なんでも一つ願いが叶うらしい(ただしその条件は鬼畜とする) 作:イーサン・W
何とか必死こいて完成。
寝惚けている為、誤字脱字が多いかも。
「───
キリトの叫びが俺へと届く。
こうして思うとキリトとは何だかんだ長い付き合いになったと思う。ずっと仲良し!みたいな親友の関係ではなかったが、程良い関係の悪友ぐらいにはなれた筈だ。
コイツが何かある度に俺をアスナに売り渡していたのが懐かしい気さえしてくる。その度に絶望していた気もするが今となっては良い思い出だ。
「よせっ!やめるんだ!今ここでお前が戦う必要はない!」
「そうだぜ
クライン。コイツとは酒場で談笑したり、女の好みの話をしたりして、下品な話とかずっとしてきたなと思う。
お前と色々な話で盛り上がって語り合う事が出来るなんて、この世界に来た当初は微塵も思ってもいなかったから、お前と一緒に語り合う事が出来て楽しかったよ。因みに俺の事を見捨ててフェードアウトした事は忘れないからな。
「
エギルさん。貴方には感謝を長時間述べてやりたい所だが、あいにく俺はそんな柄じゃないんでな。心の中だけで感謝を告げておくぜ。
まず俺は第一層攻略の時、まず間違いなく貴方の助けがなかったら死んでいた存在だ。俺の命の恩人である貴方に感謝を。そして俺とかキリトとかアスナをずっと気にかけてくれていたのも感謝だ。俺が女だったら間違いなく惚れていただろうぜ。既婚者なのが残念だ。NTRは悪ってな。そのクリーミーな頭が好きだったぜ。
「まあまあ。見とけ野郎ども。俺が茅場を華麗に鮮やかに倒してやるからよ」
(ま、俺はシャイなんでな。ぜってーお前たちにそんな事を直接伝えないがな)
キリトたちがまだワーワー言っているが、あいにくキリトたちの声は俺の中でミュートにしてしまったので聞こえません!残念だったな!ガハハ!
「スゥ………ハァァ」
切り替えの為、深く息を吸い込み茅場へと向き直る。
どうやら茅場はお行儀良く俺の事を待っていたみたいだ。
ニヤニヤとしながら俺を見つめていた。
やっぱコイツ恋人の料理喉に詰まらせて死なないかな?
「おや?もういいのかい?最後の挨拶は」
「………俺がそんな柄じゃないのはお前も知ってるだろ」
「ふ、確かにそうだ」
俺とヒースクリフは大して関わりは少ない。
なのに何故コイツが俺の事をよく知っているのか?
ただの考察だが、茅場からしたら俺はずっと興味の対象だったのだろう。突如としてこの世界に入り込んだ異物である俺に茅場が気付かない筈がない。
科学者としての探究心かただの気まぐれかは俺にはわからないが、バグのような俺の存在を敢えて放置していたのはその為か。俺にはさっぱりだが、ただそんな俺の事をずっと観察していたのは確かだろう。
なんか俺本人が知らないような事もコイツ知ってたし。
ストーカーとか諸々の罪で起訴出来ないが残念だぜ。
「戦闘の準備は出来たかね」
「あー、ちょいまち」
俺は左腕を振り、ウィンドウを操作する。
やっぱり茅場を倒すとなると
「─────!!」
「どうだ?流石に予想出来なかったか?」
「ああ……まさか君がそれを使うことになるとはね………」
俺は2本の片手剣を構えて茅場と向き合う。
流石の茅場晶彦もこれは予想出来なかったのか目を見開き驚いている。
これは原作知識がある俺だから出来た事だ。
《二刀流》を扱うのはキリトだけじゃない。
「君はキリト君と違い《二刀流》のスキルは持っていない。その状態で《二刀流》のスキルを扱う事は不可能だ」
「なんだ?やる前から弱音か?らしくないな茅場」
「ッ…………」
「いいからやろうぜ茅場?」
俺は2本の剣を構えて茅場を睨む。
悪いがお前に考察させる時間は与えたくないんだ。
茅場晶彦。お前は気づいてしまうかもしれないからな。
このSAOの制作者であるお前なら。俺の裏ワザに。
「───いくぞ」
「ッ!!」
剣と盾がぶつかり合う。
甲高い金属音が何重にも重なり合うよう波長して、剣戟と防御の応酬が繰り返される。キーンッという甲高い音が何回も繰り返されて耳へと響き渡る。
音に耳が慣れ始めた頃。
俺の全力の斬撃。それら全てを茅場は盾で防ぎ切った。
(流石ラスボス…ッ!全部読めるってか?!)
