家庭教師ヒットマンREBORN 破天荒な雷野郎が来る! 作:ダレ狐
スクアーロの襲撃後に現れたのは、キャバッローネファミリーのボス――跳ね馬のディーノと、その部下たちだった。
部下たちは壊された建物の対応や、怪我をした獄寺たちの応急処置を行っていた。
「ディーノさん! どうしてここに?」
「まぁ、色々あってな。話は、そこの彼を病院に連れて行ってからでいいか?」
俺はバジルを担架に乗せ、キャバッローネファミリーに任せてツナたちのもとへ向かった。
「リボーンさん、うちの親方様から何か連絡は?」
「ん? いや、俺のところには……」
「あの人なら俺と同じ飛行機で日本に来てる。一足先に家に寄るってさ」
――ということは、今回の襲撃についてはディーノに聞けということか。
「10代目!」
「ツナ、悪い」
「獄寺君! 山本! 大丈夫?」
「平気っすよ。こんなの唾でも付けてりゃ治ります」
「だな」
するとリボーンが口を開いた。
「お前たちは先に帰っていいぞ」
「!?」
「リボーンさん、それはどういう意味で?」
「言葉の通りだ。今回の件は、今のお前たちが相手にする話じゃない」
「しかし! 俺は10代目の右腕として――」
「よせ。お前たちが軽傷で済んだのは、スクアーロが手加減したからだ」
「んだと!? ビリビリ野郎!」
獄寺が詰め寄る。
俺はスクアーロとの戦闘で使った警棒を見せた。
特殊合金製で、コンクリートすら破壊できる強度を持つ警棒。
それが、一度の戦闘で使い物にならないほどボロボロになっていた。
「お前たちと、倒れているバジルの怪我の差が、一般人とマフィアの境界線だ」
「それって……つまり……」
「あんなイカれた野郎でも暗殺部隊だ。ターゲット以外は殺さない主義だしな」
「お前たちはマフィアじゃなくて、“普通の中学生”程度にしか見られてなかったんだよ」
「俺の攻撃が……」
「俺のダイナマイトが……子供のおもちゃ扱いかよ……」
「リーフさん、いくら何でも……」
「リーフが正しい。お前たちは家に帰りな」
リボーンの言葉が最後の一撃となり、二人は意気消沈した。
俺たちはバジルを連れて病院へ向かった。
リボーンさんの言葉でトドメを刺されて意気消沈する2人に俺達はバジルを連れて近くの病院に運んだ。
病院に着いてからディーノから聞いた説明をまとめると
現在、ボンゴレ本部でヴァリアーの動きが活発になっていて、狙いがボスの継承式に使うハーフ·ボンゴレリングを9代目から受け取った事になっていた。
残りのハーフ·ボンゴレリングは門外顧問の俺達が預かっていたが、先のバジルから奪われた。
「それじゃリングはアイツらに」
「所がな、ツナ、ハーフ·ボンゴレリングは俺が持ってるんだ」
「ええ! 何でディーノさんが持ってるのアイツらが取ったのは?」
「偽物だな」
「つまり、バジルは囮として使わされたんだな」
ヴァリアー相手にそんな事が出来るやつは限られるとは言え、親方様も酷な事をする。
「待ってよ、本物がここにあるなら、向こうにあるリングが偽物ってバレたら」
「また、来るだろうな」
「そんなー!!」
「安心しな、あのリングはかなり出来ている。精々2週間程猶予が貰えたな」
「つまり、2週間後にはまた、スクアーロが来るのかよ!」
「下手したら、ヴァリアーが集結するかもな」
「そんな〜何でボンゴレ同士で……そうだ、ディーノさんとリーフさんが居るなら」
「ツナ、俺達はキャバンローネファミリーはボンゴレの後継者問題には口出し出来ないんだよ」
「俺も直接的には戦えないんだ。 後継者候補のツナ達にしか出来ないんだ」
「そんな!無理無理!! 俺には無理だよー!!!」
ツナは事の大きさに驚いて病室から去った。
逃げたい気持ちはわかるが、ボンゴレリングが出た以上、後継者争いは避けれないだろうな。
「ツナの奴、まだ逃げれるって思ってるのか?」
「仕方ねぇーよ、俺も時期が早いとは思うが"9代目"が関与してる以上はな」
「しかし、9代目が何故、急にこんな事を……この手の争いは避ける人だと思ったのに」
「リボーンさん、とりあえず俺は親方様の指示で動くのでコレで失礼しますね」
「あぁ、お前が来てくれて良かったぜ」
「良して下さいよ」
俺は病室を出て近くの公園で空を眺めてた。
「てっきりツナが中学卒業に合わせると思ってたのに……俺の日本滞在も短いかもな」
「あんた、こんな所で何してるの?」
「おっ、確か黒川花だったよな?」
