※当作品は溶鉄のマルフーシャ及び救国のスネジンカの二次創作であり、主に同作品を元にしたオリキャラ(オリゾミアキャラ)を主体とした物語です。
自己解釈等々がございます故、不快な思いをするかもしれませんが、その際はブラウザバックやコメントに修正案(ここはこうではないか)等をよろしくお願いします。
本文(想定している終わりまでのプロット)が書き上がり次第一度消して再投稿の予定でいます。
また、当作品を読んで「自分ならもっといいのが書ける」って人たちの敷居の下限を下げるためのものでもありますのでどんどん書いてね。
この程度の文字数書くのにかかった期間は前回から空いた期間そのまんまだよ。
後社員寮での話になるよ。
「やーっと帰ってこれましたわー!」
あれからしばらく警戒を続けていたものの、本来の引き継ぎ先の人員は来なかった。
帰れないと痺れを切らしたサヴァ姉が会社に連絡を入れたことで、交代要員としてダチカ先輩達が来てくれたものの、待っているだけではこのまま延々待たされたことだろう。
「······引き継ぎまでじゃなく時間での仕事なら丸々責任投げられたんだがな」
「それには同意ですわ〜。でもウチはかなり下の方の会社ですもの。しょうがないですわ〜」
ダチカ先輩達に業務の引き継ぎをしてからサヴァ姉がずっとにこにこしている。
──怖いくらいに。
表情は変わらず笑顔なのに見たこともないくらいに目が据わっている。
「······サヴァ姉。頼むから仕事中に撃てなかった分もまとめて鬱憤晴らしに襲撃しに行かないでほしい」
「流石に襲撃はしませんわ〜。貴方は私をなんだと思って······行くのは射撃場と加工室ですので貴方はシャワーを浴びてからのんびりしてなさいな」
表情をピクリとも変えず、サヴァ姉は部屋を出ていった。
······さて、傷を診せるにも塞がっているし、まずは何をするか。
「······武器の手入れから始めるか」
部屋着に着替え、床に腰を据えて刃のチェックを行う。
本来であれば会社の備品である銃火器は帰還時に返却する。が、俺が扱うのは主に刃物であるため自己管理をしている。
ジリジリ、ジリジリ。
今はどこにいるかもわからない父親に教わった研ぎの技術。
なるべく刃こぼれに気をつけて斬っているとはいえ、機械兵の装甲に当たれば多少は潰れたり欠けたりする。
そこを怠けて死にたくはない。だから完全でないにしても、なるべく手入れは欠かさない。
「······よし」
刃の両面を同じ角度で複数回削り、刃のバリを確かめボロ布で拭い取る。
ここまでの工程を預かりものも含め、このあと他の数本の刃物でも行う。
『道具の手入れは己以上に』例え己が動けなくなろうとも道具は人の手を巡る。故にある国には命をも懸けて刃を鍛える職人が居るのだと研ぎを教わる時に父に聞いたことがある。
「また駄目でしたわー!」
「············サヴァ姉お帰り」
あれから、数本の手入れを済ませた辺りでサヴァ姉が部屋に戻ってきた。
思っていたより深く集中していたようで、サヴァ姉が声を上げるまで部屋に帰ってきていたことすら気付けなかった。
「ぜーんぜんスコア伸びませんわ〜。ダチカちゃんもアニタ先輩も凄いと改めて思いましたわ〜」
「お疲れ。加工は上手く行った?」
「もちろんそっちは完璧ですわ。······ここの機材でやれる範囲ではあるけれど。······昔取った杵柄というやつですわね」
疲れたようなゆったりした動きで切り出した鉄板を床に並べるサヴァ姉。
おおよそマチェット型の大きめの鉄板と、その端材から取ったであろうナイフに近い型の小さい鉄板が数枚。
「この形で大丈夫でしたわよね?」
「······十分だ」
手に取ってひとつずつ改めて確認する。
どれも研いで整えるだけで十分に使えるようになるだろう。
「タラカーン······貴方帰ってきてからシャワーも浴びずにずっと研いでましたのね?」
「······装備の手入れは大事だからな。シャワーを浴びるのはこの板を使える形にしてから────
「駄目ですわ。先にシャワー浴びに行きますわよ」
ぴしゃりと冷たく告げて、サヴァ姉は鉄板を取ろうとした俺を軽々と抱え上げ、シャワー室の方へと運ぶ。
サヴァ姉が普段使ってる武器は俺より重いから、俺を運ぶくらい造作もないのだろう。
「ささっと脱いでシャワー済ませて作業に戻れば問題ないですわ〜」
「そんな単純じゃない······アレの加工は後日にする」
体力的に、シャワーの後に研ぎができる程度の集中力に戻すのは難しいので今日は諦めることにする。
「そうですの? ならシャワー済ませたら二人でゆっくりしましょう」
「わかった」
サヴァ姉に脱衣所に降ろされて、髪を解き、一通りの服を洗濯機に入れて回す。
······まだこういう物には慣れないな。
ガコガコとうるさく鳴る洗濯機を背に、シャワー室に入り、シャワーの水栓を回して出てくる水を全身に浴びる。
「······ふぅ」
自身を経て滴り落ちていく水は、体内にこもる熱を一緒に流し思考を鮮明にしてくれる。
······思えば落ち着くために水を浴びるというのも父から学んだ事だったか。
「ちゃんと洗いなさいな。······折角髪が長いんだから、キレイに保たないと勿体無いよ」
「······そうだな」