茅場は完璧な防御をしながら、カウンター狙って常に目を光らせている。気を抜く事も隙を見せる事も出来ない。それをやった瞬間にあるのは死だけ。
フェイントを交えての剣撃も裏をかいての剣撃も全て《神聖剣》によって弾かれ防がれて終わる。
ユニークスキルさまさまだ。
あとは茅場自身の力もあるか?
「うぉっ?!」
「フッ!!」
僅かな隙を狙った茅場の攻防。
ほんの数ミリだった僅かな隙を茅場を逃すことなく、力いっぱいに2本の剣を纏めて上へと叩き上げる。
狙うは隙だらけの俺の胴体。そこに一閃を叩き込む。
「チィッ!!!」
ガキンッ!という鋭い金属音が鳴る。
茅場の盾を構えての突進。
虚をつかれてしまい茅場の攻撃を更に許してしまう。
俺はそれをギリギリ刀身でなんとか逸らすが多少のダメージを負ってしまった。HPももうレッドゾーンだ。
「さてどうする?このままでは君が負けてしまう。もう手詰まりかい?」
「せっかちな野郎だ。少し待てって」
片手剣の最上位スキルを右手で使う。
高速で繰り出される10連撃。
茅場は一瞬驚きはするもののそれを全て防ぎ切る。
(一体彼は何をしたい?……それでは自殺行為だ)
茅場は俺が何をしたいのかさっぱりなのだろう。
そりゃそうだ。
茅場にソードスキルを使うことは自殺行為なのだから。
茅場晶彦はSAO製作スタッフとしてソードスキルをデザインした人物であり、この世界でソードスキルを熟知している人物である。
故に、俺がどんなにソードスキルを突出した威力と精度を持って使用したとしても、茅場には意味がない。先んじてソードスキルを防げはいいだけなのだ。
原作のキリトも焦ってソードスキルを使ってしまったが故に茅場にこれで負けかけていた。
茅場にソードスキルは自殺行為。
茅場にソードスキルは意味ない。
だから俺はそんな茅場の油断を利用する。
これで俺のソードスキルは終わり。そんな油断をな。
「茅場。言っておくがまだだぜ?まだ俺の攻撃は終わっていない!」
左手で片手剣スキルの最上位スキルを使う。
茅場は《二刀流》を持たない俺の攻撃で更なる追撃が来るなんて微塵も考えてなかったのだろう。今度は俺が虚をつく番だ。
茅場目掛けて高速の10連撃が襲う。
《擬似二刀流》
《剣技連携》。スキルコネクトを利用することで再現出来るキリトが使う未来のシステム外スキル。原作知識がある俺だからこそ出来た技。
右手剣からソードスキルを発動したとして、右手がフィニッシュする直前、右手への脳から出るナーヴギアに出力される運動命令を一瞬全カットするイメージをし、次の命令を左手のみに伝えるという激ムズ技術。
自分の脳が左右別々の思考をしているような途轍もない気持ち悪い違和感に耐える必要がある超絶激ムズな技術。この技術を使い慣らすのに俺は1年半以上掛かった。
これが俺の奥の手ってやつだ。
「クッッ?!!」
最初の連撃数撃を茅場に喰らわせる事に成功するが、立て直した茅場に途中で全てを防がれてしまう。
茅場はお返しとして今すぐにでもカウンターをしてやろうという反撃の雰囲気が硬くなる。
だがお返しにはまだ早い。
まだまだ俺の攻撃だ!
