なんとかそれっぽい理由考えました!
それではどうぞ
「ちょ…!虹夏声デカいって…!」
「あぁ…!ごめんリョウ……」
リョウに鋭くたしなめられ、虹夏は慌てて両手で口を押さえた。
心臓が信じられないほどの速さで鳴り響いている。
「……………店長は…いないよね?」
「大丈夫…お姉ちゃんまだ店番だから…」
「ふぅ…よかった…」
「ごめんねリョウ…騒いじゃって…」
「いいよ。気にしてないから」
リョウは室内の静けさを確かめるように周囲を見回し、深く息を吐いた。
もし今の絶叫を星歌に聞かれていたら、サプライズ計画が丸ごと露見し、別の意味で命がなかった。
「それにしても、本当に…【NEW GLORY】が出てくれるんだ…!嘘じゃないよね…!?」
虹夏はまだ現実を受け止めきれず、スマホの画面に表示された文字を何度も見つめ直す。
文字面は相変わらず『お父さん達出られるそうです!』という、あまりにも気の抜けた一文のままだった。
「多分本当だと思う…普段のぼっちの妄想ならともかく、流石にこんな切羽詰まった状況で嘘は吐かないはず…」
リョウの言葉には妙な説得力があった。
ひとりは確かに突飛な妄想を暴走させる悪癖があるが、他人に実害が及ぶような嘘を確信犯的に並べる度胸はない。
そして何より──この「お父さん」という存在の規格外な重みを、一番理解していないのは他ならぬひとり自身なのだ。
「そうだ!ぼっちちゃんに電話して直接聞いてみよう!その方が手っ取り早いし!」
「そうだね。とりあえずかけてみて」
「わかった!」
虹夏は震える指先で通話ボタンをタップした。
スピーカーモードに切り替えられたスマホが、夜のリビングに規則的な電子音を響かせ始める。
『あっもしもし…』
電話の向こうから聞こえてきたのは、いつものように消え入りそうで、どこか頼りないひとりの声だった。
しかしその背後には日本では聞き慣れない異国の喧騒と、遠くで鳴り響くスタジアムの歓声のような地鳴りが微かに混じっていた。
「ぼっちちゃん!さっきのロインの事なんだけど、【NEW GLORY】出演できるって本当!?」
虹夏は食い気味に問いかけた。
隣ではリョウも身を乗り出し、一言も聞き逃すまいと画面を凝視している。
『あっはい…本当です。お父さんやラヴィさん達も割とノリノリで………』
『お~い ひとり~。誰からの電話だい?』
突然、電話口から聞き覚えのある穏やかな男の声が割り込んできた。
「…………え!?もしかしてNaokIさんですか!?」
『ん?その声…虹夏ちゃん?』
虹夏とリョウの背筋に、電流のような緊張が走った。
『あっはい…今までお父さんとビデオ通話してて…』
「え!ちょ…ちょっとぼっちちゃん…!NaokIさんと代われる!?」
もはやひとりを介して話している場合ではない──虹夏は必死に訴えた。
ひとりは戸惑いながらも、画面の向こうの父親に視線を送る。
『あっはい………お父さん、代わってもいい?』
『いいよ どうせなら顔を見て話そうか。Z○omに切り替えよう』
「はっはい!わかりました!」
NaokIの提案に、虹夏は裏返った声で応じた。
通話が一度切れた直後、ひとり経由でロインに会議用のリンクが届いた。
「ごめんリョウ!私の部屋からMacBo○k取ってきて!机の上にあるから!」
「わっ分かった!」
リョウは弾かれたように席を立ち、虹夏の部屋へ駆けていった。
数分後──二人はノートパソコンの前に並び、祈るような気持ちで接続ボタンをクリックした。
画面が明るく切り替わり、そこに映し出されたのは、楽屋でくつろぐNaokIの姿だった。
『おっ入ったか…虹夏ちゃん久しぶり、リョウちゃんも久しぶりだね。2月にウチでレコーディングした時以来かな?』
「なっNaokIさん、お久しぶりです!」
「レコーディングの時はお世話になりました…!」
NaokIはいつもの穏やかな笑顔を浮かべているが、その背後ではスタッフが慌ただしく動く様子が見え、彼が今まさに「世界の中心」にいることを物語っていた。
