ウルク産地のアルトリア顔の女神様   作:へっぽこ女神

25 / 25
第23話 イシュタルカップ開始前

 

 

 

 

『さぁさぁさぁ会場でお待ちの皆様。ようやくこの時がやってきました。ジャガーも極力出たくない真夏のデットヒートレース──イシュタルカップ! 聖杯のご提供は女神に委ねられましたニャー!』

 

 

 会場に響くはジャガーの雄叫び。

 よく見れば実況席にいつものジャガーの格好で暑苦しい彼女がマイクを手に叫んでいる。

 暑くないのだろうかと立香は思った。普通にスーツ姿になればよいのにと。

 

 

『実況はこの私ジャガー! 解説はエミヤ・オルタさんに来ていただきましたニャア』

 

『なぜオレがこんな場所に……何かの間違いじゃないのか……』

 

『おっとエミヤ・オルタ氏、迷子席へ誘導されまーす! さてさて新たな解説役を探しつつレースまで残り数分。目をかっぽじってよく見とけぃ!』

 

 

 

 カオスだなとなんとなく思いつつも、立香はレースに出るサーヴァント達の顔を見に行く。

 

 やる気満々な水着ネロ。パパの力を借りるフランケンシュタイン。またもや怪しげなニトクリス。近くにいたネロと騒ぎまくるロックンロールな織田信長と──まあ前回のメンツが騒がしく機械に調整をかけて乗り込んでいる。

 

 新規で参加しているのは水着なシャマシュと水着エルキドゥ。

 

 あと水着で何故か参加させられることになった立香と──。

 

 

「ちょっとマスター! 早く車に調整かけるわよ!」

 

「イシュタルやっぱり無謀では?」

 

「何言ってるのよ。ちゃんとした良いアイデアじゃない? 令呪を持ったマスターがパートナーで、エキストラ参戦なんて普通にあり得ない方法でしょ?」

 

「エキストラ参戦について賭け事してたサーヴァント達がキレてるのはいいのかな……あと車は俺運転したことないんだけど……」

 

「それなら問題ないわ。ライダーとなったこの私ならね! ふふふっ……上等。裏であいつにぐちゃぐちゃにされるぐらいなら私が横から潰してやるのよ! あの水着女神をね!」

 

「やっぱり無謀では……?」

 

「いいから行くわよマスター! 私の金星の女神としての力を思い知らせてやるんだから!」

 

 

 グガランナ召喚に燃えるイシュタル。

 どうせシャマシュが召喚のためのいろいろ暗躍してたレースの妨害をして場外から攻めて全部めちゃくちゃにする気だろうと考えていた。

 

 だからある意味、レースの主催者が参戦することに決めたのは予想外。

 

 シャマシュの意識の外をついて、イシュタル自身が優勝すれば他から文句を言われたとしても誤魔化せると考えていた。

 

 

「何を戯けたことを口にするかと思えば……兵を率いず、兵となり道化へ堕ちる。まさしく滑稽というものよ──貴様も堕ちたものよなぁイシュタル!」

 

「あっ、シャマシュ……さま!」

 

 

 藤丸立香はなんとなく王様にしてる行為たる正座を行う。その対応がよかったのか、シャマシュは目を細め立香を見たあと、彼に褒美として飴を渡してきた。

 

 食べてみると甘く、少し塩っぽい。塩キャラメル味の飴だと気づいた。

 それを舐めつつ、イシュタルとシャマシュを交互に見守る。

 

 

 イシュタルは嫌そうな顔でシャマシュを見た。

 

 

 

「げっ……シャマシュ……」

 

「うつけ女神め。貴様に思い知らせてやろう。この私がどれだけ優秀で、出来る水着サーヴァントなのかを!」

 

「いや水着で金ピカの真似事しててもアンタはいつものポンコツ女神でしょうが! 私の方が優秀で強いに決まってるわ!」

 

 

 

 ──というか、ギルガメッシュみたいな口調になってるってことは相当やばいわね。

 そう、イシュタルが一人言を呟く。

 

 

 そんなイシュタルを鼻で笑うシャマシュ。

 

 

 

「グガランナ以外に貴様の価値などありはせぬわ!」

 

「はぁ!? あるに決まってんでしょ! 私は金星の女神よ!」

 

「神など私以外に必要ないわ、たわけぇ!」

 

「アンタ今神性サーヴァント全員を敵に回したわよ!」

 

 

 

 指差して叫ぶイシュタルなど気にしないシャマシュは、両手を広げて楽しそうに笑った。

 その笑顔もギルガメッシュ王に似てると立香は思う。

 

 水着がとっても際どくてちょっと目のやりどころに困るが……。

 

 

 

「人を道化へ堕とし、玩具とする神などいらぬ。貴様のような害悪は特にだ。よって貴様から先に潰す。……分かっておろうなエルキドゥ」

 

「もちろんだよ。シャマシュ」

 

「げぇ」

 

