Fate/Unfinished   作:サルンパス

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第十四章 死線

何時間経った。早く出ないと。

 

(暗い。何も、見えない。)

砂の匂いがする。懐かしい。

 

(あぁ、そうだ。魔術──)

 

Unsichtbares(不可視) sei offne(開示)

 

(……見える。)

瓦礫が乗りかかっている。重みが、ない。

 

(手が───)

届かない。起き上がれない。

 

(ランサーが、見えない。)

(…独りだ。)

 

音がない。

(聞こえない?)

(そうじゃない。)

 

僅かに、何かが引っかかる。

 

(あぁ、これは──)

 

どくどくと、嫌な音。

 

(…うるさい。)

 

少しずつ、戻される。それでも───誰もいない。

 

(令呪は───)

 

 

「……ダメだ。」

 

 

額に触れた腕が、生暖かい。

 

「……綺麗。」

 

 

視界に映る紅。

お母様の色。

 

「少しだけ…。」

 

瞼が、落ちる。

 

────────────────────────

 

『…ヴィ。きろ、エイヴィ!』

 

誰の、声?

 

『………やばい、ぞ……これ…』

 

眩しい。もう少し、このままに。

 

『…血が───』

 

(……血?)

 

『……どかす……手伝って、くれ』

 

(なん、なの…?)

 

 

『エインガルは。』

 

『…いかがしたものか……。』

 

 

(違う。)

(まだやることが───)

 

「……シン、さん……?」

 

『…エイヴィ!聞こえ…か……?!』

 

(返事が、出来ない。)

 

「……ッ、は……」

 

喉が張り付く。

瞼が重い。

 

(寝ちゃ、だめなのに…)

 

 

 

(……さむ、い…)

 

────────────────────────

 

口の中でジャリっ、と音がした。崩壊の轟音が背後を襲った。

 

「ッ、マスター!」

 

───音が、戻った。

 

 

「……駄目だ。死ぬぞ。」

 

(でも、このままじゃ…。)

 

 

『行け!ブケファラス!!』

 

 

「っ、と…。あれは…隠す気あるのか…?」

 

 

真横を突風が掠める。正面が塞がった。

 

(逃げ場はあるが…)

 

「マスター、ここは僕が。」

 

「……分かった。サポートする。」

 

半歩後ろへ。正面を見据える。

 

 

『…我が名はアレキサンドロス3世!君に戦いを申し込みたい!』

 

(これは、ないな。)

 

「…僕は───」

 

 

「申し訳ない!僕はあなたに、名乗ることが出来ない!」

 

(…そうか、誓約(ゲッシュ)。そのリスクがあったか…。)

 

 

『…あぁ、分かっているとも。君の意図は受け取った。』

 

『その上で、君に申し込もう。』

 

「…いいとも。僕に断る理由はない。そうだろう、マスター。」

 

(いかなる挑戦にも応え無ければならない。誰にも名乗ってはならない。)

 

「…思う存分にやれ。手は出さない。君の力で、勝ち取って見せろ。」

 

(……マズイな。)

(情報が漏れている…?偶然か…?)

 

 

戦場は待ってはくれない。戦火は切られた。




受験生になったので、投稿不定期になります。
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