「あの…NaokIさん…本当に、本当に出演していただけるんですか?」
「出てくれるのは本当にありがたいです。でも…私たちの自主企画ライブのために、貴重な休暇を潰してしまうのは…少し申し訳ないというか……」
虹夏に続いて、リョウも珍しく恐縮した様子で問いかけた。
しかし、NaokIは困ったように眉を下げて笑った。
『二人とも気にしなくていいよ。ひとりにも言ったけど、みんなが困っているのに放っておけるほど僕は薄情じゃないよ。それに、いつも娘がお世話になっているからね…こういう時くらい親として人肌脱がないと』
「NaokIさん……」
「……本当に…ありがとうございます」
NaokIの言葉は、画面越しでもはっきりと二人の胸に響いた。
虹夏は目頭が熱くなって、慌てて目を擦った。
リョウも隣で唇を固く結び、珍しく言葉を詰まらせている。
普段クールに振る舞う彼女の指先が、ノートパソコンの端を強く握っていた。
『まぁそういう事だから気にしないでいいよ。俺らも自分の意志で決めたンだから』
すると不意に、画面の端からもう一人の顔が覗き込んできた。
「え!?ラヴィさん!?」
「おっお久しぶりです…!ドームではお世話になりました…!」
『二人とも久しぶり〜。当日楽しみにしててね〜』
軽いノリで手を振るLavielの姿に、二人は画面越しに「ありがとうございます!!」と声を揃えて頭を下げた。
世界を熱狂させるロックスターたちのフットワークの軽さに、ただただ圧倒されるばかりだった。
『アンタら多分世界一恵まれてるわよ。こんな凄い人たちから目にかけてもらえるなんて、本当はありえないんだから…』
溜息混じりの鋭いツッコミと共に、聞き覚えのある女性が画面に現れた。
「あれ!?やみさんもいたんですか!?」
『まぁね。今は【NEW GLORY】の密着取材の為に、ヨーロッパツアーに同行してるのよ』
「……あぁ。そういえば、8月末にストレイビートでそんなこと言ってたような…」
「…去年はアポ無しでスターリーに凸って、14歳とか名乗ってたのに出世したね。今はぽいずん♡やみ15歳?」
「24よ!!あと今は佐藤愛子で通してるから、【NEW GLORY】のみなさんの前でぽいずん♡やみはやめて!」
「あっ…恥ずかしい自覚あったんだ」
リョウの毒のある指摘に画面の向こうでやみが恥ずかしそうに声を荒げ、虹夏の乾いたツッコミがリビングに響く。
するとまた画面の端から、落ち着いた別の声が割り込んできた。
『あのNaokIさん…さっきのクリスマスの話ですけど…やっぱり…』
「……え!!!?この声、もしかしてKyoyaさんですか!!!?」
虹夏は椅子から半分立ち上がり、ノートパソコンに顔を近づけすぎて鼻が画面にくっつきそうになる。
隣のリョウが慌てて虹夏の肩を掴んで引き戻した。
『……え?その声…もしかして虹夏ちゃん?』
相手は虹夏がドラマーとして最も尊敬し、一挙一動に憧れを抱いている人物──
【NEW GLORY】のドラマー・Kyoyaだった。
『やっぱり虹夏ちゃんか。それにリョウちゃんも…二人とも久しぶりだね』
「おっおおおお久しぶりですKyoyaさん!!!!!!」
「虹夏落ち着いて…お久しぶりですKyoyaさん。ドームではお世話になりました」
限界まで取り乱す虹夏に対し、リョウはかろうじて冷静さを保ちながら挨拶を交わす。
『こちらこそ。MVとかSNSの練習風景見てたけど、二人ともすごく上達してて驚いたよ』
「いっいえ!!Kyoyaさんの指導のおかげです!!それにKyoyaさんが渡してくれたメモのおかげで、練習の幅が広がったり、レコーディングでもテンパったりすることなく撮り終えられたので…!本当に…本当にありがとうございました!!」
『ありがとう。そう言ってもらえたら嬉しいよ』
Kyoyaは穏やかに微笑んだ。
その落ち着いた声と優しい表情に、虹夏は完全に“推しに話しかけられたオタク”の顔になっていた。
