神が首を乞う   作:端取合

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白ひげの借り、少女らの望み


頂上戦争後~
厄介事、ふたつ


 

 四皇〝赤髪〟シャンクスによって幕引きされた戦争。

 海賊たちは自らの海賊船、もしくは他傘下の船に引き上げていく。いまだ余力のある海兵たちも、何人たりとも無粋な真似は許さないとし赤髪海賊団一同が目を光らせているのだから、手を出すことは不可能であった。海賊もまた同様のことが言えたが。

 

 ここが、今時代の頂点。決着は、最後まで定まらず。

 遺恨は引き続かれることとなるだろう。

 

 だが、ニューゲートは生きた。愛する息子たちを多く亡くしながらも、海軍相手からバカ息子を救出し、いや、実際に助けたのは彼の義弟だったが、犠牲は計り知れずとも白ひげ海賊団としての威信を守ることができた。それは確かに――未来へと繋がる灯となる。

 惜しむらくは、この目で彼らの将来を見届けてやれないこと。しかしまあ幸運(ラッキー)なことに、ないと思っていたはずの執行猶予が生まれたのだ。これ以上のことは望むまい。

 

(――と、チビ助二人は……)

 

 さて、生き延びだニューゲートには借りがある。

 何を血迷ったのか、海賊〝白ひげ〟に身の安全を求めたのは、名も知らぬ赤毛の子供と天竜人の子供。戦争に乱入してきた、関係性のある息子の義弟とも違う、第三者二人である。

 笑い飛ばした関わらず、最終的にはなし崩し形でありつつも、二人はニューゲートの肩を持つように戦った。であれば、手助けされた分のものを報いなくては、筋が通らないってもんだろう。

 

「おい、静かにしておけ」

 

 恐ろしいまでに無防備な姿で近付いてきたときと同じで、一欠片の警戒心も、ついでに敵意もなく。きょとんと首を傾げた子供二人は、ニューゲートが()()()()落としてしまった外套(マント)に覆い隠された。そんでもって、なんてことのないように拾う。拾ったらもう後は船に帰るだけだ。

 海へと引き返す息子たちの、その殿(しんがり)をニューゲートは務めた。

 

 

 

 

 

 本船〈モビー・ディック〉は海が弔った。花火を贈ったのが敵であることは腹立たしかったが、先頭船としては、それもまた名誉であるのかもしれない。先陣をきる船に相応しい派手な門出だった。

 本船を失った今、再び海に戻るための足になったのは、後続船及び他傘下海賊船である。

 

「オヤジ」

 

 とは言え、どの船に乗ろうが、いの一番に〝不死鳥〟マルコがすることといえば、当然船長ニューゲートの診察と治療である。

 ただでさえ老いたその身体に、砲弾も太刀を能力も受けたのだ。無茶に無茶を重ねた上でさらに無茶を続けた状態。自分の状態も良いわけではないと理解していながら、それ以上に船長の、何より父親としてのニューゲートへの心配があった。

 しかもナースが乗船していない以上、診察や治療に加え、トリアージや診察介助までを船医たちで担わなければならない。

 他の船員に指示を出しながらも、ニューゲートの治療につくと、

 

「マルコ。客人だ」

「は?」

 

 おもむろに畳まれた外套を渡された。

 

()()()()()()()()

 

 その中身に、惨状など飽きるほどにこの瞳に映してきたマルコとて、思わず顔が引きつる。

 血と汗。砂と煤。裂け目に焼け目。深く傷付きながらも、戦場を耐え抜いた外套(マント)のなか。

 

 

 

 

 

「――おいおい、海賊〝白ひげ〟に抱えられて寝るたあ随分と度胸があるよい」

 

 

 

 

 

 赤い髪の子供が一人と、花嫁姿の子供が一人。小さく寝息を立てていたのだから。

 マルコの呟きに次いで、地響きのような笑い声が響いた。

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