※当作品は溶鉄のマルフーシャ及び救国のスネジンカの二次創作であり、主に同作品を元にしたオリキャラ(オリゾミアキャラ)を主体とした物語です。
自己解釈等々がございます故、不快な思いをするかもしれませんが、その際はブラウザバックやコメントに修正案(ここはこうではないか)等をよろしくお願いします。
本文(想定している終わりまでのプロット)が書き上がり次第修整或いは一度消してから再投稿のつもりでいます。
また、当作品を読んで「自分ならもっといいのが書ける」って人たちの敷居の下限を下げるためのものでもありますのでどんどん書いてね。
ひゅう。と乾いた風が俺の肌を撫でる。
感じる浮遊感に、どうしてこうなっているのかと思考を巡らせる。
「······あぁ」
直撃を避けるため、至近距離で小型の自爆兵を斬ったことによる爆風を受けて吹き飛ばされ、一瞬意識が飛んだらしい。
痛みはほぼ無いが、小型の爆発程度で吹っ飛ばされた自身に腹が立つ。
「……チッ」
目を開き、周囲の状況を脳に取り込む。
並行して姿勢制御。
爆風で飛ばされた勢いのまま後ろに回転。頭から落ちないように、落下に合わせて左手を地面に付けつつ勢いを殺し、衝撃に抗いつつ腕をバネに一度跳ねて体勢を整える。
「大丈夫ですの!?」
「······当然」
「だとしてもふっとばされた直後なんですからひと息くらいつきなさいな!」
弾倉を替えつつ、心配そうな顔でこちらを見るバディのエセお嬢様に短く返し、片足を地面に埋まった残骸に添える。
両手を地面につけ、身を縮こめて走り出す構えを取る。
意識を切り替えるためにひとつ、深呼吸。
こちらに······正確には防衛対象の門に向かってくる機械兵を迎え撃つ為の経路を頭の中で描き、飛び出す。
同時に左手側に提げたサブマシンガンを掴み、牽制としての弾幕を張る。
「タラカーン!? あぁもう、もっと私にも撃たせなさいなッ!」
少し後ろから声とともに、軽機関銃の掃射が始まる。
轟音とも言える銃声が響き、機械兵とドローンを正確に撃ち抜いては鉄塊として地に墜としていく。
「······流石!」
「射出数と射撃の質の両立くらいは余裕ですわ!」
弾幕の雨に打たれ、耐えきれず爆ぜる者や騒がしく駆動音を鳴らす者達の隙間を、己の小さく身軽な体躯を活かして縫うように走り抜けながら、右手に抜いたマチェットで駆動部を主として斬りつける。
弾幕の雨が十全に効かない──効いてはいるものの多少では装甲を抜くには不十分というのが正しい──相手。
例えば中型の機械兵には、脚部にグレネードを投げ、体勢が崩れ足を止めたそれを踏み台にして空中に跳び出す。
「サヴァ姉トドメ!」
「任されましたわ!」
そうして、跳んだ先の中型ドローン側面の燃料タンクを掴んで上に登り、天板にマチェットを突き刺した。
「堕ちろッ!」
吹き飛ばされたことの八つ当たりついでに銃弾を大量に叩き込み、マチェットを抜いて離脱する。
着地とほぼ同時に、足場にした中型機械兵と墜落したドローンの爆発が響き、門前は一時的な静けさを取り戻した。
「······こんなもので終わりですの!? もう二波三波来てくれないと物足りませんわ! 撃ち足りませんわー!」
「三波はさすがに無理。刃こぼれの危険と残弾数があるから敵の数によっては抜かれる」
阿呆みたいなことを言う相方を横目に、マチェットを小さく薙ぐように振るい、表面に残る油汚れを飛ばして、腰の鞘に納める。
機械兵を斬って付着するオイルは比較的簡単に落とせるため、社員寮に戻ってから多少拭くだけで済むので助かる。
「貴方がちょこまかしすぎるからサポートできるのが私しか居ないだけですのよ! ······他の方では誤射しかねませんもの」
「······否定はしない」
もう一度周辺の荒野を見渡して。また、遠くまで耳を澄ませても機械兵の駆動音は聞こえない。
聞き逃していなければ一時的とはいえこのエリアへの侵攻は退けることができたようだ。
「周辺問題なし。引き継ぎが来るまで警戒を続け────サヴァ姉?」
「警戒は私がやっておきますので、タラカーンは先に戻っておでこの傷とか診て貰いなさいな」
言いながら、サヴァ姉は俺の頬をハンカチで優しく撫でる。どうやらサヴァ姉が触れたあたりに傷ができているらしい。
「至近距離で爆発を受けたのですから、帰ったらちゃーんと診てもらうのですよ」
心配そうに俺の身体を見るサヴァ姉。
いや、心配なのもあるだろうが、俺を先に帰らせることで引き継ぎまでに撃ちたい欲を満たすつもりなのかもしれない。
「······撃ちたいなら戻ってから射撃場で撃てばいい」
「無駄弾は撃ちませんわ。尤も敵さんに遅刻者が居なければの話ですけれど」
一息つくようにサヴァ姉は腰に下げた水筒を開け、それを自身の口に運ぶ。
······先に帰るとして、無駄撃ちを無くすために持ってきた弾を先に持ち帰るのは駄目だな。もしものことがある。
それに無駄撃ちはしないと言っているが、会社からは一人にさせるなと言われてる。
「······私そんなに信用無いのかな。泣きたくなってくるのですけど」
「会社から『弾が余ってる状態で一人にさせるな』と指示されてる」
「······実際に一度訓練場で弾の在庫枯らした手前反論できませんわ」
······訓練場で唯一マガジン一日ひとつの制限が掛けられている理由はそれだったのかと納得する。
「······予備弾倉をひとつに抑えれば会社に文句言われなかったりしないかしら」
「さあ? 俺にはなんとも」
「はぁ······仕方ないですわ。帰して貴方が文句言われるのも後味悪いですし、引き継ぎまでは良いとして、帰ったらしっかり診て貰うと約束しなさい······あ、あの残骸良さそう」
そう言ってサヴァ姉が斃れた機械兵の残骸をひとつ持ってくる。
なるほど。上手く配線だけ斬れたお陰で装甲には凹んだり傷ついたりと言ったモノが殆ど無い。
「······余りは貰えると助かる」
「もちろんですわ。タラカーンも予備の武器あったほうが良いですものね」
こうして持ち帰った機械兵の残骸に手を加え、サヴァ姉は銃を改造──外付けの装甲を付け加えるだけだが──するのに使う。
「······それにしても、こういうのの加工にも使える電熱線って凄いですわよね」
「国曰くクリーンで万能なエネルギーと言っているが······どうだか」
「······それ私以外の前で言ったら通報されて即お縄ですわよ」
「かもな。······ただ火ですらやけどというリスクがあるのに万能なエネルギーにリスクがないとは考えづらいだけだ」
「たぶん考えすぎですわ〜······それにしても遅いし敵も来ないしで暇ですわー!!」
そんなサヴァ姉の叫びは、空気に溶けて消えていくのだった。