Fate/Unfinished   作:サルンパス

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第十五章 融解

「……ん…。」

 

柔らかな肌触り。まるで上質な───

 

「ッ、寝過ごした…!」

 

布団を引き剥がすように押しのけ、ベッドから降りた。

 

「ご飯…いや、服から?!」

 

食事は大切だ。寝過ごしたとしても、摂らなくては。

 

食パンをトースターに投げ入れ、その間に服を着替える。クローゼットを開けると、ジャラジャラと音を立てて何かが雪崩落ちた。

 

足に伝わる冷たさに顔を下に向ける。触れていたのは金のネックレスに、兜のようなもの。とにかく金一色だった。

 

なんでこんな場所に仕舞ったのか覚えていない。こんなもの買っただろうか?

 

「帰ってきたら…。」

 

今は拾い集める暇はない。再びクローゼットに目を戻した。

 

「…え?」

 

どの服も白。セーターもお気に入りのワンピースもない。そういえば、さっき下を向いた時も私は白い服を着ていた。そんな寝間着は持っていないはずだが…。

 

少し遠くの鏡を見た。白のウエディングドレス。この後何十分も探したが、それ以外見当たらなかった。これでは服を買いに行くことさえ困難だ。

 

「…そうだ、教授…。」

 

壁のモニターに手を当てる。

 

「教授に。」

 

コール音が部屋に響いた。二回、三回…。誰も出なかった。

 

「…切って。」

 

ついてない、では済まされない問題だ。そもそもなんでこんな服しかないのか。誰かのイタズラ?そんなことする人は知人にいないはず…。

 

考え込んでいたエイヴィの横を、誰かが通り過ぎた。ぱっと顔を上げ、話しかけようとした。

 

「…ランサー!」

 

『…ランサー?俺の事か?』

 

「…?あなた以外誰がいると言うのです?一つ、お使いを頼みたくて。報酬は魔力で…。」

 

『お使い…?魔力…?お前は何を言っているんだ?寝惚けてるのか?』

 

「…正気ですが?」

 

『お前…いや、何でもない。』

 

『…フリッグ。今日は予言はいい、もう少し寝たらどうだ?』

 

「…何を言って…。」

 

ランサーは静かにエイヴィの首元に触れた。いつの間にか身についていた首飾りが外れていく。

 

『…ん?こんなもの持っていたか?』

 

「え…?多分…?」

 

訳の分からぬまま相槌を打った。

 

『手。』

 

「手…?」

 

『寝室まで運んでやる。』

 

「あ、あぁ…。」

 

ランサーの手に自分を重ねた。椅子から引き上げられ、気付けば体が浮いていた。この景色は体験したことがある。

 

「あの、本当に分からないのですか?」

 

『何がだ。』

 

「お使いは百歩譲っていいとして、魔力とか…。」

 

『普通、報酬は銀とかだろう。そもそも夫婦間でそこまで気にすることでもあるまい。』

 

「夫婦…。」

 

『不満か?』

 

寝室に出戻った。シルクの上に体が沈む。

 

『今は休め。好きなだけ寝るがいい。』

 

ランサーの手が目元に触れた。ザラザラしていて、温かい。私はそのまま微睡みに落ちていった。

 

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