俺は剣2本を手放し、また別の脳みそで思考するような感覚に陥る。
体術スキルの最上位スキル。
掌底に勢いを乗せた8連撃の重たい拳。
それを全て茅場晶彦へと叩き込んだ。
「うおおおお!!!!」
「ッ…?!!」
拳による連撃。
それは茅場を宙にへと押し上げ、その威力を増していく。
そして8連撃目。
最後の全身全力の拳を叩き込もうとする。
「ふふ、はははははっ!!!!まさかこんな手を君が使ってくるとはね。危なかったよ!───だがあと一歩足りなかったようだね」
体術スキルの最後の一撃。
それを茅場にギリギリで盾で防がれてしまった。
茅場のHPバーがギリギリで耐えている。
俺はスキルの硬直で動く事は出来ない。
詰みだ───
「───言ったよな?茅場」
───そう、傍から見たらそうだ。詰みだ。
だが俺はそうじゃない。
俺は今まで見てきていた筈なのだ。
画面の向こうでキリトが!アスナが!
システムを超越した強い意志を見せたことを!
「
スキル発動後の硬直時間?そんな物はない!
俺は呆然とし何処か嬉しそうな茅場を見る。
(俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!俺は動ける!!俺は動ける!!俺は動ける!!俺は動ける!!)
思いでシステムを誤認させろ。
一時的でいい。その間だけシステムを超える。
本来動けない筈の俺が剣を手に取り、駆け出す。
俺は《二刀流》の剣士だ!!
「───あばよ……茅場」
「お見事………」
2本の剣が茅場の胴体を貫いた。
青白い光に包まれながら意識が浮上する。
見れば透明な足場に俺は立っているようで、この場から浮遊城・アインクラッド全体を見渡せるようだ。
「壮観だな………」
黄昏の空を見上げながらSAOの終わりを見つめる。
長かった二年の旅の終わりを実感しながら。
「───ゲームクリアおめでとう、
「よう。さっきぶりだな茅場」
先程まで戦闘をしていた茅場の声が後ろから聞こえる。
先程まで死闘をしていたのに、こんな感じで話しかけられると変な感じだな。
何というかむず痒い。
「それでどうだい?楽しめたのかねこの世界は?」
「楽しめた。楽しめた。嫌と言うほどな」
「それはよかったよ」
俺の軽い皮肉に茅場は笑顔で応える。
やっぱコイツ恋人の料理喉に詰まらせて死なないかな?
ムカつくわ、この野郎。
「あ、俺に面倒い説明とかいいからな。動機とかもうぶっちゃけどうでもいいし」
「ほう?それはやはり君は知っていたのかな私の事を?」
「負け犬には答えてあげませーん」
茅場にはこのゲームで散々辛い目に遭わされたんだ。
こんな時ぐらい、こういった意趣返しぐらいしても俺は許されるだろう。というかこんくらい許せ。
ふとミッションの事が頭に思い浮かぶ。
それで俺は一つ気になった事を茅場に聞いた。
「そういえば茅場。何人生き残った?」
「7663人。今は順次ログアウト中だ」
「そうか………」
原作では約4000人ぐらい死者がいたから1500人ぐらい救えた事になるのか?これを多いか少ないかで捉えると、俺的には多い筈なんだけどなぁ。
ミッションクリアなるかな?これ。
「───茅場」
「何かな?」
改めて茅場と向き直る。
今はヒースクリフの姿をしていない。
正真正銘の茅場晶彦本来の姿だ。
「お前の想像する世界はきっと何処かにあるよ。その証拠にこの世界。キリトたちが居るこの世界が俺にとってお前が想像するような世界だったんだから」
茅場が目を見開く。
そして何処か嬉しそうに身体を震わせる。
「そうか……君に幾つか質問があったのだが………質問する意味がなくなってしまったな…………」
「俺が応えるとは限らんけどな」
「君はもう応えてくれたさ」
「それもそうだな」
茅場とただ少し、無言の時間が続く。
こういうのはレディと過ごすものなんだが、野郎となると些か気分も悪いな。可愛い女の子とこんな時間を過ごしたいというのが俺の本音だし。
「───それじゃあ、私はお先に退場させて貰おう」
茅場が背を向け歩き出す。
姿もホログラムに包まれすぐにでも消えてしまいそうだ。
「じゃあな茅場。お前の面はもう見ないだろうよ」
「
「戯言言うな」
茅場は数歩、歩いたかと思うと姿が跡形もなく消える。
これで俺は完全にこの空間で一人というわけだ。
「───え、
後ろから聞こえる筈のない声が聞こえて硬直する。
何度も聞いた声。
そしてもう直接聞く事のないと思っていた声。
ゆっくりと後ろを振り向く。
「よ、ようアスナ。さっきぶりッ?!」
「
そこにはやはり涙を浮かべたアスナが居た。
目の合ったアスナは即座に俺の胸へと飛び込む。
「おいおい……こりゃびっくり」
反動で俺は倒れてしまう。
アスナが俺を覆い被さるような形になってしまった。
ポンポンとアスナの背を軽く叩く。
アスナの抱き締める力が強くなる。
こりゃ無理だな。
「ちょっと離してくれってお願いしたら聞いてくれるか?」
「嫌だ」
「一生に一回のお願いでもか?」
「絶対に嫌」
「そうかい……」
ダランと身体の力を抜く。
ここで抱き返せたりしたら漢なんだろう。
だが生憎俺はヘタレなんでな。
付き合う事が出来ない女には手を出さないんだよ。
「───ねぇ、
「それってリアルのか?」
「うん!」
このデスゲームに巻き込まれてから約二年間使っていなかった本名。それをいざ他人に晒すとなると多少の抵抗感というのもある。
「ダメ……かな?」
だがこういった事をされるとねぇ?
