勘違い戦士、ダンジョンを揺らす   作:お粥のぶぶ漬け

23 / 23
第23話

廃教会のリビング。リリがうつ伏せになり、ヘスティアがその背中に神の血を一滴落とすと、光がリリの背中を走り、新たな「力」が刻まれていきました。

 輝きが収まった直後、ヘスティアは驚きと喜びが混じった声を上げました。

 

「リリくん、おめでとう! すごいね…変身魔法の他についに攻撃力のある新しい魔法が発現したよ! それにこの数値……サポーターをしながら、これほど魔力……すぐ戦力になれるんじゃないかい?」

 

 ヘスティアが羊皮紙に書き写したリリの能力(ステータス)は、彼女の生存本能と、シュタルクへの思いが結晶化したものでした。

 

リリルカ・アーデ

Lv.1

• 力 :H 106

• 耐久:H 189

• 器用:G 298

• 敏捷:E 468

• 魔力:D 500

《魔法》• シンダー・エラ(変身魔法)

 詠唱:【貴方の刻印(きず)は私のもの。私の刻印(きず)は私のもの】

 解呪:【響く十二時のお告げ】

 

• ゾルトラーク

 速攻魔法

 

《スキル》

• 縁下力持(アーテル・アシスト)

 一定以上の装備過重時に能力補正がかかる。補正は重量に比例する。

 

「……ゾルトラーク。昨夜、あの賢者様から頂いたグリモア…ちゃんと本物ですね、私に攻撃魔法が刻まれました」

 

 リリは震える手でその紙を受け取りました。

 

 その光景を、隣でベルが目を輝かせながら眺めていました。

 

「……すごいや、リリさん! 魔力が500なんて、本当の魔導師みたいです! 羨ましいなぁ……僕もいつか、派手な魔法を使ってみたいです。ドカンと一撃で強敵を倒すような!」

 

 ベルは両手を広げて、子供のように英雄譚のワンシーンを真似てみせます。

 そんなベルの様子を見て、シュタルクがふと尋ねました。

 

「そういえば、今更だけどさ。ベルってなんでオラリオに来たんだ? やっぱり、物語に出てくるような英雄になりたかったのか?」

「え? あ、はい……。おじいちゃんがよく言ってたんです。『英雄になれ』って。だから僕も、いつか誰かを守れる強い英雄になりたいと思って……」

 

 ベルは少し照れくさそうに頭を掻きました。だが、その瞳には嘘偽りのない純粋な輝きがありました。

 

「でも、それだけじゃないんです」

 

 ベルは少し声を潜め、でも熱を込めて続けました。

 

「……おじいちゃんがよく言ってたんです。『男ならハーレムだ!ダンジョンに出会いを求めろ!』って。だから、僕は素敵な出会いを求めて、この街に来ました!」

「……出会い?」

 

 シュタルクはポカンと口を開け、リリはジト目をベルに向けました。

 

「ベル様……それ、ナンパをしたいってことですか?」

「えっ!? い、いや、そういう不純な意味じゃなくて! こう……運命的な出会いとか、ピンチを助けたり助けられたりっていう、そういう物語のような……!」

 

 顔を真っ赤にして弁明するベルを見て、ヘスティアがクスクスと笑い出しました。

「あはは! ベルくんらしいね。英雄志望とそんな不埒な憧れが同居してるなんて。でも、それもまた君の魅力だよ」

「……ま、出会いも英雄も、まずは死なない程度に強くなってからだな。よし、今日も特訓だ!」

 

 シュタルクは呆れつつも、少年の青すぎる夢を否定せず、その背中を力強く叩きました。

 

「はい! 僕、もっともっと頑張ります!」

 

 朝日が差し込むリビングに、四人の明るい笑い声が響きました。

 リリの思いに、そしてベルの純粋な夢。

 【ヘスティア・ファミリア】という小さな家族の絆は、こうして一歩ずつ、着実に深まっていきました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

(仮)購買意欲が勝った転生者(作者:Celtmyth)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

 死んで、転生する事になった彼が望んだ能力は戦うものではなかった。


総合評価:4737/評価:8.04/連載:24話/更新日時:2026年10月18日(日) 18:00 小説情報

自分を英雄だと勘違いしている元男がダンジョンに潜るのは間違っている(作者:札幌53位)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

テンプレのようにトラック転生し、自分をチート能力を持った神に選ばれし存在であると信じて疑わない平凡な男(TS済み)が、本当の英雄を目指すだけの話。


総合評価:3828/評価:7.89/連載:32話/更新日時:2026年05月05日(火) 12:00 小説情報

長生きしまくったさ、エルフとして(作者:おおは)(原作:葬送のフリーレン)

数を減らしたエルフ。▼その一人に、神話の時代から生きていたかもしれないエルフがいた……▼まぁ文字通りの物語。▼※現在これの執筆用パソコンが水没して修理中の為更新は4月中くらいになります▼※pixivにも投稿しています


総合評価:550/評価:6.57/連載:6話/更新日時:2026年03月26日(木) 20:31 小説情報

ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。(作者:一般通過社会人)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ダンジョンで5年過ごした主人公がやらかす、ドタバタコメディ!(なお周りは曇る模様。)


総合評価:2980/評価:7.02/連載:56話/更新日時:2026年10月31日(土) 15:59 小説情報

アレスの娘、オラリオへ行く。(作者:さけちゃずけ)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

前世は日本人。転生時に型月世界におけるアマゾネスの女王「ヒッポリュテ」のガワと、規格外の戦闘力を宿して生まれてしまったバグ仕様の少女。戦神アレスの娘として育てられ、現在は和食の布教のために、迷宮都市オラリオへ向かう――。


総合評価:710/評価:8/連載:7話/更新日時:2026年09月08日(火) 18:59 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>