「やぁイシュタル。君が肉片になるまで粉々になるのが楽しみだよ」

 

 

 

 何か普通にウルク大戦が始まりそうな予感がしたため、立香は慌てて三人の間へ入り両手を上げた。

 

 

 

「あの……マスターの俺もいるのでお手柔らかに……」

 

「貴様はマシュがい……待て貴様、何故マシュを連れてない?」

 

 

 

 シャマシュに首を傾けられたので口を開く。

 

 

 

「マシュは会場のサポート役で残りました。……あっ、解説に選ばれたみたいですね」

 

「たわけぇ! マシュのおらぬ立香なぞ雑兵も同じこと。貴様がこのような駄女神と組むぐらいなら私達と組め!」

 

「ええっ?」

 

「何をふざけたことを言ってんのよシャマシュ! もう参加は締め切られたし私とパートナーなのはマスターのみ!」

 

 

 妖艶に微笑むイシュタル。

 その勝ち誇っている笑みに眉をひそめるシャマシュ。

 

 

 

「──つまり、開始早々私を狙ってマシンを潰せば私だけじゃなくマスターも粉々ってことよ。分かるわね?」

 

「おのれ小癪な真似を……!」

 

 

 

 ぐぬぬとなるシャマシュ。

 いっそこのまま燃やしてしまった方が、となるシャマシュに、イシュタルがまたも文句を言う。

 

 そんな神達の言い合いに立香は居心地悪くなってきた。

 

 

 

「……俺、この特異点で……というか、カルデア最終日に死ぬの?」

 

 

 

 なんとなく嫌な予感がする立香。

 そんな立香にエルキドゥが微笑みつつ頭を撫でた。

 

 

 

「シャマシュは君を蔑ろにはしないよ。もちろんボクも……大丈夫さマスター。殺られるのはイシュタルぐらいだ」

 

「それはそれで問題ありなのでは……?」

 

 

 

 カオスなレースが幕を開ける。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

紙芝居をしただけなのに(作者:何処にでもある)(原作:Fate/)

 昔々、蛮族の集団で悠々自適に過ごす為の芸が巡り巡って無辜の怪物になった男がおったそうな。▼ その者腕っこきはからっきし、童話を紙芝居で読むのだけは上手く、ペラ回し一本で英霊に立ち向かわざる得なくなって途方に暮れたそうな。▼ この者の本名を亀男、英霊としての名前をカルメン。▼ 無辜の怪物で周囲から理想のタイプの女に見える、しがない一般サーヴァントである。


総合評価:4323/評価:8.31/連載:6話/更新日時:2026年06月01日(月) 08:12 小説情報

TS憑依転生オルガマリーの奮闘記(作者:手屋んDay)(原作:Fate/)

歴代型月作品の中でも有数の不憫キャラである、オルガマリー・アニムスフィアに転生した男の奮闘劇


総合評価:6189/評価:8.84/連載:4話/更新日時:2026年01月21日(水) 00:00 小説情報

Re:TS白黒ストライプバニー老害によるナツキ・スバルの悲喜劇観賞会(作者:F・M・T (フランチェスカ、マジ年増))(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

「アハハハハッ!始まり、始まりぃー♪パンフレット買った?ポップコーン持った?早くしないと世紀の戦いを見逃しちゃうよ?」▼ Fakeのあのキャラに転生したオリ主が、スバル君の奮闘を眺めてケラケラ笑いながら観賞をする話。▼「……あれれー?もしかして、このスバル君。放っておいたら正史から簡単に外れちゃうぅ?」


総合評価:5226/評価:8.8/連載:3話/更新日時:2026年05月07日(木) 18:00 小説情報

転生したらORTだった件(作者:装甲大義相州吾郎入道正宗)(原作:転生したらスライムだった件)

転スラ世界に迷い込んだのは、型月作品最強種のORT…に転生した主人公。これなら無双出来ると思いきや、リムルやその仲間って普通にそのレベルじゃない? 敵対したら勝てるのこれ? なんて疑問を持ちつつ彼は己の無法ぶりを自覚していない。


総合評価:5161/評価:7.99/連載:4話/更新日時:2026年01月17日(土) 11:57 小説情報

七崩賢『強欲の魔女』エキドナ(偽物)(作者:魔女の茶会のお茶汲み係)(原作:葬送のフリーレン)

 フリーレン世界にエキドナ憑依系TS転生者をぶち込んで、ただただエキドナロールプレイさせるだけの愉快なお話。▼「ボクはただ、君の全てを知りたいだけさ」▼ なおスペックは、種族が魔族になった以外まんまエキドナと同程度の力を扱えるが、頭が少しばかり残念になってます。▼「お前はその好奇心を満たすためにどれだけの人間を殺したんだ」▼ ちなこの転生者は人殺したことはあ…


総合評価:4867/評価:8.38/連載:2話/更新日時:2026年04月05日(日) 22:18 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>