そのやり取りを横で聞いていたやみが、突然身を乗り出した。
『………え!?もしかして…【結束バンド】が急激に上手くなったのって…【NEW GLORY】のみなさんが指導したからなんですか!!?!?』
『まぁ…そうなるかな。でも俺らは練習方法教えただけで、あとは【結束バンド】のみんなが頑張った結果だから、そんなに大したことはしてないよ』
『いやいやいやいや!!!めちゃくちゃとんでもないことしてますよ!!?メディア露出ほぼゼロの世界最高峰のロックバンドから指導してもらえるって、何億払ってもできないことですって!!」
やみは興奮のあまり声を上ずらせ、画面に向かって身振り手振りで訴えた。
リョウが冷静に突っ込んだ。
「…ていうか9月から密着取材してたなら、聞く機会はたくさんあったんじゃないの?」
『いや、ライブレポートまとめたりするので忙しかったから普通にそれどころじゃなかったのよ!それに、ただでさえ【NEW GLORY】のみなさんは多忙なのに、個人的な質問なんてできるわけないでしょ。昔ならともかく、流石に今はその辺弁えてるわよ…』
「それもそうか」
リョウが納得したように頷くと、やみは少しむくれた顔で唇を尖らせた。
確かに、世界を股にかけるスタジアムツアーの密着取材は想像を絶する忙しさだった。
伝説的なバンドのプライベートを、好奇心だけで掘り下げる余裕など、彼女にはなかった。
すると虹夏は、胸の奥に溢れる感情を抑えきれず、画面に向かって深々と頭を下げた。
「あっあの…!本当に、本当にありがとうございます…!多忙の中、わざわざ私たちの企画ライブに出演してくれて…いつももらってばかりで……」
声が震え、目頭が熱くなるのを堪えきれていない。
その姿を見てKyoyaは一瞬だけ目を細めたが、すぐにいつもの穏やかな笑みを浮かべた。
『…………気にしなくていいよ。この歳になると、若い子がひたむきに頑張っている姿を見たら、つい応援したくなってしまうんだ。それに…誰かを喜ばせたくて必死になっている虹夏ちゃんを、放っておけないよ』
「…Kyoyaさん……」
その瞬間、虹夏の胸は熱いものでいっぱいになった。
憧れの人からの真っ直ぐで温かい言葉。
自分の努力を見てくれていたという事実。
そして──“放っておけない”という優しさ。
『当日、最高のクリスマスライブにしよう。俺たちがしっかりお膳立てするから』
「はっはい!!!!ありがとうございます!!!!!」
(絶対に!絶対に今回のクリスマスライブ成功させよう!!この人たちに恥をかかせないように!【結束バンド】の全力を見せるんだ!!)
虹夏の中で、感謝と胸の奥で燃え上がる決意が、同時に溢れてくる。
虹夏とKyoyaのやり取りを見届けたあと、NaokIが優しく微笑みながら締めくくった。
『じゃあ本格的な打ち合わせは、僕らのツアーが終わってからにしようか。二人とも、当日を楽しみに待っていてね』
その温かい言葉を最後に、Z○omの画面は静かに切れた。
静かになったスタジアムの楽屋で、Lavielがふと思い出したようにKyoyaに声をかけた。
「そういえばKyoさん、何しに来たの?NaokI君に何か言いかけてたよね?」
「…いや、やっぱり断ろうかと思ってたんだけど………考え直した」
「えっ!?そうなの!?じゃあなんで急に出る気になったんだい?」
NaokIが不思議そうに首を傾げると、Kyoyaは珍しく視線を泳がせ、ちょっと顔を赤らめながらぼそっと答えた。
「…………あんなに泣きながら喜んでる虹夏ちゃんを見たら、断りづらいでしょ…思わせぶりに期待させておいて、今さら『やっぱり無理です』なんて…流石に言えませんよ」
一瞬の沈黙の後、Lavielが吹き出した。
「ぷっ…!あははははは!Kyoさん優しすぎてズルいわ〜!結局、虹夏ちゃんの泣き顔に負けたってことじゃん!」
「うるさい」
NaokIもくすくす笑いながら肩をすくめた。
