うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

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入京です。


入京

上洛を果たした織田軍。

信忠は、その足でとある方の屋敷に向かった。

その者は

 

「申し上げます。織田上総守信奈の弟君、信忠様が参られました。」

 

前久「おおっ!早う通すのじゃ!!」

 

現関白、近衛前久だった。

彼は、信忠が来るのを心待ちにしていたのだ。

そして

 

信忠「信忠、只今参上仕りました。」

 

前久「待っておったぞ、信忠殿!!」

 

信忠が現れるや、前久はすぐに近付くと彼の手を取って嬉しそうにした。

 

信忠「関白様。息災で何よりです。」

 

前久「うむ!そなたこそ、息災で何よりでおじゃる!!」

 

信忠は、笑みを浮かべて答えた。

すると、前久は暗い表情になり

 

前久「すまなかった・・・お主のお父君、信秀殿が亡くなられた時、葬儀に来てやれず・・・すまなかった・・・」

 

信秀が亡くなった時、葬儀に参加できなかった事を詫びた。

前久は、信秀が亡くなった知らせを聞いた時、すぐさま尾張に向かおうと思ったのだが、京の情勢を考えて行けなかったのだ。

 

信忠「関白様・・・お気になさらず・・・父は、分かっておられると思います・・・」

 

前久「うむ・・・」

 

すると、前久は握ってた手を強く握り

 

前久「頼むぞ、信忠殿!!この京を含め、畿内を平定してくれるのは、最早そなたしかおらぬでおじゃる!」

 

畿内平定をお願いした。

 

信忠「お任せ下さい。まずは京の治安回復を行い、そして畿内各地に居残る三好の賊を一掃し、平らげましょう。」

 

信忠は、三好らを成敗すると真っ直ぐな目で前久に言った。

 

前久「うむ!」

 

信忠「それと・・・将軍宣下の事、何卒、宜しくお願い致しまする。」

 

前久「麿が必ず何とか致す!!そして、新しき世を築くのでおじゃる!」

 

互いに目を逸らさず、答えたのだった。

そして、信忠は前久の屋敷を後にし、織田のいる清水寺に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

信忠「只今戻りました。」

 

信奈「お帰り、信忠。近衛とは仲が良いのね。いつからそのような昵懇の関係だったの?」

 

信忠「嘗て父上が、やまと御所の内裏の修繕費を送っていたのはご存じですよね?その一件をきっかけに交流をしております。」

 

信奈「ああ・・・確かに父上はそのような事をしてたわね・・・私は会わなかったけど・・・」

 

信忠「あの時姉上は、色々と理由を付けてお会いにならなかったではありませんか。」

 

この時信奈は、前久と会うチャンスはあったのだが、色々と理由を言って会うことはしなかったのだ。

その理由は、信奈自身が公家の者達が苦手だったからだ。

信奈曰く

 

信奈「権威を振りかざして武家にだけ面倒毎を押し付けてくる嫌な連中。」

 

だからだ。

その為、信奈は前久の事も、その公家連中と一緒だと思い、会うのを避けていたのだ。

しかし、信忠がその彼と交流し、尚且つ昵懇の間柄と知り、少し驚いているのだ。

 

信忠「どのような連中でも、中にはしっかりした者もいらっしゃるという事です。」

 

信奈「それもそうね・・・」

 

信忠の言葉を聞き、信奈は納得した。

 

信忠「ところで姉上、京の触れですが・・・」

 

信奈「ええ、かなりきつめのお触れを出しといたわ。」

 

この時信奈は、入京するやすぐにお触れを出したのだ。

その内容は

 

・民への乱暴狼藉は許さない

 

・銭と米を勝手に取り立てるのも厳禁

 

といった内容で、これらどれでも破れば、打ち首とするとしていた。

その時

 

良晴「なぁ・・・信奈。」

 

信奈「何?」

 

良晴「やまと御所って・・・何だ?」

 

良晴は聞いた事無い言葉を聞いたので、尋ねてみた。

 

信忠「何?」

 

信奈「アンタ、何で知らないのよ?」

 

良晴の質問に、二人は目を見開いていた。

その反応は尤もだ。この世界では、知らない方がおかしいのだ。

とはいえ、良晴の疑問は尤もなのだ。

何故なら

 

良晴「俺が知ってるこの時代には、そんなの無かったんだよ。」

 

先程言ったように聞いた事無いし、無かったのだから。

良晴の理由を聞き

 

信奈「はぁ・・・じゃあ、万千代。説明してやって。」

 

信奈は、長秀に説明をさせた。

 

長秀「では、公家についても交えつつ、説明しましょう。」

 

長秀「神事を司られる姫巫女様がお住まいなのがやまと御所。そして、武家と折衝しているのが姫巫女様に仕える公家の面々です。」

 

良晴「その『ひみこ』様というのは?」

 

長秀「そのやまと朝廷の頂点に立つお方で、この国を作った神々の子孫と言われ、崇め奉られているのです。」

 

長秀の説明を聞き

 

良晴(やっぱり、俺がいた世界の常識とは微妙に違うみたいなんだな・・・)

 

自身の未来の世界とこの世界との違いを感じていた。

 

信忠「それで、将軍宣下の一件は、誰に任せるおつもりで?」

 

信奈「十兵衛に任せるつもりよ。あの子、公家との交流もあると聞くし、近衛とも上手く話してくれると思うわ。」

 

信奈は、将軍宣下の事は公家と顔が広い光秀に一任する予定だった。

 

信忠「成程・・・それが良いでしょう・・・」

 

信奈の選定に、信忠は納得したのだった。

そして、光秀は前久と将軍宣下について話し合ったのだが

 

光秀「それは・・・!」

 

前久「すまぬ、他の連中が横槍に入って・・・十二万貫の支払いが出来れば、今川氏真の将軍宣下は認めぬと言われたのでおじゃる・・・」

 

十二万貫という大金を支払うという無理難題の条件を突きつけられたのだ。

 

前久「すまぬ・・・すまぬ・・・信忠殿・・・」

 

この時前久は、信忠に詫びの言葉を呟いていたのであった。




原作とかなり違う近衛前久・・・。

顔は変わりなくです・・・(笑)

それでは、また。
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