate/Unfinished   作:サルンパス

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春休み、しっかり休めました。更新を待っていた方、いないかもしれませんがありがとうございました。


第十三章 視線 後編

「さて、どうしたものか。」

 

退けば詰まる、止まれば捉えられる。こちらを窺うと言うより…

 

…妙だ。

 

外に出たのは良いものの、姿は全く見えない。建物か、路地裏か。ここは死角が多すぎる。

 

シンを抱え直し、路地裏に飛び込んだ。突き当たり、逃げ場はない。

 

 

「しばし待たれよ。」

 

余裕ぶったが、依然として場所すら掴めぬ。前方にいるようで、上空にも気配がある。逃げ場を測られているような圧が降りかかる。

 

「…人か、怪か。」

 

 

何かが遠くから聞こえる。耳を澄ますと、こちらに走ってくる音のようだった。

 

数歩、前へ出る。いつでも斬れる間合いに入る。

 

 

「大丈夫か、シン。」

 

何とか目を開き、顔を上げる。

 

「……エインガル…?」

 

柄を握ったまま、シンを隠すように下がる。あちらも一歩下がったように見えた。両手を挙げながら話しはじめた。

 

「動けるか、シン。」

 

続けて、

 

「サーヴァントほどでは無いが、身を守ることくらいなら出来る。前もそうだっただろう。」

 

刀を収める。が、下げ緒は握ったまま。確かに言っていることは合っている。

 

シンを一瞥する。

 

「心得た。…と言いたいところだが、主の言葉が無くてはなぁ。」

 

「…大丈夫だ。行ってくれ。」

 

「…心得た。」

 

エインガルの横を通り過ぎながら、顔を見た。

 

───違う。

 

しかしどこが?

 

「───。」

 

口を閉じる。確信が持てない。

 

 

霊体化し、路地裏を出た。ここは一つ、暗殺者(アサシン)らしくしてみようか。

 

────────────────────────

「ここでは逃げ場が無くなる。急ぐぞ。」

 

立ち上がろうとして、少しよろめいた。いや、視界が回っているのか?

 

エインガルの手を取って、なんとか立ち上がる。

 

「…悪い、助かった。」

 

ここはどこだ。ファミレスからどれだけ移動した?

 

「あの後、エイヴィが居なくなっていた。先にランサーと逃げたか、どこかで戦っているかもしれない。」

 

シンの右肩を支え、路地裏を出る。

 

「行こう、シン──。」

 

その刹那。

 

「──不意打ちにて御免。」

 

「…は?」

 

言い終わる頃に、腕が落ちた。吹き出た血がアサシンの服を染めている。

 

「アサシン…何して、」

 

素早くエインガルから引き離される。

 

「姑息なものよ。まさか味方を装うなど。」

 

エインガルは何も言わず、こちらに体を向けた。血が流れるのも気にせず、棒立ちで。

 

「…アサシンってのは、ほんとウザイよな。気配遮断に、おまえに関してはなぁんか違うけど。とにかく厄介だよ、ほんと。」

 

ぴたりと血が止んだ。まるでトカゲのように腕が生えてきて、こちらを指差した。

 

「でもおまえも嫌いだ。昔もいたんだよな、おまえみたいなの。英雄ごっこしてるやつ。」

 

エインガルじゃない。そもそも、人間じゃない。

 

「お前…!」

 

少しニヤついた目、そして視線。ずっと見られてた。

 

「ッ、アサシン!巻いてくれ!」

 

「承知いたした。」

 

今は分が悪い。

 

「なに、良い判断であろう。」

 

「…信じてないわけじゃない。というか、あんまり読まないでくれ。」

 

「そんなに皺を寄せてはいかなんだ。読むも何も、顔に出ているが。」

 

「…気を付ける。」

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