なんかねぇ?
やっぱ美少女ってよくないと思うわ。
簡単に手のひらで転がされる。
「俺からでいいか?俺の名前は────」
俺の名前を聞いたアスナが何度も噛み締めるように、俺の名前を呟きながら抱き締める力を増していく。
そんなに名前が聞けて嬉しかったのかってのは野暮か。
俺は軽くだがアスナの背に手を回し抱き締める。
うん。時には現実逃避も必要だと思うんだよ。俺は。
「私は明日奈。結城明日奈。歳は今年で17です!」
「歳も言わないといけないのか?」
「当たり前でしょ?」
「俺の歳は………シークレットで!」
「もうっ!何それ!」
アスナと他愛もない話をしながら時間を過ごしていく。
その際に幾つか重要な事をアスナに手出すけで教えたりもしたが、これはきっとALOで役に立つ事だろう。
その時には高確率で俺は居ないがな!
「───時間……みたいだね」
青白い光が俺とアスナを包み出す。
このゲームからログアウトする合図だ。
最後に俺とアスナは向かい合う。
(ああ、やっぱりアスナは綺麗だなぁ……本当に)
光に照らされる彼女は何処か妖艶としていて儚く、とても美しかった。
絶世の美女とはこんな人物なんだろうなと改めて思う。
「またね───君」
「じゃあな。明日奈」
「じゃあなじゃないでしょ!───えいっ!」
アスナの突然の行動に俺は目を見開く。
ログアウトする直前。
俺のファーストキスはアスナに奪われてしまうのでした。
ぼんやりとしたままどれくらい経ったのだろうか。
身体の感覚が上手く掴めないままゆっくりと瞼を開ける。
光が瞳に差し込み上手く見ることが出来ない。
身体も途轍もない程に重い。
長い長い、とても長い夢を見ていた気分だ。
光に瞳が慣れてくる。
周りの状況を見る。
頭に装着されたナーヴギア。
病院特有の匂い。
腕に刺された点滴。
そして最初に見たあのミッションウインドウ。
ミッション
・多くのプレイヤーの救済
・主要キャラの死亡回避
・ラスボスの討伐
・ゲームクリアをすること
───この条件を全て満たしソードアート・オンライン(SAO)をクリアをした場合、報酬として貴方の所望するどんな望みでも支払われます。
───失敗した場合、貴方の所望する望みは棄却され、貴方は永遠に元の世界に帰還する術を失います。
ボーナスヒント
───本ミッションではALOも根本的にはSAOと同等の物の為、ALOもSAOと同じ物としてミッションに組み込まれています。
───囚われた被験者300人を救い出せば、貴方の望みは叶うでしょう。
「ぐ、ぞが………」
ミッションはまだ終わっていなかった。
いやー、何とかアインクラッド編終わらせることが出来たぜ!
気分が乗らないと書けない俺の重たい腕が悪いな!
よかったら感想・評価よろしくお願いします!
誤字脱字の報告もマジ感謝です!
本当にマジありがたいです!