Fate/Unfinished   作:サルンパス

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第十七章 戦線 前編

砂埃で遠くがよく見えない。しかし発生源が理解不能だ。黄砂ではないだろう、多分。人為的であるはずなのに、鉄が交わる音はない。まさか勝敗はもう着いている?いや、だとしたら戦っているという表現は違う。シンさんにも状況が分からないということ…?

 

「あの、シンさん…。まだ戦闘中なのですよね…?」

 

「まぁ、多分な。途中で場所を変え始めて、サーヴァントの方は見えなくなった。」

 

「教授はまだあそこに?」

 

「見にくいけどな。一応。」

 

「…よかった。」

 

「…けど、俺かあんた、それかサーヴァントをあっちに寄越した方がいいと思う。」

 

「一人は狙われやすい。そういうことですね?」

 

「あぁ、それもある。敵は真名も名乗ってるし、いつ本気を出してもおかしくない。」

 

「既に宝具を…?」

 

「いや、名乗っただけだ。馬鹿みたいな声量でな。」

 

「…???」

 

「そういう性格なんだろ、多分。正々堂々ってやつ。俺はそんな詳しくないけど、アレクサンドロス三世って。」

 

「とんだ大物じゃないですか!?」

 

「…そういえばずっと気になってたんだが…ランサーどこ行った?帰ってきてねぇけど。」

 

「…パスは繋がっているので、大丈夫かと。」

 

「そうか…。」

 

どこにいるかまでは分からない。出来れば傍で見ていたいけど…。教授のこともある。どちらかはあちらに行かなくてはならない。

 

シンさんにはアサシンがいる。アサシンには私たちを守るように命じられているけど…。

 

「…何か良い案あります?」

 

「そうだな…。参考程度に聞いて欲しいんだが、アサシンをエインガルの所に行かせる。で、俺たちはランサーを探しに行く。初手であんたらに負けてるから、信じられないだろうが…これでも多少は戦える。さっきの大物みたいのが来たら…無理かもな。」

 

「…まぁ、それが妥当ですかね。おそらく、アレクサンドロス三世がこちらに来ることはないかと。それ以上の強さを持つサーヴァントがいないと信じて…。」

 

「暫定キャスターと、アレクサンドロス三世と、青髪、それと俺たちで6騎。」

 

「ランサーと対峙したサーヴァントはまだ見たことの無い人物でした。おそらく全騎視認は出来たかと。」

 

「…これ、無理じゃないか?」

 

「…否定はしません。今まで撤退に次ぐ撤退で生き延びて来ましたけれど。」

 

「…でもこれしかないよな…。」

 

「なるべく隠れながら行くしかないでしょう。どちらも放っておけるものではないですから。」

 

「…そうなるよな。わかった。」

 

シンさんは手を握ってから自分の騎士を呼んだ。

 

「アサシン。」

 

「承知。アーチャーのマスターの元へ行けば良いのだな。」

 

「その通りだ。なるべく早く向かわせたい。だから───」

 

「令呪をもって命ずる。アーチャーのマスターを守れ。」

 

令呪が輝き、薄れる間もなくアサシンは消えた。主の命を果たすべく遠くへ。

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