なんて考えながら歩いてたら歩道にトラック突っ込んできて轢かれた件。

※深夜テンションの勢いで書き上げたままでお出ししております。
※普段は読み専なのでクオリティの保証は出来かねます。それでも楽しんで頂けたら幸いです。
※トリッカル始めたばかりなので設定の矛盾、誤記などあるかもしれません。
※トリッカルの二次小説もっと増えてもろて。

追記
ついに評価バーに色が付きました! しかも赤色です! たくさんの閲覧、お気に入り、評価大変ありがとうございます! 作者感無量です、アーウ!

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教主が週末農場行く時ってみんな泣いてくれたりすんのかな

いやいやまじかよ。

 

目を覚まして、まず思ったのはそれだった。なんたって目を開けたら、そこにはブルミ(噛み終えたガム)がいたのだ。

 

ふざけんなよここエーリアスじゃん。

登場人物の9割がクズで、ヤバいやつの名前をあげようとすればキリがない、いろいろと終わってるあのエーリアスじゃん!

 

「ヤッホー!」

 

ヤバいヤバいヤバい! これから何が起こるか想像して不安とか絶望感が襲ってきてるけどそれどころじゃない!

返事を、返事をしなければ!

 

“だ、誰……?”

「あたちはブルミ!」

 

落ち着け、落ち着け、餅をつくんだ! 大丈夫、ここはリゼ○でもなければ転ス○でもない! 死が必須な世界やバッドエンド分岐がある世界じゃない! もちほっぺを引っ張ってたまに銃を撃てばいいだけ、たぶん……。

 

“ブルミ?”

「うんっ! あなたの名前も教えて?」

 

当たり障りなく会話しながら、なんとか落ち着いてきた。自分の名前も……ちゃんと思い出せる。

 

“私の名前は……ツバサ。ツバサだよ”

「よろしくね!」

“ところで君は……”

“子供っぽくも見えるし”

“噛み終わったガムっぽくも見えるなあ……”

 

原作の台詞をなぞりながらふと思う。なんで私は前世のこと、ちゃんと覚えてるんだ? 確か教主はこの世界に来た時、過去の記憶を失ってたはずなのに。

 

「なっ……! 噛み終わったガムって! 失礼すぎない!?」

“見たままを言ったつもりだけど……”

 

あ〜〜目の前で噛み終わったガムが暴れてる。可愛いかよ、ほっぺ引っ張りたいな。引っ張ろ……うおっすごい伸びる!?

 

ムイイイ…ビヨンッ!

「おいおいおい! 引っ張らないでぇ〜ぇ!」

 

これだよこれ、あぁ〜かわいい。なんかなんにも問題なんか無いような気がしてきた。よしよし、これから起きるトラブルの全て、教主としてなんとかしてやろうじゃないの!

 

「これでもくらえ〜!」

 

全くもって痛くないブルミパンチをふよふよ喰らいながら、私はこれから先遭遇するトラブルに対しての決意を固めるのであった。

 

§

 

それから、長い時が過ぎた……。

 

いや本当にいろいろあった。エルフィンランドで反乱を起こされた妖精女王エルフィンや教団司祭長のネルと仲間を集めて国外へ逃げ延びたり……。

 

なんかもう一人転生者(エーリアス人)が居たから仲間になって貰ったり……。

(チートモリモリの最強バランスブレイカーだった。エーリアスにこのチート要りますか 親分(世界樹)?)

 

獣人の暮らす村やエルフの都市モナティアムとかでもいろいろトラブルあったし……。

 

てか私たちここらへんまでしかストーリー読んでなかったから原作知識尽きてやばかったし……。

 

そりゃもうとにかく頑張った! でも大変なことだけじゃなくて、いいこともいろいろあった。

 

大好きな原作キャラたちをいっぱいなでなでできたし、ほっぺも引っ張ったし。

 

エルフィンに高い高いしてキャッキャッて楽しませた(甘やかさないで下さい! ってネルは不機嫌になったけど)。

 

日本でよく歌ってた曲を口ずさんだら、たまたま近くにいたエピカに捕まっていろいろ歌わされたりしたっけ。たくさん伴奏を奏でてくれてすごく楽しかったな。

 

私の事をコレクションだって言ってくるマヨを本気で好きになっちゃって、『じゃあ私が週末農場に行くまでずっと一緒に居て』って言ったら動かなくなっちゃって……可愛かったな。

 

後日改めてプロポーズしました。マヨはよくわかってなかったみたいだけど、マヨも一緒に住むようになって四六時中ずっと一緒に居るようになった。抱きしめて寝るとやわこくてあったかいんだこれが……!

