吾輩は寄生生物である。名前はまだ無い   作:雁木まりお

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実験失敗

「ぐぐぐ……」

「ふむ、やはり髪の毛は伸びなかったか」

 

───まあ想像通りだったな───

 

 当然というべきか、やはり移植した髪の毛は伸びなかった。毛細血管の再現まではミギー監修のもとできていたのでやはり拒絶反応が起きたのだろう。ちなみにミギーも自分に新一の髪の毛を移植しており、目立たないように肉体の中に隠しているがそちらは丁度3ミリ伸びている。

 

 

「まあ落ち込むなよ胴無し、ちゃんと食料も持ってきたからさ」

「うう、こんな時でも飯はうまい……なんてものを食わせてくれたんや……これに比べたら山岡はんはカスや」

「山岡って誰だよ。まさか人を食ったことあるのか?」

「いや、私は人を食ったことは無い……食ったことはな。襲いかかってきたバカにやり返したことはあるが逃げられてしまった」

 

 新一が落ち込む胴無しを見ていられなかったのか、相手が寄生生物であるというのに励ましている。人間とは害獣を始末しようとしたりその害獣をかわいがったりする二面性を持つ生き物だが、今回の新一は後者の面が現れている。この間は寄生に成功した奴に襲われたというのに。

 

 ──まあ胴無しは怒りっぽいからな、落ち込んでいるうちに逆ギレされても困るのでシンイチが奴のメンタルケアをしてくれるのはありがたい──

 

「そういえば胴無し、君は最初森に棲んでいたといったな。もしかしてその森とは以前ニュースになっていたUMAが出るという場所のことか?」

「UMA?なんだそれは」

「なあミギー、そんなニュースやってたっけ?」

「ああ、世間はどちらかと言えば『ミンチ殺人』に注目していたからな。それに比べればあまり報道されていなかった。だが未確認生物が人を襲ったというニュースは一時期かなり取り上げられていたぞ」

 

 未確認生物が出たという話は、ミンチ殺人がなければ地方だけでなく全国区で話題になってもおかしくないが、全国で人が惨殺されるというとんでもない事件に比べれば小さなニュースでしかなかった。初期の寄生生物コミュニティはそれすら警戒して胴無しを『調査』しにきたが、気の短い個体を向かわせたのが仇となり逆に始末されかけたというのが真相である。

 

「へえ、もし『ミンチ殺人』がなかったら胴無しもネッシーみたいに名物になっていたかもな。地域おこしに空飛ぶ生首ってのも変だけど……胴無し饅頭とか売れるかな?」

「私に利益がないのに見世物になる気などない。うるさい輩に注目されるなどごめん被る」

「そもそもシンイチ、胴無しと私、ミンチ殺人を起こしている生物は同種だぞ」

「そりゃそうか……他の奴らもお前らみたく人を襲わなきゃな…」

 

 

 

 この後新一たちはまたしても『仲間』に会うことになる。そして寄生生物の本性、その残虐性を思い出すことになるのだった。それは胴無しにとっても最悪の再会になる。

 

 

「なんだこれは……こんなのが『仲間』と言えるのか!」

 

 

 田宮良子が連れてきた『仲間』……『A』によって。

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