この物語は博麗霊夢がチョロインな実験作です。

「付き合ってください」
「いいわよ」

なだけな物語です。

あと、おまけの番外編があるだけです。

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博麗霊夢はいかにしてその告白を受けるにいたったか?

これからやる事に意味は無いのかもしれない。

 

 伝える事すら彼女の邪魔にしかならない。

 

 でも画面の向こうの彼女が、今ここに居る事実に足を止めれない。

 

 彼女が俺なんか相手にする事はない事は俺が一番よく分かってる。

 

 博麗霊夢が画面の向こうの憧れしか抱えてない俺を相手しない事なんて当たり前だ。

 

 でも、この思いを告げない事で、俺の気持ちが嘘になる事が耐えられなかった。

 

 境内を箒で清掃する彼女は、今日も輝いていて、美しかった。

 

「付き合ってください」

 

「……いいわよ」

 

 あまりにあっさりしていて、拍子抜けした。

 え、と聞き返す暇もなく、霊夢はもう境内の掃除に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

以下番外編

 

 博麗霊夢は四十二歳になった。

 神社は相変わらずで、参拝客は少なく、賽銭箱は軽い。生活に困るほどではないが、豊かでもない。

 

 魔理沙は来なくなった。

 正確には、来るには来るが、以前のように泊まらなくなった。

 理由は単純で、家庭ができたからだ。

 

「霊夢おばちゃん」

 

 そう呼ばれた時、少しだけ間が空いた。

 否定する理由も、怒る理由もなかった。

 

「……そうね。おばさんよね、私も」

 

 魔理沙の子は十六歳で、よく笑う。

 魔理沙に似ているところもあれば、似ていないところもある。

 そのどちらにも、霊夢は口出しをしなかった。

 

 自分の人生は、間違っていない。

 巫女としての務めも果たしたし、幻想郷は今日も無事だ。

 誰かに責められることも、後悔する理由もない。

 

 ただ、夜が少し長い。

 境内が静かになると、時間の行き場がなくなる。

 

「彼氏、欲しいのかしらね」

 

 独り言にしては、少しだけ真剣だった。

 恋がしたいわけじゃない。

 誰かに選ばれなかったことが辛いわけでもない。

 

 選ばなかった、という事実が、そこにあるだけだ。

 

 もし、あの頃。

 もし、誰かが。

 そんな仮定を考えるほど、霊夢は若くなかった。

 

 朝、目を覚ます。

 聞き慣れた天井が視界に入る。

 

 体が軽い。

 手を見ると、若い。

 

 境内の空気も、少しだけ違う。

 

 十六歳の自分だった。

 

 あれは予知夢?未来の記憶の多くは朧気で数時間もすれば全て消えてしまいそうだったが、

 あのいいようの無い感情だけは色濃く残ってる。

 

 理由は分からないし、納得もしない。

 でも一つだけ、はっきりしていることがあった。

 

 あの未来を、知っている。

 

 境内に、外来人の男が立っている。

 緊張した顔で、こちらを見ている。

 

「……付き合ってください」

 

 霊夢は、ほんの一瞬だけ考えた。

 

 勘が何かを囁いた気がした。

 

 そして言った。

 

「いいわよ」

 

 理由は、言わなかった。


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