 

私がもし男で、なおかつエーリアス人だったらなあ……! と毎日悶々としてた。若かったからね。しょうがないね。

 

定期的にトラブルは起こってたけど毎日教主の仕事をして、エルフィンの頭を撫でて仕事させて、ネルのご機嫌を伺って、街や出掛けた先でネームドキャラのほっぺたを引っ張って、家に帰ってマヨと寝るまでイチャイチャして……。

 

とっても幸せな時間だった。歳をとって、あの頃が懐かしくなった今でもそう思う。

 

私ももう80歳を超えた。ただの人間にしては健康で、長生きしている方だと思う。最近はベッドで寝たままの時間も増えてきて、もう暫くしたらお迎えが来そうな予感がしているのだけど……。

 

「ツバサ? 今日は出かけないっすか?」

「ツバサ! またお見舞いにきたわよ! 女王さまがお見舞いしてるんだから、早く病気治してお出かけするわよ!」

「教主さま。体調は良くなられましたか? 教主さまにしかお願いできないことがいくつか……」

 

困ったことにこの子たち、私がそろそろ週末農場に行く(死ぬ)って事をわかってくれないのである。

一応、伝えようとはしているん、だけど……。

 

“ごめんねえ、私もそろそろ週末農場に行くからさ……”

「ツバサ! そんなこと言ったらダメっす! 冗談でもわたしから離れるようなこと、言ったらダメっす……」

「そんなこと言っても騙されたりしないわ! ずっと寝てたいのはわかるけど、今度またピクニックに行くって言ったじゃない!」

「教主さま、そんなに教団の業務がお辛いのですか? なんとか量を調整しますので、そんなこと仰らないでください」

 

この調子なのである。

 

私が()()ってことをちゃんとわかってるのはもう一人の転生者であるヌルか、エルフたちくらい。他のみんなは冗談だと思って信じてくれないのだ。こんなにシワシワになっちゃったというのに、病気が治ったら元に戻ると思っているのである。

 

私が死んだ後の世界樹教団については手を打ってある。教団の未来について不安はない。でも、

 

このまま私が死んでしまった時に、みんなが悲しむのが……

 

 

 

マヨを泣かせてしまうのが、怖い。

 

 

 

§

 

 

 

ついにベッドからほとんど出られなくなってしまった。エルフィンは毎日お見舞いに来てくれるし、マヨは甲斐甲斐しく私を介護してくれる。エーリアス一番のお医者さんが、エルフィンの頼みで私を治すためにずっと付いてくれるようになった。

 

とある日、いつものようにお喋りするためにヌルが遊びに来た時、私はヌルに伝えた。

 

“ねえヌル、そろそろみたいだ”

“明日の朝ごろにお迎えが来ると思う”

“教団と、皆のこと、お願いね”

 

ヌルは私の手をぎゅっと握ってくれた。

 

ヌルはたくさんの人を連れて、次の朝も会いに来た。いよいよお迎えが来そうだっていうのに、みんなが喋っているせいでちょっと騒がしい。

 

みんな一斉に喋ったり質問してきたりするせいで何言ってるか全然分からない。まあいいや。ついにお迎えの時間だ。言いたいこと言っておかないと。

 

“みんな、今までありがとう”

“みんなと冒険したり、いろいろ遊んだりして”

“とっても楽しかった”

“私は週末農場に行くけど、これからもみんなのこと見守ってるから”

 

“マヨ、私と一緒になってくれてありがとう”

“何があっても、ずっと忘れないよ”

“……愛してる”

 

私が死ぬことを分かってないマヨの代わりに手を握っていてくれたヌルの手から、私の手がとさりと落ちる。

 

マヨは私の言葉がまだ理解出来ていないのか、口をポカンと開けたまま私を見つめている。

 

ああ。そんなマヨも、かわ、いい……。

 

 

§

 

 

そして、教主は動かなくなった。

 

ヌルがツバサを看取ると、その後いつもトラブルが起きた時のように大騒ぎになるかと思われた教主の部屋は……。

 

丸一週間、啜り泣きの音が鳴り止まなかったという。

 

 

 

§

 

 

 

「本気ですか!? 教主様のな、亡骸を……燃やすなんて!」

「教主様の国ではみんなそうするらしいからね」

 

世界樹教団本部の前で、ネルがヌルにくってかかっている。

ちなみにヌルが転生者であることは、ツバサと話し合ってずっと秘匿されている。ブルミでさえも知らない。

 

「その後燃え残った骨を骨壺に入れて、『お墓』を作って納めるんだって。寿命のある人間たちは、その『お墓』が生きた証になるんだって」

「『お墓』……そうですか、分かりました」

「それと……これ」

 

ヌルは懐から手紙を取り出してネルに渡す。

 

「これはなんですか?」

「ツバサの遺言。自分が週末農場に行った(死んだ)あと、教主を(ヌル)に引き継いでほしいって」

「引き受けたんですか!? あの誰もやりたがらなかった教主を!」

「ツバサの最期のお願いだもん。受けないわけにはいかないよね」

 

