吾輩は寄生生物である。名前はまだ無い   作:雁木まりお

8 / 8
実験失敗

「ぐぐぐ……」

「ふむ、やはり髪の毛は伸びなかったか」

 

───まあ想像通りだったな───

 

 当然というべきか、やはり移植した髪の毛は伸びなかった。毛細血管の再現まではミギー監修のもとできていたのでやはり拒絶反応が起きたのだろう。ちなみにミギーも自分に新一の髪の毛を移植しており、目立たないように肉体の中に隠しているがそちらは丁度3ミリ伸びている。

 

 

「まあ落ち込むなよ胴無し、ちゃんと食料も持ってきたからさ」

「うう、こんな時でも飯はうまい……なんてものを食わせてくれたんや……これに比べたら山岡はんはカスや」

「山岡って誰だよ。まさか人を食ったことあるのか?」

「いや、私は人を食ったことは無い……食ったことはな。襲いかかってきたバカにやり返したことはあるが逃げられてしまった」

 

 新一が落ち込む胴無しを見ていられなかったのか、相手が寄生生物であるというのに励ましている。人間とは害獣を始末しようとしたりその害獣をかわいがったりする二面性を持つ生き物だが、今回の新一は後者の面が現れている。この間は寄生に成功した奴に襲われたというのに。

 

 ──まあ胴無しは怒りっぽいからな、落ち込んでいるうちに逆ギレされても困るのでシンイチが奴のメンタルケアをしてくれるのはありがたい──

 

「そういえば胴無し、君は最初森に棲んでいたといったな。もしかしてその森とは以前ニュースになっていたUMAが出るという場所のことか?」

「UMA?なんだそれは」

「なあミギー、そんなニュースやってたっけ?」

「ああ、世間はどちらかと言えば『ミンチ殺人』に注目していたからな。それに比べればあまり報道されていなかった。だが未確認生物が人を襲ったというニュースは一時期かなり取り上げられていたぞ」

 

 未確認生物が出たという話は、ミンチ殺人がなければ地方だけでなく全国区で話題になってもおかしくないが、全国で人が惨殺されるというとんでもない事件に比べれば小さなニュースでしかなかった。初期の寄生生物コミュニティはそれすら警戒して胴無しを『調査』しにきたが、気の短い個体を向かわせたのが仇となり逆に始末されかけたというのが真相である。

 

「へえ、もし『ミンチ殺人』がなかったら胴無しもネッシーみたいに名物になっていたかもな。地域おこしに空飛ぶ生首ってのも変だけど……胴無し饅頭とか売れるかな?」

「私に利益がないのに見世物になる気などない。うるさい輩に注目されるなどごめん被る」

「そもそもシンイチ、胴無しと私、ミンチ殺人を起こしている生物は同種だぞ」

「そりゃそうか……他の奴らもお前らみたく人を襲わなきゃな…」

 

 

 

 この後新一たちはまたしても『仲間』に会うことになる。そして寄生生物の本性、その残虐性を思い出すことになるのだった。それは胴無しにとっても最悪の再会になる。

 

 

「なんだこれは……こんなのが『仲間』と言えるのか!」

 

 

 田宮良子が連れてきた『仲間』……『A』によって。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

殺せんせーの教え子たち(作者:宇津木 沙坂)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

▼ 実地テスト的な感じで椚ヶ丘に放り込まれた綾小路が、E組卒業してから高育に入学する話。▼ なお、堀北櫛田もE組にいたものとする。


総合評価:4182/評価:8.96/連載:35話/更新日時:2026年07月01日(水) 00:00 小説情報

【急募】幼女アイズの幻覚見えてるんだけどどうしたらいい?【ロリコンではない】(作者:透明な器)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

掲示板形式ではありません。▼幼女アイズの幻覚(だと思ってる)が見えてる少年が主人公のお話。


総合評価:5972/評価:7.86/連載:4話/更新日時:2026年04月24日(金) 12:41 小説情報

魔女教大罪司教『傲慢』担当になってしまったTS僕っ子ロリ(作者:あのさぁBOT)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

主人公スバルが座っていたかもしれない、大罪司教の空席『傲慢』。▼その席に一足早く座っちゃったTS僕っ子ロリの話。▼アニメ勢のにわかです。原作と違う点があっても許して▼(以下微ネタバレ注意)▼主人公描いてみました。少しでも想像の手助けになると幸いです。▼絵柄は合わせてないです(怠惰)▼↓▼【挿絵表示】▼


総合評価:11240/評価:8.9/連載:33話/更新日時:2026年07月01日(水) 12:07 小説情報

四葉からは逃げられない(作者:シャケナベイベー)(原作:魔法科高校の劣等生)

司波龍郎に転生した男が平穏無事に人生を送るために模索する話▼龍郎くん(転生者)「四葉から逃げれると思う?」▼弘一くん「無謀で草(意訳)」


総合評価:8735/評価:8.27/連載:11話/更新日時:2026年06月27日(土) 17:40 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>