ウルク産地のアルトリア顔の女神様   作:へっぽこ女神

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第23話 イシュタルカップ開始前

 

 

 

 

『さぁさぁさぁ会場でお待ちの皆様。ようやくこの時がやってきました。ジャガーも極力出たくない真夏のデットヒートレース──イシュタルカップ! 聖杯のご提供は女神に委ねられましたニャー!』

 

 

 会場に響くはジャガーの雄叫び。

 よく見れば実況席にいつものジャガーの格好で暑苦しい彼女がマイクを手に叫んでいる。

 暑くないのだろうかと立香は思った。普通にスーツ姿になればよいのにと。

 

 

『実況はこの私ジャガー! 解説はエミヤ・オルタさんに来ていただきましたニャア』

 

『なぜオレがこんな場所に……何かの間違いじゃないのか……』

 

『おっとエミヤ・オルタ氏、迷子席へ誘導されまーす! さてさて新たな解説役を探しつつレースまで残り数分。目をかっぽじってよく見とけぃ!』

 

 

 

 カオスだなとなんとなく思いつつも、立香はレースに出るサーヴァント達の顔を見に行く。

 

 やる気満々な水着ネロ。パパの力を借りるフランケンシュタイン。またもや怪しげなニトクリス。近くにいたネロと騒ぎまくるロックンロールな織田信長と──まあ前回のメンツが騒がしく機械に調整をかけて乗り込んでいる。

 

 新規で参加しているのは水着なシャマシュと水着エルキドゥ。

 

 あと水着で何故か参加させられることになった立香と──。

 

 

「ちょっとマスター! 早く車に調整かけるわよ!」

 

「イシュタルやっぱり無謀では?」

 

「何言ってるのよ。ちゃんとした良いアイデアじゃない? 令呪を持ったマスターがパートナーで、エキストラ参戦なんて普通にあり得ない方法でしょ?」

 

「エキストラ参戦について賭け事してたサーヴァント達がキレてるのはいいのかな……あと車は俺運転したことないんだけど……」

 

「それなら問題ないわ。ライダーとなったこの私ならね! ふふふっ……上等。裏であいつにぐちゃぐちゃにされるぐらいなら私が横から潰してやるのよ! あの水着女神をね!」

 

「やっぱり無謀では……?」

 

「いいから行くわよマスター! 私の金星の女神としての力を思い知らせてやるんだから!」

 

 

 グガランナ召喚に燃えるイシュタル。

 どうせシャマシュが召喚のためのいろいろ暗躍してたレースの妨害をして場外から攻めて全部めちゃくちゃにする気だろうと考えていた。

 

 だからある意味、レースの主催者が参戦することに決めたのは予想外。

 

 シャマシュの意識の外をついて、イシュタル自身が優勝すれば他から文句を言われたとしても誤魔化せると考えていた。

 

 

「何を戯けたことを口にするかと思えば……兵を率いず、兵となり道化へ堕ちる。まさしく滑稽というものよ──貴様も堕ちたものよなぁイシュタル!」

 

「あっ、シャマシュ……さま!」

 

 

 藤丸立香はなんとなく王様にしてる行為たる正座を行う。その対応がよかったのか、シャマシュは目を細め立香を見たあと、彼に褒美として飴を渡してきた。

 

 食べてみると甘く、少し塩っぽい。塩キャラメル味の飴だと気づいた。

 それを舐めつつ、イシュタルとシャマシュを交互に見守る。

 

 

 イシュタルは嫌そうな顔でシャマシュを見た。

 

 

 

「げっ……シャマシュ……」

 

「うつけ女神め。貴様に思い知らせてやろう。この私がどれだけ優秀で、出来る水着サーヴァントなのかを!」

 

「いや水着で金ピカの真似事しててもアンタはいつものポンコツ女神でしょうが! 私の方が優秀で強いに決まってるわ!」

 

 

 

 ──というか、ギルガメッシュみたいな口調になってるってことは相当やばいわね。

 そう、イシュタルが一人言を呟く。

 

 

 そんなイシュタルを鼻で笑うシャマシュ。

 

 

 

「グガランナ以外に貴様の価値などありはせぬわ!」

 

「はぁ!? あるに決まってんでしょ! 私は金星の女神よ!」

 

「神など私以外に必要ないわ、たわけぇ!」

 

「アンタ今神性サーヴァント全員を敵に回したわよ!」

 

 

 

 指差して叫ぶイシュタルなど気にしないシャマシュは、両手を広げて楽しそうに笑った。

 その笑顔もギルガメッシュ王に似てると立香は思う。

 

 水着がとっても際どくてちょっと目のやりどころに困るが……。

 

 

 

「人を道化へ堕とし、玩具とする神などいらぬ。貴様のような害悪は特にだ。よって貴様から先に潰す。……分かっておろうなエルキドゥ」

 

「もちろんだよ。シャマシュ」

 

「げぇ」

 

「やぁイシュタル。君が肉片になるまで粉々になるのが楽しみだよ」

 

 

 

 何か普通にウルク大戦が始まりそうな予感がしたため、立香は慌てて三人の間へ入り両手を上げた。

 

 

 

「あの……マスターの俺もいるのでお手柔らかに……」

 

「貴様はマシュがい……待て貴様、何故マシュを連れてない?」

 

 

 

 シャマシュに首を傾けられたので口を開く。

 

 

 

「マシュは会場のサポート役で残りました。……あっ、解説に選ばれたみたいですね」

 

「たわけぇ! マシュのおらぬ立香なぞ雑兵も同じこと。貴様がこのような駄女神と組むぐらいなら私達と組め!」

 

「ええっ?」

 

「何をふざけたことを言ってんのよシャマシュ! もう参加は締め切られたし私とパートナーなのはマスターのみ!」

 

 

 妖艶に微笑むイシュタル。

 その勝ち誇っている笑みに眉をひそめるシャマシュ。

 

 

 

「──つまり、開始早々私を狙ってマシンを潰せば私だけじゃなくマスターも粉々ってことよ。分かるわね?」

 

「おのれ小癪な真似を……!」

 

 

 

 ぐぬぬとなるシャマシュ。

 いっそこのまま燃やしてしまった方が、となるシャマシュに、イシュタルがまたも文句を言う。

 

 そんな神達の言い合いに立香は居心地悪くなってきた。

 

 

 

「……俺、この特異点で……というか、カルデア最終日に死ぬの?」

 

 

 

 なんとなく嫌な予感がする立香。

 そんな立香にエルキドゥが微笑みつつ頭を撫でた。

 

 

 

「シャマシュは君を蔑ろにはしないよ。もちろんボクも……大丈夫さマスター。殺られるのはイシュタルぐらいだ」

 

「それはそれで問題ありなのでは……?」

 

 

 

 カオスなレースが幕を開ける。

 

 

 

 

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