ネルが大きく驚き、ヌルは肩をすくめる。あの日からみんなは少し元気がなくなり、ヌルはそんなみんなを元気付けようと明るく振る舞っていた。

 

「葬儀の日取りは次のミサと同じ日でいいよね。ツバサと交流のあった人たちには私が声をかけとくから、分からないことがあったら聞いてね。大体のやり方は遺言の後の紙に書いてあるってツバサが言ってたし。じゃね〜♪」

「あっ、ヌルさん! 次の教主さまになるのでしたらいろいろ話したいことが……っ。ああ、行ってしまった……」

 

「━━教主さ……ツバサさんがいないと、寂しいですね……」

 

 

§

 

 

「マヨー。マヨ、いるー?」

「居ないっす。帰って欲しいっす」

「ちゃんといるね? 葬儀終わってすぐ帰っちゃったから、大事なもの忘れて行ってるよ」

 

マヨはツバサが亡くなって以降、前に住んでいた店に戻ってずっと閉じこもっていた。葬儀にだけは来たが、それ以外はどこにも顔を出していない。

 

「大事なものなんて無いっす。わたしの一番大事なものはもう……どこにも無いっす。」

「とりあえず受け取ってよ。とにかくマヨに渡さないといけないんだよ〜」

「しつこいっすね。早く帰って……!?」

 

ガチャリと扉を開けたマヨは、ヌルが両手で抱えていたものを見て驚いた。

 

「それって……!」

「ツバサの遺骨だよ。マヨにしか渡せないって言い張って、ネルにも渡さず持ってきたんだよ。一緒にツバサのお墓を作ろう?」

「………………………………。分かったっす」

 

長い沈黙の後。マヨは気だるげながらも出かける準備をする。

 

「ツバサが好きだったものとかあれば、一緒にお墓に入れてもいいよ」

「ツバサは……わたしが好きだったっす。ツバサが作ったわたしとツバサのぬいぐるみ、入れるっす」

 

生前ツバサが大事にしていたぬいぐるみを持って、ツバサが好きだった景色を見られる場所に行って、ヌルとマヨは丁寧に大きい穴を掘った。

 

穴を掘っている途中から人が集まってきて、穴の中に骨壷とぬいぐるみを入れるのをみんなが見守っていた。骨壷を埋めて、仕上げにヌルが用意しておいた墓石を置くと、周りの人が持っていた食べ物などを順番に供えていく。

 

「マヨ。遅くなってごめんね。これ、マヨが泣きやんだら渡してくれって、ツバサから」

 

お供え物をする人たちの列をマヨが眺めていると、ヌルが手紙を渡してきた。マヨは手紙を受け取って読み始める。

 

マヨは手紙を少し読んでは、泣いて。まだ少し読んでは、泣いて。最後まで読んで、大きくわんわんと泣いた。

 

泣いて、泣いて、泣いて……ひとしきり泣いて。最後に少しだけ、笑った。

 

「ばかっすね。……おおばかっす」

「ヌル、ありがとうっす」

 

ツバサが亡くなってからずっと笑わなかったマヨは、この日からまた少しずつ笑顔を見せるようになった。

 

 

 

かくしてなんだかんだ教団は無事に運営され、エーリアスの平和も保たれ、長い時が経ち━━━━

 

§

 

およそ100年後

 

 

トントンと、世界樹教団の扉を叩く音がする。

 

“もしもーし、すみませーん。教主さまはいませんかー?”

 

ドアをノックする手は4本指で、

 

“おかしいな〜、ヌルに後のことちゃんと頼んだはずなんだけど……”

 

少し困った表情を浮かべる顔はもちほっぺ。

 

「はいはい、初めて聞く声だね。どちら様?」

 

そしてエーリアスに居ないはずの、『男の子』

 

“ヌル〜!やっぱり居たんだ! マヨは? みんなは? 元気にしてる!?”

「なんで私の名前を……って、男?」

“ヌル! 私のこと忘れちゃった? エーリアスに来てからけっこう長く一緒に居たじゃん!”

「ちょっ、うそ、ま、まさか……!!」

 

かつて人間だった頃と全然違う姿の、

100年前に週末農場に行ったはずの、元教主。

 

“私だよ私! ツ、バ、サ!”

 

ここに帰還。




あとがき
勢いだけで書き上げた本作をお読みいただきありがとうございます。
普段小説なんて書かないため、展開が早ェ! や端折りすぎィ! 描写足りなすぎィ! なんてところもあるとは思いますが、それでも楽しんで頂けたら何よりです。
ここ直した方がいいよってところありましたら是非是非ご指摘いただければ嬉しいです。
投稿者は普段は読み専でございまして非常にシャイなので、感想の返信ができなかったり遅くなったりします。どうかお許しください……。
では、おやすみなさいです……。(AM4:00)

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