最初から壊れている者には、堕落がない
堕落がなければ、喪失がない。喪失がなければ、痛みがない
痛みがなければ―悲劇は成立しない。
これは、壊れていく少女たちの物語である。
彼女たちはみな、正常だった。高潔だった。誰かを想う気持ちは、確かに美しかった。 だが、愛情というものは、流れていなければ澄んでいられない。
与えて、受け取られて、また返される―その循環を失ったとき、水は濁り始める。
与えたいのに与えられない。届かせたいのに届かない。
それでも止められない。なぜなら、確かにそれは恋だったのだから。
そして関わる者もまた、無傷ではいられない。 傷つけたくないから曖昧にする。
嫌われたくないから突き放せない。その場の涙を見たくないから、抱きしめてしまう。
その場しのぎの善意が、少女たちを宙吊りにする。
落ちることも、戻ることもできない場所に。
これは、「まだ引き返せる」と思いながら引き返せなくなる足音の記録である。
澄んでいたはずの水が、行き場を失って濁る、その速度の記録である。
まあその、つまり。
ブルアカの恋する生徒を曇らせてしまいたい、というだけの話。
またの名を性癖開示の怪文書とも言う。
| 『生塩ノアは記録している』 | |
| Prologue:L’Étranger(異邦人) | |
| 第一章:Les Fenêtres(窓) | |
| 第二章:Les Foules(群衆) | |
| 第三章:Enivrez-vous(酔え) あるいは Les Etoiles(星) | |
| 第四章:Le Mauvais Vitrier(悪い硝子屋) | |
| 第五章:Le Vieux Saltimbanque(老いた曲芸師) | |
| Epilogue:Le Flacon(香水瓶) | |
| 『空崎ヒナは遵守している』 | |
| Prologue:基本規則(General Provisions) | |
| 第一章:正当理由(Justifiable Cause) | |
| 第二章:立入禁止区域(Restricted Area) | |
| 第三章:緊急避難(Emergency Evacuation) | |
| 第四章:超法規的措置(Extra-legal Measures) | |
| Epilogue:遵守事項(Compliance Matters) | |
| 『桐藤ナギサは祝福している』 | |
| Prologue:Beatitudes(真福八端) | |
| 第一章:The Speck and the Log(塵と梁) | |
| 第二章:The Thorn in the Flesh(肉体の棘) | |
| 第三章:Gethsemane(ゲッセマネの祈り) | |
| 第四章:Golgotha(ゴルゴタの丘) | |
| Epilogue:Apocrypha(外典) | |