トウカイテイオーの怪文書
宝塚記念も終わり少し落ち着いたころ、トウカイテイオーとそのトレーナーの俺は府中のショッピングセンターに来ていた。テイオーの水着を買うためである。なんでも今度マヤノトップガンたちと海に遊びに行くらしい。
服屋に入ろうとするとテイオーが立ち止まって、じーっとビキニを着たマネキンを見つめる。
「……気になるのか?」
「気になっちゃいけないの?」
じとっとした目で軽くにらまれる。
「ボクこれ着たい」
テイオーがマネキンを指して言う。ちなみにそのマネキンはボンキュッボンである。いろいろ言いたいことがあったが口に出すとテイオーがうるさいので黙る。
「どう、素敵でしょ」
テイオーは試着室でマネキンと同じものを着て、くるりと回転した。
「まあうん、可愛い」
さすが俺の愛バだ。なに着てても可愛い。間違っても大人の色気はないが。
「でもちょっとやめた方がいいと思うんだけどな(ボソッ)……」
「は?」
一気にテイオーからの目線がきついものになる。
いやしかしだねテイオー、そのマネキンと君では大きさが違いすぎるんだ、大きさが。何のとは言わんが。君がビキニなんて着てるとなんか犯罪臭がするんだよ。
「なに」
「何でもない」
大人しくしておこう。このおこちゃまを怒らせるとロクでもないことになるからな。
「うん、あっちのフリルがついたやつとかどうかな? かわいくて似合うと思うよ」
「ボクがお子様だって言いたいの? ……いいよ、他の娘のトレーナーさんと違ってトレーナーは精神が未熟だからボクの魅力がわかんないんだもんね」
テイオーが拗ねるのはいつものことだ。まあ適当に流そうか。
「はいはいどうせ俺はマルゼンスキーとかシーキングザパールとかが好きですよ、単純で悪かったな」
「は? トレーナーなのに生徒のことそういう目で見てるわけ?」
もうどうすりゃいいんだよ。
「はっ、どっかの誰かさんと違って俺は分別あるオ・ト・ナだから、テイオーみたいなおこちゃまはそういう目で見たりはしないから安心しろ」
引退後のウマ娘はガッツリそういう目で見ることもありますけどね。稀に引退後にグラビアとかやる娘もいるので助かってます。プロポーション抜群なんだぜ、テイオーと違って。
「言ったな〜っ! ボクだっていつかカイチョーみたいに成長するの!! 大体ボクは子供じゃない!!!! いっつも他のトレーナーさんとケンカしてるトレーナーの方が子供!!」
「はぁ〜?? テイオーが起こしちゃったトラブル対処しようとした時に他のトレーナーとぶつかっちゃってるだけなんですけど〜???」
カチンときて反撃している時点でトレーナーもトウカイテイオーと同じぐらい精神が幼いのだが、本人はそれに気付いていない。
「うるさいっ! トレーナーがスマホに隠してる『秘蔵』ファイルをトレーナーの名前と一緒にばら撒いてもいいんだよっ!」
なんで知ってるんだスマホのパスワード教えてないぞ?? いや、違うそうじゃなくて
「待って、分かった、テイオーはレディで大人の落ち着きがあってとっても魅力的でプロポーションも抜群でウマ娘で一番のモデル体型だからそれだけはやめてくれ!!」
「止めたいからって明らかな嘘つくな!! もう怒った!!」
その後はちみーとにんじんハンバーグでなだめすかしながら可愛いとか綺麗とかごまを擦りまくることでご機嫌70%ぐらいまで戻してもらった。可愛いのは本当ですよ。
衝動