「Kyoyaは根が真面目だからなぁ〜。虹夏ちゃんに『期待させておいて断る』なんて、絶対にできないタイプだもんな」
「NaokIさんも揶揄わないでくださいよ…」
Kyoyaは耳まで赤くして、珍しくむくれた顔でソファの背もたれに深く沈み込んだ。
その不器用で優しい性格が、メンバーにはよく知られていた。
◆
一方、伊地知家では──
興奮が冷めやらぬ虹夏が、リビングを落ち着きなくウロウロと歩き回っていた。
「ヤバイよ!!マジでヤバイよ!!!【NEW GLORY】が私たちのクリスマスライブに出てくれるなんて!!夢じゃないよね!?夢じゃないよね!?夢じゃないよね!!?」
「ちゃんと現実だよ虹夏。………まあ、私もまだ夢にしか思えないけど……それより、どうしようか…」
リョウが冷静に返すが、虹夏の耳には全く届いていない。
さっきまで、世界最高峰のロックバンドが自分たちの目の前にいた。
しかも──自分たちのために、スターリーに来てくれると言った。
その事実に虹夏は興奮が抑えきれず、両手で顔を覆い、足をバタバタさせながら叫んだ。
すると虹夏は弾かれたようにスマホを掴み、指が滑る勢いで画面をタップし始めた。
「よーし!!早速トゥイッターで告知して────」
「!!!?ちょっ!!虹夏ストップストップストップ!!!」
リョウはいつものマイペースとは思えないスピードで虹夏のスマホを奪い取り、作成中だった下書きを即座に削除した。
「あぁー!?ちょっとリョウ何するの!?」
「いや虹夏こそ冷静になって…!絶対に告知なんてやっちゃダメだよ…!」
リョウの真剣な眼差しに、虹夏はようやく動きを止めた。
リョウは深く息を吐き、重々しく説明を始めた。
「よく考えてみてよ。【NEW GLORY】ってドームやスタジアム、国立競技場はもちろん、海外の巨大会場すら数秒でソールドアウトさせるバンドなんだよ?しかも毎回、会場の外には音漏れ期待のファンが大勢集まる。スターリーのキャパは250人程…そんなところに【NEW GLORY】が来るって発表したら、パンクするどころの騒ぎじゃ済まないよ」
「……………………あぁ!!そうだった!!!」
虹夏は自分の軽率さにようやく気づき、顔を真っ青にして後ずさった。
「それだけじゃない…もしそうなったらスターリー近辺だけじゃなく、下北沢周辺が人で溢れかえる。最悪 警察沙汰とか起こってもおかしくない…比喩とかじゃなくてマジで。それくらい【NEW GLORY】の影響力は半端ないんだ…」
「ごっごめんリョウ………あたし、完全に浮かれてて後先考えてなかった…」
虹夏はソファに力なく崩れ落ち、頭を抱えた。
宇宙規模の幸運を手に入れた喜びのすぐ裏側に、一歩間違えれば下北沢をカオスに変えかねない巨大なリスクが、ドカンと横たわっていた。
「とりあえず【NEW GLORY】は完全にシークレット枠にしよう。それと、それなりのカバーストーリーも用意しないと…」
「え?なんで?」
リョウの徹底した慎重さに、虹夏は首を傾げた。
しかしリョウの視線は、いつになく鋭かった。
「単純に私たちとの接点が無さすぎるからだよ。今回のオファーが成立したのは、ぼっちがNaokIさんの娘っていう最強のコネを持ってたから。でも、世間はそんな事実知る由もない。普通に考えたら『なんで【NEW GLORY】が、インディーズのガールズバンドの自主企画ライブに出るんだ?』って絶対深掘りされる。もしそこでぼっちとNaokIさんの親子関係がバレたら目も当てられないよ」
その言葉は、虹夏の脳裏に最悪の未来を鮮やかに描き出した。
【NEW GLORY】のファンやSNSの考察勢に詮索され、メディアやパパラッチが押し寄せ、【結束バンド】どころかスターリー自体が平穏を失う──
「あっ!!そうだった!!…あっ危ない……!!…あたし、もう少しで取り返しのつかないことするところだった…!!」
虹夏は冷や汗を拭いながら、自分の軽率さを深く恥じた。
