Fate/Unfinished   作:サルンパス

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続きです。


第三章 起動 前編

『ピピピッ、ピピピッ』

静寂を電子音が断ち、朝を告げる。床にカツっと足を着く音がする。朝の冷たい空気をものともせず、日課を始めた。午前七時三十分、いつもと同じ時間。球体関節を隠す黒の手袋を着け、白のワイシャツにネクタイを締める。衣服が擦れる音が支配する部屋に、再び電子音が邪魔をした。

 

目の前に浮かぶ電子モニターの応答ボタンに触れると、あの問題児の声が聞こえてくる。

 

『早朝から失礼します、教授。今日は教室ではなく、私の家に来て欲しいのですが、よろしいでしょうか?』

 

教授と呼ばれた男はこめかみを押さえた。ふぅ…と溜息をつき、静かに問う。

「一応聞くが、あの“計画”のせいか。」

 

少女は悪びれも無く答える。

『はい、もちろんです。どうせ教授は成功したんですよね?こちらは少々…外に出れない状況でして。』

 

外に出れない状況。一体何があった。問う前に電子モニターから男の声がする。

『これはどんな構造になっている。どこから出てきた。』

 

「…エイヴィ。その男に、私は敵では無いと伝えておけ。九時頃にそちらに着く予定だ。」

答えは聞かずに通話終了ボタンを押す。そこに後ろから昨日の少年が話しかける。

 

 

「僕は着いていかない方が良いかな?」

ほんの少し寂しそうに、私を見上げている。私は自然と、その少年の頭を、無機質なこの手で撫でた。

 

「…失礼、すまない。気を悪くしないでくれ。」

咄嗟に手を離す。英霊である彼の頭を撫でるなど、偉そうにも程がある。しかし少年はにこやかに笑ってみせる。

 

「とても嬉しいよ。気にしないでもっと撫でて欲しいな、僕は。」

引いた手をゆっくり彼の頭に戻しながら、本題に戻す。

 

「君の質問だが、着いてきてくれると助かるよ。私達の仲間に会いに行くからな。可能なら、あちらのことを信頼してやって欲しい。頭のおかしい奴だが、根はいい生徒だ。」

 

少年は楽しそうに目を細める。

「分かりました。マスターの仲間なのでしたら、きっといいお方でしょう。」

私は少し表情を緩め、撫でていた手を離して準備に戻る。

 

「…さて、朝食はいるかね。大した魔力になる訳では無いが、味は楽しめるだろう。」

コクコクと頷く少年に、少々懐かしい気持ちになった。

 

────────────────────

午前八時四十五分。チャイムを鳴らす男と、その息子のように隣に立つ少年。少しして、いつもより上品さの失われた少女が出てくる。

「…その目はどうした。」

 

少女の右目の眼帯。笑ってまぁまぁと言う彼女に頭が痛くなる。

「…まぁいい、中に入ってからじっくり聞かせてもらおう。」

 

バタりと扉が閉まり、朝の静けさが取り戻された。




明日は少々更新が遅くなります。優しく見守ってください。
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