ゼロの人魚姫   作:北町スイテイ

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この物語は、いくつかの異なる世界観や設定を下敷きにしています。
けれど、それらを再構成すること自体が目的ではありません。

人が何かを信じること。
信じた結果、知らず知らずのうちに他者を傷つけてしまうこと。
そして、その選択が「間違いだった」と断言できない瞬間について書いています。

ここに描かれる出来事は、特別な力を持つ者たちの話ですが、
迷い方や躓き方は、決して特別なものではありません。

この先、物語は少しずつ形を変えていきます。
その変化を、是非そのまま受け取ってもらえればと思います。


第11話「どうだい俺様を使って見る気はないかい?」

ギーシュとの決闘騒ぎからしばらく経った頃の話。

 

あたしはいつものように食堂までやってきていた。

 

「あ! サヤカさん。」

「お、シエスタ久しぶり。」

 

ギーシュの決闘以来何だかんだ会うことができていなかったシエスタに会うことがで来てあたしは幸せだった。

あいかわらずのふくよかなものがとても目の毒でけしからん!

 

メイド服効果もきっと大きんだろうなあ。

 

なんて考えていると、シエスタがどうしてもと言ってあたしを調理場に連れて行った。

 

「来たか『我らの騎士』。」

 

そこには仁王立ちのマルトーさんがいた。しかもなんだか恥ずかしい呼び方をされた。

 

「あの、何ですか騎士って・・・。」

 

そのあたしの質問に応えることなくマルトーはあたしに料理を出した。

あたしの世界の伊勢海老みたいな生物が緑と黄色の美味しそうなソースで絡められている、あたしが普段食べている料理とは何ランクも違う料理を出された。

 

「食べな。」

「え?」

 

困惑の声を上げるあたしに対してマルトーはそれ以上何も言わなかった。ただじっとあたしを見つめて食べるのを

待っている。

 

「「「・・・。」」」

 

なにこれ、なんで周りのコックもあたしに注目してんの。もう食べなきゃおさまらない感じの空気なんですけど!?

 

こうなったら覚悟を決めるしかない。

あたしは恐る恐る料理に手をつける。伊勢海老のような生物は感触もエビそのもので....。

 

口に一口含んだ。

 

もぐもぐ

 

もぐもぐ

 

ごっくん

 

 

・・・

 

静かな沈黙の後

 

「どうだ。」

 

マルトーはただそれだけを聞いた。

 

「美味しかったです。」

 

うん美味しかった。それは間違いない。ただどんなに食べても栄養にはならないのだが、それを言っても仕方ない。

そのままみんなが見つめるなかで料理を完食する。

人生で一番落ち着かない食事だったのは間違いない。

 

「ご馳走さまでした。」

「そうか....。」

 

マルトーはとても悔しそうな顔で言った。

あたしはその理由がわからないまま調理場を後にしたが、それからもこんな風にマルトーに料理を定期的に出されるのだが、その理由を知るのはずっとずっと後のことだった。

 

 

 

 

そんなことがあった日から何日か過ぎ、ようやく学園の生活に慣れて来た頃。

日用品を買うためにあたしは初めて街に来ていた。

 

「サヤカ・・・一緒に寝ててなんとなくわかってたけど結構着痩せするタイプよね・・・。」

 

最初に行った服屋での試着室、あたしとルイズは同じ更衣室で仲良くお互いの服を見せ合っていた。

正確にはルイズの入っていた更衣室にあたしが突撃した。

今日のルイズの下着は黒、体系とは似合わず大人なチョイス・・・悪くない。

 

「あたしとしてはルイズくらいのサイズが理想なんだけどねえ、なんでか育っちゃって。」

 

あはは、と笑い飛ばすとルイズにすごい顔で睨まれた。

 

「ちょっとぉ、あたしは別に嫌味で言ったわけじゃないんだからさあ、そんな怒んないでよー。」

「怒ってない!」

「怒ってんじゃん・・・。」

 

そんな感じである程度の日用品を買って、余った時間で街をぶらぶらしている時だった。

 

『拾ってあげてください。』

 

そんな看板と一緒にくたびれた剣が道端に転がっていた。

何言ってるかわかんない?

