家庭教師ヒットマンREBORN 破天荒な雷野郎が来る!   作:ダレ狐

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怪しい男が来る?

並盛の裏山で爆音と雷鳴が響いていたが、時間にしてみれば十五分ほどで終わっていた。

そこには大の字で倒れる沢田綱吉――ツナが、全身筋肉痛に襲われながら転がっていた。

 

「いでぇ〜……身体がぁ……」

 

「いや〜焦るわ。久しぶりに本気で雷の炎使ったしな。

しばらく痺れるだろうけど、一時間もしたら動けるようになるから」

 

リーフはそう言いながらツナを抱え上げ、朝食を取ったテントのそばに置いてあった、足を伸ばせる椅子へ座らせた。

 

「ここで休んでな。俺の電撃のおかげで、前みたいに疲労でぶっ倒れることはねぇから。

じゃ、俺は昼飯の買い出し行ってくるわ」

 

「嘘でしょ!? あれだけ暴れたのに、普通に動いてるよ!」

 

「まぁ、アイツはボンゴレ内で“最も欲しい若手No.1”だからな」

 

「リボーン! ……って、痛っ!? 痛い〜!」

 

リボーンは焚き火で温められながら、優雅にコーヒーを飲み、新聞を広げていた。

 

「まったく情けねぇぞ、ツナ。

リーフはお前との戦闘中、電撃を使ってツナの肉体のツボを刺激して、筋肉痛や疲労を緩和してたんだ」

 

「なぁ!? そんな高度なことしてたの!?

確かに戦ってる時、なんか違和感はあったけど……」

 

「まぁ、そのツボも、最後の一撃までは相手の動きを鈍らせる技だ。

それまではマジでツナを殺すつもりだったのは、嘘じゃねぇけどな」

 

「怖ぇよ! あの人!」

 

「安心しろ。昼飯の後で、たっぷりトレーニングしてやるからな。覚悟しとけ」

 

「嘘だろ!? 今日は朝からボロボロなんだけど!!」

 

――やはりツナにとって、一番恐ろしい存在は何だかんだでリボーンだった。

 

――並盛商店街

並盛の裏山を下りながら、リーフは軽く肩を回した。

体の奥に残る微かな痺れが、さっきまで本気で雷の死ぬ気の炎を使っていたことを思い出させる。

(久しぶりだな……本気の調整)

 

日本に来てからは、極力力を使わないようにしていた。

理由は単純だ。

――ここは、まだ“戦場”じゃない。

商店街の入口に差し掛かると、空気が一変する。

昼下がりの並盛は、どこまでも穏やかだった。

八百屋の呼び声。

精肉店から漂う揚げ物の匂い。

小さな子どもが駆け回り、年配の客が立ち話に花を咲かせている。

 

「……平和だな」

 

思わず、そんな言葉が口をついた。

マフィアの世界に身を置いていると、こういう光景は遠い。

争いも、欲望も、暴力も――ここにはない。

 

(だからこそ、壊れやすい)

リーフは無意識に、指にはめた絶縁リングに視線を落とした。

この街の人間は、自分がどんな世界と隣り合わせに生きているのかを知らない。

 

だが、知らないままでいられるのは――誰かが裏側で血を流っているからだ。

 

「……ツナも、まだそっち側だな」

 

朝の特訓で見た少年の姿が脳裏に浮かぶ。

不器用で、素直で、覚悟が足りない。

だが、あの目――追い詰められた時の眼差しだけは、本物だった。

 

(あれが“超直感”か……面倒な才能だ)

 

歩きながら、リーフは買い物リストを頭の中で確認する。

適当な弁当と飲み物。

あとは、夕方までの時間つぶしに甘い物でもあればいい。

その時だった。

 

「ねぇねぇ、君たちさ〜」

 

少し先、通りの角から聞こえた軽薄な声。

反射的に、リーフの足が止まる。

 

声の方を見ると、制服姿の少女が二人。

――笹川京子と、黒川花。

その前に立っているのは、明らかに素行の悪そうな高校生が数人。

距離感は近く、逃げ道を塞ぐような立ち位置。

 

(……やれやれ)

 

