ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第六十五話

「だっはっはっはっ! とんだ取り越し苦労だったな、おい!」

 

「彼なら散々飲み食いして過ごしてたわよん」

 

 エピメテウスさん救出の為に十八階までやって来たは良いものの、凄い自由人っぷりを見せられた上に多分アイズさんにとって知られてはいけない事を見抜いて僕達にまで聞かせてしまった件については諦めよう。

 

「ランクアップしたしパーティに加えてやっても良かったんだが、其は俺達も同じだからな。ギルドからのミッションで下層に向かわなくちゃならねえ」

 

「仕方無いですよ、モルドさん達はLv3になったんですから。どうかお気をつけて」

 

「おう。今度互いのランクアップを祝って飯食いに行こうぜ。そん時に仲良くしてる女を連れてきてくれりゃ助かる」

 

「あはははは……」

 

 モルドさん達の話からしてこの場所を満喫していたらしいけれど、ちょっと神様には聞かせられない情報も。

 重責から解放された反動だろうし、黙っておこうかな。

 

今はゴライアスがロキ・ファミリアに倒されるのを待っている状態。ボールスさんも普通に倒せる人達がキャンプ張ってるのに危険を犯す気がないらしく、前回同様に参加出来るかもって期待していたからガッカリだけれども、それより心配なのが入って来た情報だ。

 

 モンスターの猛毒を浴びて団員の多くが寝込んでいるらしいし、レフィーヤは無事なのかな?

 

 正直言って会いたいけれど向こうには向こうの都合があるだろうし、僕一人でこの階層を歩き回れない。

 

 またモンスターに追われて格好悪い姿を見せたくは無いし……。

 

 だから神様が待っている宿に戻ろうと決めた時、広大な森の先で巨大な火柱が上がる。この神様達の力の様で違う気配は聖火、エピメテウスさんが見せてくれた力だ。

 

「あんなに派手に戦うなんて何かあったんじゃ……?」

 

「ベルくーん! この力、あの子の物だよね!? こんなに大きな力を使うだなんて何かあったんだ! 様子を見に行かないと!」

 

慌てて駆け寄る神様だって同じ意見らしく、僕達は慌てて他のメンバーを探し始めた。

 

 

「見慣れないモンスターですね。皆さん、お気を付けて下さい」

 

 他の皆とも合流は直ぐに出来て、エピメテウスさんが戦っている最中らしき東端へと向かう最中。

 出現するのは餌を求めてやって来た上下周辺のモンスターだけ、想定ではそうだった。

 

 

「新種!?」

 

 でも、道を塞ぐ様に現れたのは前回リヴィラの街を襲った食人花の群れ。

 推定ランクは3相当、但し上振れ次第で4。ランクアップしたばかりの僕じゃ普通は敵わない相手だけれど……。

 

 此処までで手に入れた魔石を一つ取り出して正面に向かって投げる。想定通りに食らおうと反応して大きな口を開いて向かって来た。

 

 今!

 

「ファイアボルト!」

 

 本来なら僕の魔法が通じる相手じゃない。連発出来ても体の表面を軽く焼くだけが精々だけれど、このモンスターは魔力に反応する上に魔石が上顎の奥に露出している。

 

 狙い通りに魔法を避ける事もせず、炸裂した魔法が魔石に直撃した。

 

 そしてもう一つ。詠唱が無いので一度放てばその魔力に反応して僕を狙う事も無い。

 

 キリアやザルド叔父さんも言っていたけれど、実力差は多少なら相性や油断で引っ繰り返る。

 

 勿論、僕の方が格上の場合もそれは当て嵌まるんだけれど……。

 

「打撃には強いのでしたね。情報を得ていて助かりました」

 

 第一級冒険者でも打撃じゃダメージが小さい、そんな情報もあってかリューさんは魔法で引き寄せつつ食人花を倒し、一先ず立ち塞がった群れは一掃したと安心した時、向こうから誰かがやって来る。

 

 操っているテイマーを思い出して思わず身構えたけれど、誰か分かって安心したし、嬉しかった。

 

 

「あれ? ベルがどうして十八階層に?」

 

「レ、レフィーヤ。実は新しく入団した人……第三級冒険者なんだけれど、天井の崩落で逸れちゃって探しに来たんだ。無事だったから安心したんだけれど……」

 

「新しい仲間が出来たんですね。おめでとう、ベル」

 

 駆け寄って来たレフィーヤは僕の手を握ってお祝いの言葉を向けてくれる。

 神様が凄く不機嫌そうなのが気になるけれど、その理由はキリアから聞いているんだ。

 

 過保護な父親が娘に近く男全員を威嚇するみたいなもの、だって。それとレフィーヤの主神のロキ様とは仲が悪いから尚更らしい。

 

「お二人共、お喋りはその辺で」

 

 神々の視点は良く分からないと思って神様の方を向いた時、頭上からボールの様な物が落ちて来た。

 神様達がする【テヘペロ】の顔が描かれた紫の球体で、微かに火薬の臭いがした。

 

 

「神様、危ない!」

 

「え?」

 

 咄嗟に飛び出して神様の頭上に迫る球体を蹴り跳ばす。爪先で前方に飛んで行ったそれが爆発、耳を塞ぎたくなる程の爆音と共に爆風が周囲の木を吹き飛ばした。

 

 神様の盾になる様に覆い被さった背中に木片や小石が叩き付けられ、衝撃で吹き飛ばされそうになるのを堪え、漸く収まった時、笑い声が聞こえて来た。

 

 

 

 

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 折角確実に久々の神様狩りを出来ると思ったのにのーに、上手く行かなかったぜ、全然駄目だ。アタシちゃん、大ショーック! ガビンガビーン」

 

 この声を僕は覚えている。あの時に街を襲った女の声。明確に神様を狙われた事にふつふつと怒りが沸き上がる中、声のする方向に顔を向けようとして僕は見た、見てしまった。

 

 

 

「……おい。何で、何でお前が生きてるんだ? 死んだ筈だ。死体だって確認した! 生きている筈が無いんだ!」

 

「ヘルメス? 一体どうしたんだい?」

 

 僕にとってヘルメス様はお爺ちゃんの部下の神様で、知っている人からは信用するなって言われる胡散臭い神様で、何があってもヘラヘラ笑っている。

 

「ありゃりゃ? アタシちゃんの素顔を知っているって事はまさか知り合い? これはビックリこいたよ。折角のお遊びが台無しになって大爆笑! なーんちって!」

 

 それは同郷らしい神様だって同じらしくてその顔を……怒りと動揺を隠せていない表情。

 

 彼女の顔を見た時、言い表せない嫌悪感が全身を駆け巡る。見た目は優れているのに浮かべる笑顔は粘着質な物。

 

 小さな体格からして小人種なんだろう。手には先程の爆弾に似た球体。確実に爆弾を投げた犯人だ。

 

「ヘルメス様、知っている人ですか?」

 

 

 

 

 

「ああ、知っているよ。知りたくもなかった、一切関わりになりたくなかった相手だよ。暗黒期に多くの神を送還し、俺のファミリアの先代団長を殺した犯人。【神狩り】ガブリエル・アモーレだ!」

 

「ん? アタシちゃん、ヘルメスちゃん様の所の子を殺しちゃったっけ? ガブちゃん、何度も死んでるから忘れちったよ、ちったぁ覚えとけ? それはそうなのです!」

 

 

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