大丈夫あたしも意味わかんない。

 

 

「ねえねえルイズ。」

「なに?」

「あれ何?」

「捨て剣でしょ。」

 

捨て剣って何さ。 え? これってあたしがおかしいのかな? それともこの世界ではこれが常識だったりするのだろうか?

 

あたしはその剣をしばらく観察することにした。

その間ルイズは買い物があるとかで別行動、この捨て剣の前で落ち合う予定だ。

 

とりあえずあたしは剣の横に座る。

ガヤガヤ

がやがや

人の流れる音だけが聞こえる道の隅であたしと剣はそこにただいた。

10分20分と時間が過ぎていく。

そのうちにーーー

 

道端に捨てられているこの剣はいつまでここでこうしているのだろう。あたしが拾わなければ、この剣はずっとこのまま・・・

 

 

ーーーなんて思うこともなく

 

結局そのまま学院に帰るのであった。

 

そもそもあたしに剣とか必要ないもんね。いくらでも出せるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

今日はとても天気がいい。朗らかな日差しを浴びているとあの子の笑顔を思い出す。

そういえば最近はめっきり会うこともなくなっちまった。

 

理由は分かっている。こんな仕事で金を稼いでいることへの罪悪感。きっとそれが私の足をあの子から遠ざけているのだろう。

 

こんな私があの子を汚すわけにはいかない。

 

あの子ならそんなことないと否定してくれるのだろう。

だけど私はその優しさに甘える資格などないのだ。

 

 

 

そんなことを考えながら歩いていたせいだろうか。

 

カコン!

 

「おっと!」

 

足になにかがあたり転びかける。

 

『おお! 鞘が外れた! これで喋れるぜ!!』

 

突然声が聞こえたが、周りを見てもそれらしき人物がいない。

 

『おいおい下だよ下』

 

言われた通りに下を見ると、一本の寂れた剣が抜き身で転がっていた。

 

「今喋ったのはあんたかい?」

 

半信半疑で話しかける私。これで勘違いだった日には恥ずかしくて死んでしまうなと思いながら。

 

『そうだ! 俺様の名前はデルフリンガー! デルフって呼びな!』

「インテリジェンスソードかい、珍しいね。」

『お、ねえさん物知りじゃねーか。どうだい俺様を使ってみる気はないかい?』

「絶対にやだね。・・・いや売ればそれなりの稼ぎにはなるか?」

 

最近はなかなか仕事をするタイミングがなくて懐がさみしくなって来たところだ。多少は懐の足しになるだろう。

 

「いいよ連れてってやる。」

 

そう言って私は剣を手に取った。

 

この選択がのちの彼女の運命を左右するのだが、剣の査定をしている彼女にはまだ知るよしもないことだった。

 

 




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

次回 第12話「そうかあ、ついにあたしにもモテ期が来たってわけかあ」


デルフリンガー

名前:デルフリンガー
通称:デルフ
種別:インテリジェンス・ウェポン(意思を持つ魔剣)
属性:不明(複合)

異世界ハルケギニアに存在する、意思と記憶を持った伝説級の剣。
剣そのものが思考し、会話を行う。

本来の歴史では、
平賀才人が使い魔として召喚された後に主と契約し、
その力を最大限に発揮する。

最大の特徴は、
あらゆる武器・魔法・道具の扱い方を理解し、使いこなす能力を
使用者に一時的に付与する点にある。

この能力により、
魔法が使えない人間であっても、
剣・銃・兵器・未知の武装を即座に扱えるようになる。

性格は皮肉屋で軽口が多く、
表面的には無責任で怠惰に見える。
しかし実際には、
戦場の恐怖や死の重さを誰よりも知っている存在でもある。

過去に多くの主を失っており、
その記憶と後悔を冗談で覆い隠している節がある。
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