リーフは小さく息を吐いた。

この街は平和だ。

だが、平和な街ほど――こういう“勘違いした連中”が生まれる。

彼はゆっくりと歩き出す。

争うつもりはない。

ただ――この場を収めるだけだ。

 

(本当、ツナの特訓どころじゃないな)

そう思いながら、リーフは二人と不良たちの間に割って入った。

 

「すみません。その子たち、俺の連れなので、もう帰ってくれます?」

 

「あぁ〜? 誰だ、おめぇ?」

 

「え?」

 

「あんた、誰? もしかして沢田の知り合い?」

 

「ハハハ。当たってるけど、初対面でいきなり変人を見る目はやめてよ」

 

「てめぇ……俺を無視してるんじゃ――」

 

「うるさい」

 

リーフはポケットに入れていた、放電を蓄電した鉄球を指で弾き、ナンパ男に命中させた。

 

「アミバーーー!!」

 

まるで80年代のジャンプ漫画に出てきそうなキャラ名の叫びを上げながら、男は鉄球から放出された電撃をまともに受け、黒焦げになって倒れ込む。

 

「やべ。今朝の特訓で、想定より電撃溜まってたわ〜。ごめんね、お兄さん〜」

 

黒焦げになった男たちを残し、商店街には再び穏やかな空気が戻った。

 

「大丈夫かい? 確か、笹川京子ちゃんと黒川花ちゃんだよね」

 

「げっ、何で私らの名前知ってるんよ……」

 

「本当に助かりました。えっと……」

 

「あ、俺? リーフ。ツナの知り合いってとこかな」

 

「やっぱりツナ君の!」

 

「そう。今、ツナと裏山でキャンプしててさ」

 

「キャンプ?」

 

「うん。リボーンさん主導の“スパルタ特訓付き”だけどね。

昼飯の買い出しで下りてきただけなんだ」

 

「えぇ!? あのダメツナが山でキャンプしてるの?」

 

「朝からずっと死ぬ気で叫んでたよ。

『死ぬ気で勝ぁぁぁつ!』って」

 

「うふふ、それはツナ君らしいというか……」

 

京子と花が苦笑いを浮かべる中、リーフは買い物袋を持ち直しながら続ける。

 

「よかったらさ、昼飯一緒にどう?

焚き火もあるし、ちょっとしたピクニック感覚で」

 

「え、いいの?」

 

「もちろん。ツナも喜ぶと思うし」

 

その時――

「ちょっと待ったぁぁぁ!!!!」

 

突如、商店街に響き渡る大声。

「極限に怪しい匂いがすると思ったら……!」

 

三人が振り向くと、そこに立っていたのは

ボロボロのジャージ姿、拳を握りしめた――

 

「あっ、京子のお兄さん…」

 

「京子! 花! 無事か!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「今しがた、不良が黒焦げになって倒れているのを見た!

そして、その中心に立つ怪しい男……!」

 

了平の鋭い視線が、一直線にリーフを射抜く。

「えっ?」

 

「……なるほど。状況は理解した!」

 

「いや、たぶん全然理解してないと思うけど」

 

「京子たちに手を出した不良を――

いや! その不良そのものが貴様だな!?」

 

「え、俺?」

 

「問答無用!! 極限に成敗する!!」

了平が構えを取った瞬間、空気が一変した。

「ちょ、待って! 誤解――」

 

「極限!!」

 

「うわ、話聞かねぇタイプだコレ」

 

リーフは苦笑いを浮かべながら、一歩前に出る。

 

「しゃーない。

昼飯前の軽い運動ってことで付き合うか」

――こうして、誤解から始まる極限バトルが幕を開けた。

 

了平の拳が唸りを上げて振り抜かれる。

 

「極限ッ!!」

 

空を切る左のジャブ。 だが――

 

「おっと」

 

リーフは半歩横にずれただけで、それをかわした。 反撃はしない。ただ、避ける。

 

「なにぃ!?」

 

「へぇ〜良いジャブだ、すげぇ〜練習量の証だな」

 

「何を! 俺のパンチはまだまだ極限に上がるぞ! 京子たちは俺が守る!!」

 

「だから誤解だって……」

 

二撃、三撃。 了平の攻撃は直線的だが、とにかく重い。 リーフの背後の建物のコンクリートが砕け、風圧だけで周囲がざわつく。

それでもリーフは――

避ける。

 