もう少しこのまま水を浴びていたかったが、それをすると体調崩すだのなんだのとサヴァ姉に怒られそうだ。
短く返し、シャワー室の端に置いてある椅子を持って来て座る。
「······ん」
いくら建物が比較的丈夫めであるといえ、多少の異常──床が欠けたり剥がれていたりはあるため、座りが良くなるまで椅子の位置を調整して目を閉じる。
「······最初のころに比べたら君の髪も綺麗になってきたよね〜」
「······サヴァ姉のお陰」
目を閉じた俺の髪を、サヴァ姉は洗剤を使ってワシャワシャと丁寧に洗う。
最初の頃は目を開けたままで洗剤が目に入ったりしたこともあったが、繰り返すうちに幾らかは慣れてきている。
「そうだね。最初の頃は鳥の巣みたいに硬いし絡まってるしで酷かったから、凄く大変だったよ〜。······それにあの頃は凄い暴れたもんね」
「······ごめん」
当時は両親が行方不明になり、住んでいた家も接収され、学校も中退せざるを得なかったりなど色々と忙しく不安定だった。
両親の当てを探してこの会社に辿り着いたばかりの頃は、まともに水浴びもしていなかったから酷い状態だったそうだ。
「別にいいよ。あの時に関しては、知らない人に水責めされてるような状態だからね。······傷に染みたりしてない?」
「大丈夫」
「ならいいかな〜。······流すね」
一通り髪を洗い終えたらしく、頭頂部から流れてくる水が洗剤の泡を洗い流す。
「流れたね? ······次付けるよ」
洗剤を流し落とした髪に、別のものを通してもみ込む。サヴァ姉曰くこうすることで髪の状態が良くなる······らしい。
「よし、終わり。体洗ってて〜」
今付けたものは一通り洗い終えてから流すものらしいので、俺の黒い長髪を簡単にシュシュでまとめ、自分のことをしに別のシャワーに移動するサヴァ姉を横目に、俺は自身の体を洗う。
サヴァ姉のものよりも細い腕や足をはじめ、全身に体用だという洗剤を軽く泡立てるように塗り付け、シャワーで流す。
「サヴァ姉」
「わかった。髪流すね」
自分でやって間違った流し方をしても良くないので、再び椅子に座りサヴァ姉に任せて目を瞑る。
「サヴァー。そこにいるわね? 加工室の鍵が返し忘れてるみたいだからシャワー浴び終わったら加工室の鍵を返しに行きなさい」
シャワーの音に混じって、扉越しに脱衣所の方からくぐもった声がする。······声的にダチカ先輩だろう。
「おかえりダチカちゃん。鍵はこの後で返しに行くから大丈夫。あと交代ありがとね〜」
「それに関しては気にしないでいいわ。
······やっぱり出たら返しに行く前に少し愚痴に付き合いなさい」
「わかった。もうちょっと待ってて〜」
話しながらもサヴァ姉は手際よく揉み込んだ薬剤を流し落とす。
「······おっけい。流し終わりだよ〜」
「ん。······ありがと」
座っていた椅子を端に戻し、まずは手で髪の水分を軽く絞ってからタオルでやさしく吸わせる。
「大丈夫? あとは自分でやれる?」
「······大丈夫。もう出来る」
「そっか。じゃあ先出てるから頑張ってみて」
手早く全身の水分を拭き取り、髪に櫛を通したサヴァ姉は着替えを済ませて、こちらに背を向けて座るダチカ先輩の方へ歩く。
「······簡単に済ませるか」
部屋には現状ダチカ先輩も居るわけだし、余計な気を遣わせないためにも早めに服を着ておこう。
「······研いだ中にダチカ先輩から預かった物もあったな」
そういえばと思い出し、いつものように髪をまとめてから、居間のスペースに出る。
「元請けのやつら大幅に遅れてきたってのに『お宅が早上がりしたことにして文句つけてやろうと思ったのに、ブルーピーコックさんって暇なのね』とか言いやがったのよ! 榴弾を一発ぶち込んでやろうかと思ったわ」
「ちゃんと我慢できてえらい! でもね。そういうのは私たちみたいな問題児がやることだよ〜。ダチカちゃんは正しく頑張ってるんだからそんなことでつまづく必要無いよ!」
砥石などを片付けつつ、ダチカ先輩から預かった刃物を探す。
その最中に二人の話に耳を傾けていたが、そんなことのために延々と待たされていたのかと思うと────
「いい気分じゃないな」
「私としても腹が立って仕方ないわ。······ってタラカーンあんたどこから出てきた!?」
「シャワー室から。あと研ぎ終えてあるから先に返す」
刃の面に触って指を切らないように適当な紙とボロ布で包んでダチカ先輩に包丁を返す。
「切れ味が不満ならまた研ぐから持ってきて」
「わかったわ。······ってそれよりもシャワー室に居たってことは二人でシャワー浴びてたってことよね!?」
「そうだが?」
······何かおかしなこと言っただろうか?
徐々に顔が赤くなっていくダチカ先輩の隣で、サヴァ姉が付け加える。
「タラカーンがうちに入ってすぐの時、二人でお節介焼いたでしょ? あれから、たまーに見てあげないと、あの時と同じ状態になっちゃいそうだから、たまーに洗ってあげてるんだ」
サラリと言うサヴァ姉に驚いたような反応をするダチカ先輩。
······今更だが愚痴という事だから短時間では終わらないだろう。飲み物でも出すべきか?
「あんたたち······ふ」
「「ふ?」」
「フジュンよー!!」