憧れのロックスターの参戦という喜びに、守るべき仲間の平穏を一瞬忘れかけていた。
「大丈夫。落ち着いて虹夏…」
リョウは静かに虹夏の肩を叩き、深呼吸を促した。
そして無表情ながらも、迷いのない手つきでスマホのメモアプリを開く。
「…………………………よし。この案で行くか」
リョウは一度目を閉じ、論理的な穴を潰すように慎重に文章をまとめ上げた。
それは、ファンの推測やメディアの追及をかわすための
【【NEW GLORY】出演のカバーストーリー】
① 店長・伊地知星歌が【NEW GLORY】の熱狂的なファンであり、妹の虹夏がサプライズのためにLaviel個人のイソスタにダメ元で熱烈なDMを送った。内容は「姉が人生で一番好きなアーティストの曲を生で聴かせてあげたい」という素直で熱のこもったDM。
② 折しも【NEW GLORY】内では、巨大スタジアムではない「ライブハウスでの原点回帰ライブ」を熱望する声が上がっていた。
③ すると意外にもLaviel本人から返信があり、「面白そうじゃん」と軽いノリで話が広がった。Lavielがメンバー内にその話を振ると、特にNaokIが興味を示した。
④ NaokI自身、バンド結成前は小さなライブハウスを回り、観客が数人しかいないステージで演奏した経験がある。「巨大なスタジアムだけでなく、原点に戻るライブをやってみたい」という想いが以前からあった。
⑤そこに虹夏の「姉を喜ばせたい」という純粋な熱意が重なり、NaokIは「これはいい機会かもしれない」と判断し、原点回帰の場としてスターリーへの出演を独断で快諾した。
⑥ NaokIの“酔った勢いでの突飛な行動”や“見栄を張った衝動的な決断”はファンの間でも伝説となっており、今回の経緯も「いかにも彼らしいエピソード」と自然に受け入れられる。
⑦ メンバー全員が完全オフ期間のため、事務所を介さないプライベート出演として成立させる。
リョウはメモを虹夏に見せながら、最後に付け加えた。
「カバーストーリーはこれで行こう。ポイントは三つ…
一つ目は、店長のファン歴を前面に出して『家族のサプライズ』という人間味を強調する。
二つ目は、NaokIさんの『気まぐれで原点回帰したい』という性格を自然に絡める。
三つ目は、一切ぼっちに焦点を当てず、親子関係に繋がる要素は徹底的に排除する」
虹夏はメモを食い入るように読みながら、何度も頷いた。
「………完璧だよリョウ!これならもし誰かに聞かれても辻褄が合う!『熱烈なファンである店長の妹が、ダメ元でDMを送ったらNaokIさんがノリで了承した』…これならめっちゃ自然だと思う!」
「よかった。まぁ多少強引なのは否めないけど…【NEW GLORY】ファンの間では『NaokIならやるよね』で通じるはず。一番大事なのは、ぼっちとNaokIさんの親子関係に絶対に触れさせないこと。虹夏…今度の打ち合わせの時にそこだけは死守するように、細かい設定のすり合わせとか徹底しておいて」
「わかった!このストーリーをNaokIさんたちに共有して、口裏を合わせておくね!本当にありがとうリョウ!」
二人は改めて顔を見合わせ、固く頷き合った。
夜のリビングに、静かな緊張と興奮が満ちていた。
下北沢の小さなライブハウスで、世界一のバンドを招くという前代未聞のクリスマスライブは、こうして「表向きの真実」を固め、極秘裏に準備が進められることになった。
今回も読んでくれた方、ありがとうございました!
色々考えたけど、これが一番自然な理由かなって思いました。
虹夏ちゃんは普段しっかりしてて真面目な性格だけど、集中しすぎて周りが見えなくなることもあるからこんな感じになりました。
あとこういう時リョウは視野が広いので、虹夏ちゃんのストッパーの役割になってもらいました。
「ふざけんな!虹夏ちゃんはそこまで考え無しじゃないし、山田はもっと脳みそカラカラだわボケェ!!」って思ったらサーセン。