流す。

 

距離を取る。

 

「……当たらないだと?」

 

「無理だよ、良いパンチだけど、動きを読まれたら意味が無いぞ」

 

「何!?」

 

了平が一瞬、動揺したその時――

「やれやれ……」

 

場違いなほど、のんびりした声が割って入った。

 

「街中で殴り合いとは、元気でよろしいことだ」

三人が一斉に声の方を見る。

 

そこにいたのは――

白い髭をたくわえ、ゾウの被り物してボクシンググローブを付けてるリボーンの姿だった。

 

 

「パオパオ老子!」

 

「今回のコスプレはソレなんですね」

 

リボーンの登場により、了平の動きが止まった。

 

「やれやれ、冷静に状況が見れてないぞ了平、彼はお前のパンチに避けてるわけじゃない、パンチを誘導されてる事に気づいてないとは」

 

「どういう事ですか、パオパオ老子!」

 

「あのコンクリの凹みを見ろ」

 

リボーンの指示で了平はリーフの背後のコンクリを見ると周囲一点だけ凹みが目立つ。 了平はさっぱり分かっていない様子だった。

 

「アレだけ了平のパンチを捌いていたのに凹みは1箇所に集中してる。つまり、リーフはパンチを凹んでる箇所に誘導するように仕向けていたんだ。 結果、了平のパンチはあの辺りのみ、パンチの拳圧が集中したんだ」

 

「そ! そんな事が 俺の極限パンチが」

 

「ねぇ、京子言ってる意味分かるの?」

 

「うんうん、全然分からない」

 

「まぁ、分からなくても良いよ」

 

「お前のパンチがそれだけ強烈なのに周囲の被害が誰も住んでない廃ビルのコンクリのみにしたのは周囲の被害を抑えるためだ。 さてそんな奴が、お前の妹達に危害を咥えると思うか?」

 

「なるほど、俺は! 極限なんて事をしたんだ!!」

 

リボーンの説得により、了平はリーフがナンパ野郎では無いことに理解…と言うよりも納得した。

 

「誤解が解けたなら何よりも、寧ろ、それだけのパンチならツナの特訓に最適では?」

 

「そうだな、了平、彼と一緒に裏山で特訓してるツナとスーパーリングをするぞ その為にもお前は買い出し手伝え」

 

「ウオォォ、スーパーリング! 任された!!」

 

こうして、昼の買い出しの流れで笹川京子と黒川花に特訓に燃える笹川了平はグロッキーなツナの更なる特訓を見ることになる。

 

「このリーフって人、今まで沢田の周りに居た奴とは色々違う…掴み所無い? ヘラヘラしてるのに…何だろ?」

 

数分後買い出しが終わり 並盛の裏山の移動中

 

買い出し袋を提げて歩きながら、

黒川花は、少し前を歩くリーフの背中を見ていた。

(変な人……)

軽いノリで笑っていて、

危ない場面でも余裕そうで。

なのに――

(さっき、京子のお兄さんの拳……)

あれだけの威力の攻撃を、

彼は一度も「止めなかった」。

殴り返すことも、

怒鳴ることも、

力を誇示することもない。

ただ、

“当たらない場所”へ誘導していた。

(……怖い人のはずなのに)

 

花は、自分でも理由が分からないまま、

胸の奥に小さな引っかかりを覚えていた。

 

「ねぇ、リーフさん」

 

「ん?」

 

「……ああいう時って、怖くないんですか?」

 

何気ない問いだった。

だが、リーフは一瞬だけ足を止めた。

 

「うーん、怖いけど」

 

即答だった。

 

「怖いから、ああするんだ」

 

振り返った彼は、相変わらず軽く笑っている。

けれど、その目は――どこか遠い。

 

「最悪にならないようにね」

 

(……なに、それ)

花は言葉を失った。

強い人は、怖くないものだと思っていた。

 

でもこの人は違う。

怖いことを知っているから、抑えている。

(…沢田の周り、ほんと変な人ばっか)

そう思いながらも、

なぜか目を逸らせなかった。

 

黒川花にとって、リーフは異質な存在だった。

それが興味を引き、彼女も彼らの世界に踏み込もうとしていた。

 

 

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