振り向くと、いつぞやに出会った黒川花がそこにいた。
「フルネームで呼ぶな。普通に黒川でいいでしょ?」
「そうか? 呼びやすいし、花って素敵な名前だと思うが」
「はいはい、そうですか。それはありがとう」
凄く嫌そうな顔をしているな。親御さんが見たら泣くぞ。
「私の質問に答えてないんだけど?」
「ん? あぁ〜、ちょっと忙しくなりそうだからな。少し気分転換にここへ来ただけだよ」
「ふーん。つまり今は暇なのね」
「ん? まぁ〜そうなるか」
黒川は俺の格好を上から下まで見渡し、何かを考えるような顔をした後、渋々納得したように頷いた。
「よし。今から私の買い物に付き合ってよ」
「唐突にどうした?」
「隣町のショッピングモールでバーゲンやってるのよ。荷物持ちがちょうど欲しかったの」
「えぇ〜。理由が酷いな」
「うるさい。行くわよ」
有無を言わさず連れて来られたショッピングモール。
だが、そこに漂う空気はスクアーロとの戦闘とは別の意味で異様だった。
「何だ、この空気は……」
「オープン記念と衣替えシーズンのセールよ。ここからは戦争なんだから、無駄口叩かない」
「お、おう……」
黒川と店内の客たちの空気に飲まれ、俺は絶句した。
そして――
「その服ー!!」
「ヒィィィィィハァァァァァ!!貴様に渡すブラウスはねぇぇぇ!!」
「小娘にブランドバッグは早いわ!」
「ちっ! オバサン一人に負けるか!!」
黒川は大勢の大人たちを相手に、物怖じせず戦場へ飛び込んでいった。
服を奪い合い、バッグを奪い合い、割引札を巡って火花を散らす。
その姿はもはや戦士だった。
そして戦いが終わった頃には――
「ふぅ……完勝」
黒川は満足そうな顔で戦利品を抱えていた。
その表情を見て、思わず笑ってしまう。
「何、笑ってるのよ」
「悪い悪い。良い顔してたからさ」
「はぁ?」
「それじゃお詫びに――ショッピングモール内の少しリッチなイタリアンレストランはいかがでしょう、お嬢様?」
「何、その喋り方?」
「やっぱ変か?」
俺は肩をすくめた。
「でも、あそこのテラス席のイタリアン行こうぜ。日本限定メニュー食いたかったんだ」
「……まあ、いいけど」
その後、俺たちはショッピングモール内の少し高めのイタリアンレストランへ入った。
「さて、何にする?」
メニューを開きながら言う。
「日本の店ってクオリティ高いんだよな」
「いやいやいや! ここ高そうなんだけど!?中学生に払える店じゃないでしょ!」
俺は財布からゴールドカードを取り出した。
「できる男は財力が違うぜ〜」
「うわぁ……引くわ。親の金でしょ?」
「違う違う。向こうで働いた金だから気にするな」
料理を注文し、待っている間。
黒川はずっと俺を怪しそうな目で見ていた。
「ん? どうした?」
「ダメツナの周りって最近変な連中ばっか集まるようになったけど……」
「うん」
「アンタが一番意味分かんないかも」
「いや〜光栄だな」
「皮肉に決まってるでしょうが!」
「何か問題でも?」
「京子が心配なだけよ」
「へぇ〜」
俺は少し驚いた。
「真っ先に友達の心配か。優しいんだな」
「バカ。親友なんだから当然でしょ」
黒川は呆れたように言った。
「だからこそ、ダメツナにはしっかりしてもらわないと困るのよ」
「何だ。ツナのこともちゃんと見てるんだな」
「はぁ!? アンタどういう解釈してるのよ!?」
今まで見たことがないくらい苦虫を噛み潰したような顔をしている。
少し引きそうになる。
でも――
憎まれ口を叩きながらも、ちゃんと周りを見ていて、友達を大事にしている。
優しい奴なんだろうな。
「ありのままだぜ〜」
俺はピザを一切れ持ち上げる。
「さて、食おうぜ」
「話逸らすな!」
ヴァリアーとの対決の準備で気が滅入りそうだった。
だけど――
今日だけは少し違った。
黒川との買い物は、思っていたより良い気晴らしになった。
店を出る頃には空も少し赤く染まり始めていた。
「ありがとうな、花」
「……え?」
黒川が目を丸くする。
「何を急に!?つぅーか、いきなり名前呼びするなよ!」
「えぇ? 京子って子は呼んでるじゃん」
「アンタと京子じゃ付き合いの長さが違うの!!」
顔を赤くしながら怒鳴る黒川。
そんな他愛もないやり取りが続く。
――こんな時間が続けばいいのにな。
ふと、そんなことを思った。
翌朝
俺は親方の指示で釣り堀に呼び出されていた。
そこに現れたのは
「おっ、待たせたな」
「親方、説明してくれます?」
俺達